2009年11月 9日 (月)

「完璧な料理というものがあったら、料理は一種類でいいわけだろう?」陳建一さんの言葉。

 「完璧な料理というものがあったら、料理は一種類でいいわけだろう?」、これは昨日のテレビ東京『ソロモン流』の中で、料理学校の講師に招かれた陳建一さんが生徒たちに語った言葉です。

 料理人を目指す生徒たちに贈る言葉として、とてもわかりやすく的確だったので感銘を受けました。

 現状に満足せず料理を探求し続ける自らの姿勢を示すとともに、この言葉は生徒たちに新しい料理への可能性と将来への希望も与えています。

 お父さんの陳建民さんからの「一つの料理は十の料理になる」という言葉を心に留めて、素材を代え調味料を工夫するなどの数々のチャレンジをしてきたからこそ「完璧な料理というものが…」という料理哲学にたどりついたのでしょう。

 この料理という味覚を中心とした感覚に訴える世界を、手技療法に置き換えても同じことが言えます。

 完璧なタッチというものがあったら、タッチは一種類でいいわけだろう?

 

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2009年11月 8日 (日)

入浴後痛みが悪化する人。

 疲労原因たんぱく質“FF”が入浴で増加するということの証明のような人が、毎週指圧をしている脊柱管狭窄症の男性です。

 仕事後に入浴してから指圧にいらっしゃいますが、入浴後痛みは悪化し、指圧中眠った後、痛みは完全に消えるようです。

 仕事が忙しいと症状は悪化し、最近買えるようになったボルタレン系の湿布薬で痛みは抑えられますが、皮膚がかぶれるのではがすと麻酔が切れたように痛みが悪化します。

 これは慢性的な痛みを持つ人の痛覚が過敏なのではなく、健康な体であればありがたいことに痛覚が鈍感でいられるのではないか、痛みを持つ方たちに指圧をしているとそんな考えが思い浮かびます。

 我慢や辛抱を必然として生きていると、痛覚や疲労感には鈍感なほうが生きやすいことになります。

 人や予約の時間を待つということ、行列や車の渋滞に並ぶということ、満員電車、働くということ、生活には我慢や辛抱が付いて回ります。

 我慢しきれなくなった時に痛みが現れ、そこで本来のレベルで痛覚が働き始めるのかもしれません。

 NHKドラマ『行列』は最近では秀逸だと思って見ています。大晦日の寒空の中、デパートの初売りに並ぶいわくありげな人たちが、おそらくエンドルフィンやドーパミンを出しながら我慢に勝るモノを手に入れようとしています。

 健康で体力があればありがたいことに痛覚を鈍感にできるということがあって成立している本来なら不快なことはたくさんあります。

 痛みを持つ人が教えてくれることもたくさんあります。

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2009年11月 7日 (土)

オキシトシンは食欲抑制にも働く。

 『自治医大の矢田俊彦教授と前島裕子助教授らの研究グループが、食欲抑制タンパク質“ネスファチン”が脳で働く仕組みを解明し米専門誌に発表した』という記事が産経新聞にありました。

 ネスファチンが視床下部の摂食中枢に作用すると“オキシトシン”が放出され、オキシトシンが神経を刺激すると食欲が低下する仕組みなのだそうです。

 “レプチン”も食欲抑制ホルモンですが、レプチン抵抗性を持つ患者にもオキシトシンの効果が期待できるということです。

 オキシトシンは出産時の子宮収縮や母乳分泌のホルモンですが、生殖そのものにも関与する愛情ホルモンだとも言われています。

 ストレスで過食だという女性に指圧をすると、その後過食がやめられたという話を後でよく聞きます。

 この記事を読んで、タッチングというスキンシップがオキシトシンの分泌を促して食欲を抑制するということはあるだろうなと思いました。

 授乳中のお母さんの幸せそうな顔を見ても、オキシトシンが精神安定、血圧降下に働くことがよくわかります。

 同じ脳下垂体後葉ホルモンである“バゾプレッシン”が尿管から血液を再吸収して血圧を上げるのとオキシトシンの血圧降下が拮抗作用になっていることが注目されます。

 とすると、バゾプレッシンが過食ホルモンだったりして…?

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2009年11月 6日 (金)

疲労原因たんぱく質“FF”は入浴でもストレッチでも増加する。

 11月4日放送のNHK『ためしてガッテン』は、疲労の原因がたんぱく質“FF”の増加であるということを紹介する番組となっていました。

 『“FF”は入浴によってもストレッチなどの運動によっても増加し、睡眠によって減少する』、要約するとこんなところでしょうか。

 疲労回復に良かれと思って行った温泉での湯当たりや運動による疲労感の増加、これは確かに経験があります。

 疲労回復を期待して受けたマッサージでの揉み返しにも同じ事が言えます。

 強い刺激のタッチをしてはいけない、寝た子を起こすようなまねをしてはいけない、これは指圧をしていて学んだ人間の体からの警告です。

 気持ちの良い刺激をして眠れるような指圧が大切であることは、指圧中寝て、起きた方たちの顔を見ればわかります。

 指圧中の質の良い睡眠は“FF”を減少させ、疲労回復効果があるのでしょう。

 入浴やストレッチもその後の睡眠の質を向上させることができれば、決して疲労回復に悪いものではありません。

 やり過ぎはいけないということです。

 気持ちがいいという範囲で、お湯につかり、ストレッチや運動をすればよいわけです。

 疲労の原因とその回復の方法が科学的に立証されて慌てる人もいるかもしれませんが、私は我が意を得たりという感じです。

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2009年11月 5日 (木)

月下香(チュベローズ)

 『月がデカイ、朝になっても十五夜よりもデカイ』、日本シリーズが始まる頃、東に現れて、朝のウオーキングでは西に拝んだというこの2日間でした。

 ちょうど月下香(チュベローズ)の精油が届いて、アロマスプレーか香水でも作ろうかと思っていた矢先に、大きく涼しい月を見ることができました。

 インターネットで調べると、李香蘭の歌のタイトルになった『夜来香(イェイライシャン)』は月下香ではないという、何とも残念な事実がたくさん並んでいます。

 月下香はリュウゼツラン科、夜来香はガガイモ科、なるほど精油としての商品化にガガイモ科は、何となく後回しにしたくなります。

 夜来香(テロスマ 和名トンキンカズラ)、このトンキンはベトナム北部の地名だそうです。

 『月下香はハワイのレイに使われ、かつては葬式花としても使われた』ということ。

 アブソリュートなのでアロマスプレーにしたところ香りの立ち上がりが早く、ジャスミンでもローズでもカサブランカでもない気品漂う香りがします。

 見事に涼しくデカイ月の下、月下香の香りのお月見。月下香の芳香浴の月光浴。

 精油には“これは私的にはパス”という香りがありますが、月下香は使えそうです。これに歌のエピソードが乗ってくると説得力がもう一段階上がったのに…。

 夜来香と月下香は別物でしたか…。

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2009年11月 4日 (水)

階段を下りる時にぎっくり腰になった人。

 40代男性、階段を下りる時にぎっくり腰になったということで、病院で鎮痛剤と湿布薬が処方されています。

 ぎっくり腰になった日に電話をいただいたので、家で安静にしていることをお勧めしたのですが、是非にということで受傷後2日目の指圧です。

 診察は痛ければ立ったままでもいいですと申し上げましたが、比較的簡単に椅子に腰掛けました。

 背部から診ると腰椎が左に側弯しています。

 左足で一段階段を下りる時に左下肢長が伸びるので、結果として脊柱が左側弯する、その時にギクッときたようです。

 脊柱起立筋は右のほうが硬くなっていますが、これは体を硬くして脊柱を側弯の形に固定していると考えられます。

 左第4~5腰椎周囲の筋肉や靭帯の強い痛みを、使えるほうの筋肉を使って患部を固定することで防いでいるようです。

 腰椎棘突起を触診して痛みはないので、とりあえずヘルニアや椎間関節の亜脱臼は除外できます。

 一番楽な姿勢でマットに寝てもらうと右を下にした横臥位になりました。

 普通痛みのある側を下にして寝たほうが圧刺激がかかって鎮痛と固定の効果があるのでそれを選びますが、このケースでは側弯の形を崩さないことが鎮痛になっているようです。

 この横臥位(指圧では右を下にした場合は左横臥位と呼びます)で指圧を始めます。

 咳をしても痛いということなので、急激に圧し込んだり、急に手指を離すと患部が揺れて痛みがでます。

 受傷3日以内にぎっくり腰の指圧を引き受けるなら、安静を破らない超上等なタッチをしなければいけません。

 例えば患部は触診以外では触れない、患部の上か下に片手を当てて固定し、患部を揺らさないようにして指圧をするというようなことです。

 腰椎左側弯に対して、下肢伸展挙上牽引はとても効果的でした。

 考えてみれば階段を下りるときに詰めたと想像できるので、仰臥位で患部を自分の体重で固定している時に、下肢を引っ張ればかなり理にかなった矯正方法になります。

 これを馬鹿の一つ覚えで、両膝をおなかにくっつけるような腰椎前弯の矯正をしているようでは駄目です。

 このケースで股関節は90°を超えて曲がりませんでした。つまり膝を立てるより押し込めないような股関節の状態には、腰椎前弯以外の原因があるということです。

 軽い刺激で触れる所は指圧する、緩めるられ所は緩めるというような方針で全身指圧を終えました。

 起き上がる時に痛みはありましたが、立ってから、そしてもう一度椅子に座る時にはかなり痛みが軽減されていました。

 その理由は腰椎左側弯の改善です。大して触れてもいないのに、ほとんど真っ直ぐに近づいています。

 ぎっくり腰は傷ですから、しばらくは痛みが残ります。しかし体力もありそうなので回復は意外と早いかもしれません。

 今回は自然治癒力の邪魔をしない、安静より効果のある指圧になったと思います。

 

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2009年11月 3日 (火)

指圧で除圧する。

 週1回指圧をしている脊柱管狭窄症の男性は「指圧後は完全に症状が消える」そうです。

 背中を丸めていることで痛みを抑えている脊柱管狭窄症では、その姿勢を続けていることで腸腰筋などに負担をかけています。

 その結果、体の内圧の不均衡が様々な方向から生じて、主訴の脊柱管狭窄症の症状が悪化するようです。

 へこんだペットボトルがあるとします。

 ペットボトルのへこんだ部分に痛みがあるとして、そこを圧してもへこみを大きくするだけです。

 強く圧せば反対側とくっつくほどにへこみます。

 こんなことが解決につながるとは到底思えません。

 この脊柱管狭窄症の男性への指圧は、体のあらゆる角度からの内圧に拮抗するような刺激です。

 痛みがあって体の中心に圧し込むようなバランスの不均衡に対して、圧をあてて凹みを戻すイメージです。

 突き抜ける強刺激ではありません。

 背中から内臓の背面に届く圧刺激、おなかから内臓の腹側に届く圧刺激、これが治療的な除圧になっているように思います。

 もちろん足底から頭部へ向かう、頭部から足底へ向かう、あらゆる斜めの角度から反対側へ向かう垂直圧があっての除圧です。

 この3次元的なイメージができると、激しい痛みを持った方へのタッチにとまどわずにすむと思います。

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2009年11月 2日 (月)

下肢振り子運動による除圧で腰痛を緩和する。

 昨夜の日本シリーズ第2戦、腰痛で登板が危ぶまれていた日ハムのダルビッシュ投手は先発し、6回まで巨人打線を2点に抑える見事な投球で勝利に大きく貢献しました。

 下半身を大きく使わない投球フォームは、明らかに腰に負担をかけないためのものでしたが、その棒立ちのような投げ方で時速150km近い速球を投げ込み、当日インターネットの映像を見て参考にしたというスローカーブを使いこなしてしまうのですからただものではありません。

 無駄な力みを抜いた時に大きな力が出せるということを体調の完璧な時にできるようになっていったら、この先どれだけ凄い投手になることか、末恐ろしいものがあります。

 ノーベル物理学賞を受けた米シカゴ大名誉教授・南部陽一郎先生の「対称性の自発的破れ」理論は、“自然法則では物質は対称性を保つはずであるのに、ビッグバーンから宇宙が冷えていく段階で物質の状態が自然に変化して対称性のバランスが崩れた”ということを研究し考察したものです。

 人間の腰部のバランスも腹部側からの圧と背部側からの圧、側面からの圧、上下からの圧、これに動作時のあらゆる方向からの圧をうまく流して均衡を保っています。

 これが上下と腹部側からの圧に抗しきれなくなって椎間板ヘルニアが背側に飛び出して神経を圧迫し激痛が起こります。

 脊柱管狭窄症では背中を丸めていると痛みが出にくいわけですから、背筋を収縮させては痛みが悪化する、つまり背部から腹側への圧のバランスが強くなって痛みを起こしていると考えられます。

 そこでダルビッシュ投手の昨日の投球ということになるのですが…。

 腰椎椎間板ヘルニアでも脊柱管狭窄症でも、仰臥位で片側の膝裏に両手を入れて、膝伸展+屈曲の背中を丸めて起き上がり運動をすることで、ダルビッシュ投手のように腰に大きな負担をかけない腰の運動が可能になります。

 小さな振り子運動から始めればいいのです。この振り子運動は腹側からの除圧も背側からの除圧もします。

 これに小さな回旋運動が加わればもっと効果が上がっていきます。

 実際にこの運動を腰痛持ち、特に脊柱管狭窄症の方に勧めているのですが対称性の破れとダルビッシュ投手の投球術と合わさったのは今朝のインスピレーションです。

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2009年11月 1日 (日)

体の不調のスピンオフ(サイドストーリー)を語るということ。

 指圧の後には必ず、私が読んだ体の物語についてお話します。

 お客様が考えていた主観的な物語と、指圧師が語る客観的な物語の違いは、同じドラマでも主人公を替えたスピンオフの物語ようでもあり、気づきを生み、涙を流すことでカタルシス(浄化)効果をもたらすこともあります。

 泣いてもらって、笑ってもらって帰っていただく、それがとても大切なことです。

 感動がないタッチはセラピーとして十分ではありません。

 手技療法の特徴(是非とも特長にしなければいけません)である反射区やツボの考え方は、主訴に対するサイドストーリーそのものです。

 腰痛に対して下肢後側を指圧するというような考え方は、外堀から埋めていくような作戦ですが、坐骨神経に沿っての指圧は第4腰神経から第3仙骨神経の範囲での治療的な刺激になります。

 腰痛に対して腰の物語を考えていたお客様にとっては、腰の指圧ではないというストーリー展開は意外です。

 片頭痛に下半身のむくみのストーリーを語ることもあります。また、同じ片頭痛でも使わないほうの左前腕外側“外関”の物語を読むことも、下肢外側の物語を読むこともあります。

 指圧師が語る客観的な事実から、自分の見逃していたことへの気づきや、とらわれていた不安からの解放、そして涙…ということはよく起こります。

 そこで緞帳が下りて、客席にライトが灯るわけです。

 いつも観客が一人の一人芝居ですが、主人公はあくまでもお客様で、私は物語の構成作家でナレーターであるだけで、原作を作り上げたのはお客様です。

 「指圧は芸術である」、その言葉が自分の心にストンとはまって、ずっと今のスタイルで続けています。

 涙を溜めた人には、ダメ押しで感動的な言葉を足したりして…(ちょっとあざといなと後で反省することもあります)。

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2009年10月31日 (土)

指圧は30kgの刺激を超えてはいけない。

 指圧の強さは100gまでの触圧、100g~1kgまでの微圧、1kg~5kgまでの軽圧、5kg~15kgまでの快圧、15kg~30kgまでの強圧と分類されます。

 指圧は強圧までで、これを超えてはならないとテキストには明記されています。

 片手をテーブルについて椅子から立ち上がる時、指圧の指の形でこれを行えば体重のかけ方にもよりますが、およそ快圧の体重移動になります。

 体重の4分の1ほどの重さが、プッシュアップの動作時に手指にはかかります。

 たとえ体重が30kgしかなくても、快圧の指圧はプッシュアップの体重移動で可能なのです。

 テキストに指圧の強さの上限が明記されてはいますが、指圧師が体重の半分を母指の指紋部に乗せるのは簡単なことです。

 残念なことに、あマ指法制定後の指圧理論がよく理解できていないあマ指師は多く、強圧し自慢の声はあちらこちらで耳にします。

 “一指立禅”の修行を黙々と続ける中国の修行僧のドキュメントを見たことがあります。

 一指立禅は、片方の示指一本で全体重を支え逆立ちをするという究極の荒行です。

 ただそれができても、人間の体の上でやるわけにはいかない、タッチセラピーというものは、そういうことではありません。

 指圧は、誰にでもできる快圧で人間の体に合わせてタッチの刺激量を臨機応変に使い分けていくことが大切なのです。

 激しい痛みを持つ人には強圧では通用しません。指圧師は強い痛みを持つ人からタッチを教わって上達していきます。

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«「力で押しまくらず、響きの中でフォルテ(強勢)を作る」