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2007年3月31日 (土)

要介護者の体が大きくなっている

 右腕が上がらなくなったヘルパーさんに指圧をしました。肩関節挙上の始動をするのは棘上筋と三角筋です。

 棘上筋も三角筋の後部も確かにこっています。ヘルパーさんは、ベッドから体を起こす時や歩ける方でもトイレに座る、立つ動作の介護で、腰を曲げて抱きかかえて肩関節を挙上します。

 最近、要介護の男性に大柄の方が増えたそうです。戦後食料事情が良くなった時代を過ごしてきた方が、そろそろ介護を必要とし始めたのです。

 体を密着させて腰を曲げ、要介護者を起こす動作は、腰と上肢帯の筋肉に負担がかかります。上手く自分の体重を利用することができれば、肩や腰の負担は減るのですが、武術と同じで本当に会得するまでには年月を要します。一日に何十回もその動作をするヘルパーさんは重労働です。大柄な方が増えたとなっては、疲労も大きくなります。

 腰もこっていました。右下肢は体重をかけるのでやはりこっていました。左下肢はむくんでいます。前頚部のこり、顔のむくみなど全身を指圧し、椅子に座ってもらって、両手首を持って上肢を挙上していきます。

 棘上筋の緊張はゆるめてあるので挙上の始動はよかったのですが、水平から上に行くところで痛みがあります。肩の筋肉を調べてみると三角筋中部に痛みがあります。

 肩が上がらない場合、肩甲骨周囲の筋肉に問題がある事が多く、猫背の場合でも鎖骨下筋や大胸筋の施術を重視して、三角筋の中部に注目しなければいけないケースはあまりないのです。

 大柄な要介護者が増えたので腕を巻き込んで肩関節を挙上していくという動作が三角筋中部のこりを作ったのだと思います。この硬さがとれると、上肢の挙上で痛みはなくなりました。

 「何日も腕が上がらなかったのに!」と喜んで肩をグルグルと回します。「そんなふうに回しちゃダメだよ。今まで肩が上がらなかったんだから、もっと大事にしなさい!」こんな言葉が思わず口に出たのは、後で考えてみると野球のピッチャーと同じだからです。

 投球数で疲労が大きくなる投手と同じで、介護の仕事も数が増えれば必ず肩や腰に負担がかかります。別の日に来た違うヘルパーさんの三角筋中部もやはり硬くなっていて、「最近大柄の方が増えて…」と同じ事を言っていました。

 健康で体格が良いのは結構な事ですが、病気となれば、メタボリックの弊害はこんなところにもありそうです。飽食と病気との関係は自分だけの問題ではなくなってきています。

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2007年3月30日 (金)

ウィンターグリーンとアスピリン喘息

 ウインターグリーンという精油は成分の99%がサリチル酸メチルなので、外用薬のサロメチールのような鎮痛効果があります。

 しかし『精油の安全性ガイド』(ロバート・ティセランド/トニー・バラッシュ著 高山林太郎訳 フレグランスジャーナル社)によると、「ウィンターグリーンをアロマテラピーで使用するべきではない」と書かれています。その理由はアスピリンの使用制限と同じです。

 アスピリンはサリチル酸メチルの胃腸障害の副作用を弱めて作られているにもかかわらず、なお胃腸障害を起こすことがあります。小児では使わないことになっており、大人でもアスピリン喘息を起こす体質の方がいます。

 イボやタコをとる外用薬にもサリチル酸メチルは使われているので、皮膚に使用する場合には注意が必要です。スポーツ選手にとってもサリチル酸メチルがドーピングの対象となる場合があります。

 そうなるとアロマセラピストがウィンターグリーンを使うには、“余程の適応がある場合に低濃度でも躊躇せざるを得ない”ということになり、やはり使わないほうが無難なのかなということになります。

 文献でウィンターグリーンを使用した施術例を読んで、整形外科レベルの治療には効果がありそうだと思っていました。生活の木の精油にはないので、サノフロール(フランス)のウィンターグリーンを購入してみたのですが、実際に使えるかどうかは、しばらく自分で試してみるしかありません。

 ウィンターグリーンは少しスモーキーな香りがあり、しばらくすると“サロメチール”を思い出させる香りに変わります。ティッシュに垂らして1日たってから皮膚に軽く触れただけでも、ペパーミントの数倍スースーする刺激を感じます。

 クライアントの中にはアスピリン喘息を持つ方が何人かいて、いつここへ来るかもしれないので、うかつに施術の芳香浴にも使うわけにはいきません。

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2007年3月29日 (木)

目の周囲の痙攣

 昨日、目の周囲が痙攣するという方に指圧をしました。顔面が不随意に痙攣する場合は神経が過緊張しています。これは主に頚の筋肉のこりによる血行不良が原因です。

 まずは頚の筋肉の緊張をやわらげて、姿勢を矯正し、患部には軽い刺激で施術をします。頚の姿勢が悪いと頚動脈が圧迫され、目に血液を送る内頚動脈から眼動脈の血流も悪くなり、眼精疲労も伴います。

 今まで施術した中には、心因性や原因不明で根本的な改善は難しいものもありましたが施術後に痙攣が治まるという指圧の効果は、全てのケースでみられました。

 また頚がこってくる、ストレスが溜まるという状態で痙攣は再発します。

 昨日は30代の男性で体格もよく、目の周囲の痙攣は軽い刺激の全身指圧後消失しました。

 体格がよく実証で、痛がり、くすぐったがりといった場合には『体をいじり過ぎないようにする』、何故ならば健康な体は自分で体を調整する力を持っているから、そんな事を再確認した施術でもありました。

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2007年3月28日 (水)

高い段差を下りて股関節痛

 縁側やテラスから庭に降りるような時、膝関節が伸びて踵から着地します。このような体制で股関節を傷め、指圧いらした方がいます。

 痛みは右大腿四頭筋の起始である右下前腸骨棘付近にあります。着地の時に右大腿四頭筋に力が入っていたことがわかります。

 特徴的なのは右大殿筋のむくみです。右足で着地し、右下肢伸展のまま下から衝撃が上に向かったはずです。股関節が上に突き上げられたようです。

 大殿筋の働きである大腿を後方挙上すると、下前腸骨棘付近の大腿四頭筋が伸展されて痛い状態にあると考えられます。無意識にその動きをしないようにしているために右臀部がむくんでいるようです。

 圧迫による痛みはないので、患部は軽圧で施術し、全身性にむくみを改善するように指圧をしました。ストレッチは右下肢では動きを小さくして行いました。

 下肢伸展のまま股関節に衝撃がかかり、臀部のむくみもあるので、患部には炎症があると考えました。無理に短い時間で改善しようとしないほうが良いと感じました。

 それでも施術後、右下肢長は伸びて痛みはほとんど感じなくなったということです。むくみも改善されました。骨盤ベルトをしたほうがいいかと聞かれましたが、骨盤を開く方向の衝撃がかかったわけではないので、直接的な効果はないだろうと申し上げました。

 右足、右手に冷えがあったのも股関節をかばうための循環不全によるものであったようです。マジョラム香りをアロマミストで拡散していたのですが、大変気にいっていただいて、「明日買う!」そうです。マジョラムの加温作用、鎮痛作用は施術の一部を担い、眠りを誘う効果もありました。

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2007年3月27日 (火)

大腰筋エクササイズ

 ステッパー(足踏み式運動器具)のテレビCMで「今話題の大腰筋」というフレーズが気になりました。それを言うならば「~エクササイズ」までつけないと意味がわかりません。

 さらに大腰筋(腸骨筋も含めて腸腰筋)の働きは大腿の前方挙上なので、ステッパーを踏み込んでから戻す時の負荷が強くないと、大腿四頭筋を鍛えるだけで終わってしまいます。競輪選手の大腿が自転車で鍛えられるようなものです。

 シェイプアップや健康維持に効果はあると思いますが、『このような器具を買いたいと思う購買層』の方で、これで大腰筋への期待通りの効果が出るのは非常に稀ではないかと思います。

 例えば固定されたシューズに足を入れて、大腿を上に持ち上げる時に負荷がかかるようにできれば、大腰筋を鍛えることができます。逆に漕ぐ方向に力のいるバイク(自転車)のようなものです。

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2007年3月26日 (月)

鼡径ヘルニア手術後の脇腹痛

 右踵の痛みが主訴の指圧中に、今の今まで寝ていた方が「圧されると右の脇腹が痛いのですが…」ということになりました。仰臥位で腹部の指圧というのは最後の手技です。

 まず考えられるのは、肝の“期門”や胆の“日月”などのツボに起こる内臓の反射です。手掌圧で肝の肥大に触れることもなく、側腹部中央が痛いということなので経絡で言えば胆経にあたる部位です。

 股関節が外旋し、ふくらはぎがむくむO脚タイプではあるので、下肢外側の胆経の経絡である腸脛靭帯(大腿筋膜張筋)は硬くなっていました。

 もうひとつ考えられるのは、胸椎傍線の脊柱起立筋が硬く緊張していたので、背部痛、腰痛の関連痛ではないかということです。右踵痛も腰背部痛の延長としての座骨神経痛と考えることができます。脇腹から腰方形筋をとらえて押圧してみたところ、それとは違う痛みだということです。

 そして「一月にヘルニアの手術をしたのですが、関係ありますかね?」とお話しになります。「ヘルニアはどこですか?」と聞くと右鼡径部を指します。

椎間板ヘルニアではないということです。鼡径ヘルニアから鼡径部をイメージすると、肋骨から起こり脇腹を下行する外腹斜筋の停止が鼡径靭帯と腸骨稜であることが思い出されます。また、その内側の内腹斜筋は鼡径靭帯、腸骨稜、胸腰筋膜に起始し腹直筋鞘に停止します。さらにその奥にある腹横筋も肋軟骨から鼡径靭帯までの脇腹から始まり腹直筋鞘に停止するので関係があるかもしれません。

このような考察があって、『右脇腹の痛みは、右鼡径部手術跡の腹斜筋、腹横筋を介した関連痛である』という結論に至りました。

なお、脇腹の胆経のツボ“京門”“帯脈”は、外腹斜筋、内腹斜筋上にあり、運動神経は肋間神経と腸骨下腹神経に(“京門”は腸骨鼡径神経にも)支配されています

施術後、右踵痛は消失し、背部の緊張も改善されました。右脇腹痛が手術跡の関連痛であれば、肋骨の下制(外腹斜筋)、体幹の回旋・側屈(内腹斜筋)、腹圧をかける(腹横筋)などの動作でしばらくそこに痛みが出ることはあると思います。次回来ていただいた時に、図解つきでじっくりと説明させていただきたいと思います。

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2007年3月25日 (日)

定年退職直前の体

 定年退職を4日後に控えた男性の体は、いつもより肩が軽く、背中の重荷がとれたような感触でした。

 縁があって、昨秋から週に一回指圧を続けてきました。その間無事にお勤めを続けるお役に立てたことは有難い事です。この方は慢性疾患によって意識不明になったことがあります。この冬は冷えに悩まされずにすんだということです。

   もう最後の週に仕事は無いのだそうです。『ただ座っておけ』と言われているそうです。ちょうど受験に合格して、あと何日かで卒業というような気持ちでしょうか。

 頚に触れた瞬間から上体のゆるみ具合が伝わってきました。『肩の荷が降りる』というのはこういうことなのでしょう。嘱託で同じ職場に何年か通うことも決まっていて、精神的な安心感も大きいようです。

 いつもと違う感じが素直に伝わってくるのは、この場を信頼していただいている証しでもあります。『浮世床』、『浮世風呂』など古典に描かれた庶民の裸の姿が、こうした指圧、古くは按摩の治療の現場でも、数多く語られてきたことを思います。

 上半身の軽さに比べると、下半身の詰まり感はこの持病の特徴でもあります。まだまだ施術は続けていくことになります。定年退職というひとつのゴール直前の一時的な体の軽さなのか、来週は体に変化があるのか、興味があるところです。

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2007年3月24日 (土)

僧帽筋の施術

 僧帽筋は上部、中部、下部とその働きが三つに分かれます。上部は肩甲骨と鎖骨を挙上し、中部は肩甲骨を脊柱の方向に引き、下部は肩甲骨を下げる働きをします。

 上部のいわゆる肩こりを感じる部位と、下部の僧帽筋は拮抗筋のような働きをします。

 上部僧帽筋のストレッチは、頚を側屈してから前屈し(右僧帽筋のストレッチでは頚が左斜め前に動きます)、肩関節を下げます。これにより肩上部僧帽筋は伸張しますが、下部僧帽筋は収縮します。

 下部僧帽筋のストレッチは肩関節を上げることなので、肩の上げ下げは上部と下部の僧帽筋のストレッチになります。

 下部僧帽筋を軽擦をする場合、肩甲下部で脊柱の際から肩関節に向かって斜め方向に刺激をすると、筋肉にストレッチをかけることになります。

 上部僧帽筋の軽擦は、後頚部から肩関節に向かって斜めに下行することが筋肉のストレッチになります。

 肩甲骨を脊柱に近づけることが僧帽筋の働きなので、脊柱と肩甲骨の間の間隔を拡げることが僧帽筋の緊張をゆるめることになります。

 これは求心性の手技では基本的な施術の方向性ですが、僧帽筋の働きとストレッチの方向を考えていくと、なるほどと納得することができます。

 肩こりの施術の場合、上部僧帽筋の意識はあっても、中部、下部までの意識は薄れがちです。僧帽筋はひとつの筋肉ですから、この中部、下部僧帽筋をゆるめると上部僧帽筋の緊張もゆるみやすいと考えることができると、難しい肩こりの症状に出会ったときのひとつの打開策になります。

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2007年3月23日 (金)

背中の痛みのアロマオイルマッサージ

 20代女性、昨晩は左背部痛で仰向けに寝られなかった。仕事でブライダルの衣装を扱うため高い所に背伸びをする事が多い。

 座位の触診では、左の脊柱起立筋が硬く、胸椎の後弯が増強し、腰椎の前弯が減弱している。左肩甲間部と左肩甲下部に軽く触れただけでも痛みがある。筋肉の張りが限界を超えて、筋肉が縦に裂けているか、そうでなくても肉離れのような状態にあると思える。

 猫背であり、高い所にかかっている衣装を取るために肩甲挙筋がこっている。冷えはなく、むくみも少ない。下半身の筋肉が充実し、上半身の筋力が弱い。

 眠れないという訴えもあり、ラベンダー(ブルガリア産)とローズマリー・シネオールを1:2の割合でブレンドし、肌は滑らかなのでキャリアオイルはスイートアーモンドオイルにする。どちらかというと筋肉の緊張をほぐすためのブレンドである。

 患部から遠い部位から施術を始めるとマイルドな施術になるので、伏臥の右下肢→左下肢→腰背部と施術をする(アロマオイルマッサージの場合は指圧の左前頚部から施術をするのと逆の事をしようと考えているので、右下肢から始める事が多いのではありますが…)。

 左背部は軽擦や皮膚を波打たせるパルペルーレのような手技でも痛みがある。このようなケースでは痛みのある部位には手指を浮かせるようにして刺激を減らして、前後の痛くない部位の刺激で相対的な改善をはかることにしている。

 下肢、腰背部のオイルマッサージに、後頚部、後頭部、臀部、浪越圧点(上殿神経)の指圧を加え、仰臥位に移る。この時点で仰向けになって背部が痛いという訴えはない。右下肢の施術を始めるとすぐに眠ってしまう。

 下肢、腹部、上肢、前胸部とオイルマッサージをし、頭部と顔面には指圧をして施術を終える。

 目が覚めないので、声をかけ、上肢、下肢の叩打と把握柔捏で体を起こしていく。ベッドに上体を起こして、後頚部の圧迫、肩関節の挙上、最後に上肢の伸展で脊柱を伸ばす。

 着替えていただいてから、椅子で背部の触診をしたところ、胸椎、腰椎ともに弯曲は改善されウエストも細くなっている。左肩甲間部に一ヶ所痛みは残ったものの、良姿勢が容易にとれるようになり、来た時の疲れきった表情はなくなっていた。

 

 

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2007年3月22日 (木)

痛みとアロマオイルマッサージ

 痛みが強い時の手技には、鎮痛作用のある持続的圧迫という選択と比較的浅い所をオイルやタルクなどの滑剤を使って施術する方法があります。

 筋膜マッサージや結合織マッサージは表皮と筋肉の間にある部分に作用することを目的としたもので、コラーゲンや脂肪、血液やリンパを刺激します。

 オイルを使うと刺激がマイルドになるので患部へのタッチが容易になります。皮膚の上を滑る ので、持続的圧迫はしにくくなりますが、自然と浅い部分を刺激する事になります。

 求心性にリンパや静脈の流れの方向に施術をしていけば、脂肪を含めた老廃物の排出を促すことになります。

 頚や肩の痛みを主訴とするケースで、指圧だけでは改善が見られない場合、アロマオイルマッサージをすることがあります。

 香りでリラックスを誘うということから、必ずしも鎮痛効果の期待できる精油を使わなくてもいいと思っています。患部の浅い所に気持ちのよい求心性の刺激をすることで、頑なに強張った感覚は変わります。

 これもやり過ぎないことです。その後痛み物質は血流に乗って流されていきます。セラピストの手を離れた後、本当に回復させる力を持つのはクライアント自身なのです。

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2007年3月21日 (水)

安静と運動

 腰痛や五十肩などの初期で、炎症が強く、動作時に激痛がある場合は安静にして冷やします。RICE(rest・icing・compression・elevasion)が基本であることは、施術をしていて実感します。

 急性期に施術をする場合、痛いような刺激は、押圧でも運動法でも患部を悪くすると考えています。

 ある程度痛みが軽くなったら、全身性の施術をすることで、誘導的に患部の循環を促していきます。関節運動は痛みの出ない範囲で、前後・左右・回旋方向などに動かして、関節可動域を少しでも拡げるようにします。

 五十肩など肩関節の回旋腱板に激痛がある場合も、座位で少しずつ範囲を拡げて肩関節の可動域を確認します。自分が経験したことのない症状では、丁寧に扱う気持ちを持たないと、思った以上のダメージを与えてしまうことがあります。

 無理をさせると回復が一歩後退してしまう場合があります。押圧でも運動法でも、工夫してみると痛みが出ない角度や方向があるものです。まずは痛くないように軽擦や押圧で施術し、運動法で痛くない方向の関節可動域を拡げておけば、石灰化した老廃物の排出を誘導的に促進することになります。

 安静と運動というのは個人差もあり、いつから動かしていいのかとなると判断の難しい所です。膝痛の運動を勧めたところ、どうしても御自分で痛い所まで動かしてしまって、一向によくならないというケースもありました。

 我慢するのが当たり前と思っている方も多いので、その考えを一新するだけの説得力を持って、徐々に徐々に回復していく“右肩上がりの施術”というのが本当はとても奥深いのです。

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2007年3月20日 (火)

偉大なるマンネリ

 自分に求められているものを提供し続けるということは大変な作業です。一人一人に事細かく尋ねた訳ではないので、求められているものを必ずしもちゃんと把握できているとは思えません。

 痛みをとりたい人、不安をとりたい人、お話がしたい人、眠りたい人、その思いは様々です。半年に一回とか、本当に悪くなったら二年ぶりにとか、遠くからわざわざ出かけて来てくださる方に応える施術が出来てこそ、プロフェッショナルと言えるのではないかと思います。

 再現性のある施術ができることと、期待に応える施術ができること、それがアマチュアとの違いです。

 工夫をしているつもりで施術をミスリードしてしまう場合もあります。手詰まり感のある時は新必殺技でも編み出したつもりで、良さを殺してしまうような小細工に溺れがちです。

 去年亡くなったポール・モーリアさんは『オリーブの首飾り』を演奏し続けるために、人知れず悩んだ事もあるのではないかと思います。マジックのBGMとしてあまりにも有名なこの曲を演奏したくない日だってあったことでしょう。

 決して惰性に流されて演奏し続けたのではないと思います。そのイントロが流れた時に観客から起こる“欲しい物に手が届いた感覚”を、プロフェッショナルとして大切にしてきたのだと思います。

 『偉大なるマンネリ』が単なるマンネリと違うのは、大変な気づかいの上にテンションを保つ努力をして続けていくということです。

 それは施術にも言えることで、前回とは微妙に変わっている自分とクライアントの状態を読み取りながら、ここに再び来ようと思った動機に応えるタッチができてこそ、本当に満足して頂く事ができるのだと思います。

 定番を更に究めていけば決してマンネリにはなりません。『偉大なるマンネリ』は常にバージョンアップされています。

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2007年3月19日 (月)

音楽的タッチであること

 『東洋医学臨床論』に書かれていることを要約すると、どんな症状であっても“気持ちのいい全身施術をすること”が効果をもたらすということになると思います。

 ほとんどの症状に対して“気持ちのいい全身施術”と書かれていて、その具体性がないことに、かつてはがっかりしたものです。

 しかし、そもそも個々の症例毎に複雑に絡まる要因の違いまで比較して検証することは難しく、ただ一つ最大公約数的に絞られるのは“気持ちのいい全身施術”、つまり悪い所は触ると痛いので痛くしないようにする、そしてその部位の影響は体全体に及んでいる、ということです。

 “気持ちのいい全身施術”という漠然としたテーマに具体性を持たせるにはどうしたらいいでしょう?

 私はそれを音楽的なタッチとして捉えてきました。指圧の漸増漸減圧はクレシェンド→デクレッシェンドとしてイメージします。ゼロの状態から皮膚の表面に着地して徐々に体重をかけ、そして体重を抜いていく。これは軽擦でも微妙ではありますが同じことが言えます。

 悪い所はピアニッシモで、健康な筋肉ならメゾフォルテで(これもそれぞれのケースで違いますが)、というように符号をイメージできるとマニュアルのタッチで終わってしまう危険を防ぐことができます。

 ゆったりとしたリズムで交感神経の緊張をほぐす部位と、軽快なリズムで副交感神経の過剰を抑制し覚醒させる部位は、当然タッチを変えなければいけません。

 つまり、同じ肩こりの施術であっても、クライアントに合わせて施術の解釈を変えていくアレンジャーとしての努力をしていかないと“気持ちのいい全身施術”は成立しないのです。

 クラッシク音楽の多くがマッサージミュージックとして不適切なのは、音の強弱やテンポの変化がセラピストのリズムを狂わせるからです。セラピストはアレンジャーでありコンダクターの要素を持っているので、別の誰かに予めセッティングされた呼吸の中では臨機応変な動きができません。

 音楽的といえば、タカ&トシの「欧米か!」のツッコミが、違う声のトーンや違う“間”であったら、あそこまで受けるネタではなかったはずです。たぶんあの「欧米か!」にたどりつくまでに、声の高さや強さの変遷があったのではないかと思います。

 “気持ちのいい全身施術”も、ベターなトーンやテンポを探りながらタッチを変えて成立するということではないでしょうか。

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2007年3月18日 (日)

外踝下『申脈』の痛み

 昨日はたまたま、踵骨外側・関節付近に痛みがある方二人に指圧をしました。一人は40代の男性、もう一人は20代の女性です。ツボで言えば外踝下の膀胱経『申脈』の付近です。

 彼岸を前にして寒の戻りが体を硬くさせたのかもしれません。足関節が内反すると体重がかかる部分です。猫背→O脚→足関節内反というのは疲労によって誰もが陥るパターンです。“ねじがゆるむ”感覚です。

 足関節内反は脳梗塞で見られるように、力を入れることができなくなると起こります。潤滑油が回るように血行を促進し筋肉をゆるめてねじを締めなおすと、疲労物質の代謝が促進されて、良姿勢に立て直すことができます。

 O脚の上、足の外側面で着地するような内反歩行をすると内反捻挫をする危険性があります。また、低い段差でつまづいてしまうような場合は足を上げたつもりでも、斜め前方にずっているのです。これもO脚で足が内反している時に起こります。疲れてくると敷居に足指をぶつけたりするのはこのためです。

 『申脈』は浅腓骨神経支配なので仙骨神経の延長と考えられます。痛みを緩和するためには腰や骨盤から下肢後側の施術も必要になってきます。逆に言えば『申脈』は腰痛の治療点としての効果があるツボです。

 40代の男性は腰痛と足の冷えがあり、『申脈』を軽く圧しただけでも「すごく痛かった」そうです。20代の女性は立ち仕事が続いた疲労からの痛みがあったのですが、背部と下肢の指圧の後で『申脈』を圧しても痛がることはありませんでした。

 指圧の垂直圧が軽く圧しても深部まで浸透するというのはこんなことからもわかります。痛みがあり神経が敏感になっている時は、思った以上にに軽い刺激から始める必要があります。

 また硬く新陳代謝の衰えてきた体と若く柔軟な体の違いを、つくづくと指で感じた施術例です。

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2007年3月17日 (土)

ストレッチで筋肉を傷めた女性

 ストレッチ教室のレッスンを受けていて、右大腿四頭筋を傷めた女性が指圧にいらっしゃいました。

 ストレッチをしてきたとは思えない、頚から背中にかけての硬さがあります。床に座って左下肢伸展、右膝屈曲のストレッチをしたところ、右膝上部外側が痛くなったそうです。

 『息を吐きながら』、『無理をしない』、というストレッチの基本ができていないまま、この女性にとってはレベルの高いバレエを取り入れたストレッチをしていたようです。ストレッチがエクササイズになってしまっています。自分にとって無理のない最大関節可動域まで伸ばしたまま30秒程度保持するということも、できてはいないと思います。

 女性は胸式呼吸になりがちで、腹式呼吸ができないという方はたくさんいます。まずそこからというにはレベルの高いレッスンを選んでしまったのかもしれませんが指導する方ももう少し個々のレベルにあったメニューを用意してあげてほしいと思います。

 この女性は高血圧があるのです。ストレッチのはずが息を詰めたエクササイズになってしまっては血管は収縮し、血圧も上がり、肩もこります。

 何のしがらみでそのストレッチ教室に通う必要があるのかと思うのですが、本人はそこをやめるとは言わずに、呼吸法の教室にも通ってみたいと言います。少し“こだわりの強い”方ではあるのです。指圧をするにも精神的なフォローに気を使う必要がある方なので、きっとストレッチ教室でも教えるのが難しい生徒さんであることは間違いないと思います。

 とにかく、『息を吐くこと』、『無理をしないこと』、それができれば肩の力も抜けて血圧も下がると思うのですが、この女性にとっては一生のテーマになると思います。

 ストレッチをして傷めた右大腿四頭筋も、硬くなった体も、比較的簡単に指圧でゆるみました。指圧やマッサージは他動的ストレッチでもあります。でも、せっかくストレッチ教室でレッスンを受けるのであれば、先生を困らせてでも筋肉を伸ばしてきてほしいと思います。

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2007年3月16日 (金)

心臓肥大と足のむくみ

 年齢とともに内臓にも加齢的変化が起こってきます。60代の女性で主訴は左足首のむくみですが、心臓肥大、肝水胞、腎水胞が検査で確認されているという方に指圧をしました。胆石の手術歴もあります。

 階段を上ると息が切れる言うので、心臓の力自体が弱くなっています。足首の他にまぶたもむくんでいたということですが、施術の際には眼瞼浮腫はありませんでした。

 心肺機能、腎機能、肝機能の衰えによる複合的なむくみだと考えられます。左足首は内踝、外踝の上が二周りも腫れていて、臀部から踵の上までむくんでいます。

 横臥位、伏臥位、仰臥位と指圧をしていきます。左下肢伸展挙上のストレッチをしたところ、とても気持ちがいいそうです。むくんだ部位へのタッチやストレッチは快刺激になります。

 ラベンダーとユーカリとゼラニウムを混ぜたアロマミストの香りがとてもお気に召したようです(この精油の選択にむくみへの意識はありません。その時の曇った寒い天気とこの方のことを思い浮かべてということでしょうか…)。音楽はイルカの鳴き声の入ったSolitudesの『Guardians of Atlantis』を流しました。

 この空間が“転地療養”になる、それがアロマテラピーだと思います。心臓や腎臓の病気がある方にでも、指圧でむくみをとることはできます。しかしこの女性の場合、内臓の状態からしてむくみやすいということは今後ずっと付いて回ることでしょう。

 施術後は左足首も一周り細くなり、頚、肩、背中がゆるんで爽やかな表情になりました。この後、町内会の安全パトロールのお仕事をされるのだそうです。いつも皆さんより歩くのが遅れてしまうということでしたが、きっと少しは楽に歩けたと思います。

 周囲からはわからない症状を抱えた方がたくさんいらっしゃいます。無理をしなければいけなかったり、無理をしている事に慣れてしまっている方もたくさんいらっしゃいます。一時の“転地療養”になれば、そんな気持ちで施術をしています。

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2007年3月15日 (木)

右耳で拍動が…

 ここ2、3日、時々連続的に、右耳で拍動が聞こえていました。それはだんだんと回数が減り、短くなり、やがて消えてしまいました。

 いらない物の整理をずっとしていたので、血管にストレスがかかったのかもしれません。右耳には橈骨動脈とは少しずれた拍動が聞こえていました。

 頚を左に回旋するとこの拍動は消失します。右耳に通じる血管が一部狭くなっていたのだと思います。

 軽擦や持続的圧迫などいろいろと試してみたのですが、効果はありませんでした。むしろ他の事に集中しているとこの拍動は聞こえなくなります。

 通常なら意識から除外している頭蓋内の音を、何かのきっかけで拾うことになってしまったのかもしれません。疲れやストレスというのは静かに深く浸透していきます。

 施術を受けに来る方の中には耳鳴りを抱えている方も多いので、何か画期的に治す方法はないかと探してみたのですが、私の場合はたぶん耳鳴りではなく、ツボのような治療点のみつからないまま、その拍動は消えてしまいました。

 耳鳴りの場合も、ストレスや疲労の軽減と動脈硬化に対する日常的な配慮が大切なのだろうと思います。そして手技療法では、頚の姿勢を正して血管の狭窄を改善するような施術をするべきだと思いました。

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2007年3月14日 (水)

「それもギックリ腰です!」

 犬の散歩に行こうとして、玄関に降りてから室内犬にリードをつけるため腰を曲げたところ腰痛になったという60代の女性が指圧にいらっしゃいました。左腸骨稜上部が痛いということです。

 「あ、それはギックリ腰です」と申し上げたところ、これはギックリ腰ではない、前にギックリ腰になった時には、伸びきったように固まってしまって、もっと痛かったとおっしゃいます。

 その見解につて言い合っていても始まらないので、触診してみることにします。まず座位で、頚から腰までの張りを診ます。

 頚椎は右に側屈し、最近右手がしびれることがあるそうです。左右ともに側頚部から肩上部が硬く、上腕はむくんでいます。左腰部の硬さも目立ちます。次に、立位で足を肩幅に開いて、腰を左右に回旋させます。これで痛みはないようです。

 長い間風邪を引いていたそうで、運動不足からかおなかがポッコリと突き出し、下肢もむくんでいます。

 横臥位から指圧をし、伏臥位で第3腰椎際の脊柱起立筋を指圧した時、「ポキッ!」と音がして、関節のズレが矯正されました。思ったより上に椎間関節の亜脱臼が生じていたようです。しかもごく軽い圧の最初のタッチで骨のズレが矯正されたのです。

 「ほらぁ、ギックリ腰だったんだよぉ」大人気なく、勝ち誇ったように言ってしまいましたが、ここは一応プロであることを示しておかなければいけません。

 明後日から息子さん一家と山梨まで車で旅行に出かけるそうなので、これが治っていなかったら、もっと腰痛が悪くなったかもしれません。

 施術後顔色も良くなり、このままスーパーまで自転車で買物に行ってくると颯爽と帰っていかれました。本当は午前中に指圧に来るのも億劫で、家で寝ていようかと思っていたのだそうです。お役に立つことができました。

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2007年3月13日 (火)

症状の緊急性

 生活習慣病を抱えた方に施術する機会が多い上、手技療法を選ぶ方の中には病院や薬が嫌いという方も多く、慌てている感じが電話から伝わってくると「病院に行ってますか?」と聞いてしまいます。

 指圧やマッサージはかなり症状を緩和することができるので、病院へ受診する機会を奪ってしまうということが一番心配です。

 「階段を上ると疲れるとか、「左肩が痛い」とか、高齢者の方で急に症状が出たような場合は「病院の先生には相談しましたか?」と電話の時に聞いています。狭心症などの心臓疾患が疑われるからです。

 狭心症を含め動脈硬化に伴う様々な病気の予防に対して、指圧やマッサージは有効であると思っています。しかし、緊急性がある場合には病院での検査や早期の治療が必要です。

 私の施術を信頼してくださる方がたくさんできたことは本当に有難い事です。だからこそ最適なアドバイスをしたいと思います。病院に行ってから来ていただいてかまわないのです。最適な治療をいつも考えていたいと思います。

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2007年3月12日 (月)

冷えと肌の乾燥

 むくみが主訴の女性にアロマオイルマッサージをすることになりました。しかし、足の冷えと肌の乾燥のほうが気になります。

 いくつかの精油の香りを選んでいただきながら、マジョラムとローズマリー・シネオールをブレンドして施術することにしました。この後に仕事があるということなので、あまり緩み過ぎることも避けたいと思いました。

 足首から趾先にかけての冷えが際立っていて、大腿の乾燥が目立ちます。下肢の血行改善が施術のポイントになります。

 下肢の血流を悪くしているのは、ハードワークによる肩こりやストレスです。二つの仕事をこなし、専門学校にも通っていらっしゃいます。十分な休養は取れていないのだと思います。

 伏臥位から仰臥位と全身のアロマオイルマッサージをして、カモマイル・ローマン・ウォーターによるヘッドマッサージと、頚から背中には指圧もしました。

 足の冷えは全くなくなり、むしろほってているようです。自覚的なむくみに関しては、施術前と施術後にトイレに行っているので効果があったようです。

 ローズマリーには引き締め作用があって、むくみにも効果があるので、マジョラムの加温作用とともに、精油の選択は適切であったと思います。

 頚の指圧、脊柱のストレッチ、軽い全身の叩打法で体を起こして、仕事に差し支えないようにして施術を終えました。

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2007年3月11日 (日)

エステの揉み返し

 一週間前にデコルテのエステを受けて以来肩が痛いという女性が、初めて指圧にいらっしゃいました。

 確かに鎖骨周囲と肩上部に緊張があります。やや体格の良すぎる方ですが、姿勢も良く、問診でも大きな異常は見当たりません。手足の冷えもなく、実証のタイプに分けられます。

 実証で健康である場合には、強く揉むような刺激や同じ部位の施術のし過ぎは不適当です。しかも自覚的な“肩こり”をほとんど感じたことがないという女性です。本人にとっては正常で使いやすい筋肉を、こねて揉んで痛めつけてしまったのです。

 マニアルをこなすことを優先させて、様々な体のタイプに対する手技を使い分ける工夫をしないと、健康を害する施術をしていることになります。

 肩は炎症があるようなので、緩和的な軽圧で全体の老廃物を流すようにしました。このこりをほぐそうとすると余計に炎症を拡げてしまいます。

 顎がやや上がり、頚が右へ回旋する癖があるので頚の向きを意識してもらうように指摘しました。これができればさらに良い姿勢になります。

 エステで受けてきた手技と、初めて受けた指圧のタッチとの違いからでしょうか、施術後ポカンとしたような表情をしています。『こんなことでいいの?』と感じていたのではないでしょうか。“痛いほうが効く”というような思い込みや、“苦行の先に道が開ける”というような我慢は間違いです。

 強く揉んでも、叩き続けても、筋肉は傷めつけられてしまいます。特に健康な体、健康な筋肉は強い刺激を必要としません。“比較的”安全なのは漸増漸減圧で垂直圧の刺激と軽擦法です。それさえ“比較的”がつくのは、やり過ぎれば不適当な刺激となるからです。

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2007年3月10日 (土)

汚れを落とす事

 紙や布の資源ゴミを分別しているうちに、いらない物の選り分けがエスカレートして、ついには大掃除へと発展していました。3月は年度変わりで、いらなくなる物が結構あります。

 こびりついた汚れを落としたり、錆を落としたり、擦って、擦って、夢中になって、“無”になっている自分に気づきました。

 これは施術の時と似ています。しかし頭をあまり使わない分だけ、施術時よりも気が楽です。刺激の加減など考えなくても良いのです。鉄やステンレスの汚れなどは、強かろうが、痛かろうが、ゴシゴシ擦ります。

 そしてピカピカになった後の達成感!言葉は悪いけど“ざまぁみろ!”という感じです。余分な物を捨てたり汚れてバランスを失った物がきれいに整っていくのは気持ちがいい事です。

 そして思ったのです。『読み捨てられる雑誌や、流し台の下の汚れのように、人間の体に触れることはできないな…』

 人間の体に触れて施術するという行為は、当たり前ですが、一方的な自分の満足感のためにはできない事です。毎日相当気を使って、余分な物を圧し出しています。

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2007年3月 9日 (金)

神経性胃炎タイプの女性

 『胃が悪いので指圧をお願いしたい』と予約の電話を頂いていた女性は、15分前に到着しました。「道はすぐにわかりましたか?」と尋ねると「…心配なので昨日下見に来ました…」ということです。ただならぬ雰囲気があります。

 服薬中の薬を持っているとのことなので、見せていただきました。調べてみると、胃酸を抑える薬の他に、タイプの違う三種類の消化性潰瘍治療薬が処方されています。“胃潰瘍”と診断されていることが推測できます。そのうちの一つは抗うつ作用があり、神経症などにも適応のある薬です。

 いろいろな方の薬の処方を見てきましたが、問診・脈診・切診から受ける今現在の体調からすると、薬の種類が多いように思います。本人に不安もあり、なかなか快気するという感じがないので、お医者様がサービスで薬を増やしてくださったのかなと感じます。

 自力整体をしているというので、「それにしては猫背が良くなりませんね」と言うと「…いえ、まだ始めて、一ヶ月ですから…」と何だか言い訳のようです。

 自力整体の先生は朝食を抜けと言うのだそうです。基本的な胃の病気の食事法は、一回の食事量を減らすかわりに一日の食事回数を増やして消化力の落ちた胃の負担を減らすとともに胃酸で胃壁が荒れるのを防ぐことです。

 体調の良い人には適応のある食事法でも、病気を抱えた方には出来ない場合があります。猫背の矯正も含めて、その自力整体の先生は『コーチング』に問題があります。

 この女性は右肩が下がり右手指が冷たく、右手首橈骨動脈の脈が弱くなっています。猫背の矯正だけでなく、頚椎を矯正し、右斜角筋隙を拡げなければなりません。

 胃の反射である左肩甲上部、左肩甲下部、大腿前側、下腿前側(特に足三里)の緊張をほぐし、O脚を矯正するためにウォーキングの練習をして施術を終えました。

 施術後、バストアップし、自然と上体が起きています。「きっと薬は減らせると思いますよ」と言うと「私もできるだけ薬に頼りたくないので!」と初対面の印象とは違う明るい声が返ってきました。

 大切なのは小さな変化でもいいから具体的に変わっていく自分を見せてあげるられる“コーチング”です。あまり高い目標を掲げると、出来ない、だからつまらない、やる気がしないという悪循環で、効果があるはずのことも効果のないうちに投げ出されてしまいます。オーダーメードならではの低いハードルの設定というのが、CO-MEDICALの分野では必要です。

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2007年3月 8日 (木)

マジョラムとスイートオレンジ

 便秘や胃弱や生理不順などに対する腹部のアロマオイルマッサージを考えた場合、あれこれ考えたあげく結局はマジョラムとスイートオレンジのブレンドになります。

 この二つの精油は加温性に優れ、血液循環を促して便秘や月経時の瘀血を解消する効果を発揮します。また、マジョラムの鎮痛作用とスイートオレンジの消化促進作用の組み合わせは、胃腸の問題を広くカバーできるので使い勝手の良いブレンドだと思います。

 スイートオレンジやマンダリンは光毒性がないとして売られている場合もありますが、柑橘系の精油は、厳密に言えば光毒性を考慮しなければならないので、腹部であれば『ここぞ』とばかりに使うことができます。

 この甘くややオリエンタル調の香りが決して好みではないまま、その理論的な効能の組み合わせと実際の効果に対する満足感から使い続けています。

 マンダリンを使えばもう少しシャープな香りになるのですが、マジョラムとスイートオレンジを選んでしまうのは、こちらのブレンドのほうが気にいっているということです。

 第三の精油を入れて、もう少し好みの香りにして使ってもいいはずなのですが、別の精油を使うとすればアロマミストなどで芳香浴として使ってしまいます。それほどこのブレンドには助けられてきました。今までの貢献に鑑み、簡単には変え難いブレンドです。

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2007年3月 7日 (水)

とき川温泉

 とき川温泉は埼玉県のとき川町にあり、予約制で昼2組・夜2組のみの営業です。個室、貸切温泉で、柚子料理がついて4時間で9800円という料金ですが、何といっても日本一のアルカリ度を誇るPH11を超える温泉が魅力的です。

 実はまだ中まで入ってはいないのですが、先日場所だけでも確かめようと車で出かけてみました。インターネットのホームページの地図から思ったより、かなり山に上っていく感じです。

 『温泉アリ』の看板を3つくらい過ぎないと、なかなか近くまで辿り着けません。かなりの山道ですが舗装はされいて町営のバスも通る道路から見下ろした所に、とき川温泉はありました。まだ新しい建物です。

 庭園に使われる三婆石がとれる三婆渓谷の上流にあって、隠れ里のようなとてものどかな所です。ただし山がスギ花粉で霞んでいるようなこの時期、花粉症の方には厳しいかもしれません。

 道路脇に立つ看板に備えられたパンフレットをいただいた帰り、慈光寺に近いうどん屋の裏に“とてもリアルなトトロ”を発見しました。車で走り過ぎる一瞬だったのですが、杉の枝を組んで作ってあるように見えました。3メートルくらいあったかもしれません。夜に初めて見ていたら、どこか違う世界に入り込んでしまったと慌ててしまったことでしょう。

 とき川は木材の町です。木の心を知り尽くした方の作品だと思います。一見の価値はあります。

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2007年3月 6日 (火)

大丈夫を確かめるタッチ

 現在の臨床検査が体の異常を見つけるために行われているように、医学においてもその他の分野でも“違いを見つけて処理する”ことが主流になっています。

 それは西洋的な生きるための知恵であり、学校で教育され、社会の規範もそのような趨勢にあり、何ら違和感なく受け入れてきたことでもあります。

 しかし古代から受け継いだDNAの根底に流れているのは、自然を畏敬し、物に魂を感じ、人間との類似性を見つけて擬人化し、自然に親しみ溶け込んで、“同じ部分を見つけることで安心して暮らす”という考え方だと思います。

 物の怪や精霊は、風に揺すられる木々や光きらめくせせらぎに恐れや喜びを見出して、畏敬の念をこめて擬人化したものであると思います。

 手技療法では、それがどのようなスタイルのものであっても、“痛みをとる”“むくみをとる”といった“違いを排除する”という考え方だけでは説明のつかない部分に触れることになります。

 自分と同じように良い部分を確認して「大丈夫だよ」と言い続けるような境地です。どんなに悪い状態にあっても、生きている限り良い所を見つけてほんのわずかでも安心していただくような。

 手を使ってタッチでできることは、古代でもできたはずのことです。だから古代人のように自然と同化し、自分との類似性を見つけて良い所を伸ばしていくという考え方に、タッチを通して辿り着くセラピストもきっとたくさんいることと思います。

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2007年3月 5日 (月)

左示指の爪の付け根の切り傷

 頑丈な包装の箱を開けようとして、左示指の爪の付け根、ツボでいえば『商陽』のやや外側を切りました。紙は意外と鋭い刃にもなります。

 プラスチック容器に貼ってあるシールもそうですが、あの無駄な粘着力は何とかならないものでしょうか?ゴミの分別にかかる時間を省く意味でも、接着剤は端の4点だけにつければ十分のように思います。

 左示指のちょっとした切り傷など大したことはないように思っていたのですが、指圧をすると圧が安定しません。左示指を浮かして圧すと右薬指・小指に負担がかかります。

 右に体重がかかるので、施術を終えても右上肢、下肢にいつもと違った重さを感じます。右母指で圧す重ね母指圧にしても、10本の指を全て使っていることがあらためてわかりました(この時一番使っていないのが右母指の上に重ねる左母指です)。

 左示指の『商陽』を圧すと、大腸経の経絡なので、S状結腸のあたりがグーッと鳴ります。傷が神経を刺激して、いつもよりもツボの反応が敏感になっていることがわかります。

 気をつけているつもりでも、指先の傷というのはできてしまってから『しまった!』と思います。手専門のモデルさんのようにいつも手袋をしているというのも難しいので、エコと手を使う全ての人のために、過剰包装と強力な粘着力のシールはやめてほしいと思います。

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2007年3月 4日 (日)

主訴は左背部痛であっても…

 予約を頂いた時の電話では左の背中がこっているということでしたが、前回のカルテには右の背部痛と書いてあります。

 実際に座位で診ていくと、頚は右に軽く側屈していて右の背柱起立筋のほうがこっています。

 「左の背中を痛くするような事がありましたか?」と尋ねると、「そういえば、ベランダの柵の向こうに落ちたものを体を曲げて拾って、しばらく左の肋骨が痛い」ということです。左上腹部の肋骨のあたりを軽く触れるぶんには痛みはありません。ベランダの柵に押し付けた肋骨の痛みが、脊髄神経を介して左背部痛になっているのかもしれません。

 「この2、3日、右の踵が痛いのですが…」体に触れながらお話しをしていくと、電話では思いつかなかった体の不調が出てきます。

 主訴だけをとらえて施術をしていくと、思いの他効果が出ないというのはこういうケースです。クライアントが正確にポイントを示せるとは限らないということを肝に銘じて施術をしなければいけません。セラピストにはコミュニケーション能力(引き出す力)が必要です。

 右の踵の痛みは座骨神経痛と考え、右腰背部から下肢後側の筋肉をゆるめることが重要です。右下肢は左に比べて若干短縮していました。頚の右側屈が右半身に体重をかけることになっています。腰痛は頚から施術するということもこのケースを通して理解できます。

 また、左肘外側橈側の『曲池』『手三里』の痛みは左肋骨を動かしたくないための不動性拘縮と考えられます。植木の剪定をしているようなので、症状はひどくないようですが花粉症か右の鼻づまりがあったのかもしれません。

 全身指圧を終え、左背部痛、左肋骨の痛み、右踵の痛みはどれも解消されていました。主訴だけに終わらず、そこから体全体の状態を読み解いていくことが手技療法の醍醐味です。

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2007年3月 3日 (土)

アロマミストディフューザー

 精油を霧と一緒に拡散させるアロマミストディフューザーが届きました。しずくの形をしていて、落ち着いた青い光が灯ります。ライト・コーヒー、グリーン、パープルの3色から、グリーンを選びました。

 花粉症の方が多いので、早速ユーカリ・グロブルス4滴と水70mlを入れて施術の時に使ってみました。

 タイマーが付いていて、連続で30分、15秒動いて15秒休む間欠モードで1時間作動します。全身の施術には1時間以上かかるので、間欠モードで使用しました。

 施術中、間欠モードでは光の点滅が気になります。15秒間隔では次に光るまで時間が空きすぎると感じました。8秒くらいの点滅なら誘眠効果も増すのになぁと思います。

 そして遠くでサイレンが鳴っているような音が気になりました。超音波の振動でミストを発生させているので、その音だと思います。

 ただし、施術を終えてその音を確かめると、ほとんど音は気になりません。施術中は音楽をかけている中でも気になり、施術をしていなければ耳を近づけて聞いても気になりません。集中の違いでしょうか、慣れれば変わってくるのでしょうか?

 思っていたより暗い、深海の青のような光であったことや、タイマーが2時間くらいほしいなど、いろいろと第一印象では考えさせられました。

 しかし、使っていくうちに必須アイテムに変わっていくことも多いので、花粉症のこの時期は、アロマミストに施術を助けてもらおうと思います。

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2007年3月 2日 (金)

喜按(圧して気持ちがいい)は虚証と診る

 『喜按』の“按”は按摩の“按”で、軽く圧すという意味です。東洋医学では軽く圧して気持ちがいいという場合、虚証と診ます。

 この対極にある実証の場合は、軽く圧しても痛がって、憎悪することもあるので『拒按』といいます。

 虚実の中間を円とすると、円が欠けたのが虚証、円からコブが膨れ上がっているのが実証です。

 円が欠けていれば外からの刺激を受け入れやすく、圧がかかれば円のバランスを調整することができて、気持ちがいいと感じるのだと思います。

 一方、円から飛び出したコブは炎症や余剰の老廃物でできています。痛み物質も溜まっていると考えられるので、軽く圧しても痛みます。

 虚証は圧すと気持ちよく、実証は圧すと痛がるというと逆のような感じがします。これを自律神経に置き換えてみると理解しやすいと思います。虚証は副交感神経の過剰、実証は交感神経の過剰と診るのです。

 副交感神経が過剰な場合は、エンジンがかからずだるくてやる気が起きないというような状態です。このような時は軽くてテンポのよい刺激や、場合によってはやや強めの刺激でも気持ちよく、神経が興奮して活動的なります。

 交感神経が過剰な場合は、イライラして血管が収縮し血圧もあがって、熱っぽくなることさえあります。このような時は軽擦などの鎮静的な癒しのタッチで十分に効果があるのです。

 体が弱い虚証タイプが『喜按』で、体が充実した実証タイプが『拒按』というのは一見逆のようですが、この考え方は施術の時に必ず役に立ちます。

(ヒトの体には虚している部分も、実なる部分もあります。実証の人が虚してくることもあり、その逆もあります。そのあたりの事が感覚的に理解できて、臨機応変な対応ができるようになると、素晴らしいセラピストだと言ってよいと思います。)

 

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2007年3月 1日 (木)

頭痛の急患

 頼りにして下さる方は、たった一度施術をしただけでも、万障を乗り越えてやって来てます。

 お休みの日の夜8時過ぎに一本の電話がありました。ひどい頭痛なのだそうです。とにかく部屋を暖め、音楽をかけ、『精油はローズマリーくらいか…』と急いでアロマライトに落とします。

 カルテを見ると40代の女性で、2週間ほど前に初めて指圧をしています。その時に『あなたの頭痛なら、ひどくなってから来ても一時間くらいで楽にできます』と言っていたことを思い出しました。

 それは施術モードに入っていればその通りなのですが、お休みモードからモチベーションを上げていくのが大変です。施術着に着替え、手を擦り、肩を回し、エタノールで手指を消毒して準備します。

 到着するやいなや、座位で頚から指圧を始めます。猫背で頚が右に側屈する癖があり、腕の重さ、頭の重さで肩がこり、頭痛になっています。

 右上肢135°外転で肩甲骨内側を圧すと痛みがあり、左上肢の外側にも圧して痛みがあります。これは頭の重さで脊柱の縦の間隔が狭くなり、頚が右に側屈して右肩甲間部の横の間隔も狭くなっていることを示しています。左上肢は右に倒れないために外旋させてバランスをとっていたようです。

 座位の指圧の始めの、前頚部・胸鎖乳突筋を圧すところからからひどく痛がります。“猫背=前の肩こり”もあるということです。横臥・伏臥・仰臥と軽圧でテンポ良く施術をしました。

 友人と食事中に耐えられないほど頭が痛くなってきたそうで、上半身のむくみとともに副交感神経が過剰な感じが気になりました。このような時、ゆったりとしたテンポの施術は副交感神経をさらに過剰にさせてしまい逆効果です。

 一時間で施術を終えると、「楽になりました。このままなら今晩どうなるかと思いました。来た時は頭が下げられませんでした」と言って頭を下げます。正確には、頭が肩よりも前にあるから、そうは下がらない位置に頭があったのです。

 お宅は車で30分かかります。よくここが頭に浮かんだなと思います。“そういう方たち”はアンテナが直結しているのか、本当に頼りにして下さいます。

 ほとんど眠ろうかというような時には『119番じゃないんだから、指圧に急患なんて…』と思います。それでもこんなことがあるから存在意義を感じることができます。有難い事です。

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