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2006年12月31日 (日)

痛みをとりたい!

 “手を使って痛みをとりたい”、何をしようとしているのかと尋ねられたら、そう答えます。

 疲労、筋肉痛、むくみ、冷え、便秘、頭痛、不眠、ちょっとした腹痛の施術などは、ある程度期待通りの、時々は期待以上の効果が得られるようになりました。

 それは手技療法が持つ特性を理解していけば、誰もができる範囲のことです。刺激の法則を身につけて交感神経と副交感神経をそれぞれ優位に導いたり抑制したりすることができれば、かなり多くの訴えに対応できます。

 難しいのは医学的な常識を超えても施術をしてみるのかということです。例えば急性の激痛や頚椎症の痛みなどです。

 少し角度を決めて押し込めば、関節が正常の位置に近づいて痛みが軽減するかもしれないと思うことはあります。しかしひどく痛めるリスクもあるのです。

 私は遠くから施術をして最後にそのリスクと対峙してみるのですが、いつもクライアントの痛みによって超医学的な手技をあきらめます。

 まだまだなのです。私の技術と知識では、まだまだまだまだなのです。

 そして思います。『精一杯やったか?他に方法はなかったか?せめて今の状態と回復の見込みを伝えて少しでも不安を取り除くのに役にたったか?』

 ラベンダーのような言葉を使って、ローズマリーのような施術ができたかと思います。波のようなリズムで陽射しのようなタッチであったかと思います。

 今この時間も寝返りができずにオムツをしながら、腰の痛みに耐えている方がいます。ギプスの足の痒みにイライラしている方がいます。

 動けない方のお宅にうかがって施術をするのは大変です。施術をするのに狭かったり、寒かったり、暑かったり、いつのまにか人が集まってツボの圧し方の講演会になっていたり…。

 本当は出かけて指圧をしてくるなど大変で、できればあまりやりたくないと思うのですが、動けないくらい痛い方のお宅で、自分の手にはとても負えないというような状況に追い込まれると、もうひとつ上の力をださなければいけない究極のライブ感覚が湧き上がります。

 この痛みをとりたい!舞台としてはやりにくい環境でも、ストリートミュージシャンのように伝えたいことがたくさんある自分に気づきます。

 痛みをとりたい。来年も、痛くない痛みをとる方法を模索していきます。

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2006年12月30日 (土)

折りたたみ椅子からの転倒に注意!

 昨日、電球の交換中に折りたたみ椅子の座面の後ろ側に体重がかかって、椅子がたたまれて転倒した方がいます。

 電話での状況から腰部の打撲だけのようですが、今日は出張で指圧をしてほしいと頼まれています。

 天井や高い所の大掃除は普段滅多にしない上を向いての作業なので、自律神経の調節が乱れます。脳の血流が低下して立ちくらみを起こすこともあります。転倒して頭を打てば大変なことです。お年寄りにはできるだけさせたくないことです。

 上を向いて高い所の大掃除をする場合には、折りたたみの椅子は安全のため使わないようにしたいものです。若い人でもリスクは同じです。長時間の作業では頚や肩の筋肉を痛めます。

 肩といえば昨日、フィギアスケートの安藤美姫選手の右肩脱臼には驚きました。遠心力で亜脱臼したようですが、右肩内転・内旋筋にかかる荷重が自分の筋力の何倍にもなっているとすると、とても過酷な競技です。

 右肩の脱臼を予防するためには、右の大胸筋・肩甲下筋・大円筋を緩めることと、棘上筋・棘下筋・小円筋を強化することが必要なのだろうと思います。実際に触れてみると、他の筋肉もかなり疲労していることだとは思います。

 年末年始はケガやちょっとした事故で電話をいただくことがよくあります。病院へ行っても湿布や痛み止めが処方されるだけのことが多いからかもしれません。

 指圧やマッサージは確かに誘導作用でケガや打撲の治癒を速めますが、ケガをしないことが第一です。そして安静にして痛みが治まっていくようなら、まずは安静です。安定のある椅子の上で大掃除をするとしても、アスリートのように天井を見ながら回ってはいけません。

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2006年12月29日 (金)

クジラ座 61386ナミコシ

 2000年に発見されたクジラ座の小惑星に浪越徳治郎先生の名前が付けられたそうです。発見者はスイスの方なのですが、スイス指圧協会もあるので、その功績が認められての命名のようです。

 『浪越指圧セラピーの創始者』として、海外での貢献度、知名度は、天命を全うした後もいまだ衰えずということです。

 西洋占星術や易学と、タッチセラピーや指圧の原点は深く関わっているので、セラピストの名前が星になるというのは嬉しいことだと思います。

 触圧刺激(タッチ)は時々言葉で表すことのできないものに届くことがあります。届くはずのないものに届くというような感覚です。ガラスの水槽を手が突き抜けるマジックのような…。

 “サプライズがあって感動があって日常ではない”、その感覚がタッチを追及していけば何度も訪れます。

 徳治郎先生もいろいろな不思議な感覚を経験されたことでしょう。海外での指圧の普及を考えると、外国の方のほうがその神秘的な感覚に渇望し、素直に受け入れる器を備えているのかもしれません。

 星に名前のついたセラピストというのは稀有のことでしょう。いつまでも“信じられる大人”でいてくれます。

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2006年12月28日 (木)

ヒップアップ・後ろへの意識

 ヒップアップするには大殿筋の作用である大腿の後方挙上をすることです。日常生活では、歩行の際に歩幅を大きくとって爪先でしっかりと蹴る意識を持つことでヒップアップされます。

 病気などで歩く習慣をやめてしまった方の体は、途端にお尻がたれてくるのでわかります。

 歩いていても歩幅が狭かったり、後ろへの意識がないとヒップアップにはなりません。

 短距離走の陸上選手は、歩幅が大きく、爪先で強く蹴る動作を速く繰り返すので、大殿筋が発達し、見事にヒップアップされています。

 フィギアスケートの選手やバレリーナのように、足を後方に蹴り上げるようにして高く静止させることができればヒップアップされるはずですが、これは一般人は真似しないほうが賢明です。

 後ろへの意識を持つ簡単な方法は“後ろへ歩くこと”です。後ろへ歩くためには大腿を後ろへ引くことになります。後ろを意識する運動としては背泳ぎもあります。

 後ろを意識できるようになったら、歩幅を大きくとって、大地をしっかりと爪先で蹴って前へ歩くことが自然です。骨盤まで前に出して、踵が着地する側の肩を後ろに引き、体のねじれをつくることで全身的なストレッチにもなります。

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2006年12月27日 (水)

肘枕で小顔をつくり胃の働きを整える

 肘をデスクなどについて肘枕をします。この時に下顎のラインに母指を沿わせて手根部に顎をのせ、四指を揃えて頬骨にあてるようにします。

 四指の指紋部を皮膚の表面に密着させたまま下顎骨上部まで引いてから、四指の指紋部でフェースラインを押し上げるのですが、頭を肘枕をしている肩の方向に傾けていくことで徐々に中手指関節を伸ばしていきます(この時指節間関節は伸びていて、指紋部で頬をつまみ下げた状態から始まります)。曲げた四指を伸ばす力に頼るのではありません。

 頭の重さ利用してフェースラインをシャープにし、小顔を作ることができます。

 母指を沿わせる下顎骨と四指をあてる頬骨の周囲には胃経のツボがあります。肘枕をして背屈させている手首を少し起こす(掌屈させる)ことで、下顎骨に母指圧がかかり胃経のツボを刺激して胃の働きを調整できると考えられます。

 また、四指の指紋部を頬骨にあてたまま頭を傾けると、頭の重さで胃経のツボを刺激をすることができます。

 手根部中央には心臓を補佐する心包経が通るので、顎で肘頭に向けて圧し込むように圧をかければ心臓の働きを調整することができると考えられます。

 安定した圧を得る感覚は肘枕からでも何通りも学べます。指の力で圧してしまうとこの感覚は得られません。

 肘枕ひとつをとっても効果的な刺激は工夫できるのです。

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2006年12月26日 (火)

疲れない秘訣・背中を軽く反らせる意識を持つ

 疲れにくい体であるためには、胸郭を開いて深い呼吸をするほうが有利です。細胞の作り出すエネルギーは、酸素供給のもとでは38ATPですが、解糖のみでは2ATPしか作れないことからも呼吸が重要であることがわかります。

 胸郭を開くには、背柱起立筋を使って背中を軽く反らせる意識を持つ必要があります。

 背筋を伸ばすと女性にとってはバストが豊かになるという効果があります。ストレスを溜めて下を向いて生活をしている猫背の女性のバストは、背中に移動しています。

 どんな美容法より、まず背中を軽く反らせる意識を持つと“CUTE”な姿勢になります。

 セラピストが施術をする時も、猫背にならないように背中を軽く反らせる意識を持ってタッチをしていくと、体重移動の動線に無駄がなくなって疲れにくくなります。

 “元気”で“前向き”な雰囲気があれば年齢に関係なく“CUTE”です。

 夏のつま恋のコンサートで吉田拓郎さんとデュエットした中島みゆきさんが退場する時に、軽く背中を反らして手を上げて観衆に応えたのはとても“CUTE”でした。

 少し恥ずかしいような気持ちも持ちながら、頑張ってやってみる状態は“CUTE”です。

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2006年12月25日 (月)

“二の腕がたるむと便秘になる”

 “二の腕がたるむと便秘になる”という仮説を立てて、東洋医学的に論証してみたいと思います。

 “二の腕”つまり上腕三頭筋の周囲がたるむということは、その働きである肘を伸ばすという動作がしっかりと行われていないということです。

 東洋医学で経絡を考える場合、四足歩行の姿勢に戻る必要があります。指先を前に向けて四つん這いになると上肢の外側は当然外側にあります。ここには橈側に大腸経、中央に三焦経、尺側に小腸経があります。

 日に当たる上肢の外側は消化吸収を司る経絡が並び、これらは“陽”の経絡です。

 四つん這いで膝をついて、肘をしっかりと伸展させて歩くと、下腹部の内臓を刺激することがわかります。

 二足歩行では肘をしっかりと伸ばさなくても歩くことができるし、デスクワークや家事の時にも肘を軽く曲げたままのほうが生活しやすくなっています。椅子に座ってパソコンの前にいれば大腸経への刺激はほとんどありません。

 よって、大腸経が刺激されなければ二の腕がたるみ、“二の腕がたるむと便秘になる”という説が証明されます。このことから、肘をしっかりと伸ばして歩くと消化・吸収・排泄といった一連の流れが促進され、二の腕のたるみは解消されるのがわかります。

 (三焦経は消化器官を補助するだけでなく水の流れに関与する、現在でいえば泌尿器系の役割も担っていると考えられていました。)

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2006年12月24日 (日)

前腕を回内させて圧す感覚

 自分が思っている以上にクライアントを強く圧している場合があることを知るために、自分の前腕の向きを固定して上から圧しこんだ時と、回内しながら圧した時の感覚の違いを試してみます。

 前腕内側の中央に母指の先端を肘窩に向けて置きます。四指の指紋部は前腕外側に密着させて、手首を尺屈させる(母指の中手指節関節は肘窩の方向に動き、四指の中手指節関節は手首の方向に動きます)ことによって、栓抜きの要領で圧します。

 肘を側腹部に固定して手首の動きだけで圧しても、かなりの圧がかかると思います。母指の力で圧したり、クライアントの皮膚や筋線維をねじってしまっていれば更に痛くなります。

 一方同じ構えから、バイクのスロットルを絞るように手首を背屈すると同時に、前腕を回内させながら圧せば、皮膚の表面に対する密着感が増して自然な漸増漸減圧が得られます。

 自分の圧刺激に常に疑問を持つことがなければ、適量刺激に近づくことはできません。“思ったよりも弱く”、“ものたりないくらい”、というのが適量に近い刺激です。その上自分もクライアントも毎回身体的条件が違うので定量はありません。

 答えはないのです。だから自分の体を使って痛くない刺激を研究する必要があります。利き手が右手の人が工夫の利かない左手のタッチを褒められることはよくあると思います。小細工ができないほうが無駄な力が入らず素直な刺激になることがあります。

 

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2006年12月23日 (土)

寝ている間に修復される傷

 一週間程前には風邪が治りかけの人を指圧した後に肝臓が腫れてくる感覚があったり、この2、3日は左の頚椎の上部が少しずれているような感覚がありました。初めてのことです。

 しかし今朝は特に何事もなく、ストレッチをしても違和感がありません。そういうことは毎日起きていて意識に上らない場合も多いのだと思います。

 イメージでは寝ている間にたくさんの小人が動き回って治しています。それが免疫のシステムであったり、もしかしたら自分の手を使って治していることもあると思います。

 休養は、とても良く効く薬です。痛めつけられてきた人ほど、いろいろな治療を試し、走り回って治そうとする傾向にあるように感じます。

 先日、ギックリ腰になった方が都内まで“気を入れる先生”のところに行った後に、指圧に来られました。たぶん、“気”だけでは良くならなかったのでしょう。実際、急性腰痛の症状はしっかりと残っていました。

 “気の先生”の所在も私の指圧も知っているネットワーク力が凄いと思うのですが、痛みの強い腰痛の時に車を運転して動き回るべきではありません。

 指圧の後に、腰の痛みがやわらいで動けるようになったので、ウォーキングを勧めました。5日後にもう一度指圧に来られた時には、ほとんど問題のない状態に回復していました。

 これを“気”で回復したとするのならばとても残念です。遅効性の“気”というのもあると言い張られればそうなのかと思うしかありません。その方にしてみると私も“気を出す人”なので、治りさえすれば何でもいいのかもしれません。

 でもまずは安静です。休養(睡眠)と栄養は魔法のように効く薬です。“気やすめ”や“気まぐれ”をあてにするよりは(エンターテイメントとしてお金を払う価値があれば別ですが)、体には優秀なメンテナンスの達人の小人がとてもたくさん潜んでいます。

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2006年12月22日 (金)

コインマジックの手・チョッパーベースの指

 掌にコインを貼り付けたように隠すコインマジックの手は、指圧の構えに似ています。マッリクさんの中手指節関節は突き出ていますが、四指は伸びています。きっと指先の感覚が訓練されていて、指圧がお上手だと思います。

 掌にコインを隠すと掌の屈筋を使うことになります。マリックさんの掌の筋肉は相当鍛えられていると思います。

 指圧の手も、掌の屈筋と指を伸ばす伸筋を同時に使い、安定感のある構えである必要があります。指圧の構えが今ひとつ呑み込めないという場合は、コインを掌に隠すコインマジックの練習をしてみるといいかもしれません。

 叩打法の感覚はチョッパーベース奏法(スラップ奏法)やピッチカート奏法から学ぶこともできます。指を弦にぶつけるだけではなく、ぶつけて引き離すことで音を出しています。

 例えば手拳叩打も、肩にあてて引き離すまでが1回です。そのほうがあてただけより痛くなく、軽く高い音がします。

 “使えるテクニック”や理論は他の分野でも実践されていることがわかります。手を使うプロフェッショナルがたどりつくタッチは似ています。

 (今日は冬至なので柚子風呂とかぼちゃの日です。ビタミンCとビタミンAで体を寒さから護れという先人の教えだと思い、そのとおり実行したいと思います。)

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2006年12月21日 (木)

もっと少ない量の献血も受け入れては…

 “献血のお願いはがき”をいただいたので、献血をしてきました。血液のサラサラ感と、成分比率のバランスの良さは自慢なので、どうかどなたかをとても健康にしてほしいと思います。

 クリスマスの頃に献血を続けてきて、今回は記念品の盃と感謝状をいただきました。感謝状はともかく盃はいらないかなと思います。そういうものにお金をかけるなら、経費はかかっても100ml単位の献血を受け入れるようにしたほうがいいと思います。

 現在200mlと400mlと成分献血という献血の種類があります。いつも400ml献血をするのですが、これだと軽い立ちくらみ感が襲ってくることがあります。

 献血のあとに指圧をすると、少し浮遊感があって体調が万全でないような申し訳ない感じがあります。その後4ヶ月献血はできないという事実からみても、健康体であっても体への負担はあると思います。

 200mlは自信がないけど、100mlなら、50mlなら献血をしてもいいという人はいるのではないでしょうか。臍帯血まで現在の医療では利用しています。

 献血センターの前では常に血液の不足が叫ばれています。TV付きの献血台やドリンクサービスなどは充実しているのですが、盃の記念品よりは少量献血の経費にお金を使っていただきたいとに思いました。

 (献血トレーサビリティができて、私の血が誰かをとても健康にすることができたとしたら、匿名でいいからその噂話でも知らせて欲しいと思います。)

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2006年12月20日 (水)

予知したように事故を目撃したこと

 昨日車で大型トラックの後ろを走っていて、『軽自動車がトラックとぶつかって潰れてしまった写真』が頭に浮かびました。そのイメージから航空母艦に自爆攻撃をする特攻のことも頭をよぎりました。

 前のトラックが左折していなくなった次のT字路で、タクシーの側面にバイクがぶつかるのを目撃しました。タクシーは発進しようとしたバイクにクラクションを鳴らしましたが、バイクは衝突し、乗っていた男性は転倒しました。

 信号のないT字路で、タクシーは優先道路にあり、バイクは交通の隙間を見て発進しなければいけません。幸い双方ともスピードが出ていなかったので、バイクの男性はすぐに起き上がることができました。タクシーの運転手が車から降り、通行人もたくさんいたので、私はその場を後にしました。

 予知ではなく、“気配”とでもいうのでしょうか。その場の状況に気を配っていると、指圧をしていても浮かびあがってくるものがあります。年末の慌ただしさが道路にまで溢れていて、バイクの男性は“魔がさした”ようにタクシーの側面に吸い込まれていきました。

 ありそうなことがあり、起こりそうなことが起こるのです。夕方、そろそろ献血をしておこうかなと思っていたところ、ポストには“献血のお願い”のはがきが献血センターから来ていました。

 ありそうなことがあり、起こりそうなことが起こるのです。できるだけ明るいイメージを描くようにしたいと思います。マイナスなイメージが現実に起きてしまうと、とても気持ちが悪いものです。

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2006年12月19日 (火)

健康と五味のバランス

 東洋医学では『 酸・苦・甘・辛・鹹(カン=塩辛い)』の五味が『肝・心・脾・肺・腎』の五臓や『胆・小腸・胃・大腸・膀胱』の五腑と相関して、それぞれの味を適量に摂取すると、その対応する臓腑を栄養するとされています。

 しかしその栄養する『味』を摂り過ぎると、対応する臓腑を傷つけます。つまり『酸味』を適量摂れば『肝・胆』の栄養になり、摂り過ぎれば肝臓や胆嚢の病気になります。

 薬は毒にもなり、毒は薬にもなるということです。東洋医学ではこの五つの味をバランスよく摂り込むことを良しとします。

 アーユルヴェーダのヴァータ(痩せ)・ピッタ(中間)・カパ(肥満)という体質も、ひとつの体質に留まらず一日のうちで変化するとされているように、東洋的な考え方では、ひとつに固執することを良しとしていません。

 0.9%の塩分濃度の均衡を保ちながら腎臓は活動しますが、腎臓病になれば減塩生活をしなければいけません。かつて味覚は体に必要な塩味や甘味を摂り入れ、酸味・苦味・辛味から腐敗や毒を見分けるために使われてきました。

 現在、腐敗や毒を見分ける感覚としての味覚を使っている人はほとんどいないと思います。そして五味をバランス良く適量摂るという食養生を聞くこともほとんどありません。

 コーヒーでは、酸味と苦味のバランスをとったブレンドが主流です(昔はブルーマウンテンに近づけていくなどということがありましたが…)。これは五味のバランスをとろうとする人間に備わった本能による嗜好なのかもしれません。

 冬に風邪をひかないためには体を温める食材を摂るということは広く知られるようになりました。それに加えて、五味をバランス良く摂るという東洋医学的な考え方も実践してみる価値は大いにあると思います。

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2006年12月18日 (月)

施術後の立ちくらみに注意する

 風邪で長く床に臥せていた体には、腰痛や肩こりなどの筋肉痛と下肢のむくみが現れることがあります。

 指圧やマッサージは筋肉痛やむくみを緩和するとともに、血管を拡張して血圧を下げます。頭がのぼせ、足がむくむといった血液の循環を改善すると、施術後の立ちくらみを起こすことがあると考えていなければいけません。

 立ち上がる時には重力がかかり、血管にはストレスになります。健康な体は自律神経や三半規管による調節によってバランスが保たれているのですが、長く床に臥せていた病み上がりの体にはこれが難しいのです。

 クライアントからしばらく風邪で寝込んでいたというような状況を聞いたら、強い刺激をしない、長時間の施術をしないという配慮が必要です。

 施術が終わったら、背中を支えてゆっくりと上体を起こしてもらい、頚部の持続的圧迫(この場合はやや強くても理にかなっています)や軽いリズミカルな叩打で血管を収縮させ、“血圧を上げる”ようにします。いきなり立ち上がらせて、それを遠くから眺めているようではいけません。

 ノロウイルスの流行もあり、先週は風邪を引いていたという方が何人か指圧にいらっしゃいました。そのうち一人の方が施術後に立ちくらみを起こしたという反省をふまえて、もっと弱く、もっと短くという気持ちが病み上がりの方の施術には必要です。

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2006年12月17日 (日)

急性腰痛では広範囲に傷ついていると考えて施術する

 ギックリ腰の場合、その一撃が腰から背中、臀部、下肢、腹部へと広範囲に傷つけていると考えて、“恐るおそる”施術をする必要があります。

 発症後3日は安静にしてもらい、その後に施術をすることになったとします。仰臥位で下肢を伸展挙上する場合でも徐々に持ち上げて、痛みが出る手前で止める気持ちが必要です。

 押圧する際も、手掌や指先を使って痛みがある部位を特定してから、その中心を避けて、軽い圧で筋肉の相対的な伸展を目標とします。施術開始前より少しでもストレッチできればいいと考えます。

 内臓痛の皮膚分節部位の痛みは、内臓の張りとして現れることがあります。例えば右第9胸椎付近まで痛みのある腰痛では、右上腹部の肝臓の硬さとして症状が現れることがあります。

 ギックリ腰のような深部痛では、内臓痛と同じような放散痛があります。腰背部の激しく痛む部位を圧しこんで症状が緩和するということはまずありません。この放散痛のある部位、例えば肝臓を持続的に掌圧することのほうが痛みを緩和する近道になります。

 またこの時に、肝の影響を受けやすい右肩上部、目の周囲、下肢内側、第一趾爪根部内側から足首に向かうその線上の部位などに注目してみると、腰痛が緩和することがあります。経絡の知識がなくても、指で硬結を探してその部位を緩めることができれば放散痛の緩和による施術はできると思います。

 してはいけないことは、自分のペースで思い切って引っ張ったり、無造作にクライアントの手、足を持ち上げたり、置いてしまったり、自分のマニュアルの圧し方をしてしまうことです。

 急性腰痛では想像以上に広範囲に傷ついています。“恐るおそる”弱い力から施術し、狭い可動範囲からストレッチを加えていける施術者がもっと増えてくれたらいいのですが…。

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2006年12月16日 (土)

腸骨の中を圧してみる

 自分のセルフメンテナンスとして、腸骨稜の内側に母指を入れて圧すこともできます。

 立位以外では難しいので、立って両肘を曲げて母指の先端を下に向けて、脇腹から斜め後ろの腸骨稜の内側に圧をかけます。

 この時に、両肘を体の中心に寄せてくることで母指に圧が入ります。上前腸骨棘から腸骨稜の頂上くらいまで圧すことができます。

 それより脊柱に近づくと腰方形筋に阻まれてしまいますが、腸骨筋の上端と腰方形筋の外側を圧すことができます。

 脇腹の脂肪が多いと圧しにくいかもしれません。また腹横筋を押し分けていくことも必要です。

 立位で力を抜いていないと圧せないので、腰痛のクライアントに試したことはないのですが、工夫次第では施術に応用できると思います。

 普段圧すことのない筋肉なので、あくまでもソフトなタッチで圧をかけます。疲れた腰の筋肉を緩めるひとつのポイントにはなると思います。

 もう少しで大腰筋に届きそうなことは、いつも残念に思います。しかし腸骨筋へのタッチは腸腰筋を形成する大腰筋へも影響を与えることになるのではないかと考えています。

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2006年12月15日 (金)

誕生日が決められてしまう出産

 帝王切開で出産をすることになった妊婦さんの話を聞きました。“正月休み明け”と手術の日は決まっているそうです。

 病院や医師の休みの都合があるのでしょうが、その坊やかお嬢ちゃんの誕生日は決められているのです。

 母体の安全を考えての選択とはいえ、少し納得のいかない感じもぬぐえません。産科医の過酷な勤務状態が報道されている今の出産事情では、自然分娩であっても陣痛促進剤を使用した出産の時間調整がされています。

 “正月休み明け”や“お盆休み明け”が誕生日という子供は、これから増える傾向にあるにあるように思います。

 正月休み明けに生まれたら星座は山羊座のはずですが、『どうも水瓶座の占いのほうが当たっているような気がする』という子供が多くなるのかもしれません。

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2006年12月14日 (木)

自分の背中に拳を入れて体重で圧してみる

 伏臥位になり両膝を曲げ、両方の拳を背中にねじこんで、自分の体重で脊柱起立筋を圧してみます。この時に母指は四指で包まないようにします。

 中手指節関節を中心にあてるようにし、拳の力は使いません。両膝を左右にゆっくりと倒すことで圧の加減を調整することができます。肩甲下部から腰部、臀部、骨盤周囲の筋肉をほぐすことができます。

 基本的に指圧では肘や手拳や指の関節を使うことはないのですが、背中や腰のセルフメンテナンスとして、自分の圧加減を再確認する方法として、この方法を時々やっています。

 腰を痛めた時に珍しくチェーン展開をしている整体を受けてみたのですが(受け手になると不満を感じることが多く、性質の悪い客だと自覚しているので、滅多に施術を受ける気にはならないのですが)、ごく軽い柔捏だったのに後で余計に痛くなったことがありました。その時は肩の回旋筋を緩めないで大腿に前腕を挟んで肩関節を回旋されたので、腰まで響きました。

 そんな思いをしてみると、腰痛を緩和するためには相当の配慮が必要だなと実感します。痛みがあれば軽い刺激であっても揺さぶられるのはストレスになるのです。だから腰痛のクライアントの身になって自分の圧の加減(筋肉をねじらないことや衝撃的な刺激でないということ)を確認することは非常に重要です。

 甘手の指(関節が過伸展する)を持つ指圧師が関節で圧さないように指導されるように、指圧では関節で圧すことを良しとしていません。何故ならばその刺激は痛いからです。

 中国式の足裏マッサージのように曲げた指節間関節で圧す手技と、指圧とでは刺激に対する姿勢が違います。だから指圧は症状をよく緩和することができるのかと、その整体の後に、口直しのようなセルフメンテナンスをして実際に痛みをかなり取り去ったのでした。(じゃあ、始めから来るなときっと思われてしまいますね。すみません。)

 

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2006年12月13日 (水)

広げたタオルを四指で母指に近づけてくる

 指圧の指の構えを練習する時に、タオルやティッシュを床や机の上に広げておくとわかりやすいかもしれません。

 母指は指紋部をタオルの1点に密着させておき、四指は揃えてタオルの上に伸ばします。四指の指紋部でタオルをとらえ、手前に少し引き寄せます。

 この時に中手指節関節(指の付け根)が突き出し、手首が持ち上がっていきます。タオルを摘み上げる感覚で2~3cm引き寄せます。

 母指の指紋部は基点として動かさず(中手指節関節は突き出す)この時に肘を伸展してマットでは後ろ膝、ベッドでは後ろ足の体重を母指にかけていきます。

 指圧では微圧から強圧までを体重移動だけで使い分けるので、どの位置でも静止、持続できる体の安定が必要です。

 そして圧す時には、必ず息を吐いています。施術者が押圧時に息を吐き、被術者にも息を吐かせる、その呼吸の同調が共感できる施術を生み出します。

 つまり施術者は健康な呼吸をしていなければいけない。健康である努力、良い姿勢を作る努力を惜しんではいけないのです。それは難しい事ではなく、とても気持ちがいいことです。

 気持ちがいい方へ、気持ちがいい方へ、施術者から滲み出す精神性があってこそクライアントを癒すことができるのではないかと思います。

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2006年12月12日 (火)

後ろに体重をあずけて圧すこともできる

 指圧では、施術者が自分の体幹よりも前に母指を置いて圧すことがほとんどですが、体側で、あるいは体の後ろで圧すことも可能です。

 “皮膚の表面に対して垂直に圧をかける”という母指の置き方と体重移動を理解するために、第5腰椎と仙骨の際の脊柱起立筋を後ろに体重をあずけて圧してみると、感覚がつかみやすい人がいると思います。

 スタンスは肩甲下部の脊柱起立筋を圧す時のままか、やや前にとり、上肢を後方伸展し体側よりもやや後ろで、母指の先端を被術者の頭部に向けたまま第5腰椎傍線の脊柱起立筋にソフトに密着させます。

 四指は足先の方向を向きますが、鉄棒を逆手で握り、鉄棒上で下肢伸展挙上する感覚です。お尻の後ろに手をついてベッドから起き上がる時にもこのプッシュアップの感覚はあると思います。

 第5腰椎から臀部にかけて上り坂のカーブが始まるので、この逆手の母指の指紋部は、皮膚の表面に密着しやすくなり、肘を伸展すると母指に体重移動されることになります。

 左腰部の施術では右母指で圧すことになり、この感覚がわかれば、体をねじって、左母指を軽く添えて重ね母指として、肩甲下部からの連続的な施術が可能になります。

 肩より前にスタンスをとれば、同様なカーブを持つ肩甲間部1~2点目の指圧にも応用できます。

 自分の体幹より前に母指を置いた場合の体重移動ができていない人をよく見かけます。深部に届くタッチを自分のものにする方法として、後ろへの体重移動を練習してみるといいと思います。

 

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2006年12月11日 (月)

タンジェリン色の落葉の中…

 “タンジェリン色の落葉の渦に入り パレード気分にさせられている”

 車で走っていると、とても大きな木から、空の青を背景に、濃い蜜柑色をした落葉の大群が回転しながら渦を巻いて、風に流されてきました。

 その木の傍らでは、老婦人が腰を曲げて道祖神の周りの草を刈っています。ミレーの描いた『落穂拾い』のような光景です。

 自然の力を前にしては、「私はさほどの者ではありません」と謙虚になることも許されず、偶然パレードの後ろについて不相応な紙吹雪を浴びせられているような気持ちになりました。

 しばらく行くと生産調整のために潰された白菜の畑がありました。刈り取りの際に畑に残った麦を集める“落穂拾い”と、食料自給率40%のこの国で破棄された野菜では、全く逆の光景です。

 美しい自然に出会い、感動することはたくさんあります。そこから力をもらい、気分を変えて、また日常に帰っていくことができます。そしていくつかの残念な現実も教えられます。

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2006年12月10日 (日)

手の重さだけで圧す感覚

 仰臥位で上腕をマット(ベッド)につけて、両手掌を重ねて腹部に置きます。この位置は上腹部でも臍の上でも下腹部でもかまいません。

 肘から上の前腕と手掌の重さがおなかにかかっているのを意識(確認)します。そのまま呼気の時におなかをへこませて、吸気の時におなかを突き出す腹式呼吸をします。押圧しなくても手掌が腹圧を増強していることがわかると思います。

 しばらく続けていると、胃腸に動きが起こってきます。胃腸は副交感神経性なので、手指で意識的に刺激をしないことで、動きを活発にすることができます。

 この感覚を持つことができると、タッチの幅と、それで緩和できる適応症状が格段に広がります。

 たとえば、明らかに筋力の弱い脊柱管狭窄症の女性では、腹筋が弱いために腹圧がかからず、背中側から神経が押されて痛みが発生しています。腹筋運動を提案しても続かなかったり、現実的に腹筋が鍛えられないという状況は多々あります。 

 まず腹圧がかかった状態というのを覚えてもらうためには、手掌の重さで腹圧をかけるこの方法が効果的ですし、実際に腰椎の前弯を矯正できるタッチでもあります。

 セラピストは弱い人の視線に立って施術を組み立てたほうが良いわけで、自分ができることを体の不調を抱えた人ができるなどと思い込んでいては何も改善することはできません。弱いタッチを持続させると素晴らしい効果があるということを、自分の感覚として是非とも手に入れてほしいと思います。

 程好い範囲の“のりしろ”を残した施術をすれば、クライアントは楽に“封筒”を仕上げることができます。のりしろが小さすぎると貼りにくく、のろしろが大きすぎれば施術が足りないのです。

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2006年12月 9日 (土)

指圧は“栓抜き”のイメージで

 栓抜きは先端を瓶のフタの中心にあて、円形の下部で王冠のギザギザを引っ掛けて、てこの力を利用して栓を抜きます。

 この時の栓抜きの先端が母指、その下部が四指です。母指を脊柱と平行に使う、横臥位の肩甲間部の指圧を例にするとわかりやすいと思います。

 左半身が上の左横臥位であるとします。マットでの肩甲間部の施術では、施術者は被術者の背部に正座します。この時に膝を開いたほうが体重移動が安定します。

 右母指を肩甲間部の左脊柱起立筋に静かに密着させ、肩上部僧帽筋を右四指で引っ掛けて手前に引くようにし、手首に斜め上方向の力が入ることで、対立位置にある右母指に垂直圧がかかります。

 この時に、両膝(ベッドの施術では足)にある体重を、伸ばした肘から母指へ伝えます。おなかを突き出すようにすることで、背中が反って肘を伸ばすことが容易になります。

 左半身が上の左横臥位では、押圧する右母指に左母指を重ねますが、重ね母指は一点圧に体重移動を集約するための構えであり、構えの安定以外の力は必要ありません。

 胸椎は後弯しているので第1胸椎と第5胸椎の位置では右四指の僧帽筋のとらえ方と手首の形が違ってきます。これは大変難しく、それぞれが工夫して自分に合った形を完成させるしかないと思います。ただし、右母指の指紋部はいつも皮膚の表面に対して垂直に密着していくというのが大原則です。

 筋肉を圧せば圧迫法ではありますが、それだけでは指圧ではありません。離れた位置からスタンプを押すような圧し方は、圧迫法であっても気持ちのいい刺激にはなり得ません。

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2006年12月 8日 (金)

施術の部位による緩急

 私は伏臥位の指圧の最後に、膝を曲げて足の両側を両手掌で挟んで上下にリズミカルに動かす“足のコンディショニング”をしています。

 これを気持ちがいいという方が多いのは、足の内反・外反方向へのストレッチを意識したことがない人が多いということだと思います。

 また、仰臥位で足指を手掌で包み、足関節を背屈・底屈にリズミカルに動かす足の関節運動も気持ちがいいという方が多くいます。この時の振動は脊柱から頭部まで、全身に伝えることができます。

 筋肉や体の部位で薄い部分や小さい部分は、弱い刺激や短い刺激やリズミカルな刺激が適していることが多いように思います。

 全身性の施術を通してみると、末梢の刺激に時間をかけ過ぎるのは不自然です。

 f分の1のゆらぎというのは、デトックスの面からは安定した深い呼気を中心としますが、そのリズムを破る緩急の存在が場面転換を可能にし、施術をドラマにすることができると感じています。

 一方的に自分のリズムを押し売りしないことは、もう一歩上をいく施術を目指すなら必要になってきます。人間の体を中心に組み立てた施術であれば、能でいう『序破急』の展開に自然となっているものではないかと思います。

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2006年12月 7日 (木)

腰痛の原因は様々であっても施術は本質的に変えなくてよい。

腰痛の痛みは、左右両側が痛む場合、片側が痛む場合、伏臥位がとれない場合、起き上がる時に痛む場合、下肢まで痛む場合などいろいろなケースがあります。

体幹の前屈痛は椎間板ヘルニア、後屈痛は脊柱管狭窄症と大まかには分けられたとしても、複合的な症例のほうが多いように思います。腰痛の施術は、『患部の痛みを出さないために無理な使い方をして緊張させている部位を緩める』ことが、最も安全で効果的ではないでしょうか。患部をかばって緊張している筋肉というのは椎間板ヘルニアでも、脊柱管狭窄症でもあまり違いはありません。

痛みの発生源には気持ちのいい刺激までにとどめ、むしろその周辺部位を緩めることを目的に施術をします。可動範囲が1ミリ増えれば良いという施術姿勢が長期的には症状の緩和につながります。

長年蓄積した加齢的変化に対してもし“一発”で治すことができたとすれば、それは偶然適量刺激を得たか、一時的な緩和に過ぎないと思います。

体は恒常性を保とうとして、長年培ってきた加齢的退行変化に戻ろうとするはずです。

では、どのように施術を続けていけばよいのか。手技療法というのは時間のかかる対話です。日常生活や生活習慣から思わず拾い上げたことがらの中に、クライアントが続けられる改善策や効果的なストレッチ法が見つかることがあります。施術は無理のない範囲で気持ちよく緊張を緩め、伸ばせるところは伸ばし、冷えた部分には血が通うようにするという姿勢でよいと思います。

このスタンスをとれば、必然的に長く付き合っていただくことになります。

では長く付き合っていただくためにはどうすればいいか。それはセラピストのパーソナリティを好きになっていただくことだと思います。成りたい自分の理想像に近づくように努力するしかないと思っています。

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2006年12月 5日 (火)

第5腰椎の前方へのすべりを疑う症例

 40台女性、一週間前のバス旅行後発症の急性腰痛で、立位で後屈時の痛みがあります。起き上がる時やトイレの動作で痛みを伴います。

 このケースでは下部腰椎、特に第5腰椎の前方すべりを疑いました。

 頚が肩よりも前にあり、右肩の固定が不安定で脱臼をしたことがあるそうです。

 仰臥位で膝を曲げると痛みが出ます。椎間板ヘルニアや一般的な急性腰痛では膝を曲げて腰椎の前弯を矯正したほうが楽なはずです。下肢伸展挙上テストでも痛みはありません。椎間板ヘルニアの可能性は除外してよいと思います。

 腹部を手掌圧していくと、下腹部に強い抵抗があります。下部腰椎が前にすべるのを必死に食い止めているような感じです。

 右脊柱起立筋が第7胸椎から第1腰椎の位置で外側にカーブを描く形で突出しています。この部位の肉離れがあるかもしれません。

 右中殿筋上殿神経圧迫(浪越圧点)で右下腿前側に痛みが走ります。第4腰椎までの上部腰椎の影響もあります。

 全身の指圧を終え、いくつかのストレッチをしたところ、最後に残ったのは立位で後屈する時の軽い痛みと腰を左右に回旋する時の仙腸関節上部の痛みです。

 バス旅行の長い着座姿勢が第5腰椎と仙腸関節のズレを生じさせ、脊髄神経の中心を圧迫し、その影響で脊柱が広範囲に固まってしまったというのがこの腰痛の正体のようです。

 腰に手をあてて仙腸関節の圧痛点を母指で圧しながら、腰の回旋運動をしばらく続けていくことで痛みはとれてくるでしょう。全体的に筋力も衰えているので、プールでもウォーキングでも、もう始めたほうがいいでしょうと申し上げて施術を終えました。

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2006年12月 4日 (月)

ダンボールネズミ

 おばあさまからいただいたトマトには、ピンポン球くらいのかじりあとがありました。キッチンのお皿の周りには、黒い米粒くらいのネズミの糞が落ちています。きっとネズミがトマトと一緒におばあさまのレジ袋で運ばれてきたのです。

 これはたいへんと、ネズミ捕りの粘着シートを買ってきてしかけました。冷蔵庫のウラに潜んでいる気配がプンプンとします。

 翌朝、粘着シートにネズミがかかっていました。体長20cmのクマネズミでした。

その日はお盆でお寺へ行く朝でもあり、処分に困って雨の降る庭の片隅に放りだしておきました。お隣の猫かカラスでも来て、持っていってくれないだろうかと思いました。

ネズミは右半身を粘着シートに貼り付けたまま、切ない瞳でいつまでも逃れようと必死です。『でも君とは一緒に住めないよ…』

どうしたものかと思いながら、お寺の法要に出かけ、お塔婆をもらって帰ってみると、粘着シートのネズミは姿を消していました。

半身を厚紙の粘着シートで覆った“ダンボールネズミ”として、お向かいのトウモロコシ畑で生きていると思いたいのですが、ダンボールネズミはあの夏の日から私の心に住みついたのです。『でもいきなり君と会うのはごめんだな…』

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2006年12月 3日 (日)

靴の脱ぎ方で体調の悪さを感じたこと

 左の靴は玄関を入って爪先が垂直に、右の靴は90°横を向いていました。目や鼻の周囲の皮膚が乾燥して落屑し、その男性はいつもより顔色が青茶色く見えました。

 霜が降りた朝だから、体も硬く、血液の循環も悪いようです。独特の雰囲気、臭い。病勢が体を圧倒し始めているように感じました。

 背中が円くなって、頚の付け根がこっています。いつもよりも弱い刺激をすることにします。『補の中でも一層の補の指圧』をイメージしました。

 一般的に軽擦は弱った体を補い、柔捏や圧迫はデトックス的な『瀉』の働きをします。

 しかし、指圧は体重移動だけで『補』から『瀉』までを自在に操る技術です。重ね母指圧の時の両四指の刺激は『補』です。そしてこの重ね母指を『補』の働きに使えてこその指圧師です。

 靴の脱ぎ方から右下肢の血行不良は予想されます。全身の弱った状態を補うように無理なく筋肉を緩めていきます。下肢の指圧後、右股関節の動きは思ったほど悪くありません。

 左右の下肢の長さも揃っています。指圧後いつものように『軽くなった』と言ってくださいます。ただこの寒さが体にストレートに影響しているのは、靴の脱ぎ方からでもわかります。そして持病もその影響を受けています。

 高齢者の方への施術は、いつも絶対ということはないと思っています。複雑な要素が絡み合って、結果オーライという気持ちでは済まされないことがあります。今日、明日、この冬何とか一緒に乗り切りましょう、そんな思いです。

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2006年12月 2日 (土)

受け方の上手なクライアントに助けられている

 毎回の施術は真剣勝負の試合のようなものです。こちらのパフォーマンスの満足度と、クライアントの満足度が違う場合もあり、思ったよりも結果が悪かったり、良かったりもします。ましてや外からの客観的な評価はとても難しいものがあります。

 ただ確実に言えることは、自分ひとりで闘っているわけではないということです。この手技にリピートしてくださる方は、共に試合を楽しみ、受け手としての技術が向上していくのがわかります。

 この雰囲気にリピートし、ここに流れる哲学にリピートし、そこにある科学にリピートしてくださっているように思います。

 受け手の上手さは施術の質を明らかに向上させます。何試合もラリーを繰り返し、間や呼吸や施術の意味合いを理解してくださっている方には頭が下がる思いがします。

 全体的には緩んでも、頚に変形がある場合にはその部位に硬さが残ることがよくあります。こちらが言い出す前に、「欲張って筋肉を痛めてしまうのもよくないから」と一昨日、昨日と二人の方から言われました。

 それがいい試合だったことがわかりました。

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2006年12月 1日 (金)

『防風痛聖散』を虚証の人がダイエットに使ってはいけない

 『防風通聖散』のTVCMが最近流れているので、誰にでも使える“痩せ薬”だと勘違いしている方が多いのかもしれません。

 昨日指圧にいらした女性は、『防風通聖散』を飲んだ後に、心臓がバクバクして汗がダラダラ出たがどうしてかと質問されました。

 『防風通聖散』は体力が充実した実証の人の瀉剤なので、高血圧や便秘を改善する生薬が配合されています。汗を出させる麻黄(マオウ)や緩下剤の大黄(ダイオウ)など、強く作用する生薬の影響が出たのだと思われます。

 この女性は、色白で水の代謝の悪い虚証なので、もしダイエットを考えるならば『防巳黄耆湯(ぼういおうぎとう)』を選択するのが一般的です。

 漢方薬はもちろんのことですが、東洋医学的なアプローチをする場合は、証の見立てが大変重要になります。

 実はこの薬を病院で処方してもらったと言うのです。確かに保険医療の枠では、肥満症という病名に対して薬の適応があれば東洋医学的な配慮がなくても投薬可能ではあるのです。

 患者と医師の信頼関係によっては、ある程度投薬に融通をつけてもらえる場合があるとは思います。この場合、患者本人が希望したのであれば、医師を責めるわけにもいきません。しかし、TVCMから安易なダイエット薬として誤使用されているケースがたくさんあるとすれば、心配です。

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