40代男性、階段を下りる時にぎっくり腰になったということで、病院で鎮痛剤と湿布薬が処方されています。
ぎっくり腰になった日に電話をいただいたので、家で安静にしていることをお勧めしたのですが、是非にということで受傷後2日目の指圧です。
診察は痛ければ立ったままでもいいですと申し上げましたが、比較的簡単に椅子に腰掛けました。
背部から診ると腰椎が左に側弯しています。
左足で一段階段を下りる時に左下肢長が伸びるので、結果として脊柱が左側弯する、その時にギクッときたようです。
脊柱起立筋は右のほうが硬くなっていますが、これは体を硬くして脊柱を側弯の形に固定していると考えられます。
左第4~5腰椎周囲の筋肉や靭帯の強い痛みを、使えるほうの筋肉を使って患部を固定することで防いでいるようです。
腰椎棘突起を触診して痛みはないので、とりあえずヘルニアや椎間関節の亜脱臼は除外できます。
一番楽な姿勢でマットに寝てもらうと右を下にした横臥位になりました。
普通痛みのある側を下にして寝たほうが圧刺激がかかって鎮痛と固定の効果があるのでそれを選びますが、このケースでは側弯の形を崩さないことが鎮痛になっているようです。
この横臥位(指圧では右を下にした場合は左横臥位と呼びます)で指圧を始めます。
咳をしても痛いということなので、急激に圧し込んだり、急に手指を離すと患部が揺れて痛みがでます。
受傷3日以内にぎっくり腰の指圧を引き受けるなら、安静を破らない超上等なタッチをしなければいけません。
例えば患部は触診以外では触れない、患部の上か下に片手を当てて固定し、患部を揺らさないようにして指圧をするというようなことです。
腰椎左側弯に対して、下肢伸展挙上牽引はとても効果的でした。
考えてみれば階段を下りるときに詰めたと想像できるので、仰臥位で患部を自分の体重で固定している時に、下肢を引っ張ればかなり理にかなった矯正方法になります。
これを馬鹿の一つ覚えで、両膝をおなかにくっつけるような腰椎前弯の矯正をしているようでは駄目です。
このケースで股関節は90°を超えて曲がりませんでした。つまり膝を立てるより押し込めないような股関節の状態には、腰椎前弯以外の原因があるということです。
軽い刺激で触れる所は指圧する、緩めるられ所は緩めるというような方針で全身指圧を終えました。
起き上がる時に痛みはありましたが、立ってから、そしてもう一度椅子に座る時にはかなり痛みが軽減されていました。
その理由は腰椎左側弯の改善です。大して触れてもいないのに、ほとんど真っ直ぐに近づいています。
ぎっくり腰は傷ですから、しばらくは痛みが残ります。しかし体力もありそうなので回復は意外と早いかもしれません。
今回は自然治癒力の邪魔をしない、安静より効果のある指圧になったと思います。
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