CD 『スティーヴ・ライヒ ベスト』
世界文化賞を受賞したスティーヴ・ライヒさんのベストCDを聞いていると、“前のり”というか、心急かされる感覚が起こります。
彼の作品はミニマル・ミュージックと呼ばれ、その後のトランス・ミュージックに影響を与えました。それは短いテーマが繰り返し、複雑なリズムの交錯と、半端拍子が先送り感を作っていく独特の音楽です。『ゴジラのテーマ』を複雑にしていったものをイメージするとわかりやすいかもしれません。
私は施術の中盤までは清明などという心境とは程遠く、様々な情報が飛び交い“UNCONTROLLABLE”で不整脈な、パニック寸前にあるように感じることがあります。
それはクライアントの体の混乱を受け入れる作業をしているからであると思うのですが、『ライヒ ベスト』を聴いていると、その感覚が再現され、何故か落ち着きます。「乗り越えるべき壁に向かう」混乱した心地よさの感覚を、70才の彼が遥か昔から作品にしていたことは、とても心強く思いました。
会話のイントネイションを譜面に起こしてアンサンブルにしてしまう手法も、その会話自体にストーリー性がある芸術的な完成度の高さも、今までに体験してこなかったジャンルの音楽に出会えた喜びとなりました。
このCDを聴いていると、難しい音楽であるからなのか、よく眠れるのです。マッサージ用ヒーリング・ミュージックにならないかと思って買ったのですが、一般的には“NO”、しかし冒険的に使ってみると“YES”なのかもしれないと思います。
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