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2007年4月30日 (月)

骨盤の開きと卵巣摘出

 初めて施術をする女性で、伏臥位になった時に右膝が軽く曲がる女性がいました。

 左に比べて右の骨盤が少し高く浮いています。骨盤が開いているということです。

 仰臥位になると右の股関節が外旋して、右の爪先が外側を向いてます。

 主訴は肩こりと慢性疲労なのですが、気になったのは胸椎下部の後弯と右の骨盤の開きです。 

 問診で、高血圧と十二指腸潰瘍の薬を服んでいることがわかりました。花粉症もあり6月まで続くということだったので、喘息かどうか聞いたところ、やはり喘息もあるそうです。がっちりとした体格ですが、アレルギー体質で虚証だと診ました。

 指圧をしながら骨盤か右下肢のケガはなかったかと聞くと、問診では出てこなかったのですが、右卵巣の摘出手術を受けているということです。

 (既往症や手術歴を順序立てて説明できる人はそうはいないと思って、何か気になったら質問することです。)

 骨盤の開きと卵巣摘出手術を受けたことが直接関係があるかどうかはわかりません。

 左下肢はむくみ、右下肢の筋肉は硬くなっているので、いつも右足に体重をかけています。右足が外側に開いてしまうのは、右下腹部の正中線寄りを刺激したくない、あるいは、右下腹部を刺激したくなかった手術後の癖が残っているからではないかと考えました。

 ゆったりとしたリズムでは疲れてしまうと感じ、テンポの良い軽い刺激の施術をしました。まだ小学校低学年のおじょうちゃんと犬を連れてここへ来たのも、いろいろと大変な感じを受けました。

 施術後、隣の診察室で遊んでいたおじょうちゃんが、「ママ寝てたね」と嬉しそうに言います。

 そう、半分はせっかくの休日をここで我慢してくれていたおじょうちゃんのために、テンポ良く指圧をしました。

 この劇場空間にある要素が全て施術に溶け込んでいくのだと思います。後から知った手術歴から、キャスター付きの椅子で遊ぶお子さんの存在まで。

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2007年4月29日 (日)

おなかの硬さはインシュリン注射のためだった!

 糖尿病の方のおなかの硬さを、ずっと動脈硬化のためだと思っていました。インシュリンを注射をしていることは聞いていたのに…。

 昨日その糖尿病の方のおなかに指圧をしていて、テレビのドキュメント番組で見た立川談志さんのことを急に思い出しました。

 立川談志さんも糖尿病で、自分でおなかにインシュリン注射をしていたのです。

 インシュリンの注射を腕にしていると思い込んでいました。

 指圧が終わり、聞いてみました。「インシュリンはおなかに注射しているのですか?」

 答えはイエス、脇腹に注射しているのだそうです。ずっと気になっていたおなかの硬さは、他のクライアントのおなかでは感じたことのないものでした。

  糖尿病で、おなかにインシュリンの自己注射を毎日食後に3回している人は、おなかが硬くなります。何か硬いものを挟んでいるのではないかという感触です。

 こういうことまでは、どの手技療法のテキストを開いても、触れていないと思います。

 あらかじめ聞いておけば良かったのですが、あまり触れてはいけなそうな空気を読んでいくうちに、明白な事実を見落としていました。

 ただ、おなかの硬さをとりたいというのは共鳴する意識のようで、表層の注射の瘢痕の奥に、動脈硬化を診た手を認めていただいていたから、施術に納得していただいていたのだろうと解釈しています。

 

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2007年4月28日 (土)

介護の仕事で辛いのは?

 夕方仕事を終えてから指圧にいらっしゃるヘルパーさんの体は、いつも疲れています。

 肩、腰、膝と体の大きな関節に負担がかかっているのがわかります。

 「介護の仕事で辛いのは入浴のお世話ですか、トイレのお世話ですか?」と硬くなった背中を横臥位で指圧しながらお聞きしたところ、しばらく間があってから「…被害妄想…、何かがなくなったとか…、何か少し言われただけで、すごく落ち込んでしまう…」とポツリポツリとお話になります。

 思わず正座し直してしまいました。

 こちらが考えていたより遙かに深い志と悩みを抱えて仕事をされている方だと思いました。

  医師の言う事は聞いても、介護師の言う事は聞かない人も多いとか、冷蔵庫にあるもので食事を作らなければならないが味付けの好みは様々なので大変だとか、法律や規則では計れないメンタルな面での葛藤があるようです。

 痴呆ではない要介護の高齢者が置かれた心理状態を受け入れて仕事を続けていくのも、大変な努力がいるのだなぁと思いました。

 人生経験の少ない若いヘルパーさんでは、いくら志があっても、それぞれの人生の結論に近づいた高齢者の方と向かい合うのは容易くはありません。

 『介護師の待遇がもっと良くならないと…』仕事で硬くなった体を、明日仕事に出かけられるように指圧をしながら、そう思いました

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2007年4月27日 (金)

「ギックリ腰を温めている」という電話

 お得意様から紹介されたという、声の様子からは50代の女性から電話がありました。「ギックリ腰になったので指圧をしてもらえないか」ということです。

 「動くと痛いようならまずは安静にして、指圧は3日くらいたってからのほうがいいです」とお話しします。続けて「冷やしたほうがいいと思います」と言うと、「生姜入りの温湿布で温めている」とのことです。

 「温めると傷が拡がって悪くなるかもしれません」と言うと、「さっきよりも良くなったと言っている」のだそうです。

 ここまで電話の御本人がギックリ腰だと考えてイメージしてきたものを一瞬でイレースします

 初めて施術する人の症状は、実際に会って、お話しを聞いて、体全体に触れてみなければわからない事が多いものです。

 痛みの表現も個人差があって、物凄く痛いのか、動かなければ痛くないのか、重たい痛みか、神経の痛みか、与えられた材料から想像するしかありません。

 「温めて良くなる」とすれば、ひどい傷があって熱を持っていることはなさそうです。「若い方ですか?」と聞くと、どうやらそのようです。男性か女性か、お子さんなのか、一体誰なのか、情報はそれ以上いただけませんでした。

 緊急性はないと判断して間違いないようです。場合によっては往診してその他の病気の可能性があれば病院に行くように促すべきですし、ギックリ腰でも苦しくてどうしようもなければ、誘導的に痛みを緩和する施術をする意義があります。

 そのお宅では“生姜入りの温湿布が何かにつけて活躍しているような気がします。「紹介してもらうほど大した事はないヤツだ」と思われたかもしれません。

 「一般的には急性の炎症は冷やすので、もし痛みが強くなるようなら冷やすか冷湿布にしてください」と言って電話を終えました。

 “生姜入りの温湿布”で治すというイメージは、かつて金田正一投手が決して肩を冷やさないようにしたという事とダブります。体力があり、筋力の強い人でなければ悪くすることもありそうです。

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2007年4月26日 (木)

蔵の湯鶴ヶ島店30.1℃源泉掛け流し壺風呂

 蔵の湯鶴ヶ島店に温泉が導入されました。一年程前から温泉を掘っているなぁ、やがてどうやら温泉が出たらしいなぁ、そして昨日から温泉です。

 Ph7.5、弱アルカリ性塩化物泉で、温泉の色は薄黄緑、よくあるタイプの泉質です。お湯のスベスベ感はイマイチといったといころ。車で10分程離れた「ふるさとの湯」のほうがPh8を超えているので滑らかです。

 特筆すべきは、30.1℃の源泉を掛け流しにした壺風呂です。昨日は寒すぎましたが、もう少し気候が暖かくなると冷たい温泉で体が温まるという体験ができると思います。

 インターネットではこの壺風呂がマニア向けと紹介されていました。確かにこの壺風呂の意義を理解できる人は少ないと思うので、狙い目ではあります。

 “癒しのぬる湯が温泉を加温しても残ったのは有難いことです。ただし、麦飯石の効果を書いたパネルがはずされていたことは気になります。

 木炭の壁を伝って“癒しのぬる湯に落ちるお湯が温泉になって、臭いが微妙に臭くなってしまったのも気がかりです。木炭の香りと温泉の相性は今のところマッチしていません。

 月日がたって温泉成分が浴槽のタイルや石に沁みこんだ時に、もっと温泉としての効能が感じられるようになると思います。

 サラッとした肌触りでスベスベ感の足りない温泉かと思いましたが、入浴後指先はスベスベです。

 『おらが村に温泉が湧いた』的な、人々の笑顔が印象的でした。家の庭も1200m掘れば温泉が出るかと思うと、自然と笑顔になります。これから温泉らしい温泉に成長していく様を、肌で感じていきたいと思います。

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2007年4月25日 (水)

妊娠中のアロマテラピー

 妊娠中に安心できるアロマテラピーについて、いろいろと調べてみたのですが、統一的な見解が出せるほどに研究が進んでいないというのが現状のようです。

 一般的に言えることは、妊娠初期には特に注意が必要だということです。妊娠期間全体を通して言えることは、刺激の強い精油を高濃度で使用してはいけないということです。

 刺激の強い精油とは、ケトン類、オキシド類、フェニール性エーテル類を含む精油と、その他の通経作用があるとされる精油です。

 ケトン類を含む精油には、カンファー(樟脳の香り)を含むローズマリーやメントンを含むペパーミントなどがあります。

 オキシド類を含む精油には、1,8-シネオールを含むユーカリやティートゥリー、ローズマリーなどがあります。

 どうやら妊娠中特に妊娠初期は、鼻を刺激する香りを避けておいたほうが良さそうです。

 フェニール性エーテル類を含む精油には、トランス-アネトール、エストラゴールというエストロゲンホルモンと似た分子構造を持つフェンネルや催奇形性作用が疑われているミリスチシンを含むナツメグなどがあります。

 そして通経作用がある精油となると、鎮静作用を持つ精油はほとんど該当してしまいます。

 ネロリ、プチグレン、ローズウッド、サンダルウッドなどが妊娠期間全体を通して安全な精油としてあげられていることが多いのですが、これらも個人の好みによっては使用しないほうがいい場合もあります。

 妊娠初期のアロマテラピーは、刺激性の少ない精油を選んで芳香浴のみとし、キャリアオイルだけのマッサージをするというのが大勢のようです。

 分娩時に通経作用のある精油を積極的に使ってお産が軽くなったという症例はどんどん増えています。

 妊娠中期以降の安全で効果的な精油を使ったマッサージの研究というのがこれからの課題です。1%以下の濃度でケース毎に効果的な精油の選択がなされていけば、アロマテラピーがもっと妊婦さんの支えになることと思います。

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2007年4月24日 (火)

岩盤浴のノーズテープ

 いびきをかく人がいて、集団で入る岩盤浴が不快だった温泉で、まるでクレームが届いたかのように、「いびきをかく恐れのある方はノーズテープを用意してありますのでお申し出下さい」と、入浴前に説明があるようになりました。

 「7分位でピアノの音楽に変わったら、うつ伏せから仰向けになってください」と言っていたのも、その後に「強制ではありません」と付け加えられていました。強制されるのは大嫌いなので、これもなかなかいいフォローだと思いました。

 きっと利用者の声を汲み上げて、問題点を改善する会議が頻繁に開かれているのだと思います。

 それならばと岩盤浴をしてみたところ、普段からヘビーないびきを指摘されて自覚している人ばかりではないので、二人ほどいびきをかきかけた人がいましたが、重症ではないとみえて何度かいびきをかいては自力で止めていました。

 あとは利用者のほうが気をつけてノーズテープをするかという問題です。温泉を運営する会社の“かゆい所に手が届く”対応には、同じサービス業として感心しました。

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2007年4月23日 (月)

痛散湯って?

 薬のCMでは、非常に良く効きそうだと思えるものがたくさんあります。その一つに大衆薬の『痛散湯』があります。関節痛や神経痛に効くと宣伝されています。どんなものか調べてみました。

 痛散湯は健康保険適応の漢方薬の『麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)』に似ています。

 麻杏薏甘湯は、麻黄、杏仁、薏苡仁(ヨクイニン)、甘草からなり、関節痛、神経痛、筋肉痛に適応があります。ここから薏苡仁の量を半分に減らして、同じく利尿作用のある漢防巳(カンボウイ)を加え、麻黄と杏仁を少し減らしたものが痛散湯です。

 どちらの薬も、発汗、鎮痛、利尿といった水を排出し痛みを止める効能のある生薬で構成されています。

 こうして比較してみると、痛散湯が麻杏薏甘湯に比べて格段に優れた効能があるとは思えません。むくみや痛みの質によっては、麻杏薏甘湯のほうが良く効く人がいると思います。

 サメ軟骨でお馴染みの『コンドロイチン神話への警鐘が最近報道されています。大衆薬や民間療法で効果があった人や効果があったと思い込んでいる人はそれでもいいのです。

 ただ、大衆薬や民間療法に高いお金をかけているのに一向に効いた気配がしないという膝痛や関節痛で苦しむ人がいたら、セラピストとして正しい情報を提供したいと思うのです。

 痛散湯は膝の痛みや関節痛に効果のある大衆薬だと思います。しかし、生薬の構成を比較検討してみたところ、万人に効く魔法の薬のようなものではないという結論を得ました。

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2007年4月22日 (日)

対角線のこり

 O脚で右足に体重をかけていれば右大腿の外側がこります。それにつられて対角線の左大腿内側にもこりが生じます。このあたりは主訴とする人がまずいないので、いきなり強い刺激をすると非常に痛がるので注意が必要です。

 右利きの人は、顔を左に向けることは容易ですが、右には向けにくい傾向があります。顔を右に向けにくい人に施術する場合は、右側頚部と左前頚部という対角線のこりに注目します。

 左肩上部と右肩甲間部という対角線がポイントになることもありますし、右肩甲下部と左腰部という対角線が痛む場合もあります。

 腰椎下部と上腹部という対角線の痛みはギックリ腰でよくありますし、左大腿後部と右大腿前部という対角線が痛む場合は、右利きの人が野球やゴルフで豪快なスイングを続けた後にありがちです。

 思えば昨日、左大腿内転筋と右大腿筋膜張筋を圧してとても痛がられ、圧していくうちにこりがやわらいできたので「痛みが変わってきたでしょう?」と聞くと「さっきと同じに圧しているんですか?」と言われてしまいました。

 始めは壊れ物を扱うようにそっと触れたのに痛みがあったのです。だから「いいえ」と答えました。受けている側の感覚では、始めは強く圧して、今はわざと力を抜いているから痛くないのではないかというものだと思います。

 しかし実際は、始めは軽く触れて、硬さがゆるんでいくにつれて強く圧していたのです。

 そんなこともあるので、いきなり強く圧してはいけないのです。痛いところは施術者のマニュアルの圧刺激では痛すぎるのです。一点圧に体重の移動だけで刺激を調整しても、そんな感じをもたれるのです。

 痛みのある部位の対角線を、いきなり指の力で押し潰したり、ねじったりすれば、とても不快な時間を我慢していただいているコトになります。

 主動筋、拮抗筋、筋の神経支配、体のバランス(ここで対角線の意識が役立ちます)、これらを的確に判断しながら状況に応じたタッチをしていくのです。知識とセンスと体力と気力がそろわないと、かなり残念なもので終わってしまいます。

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2007年4月21日 (土)

オーラのない鍼の先生

 友人が鍼の治療に行って「オーラがないからもう行かない」と電話をかけてきました。10回の回数券を勧められたことも原因です。

 その友人には私も何回か指圧やマッサージをしているのですが、少し家が遠いので、近くの鍼の治療院に行ってみたのだそうです。指の腱鞘炎なのですが、耳のツボに鍼を刺して、手の甲にエレキバンのようなものを貼られたということです。何だかあまり効きそうもないような感じがします。

 しかし、どうやら見立ては私と同じようで、指だけの問題ではなく、頚、肩、全身を緩める必要があると言われたそうです。「同じ見方をしたとすると、その先生が一流でないなら、同じレベルかも」と心配なのですが、結局また往診する予約をもらいました。

 「君はわからないだろうが、友人特別施術というのが存在して、ほとんど違わないけど、多少割安感があるようにやっているのだ」

 そして何故か友人、知人、家族、親戚などには多少のテレがあるのか、オーラ全開とはいかないような気がしているのです。「あんたの事だからそんなはずはない」というのが大半の意見だとしても。

 

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2007年4月20日 (金)

肩甲下筋のこり

 肩甲骨の内側にあって上腕骨小結節に停止する肩甲下筋は肩関節を内旋させます。

 立位で“きおつけ”の姿勢から母指を大腿から離さずに手の甲を大腿につけるのが内旋です。

 肩こりで猫背の女性がお葬式に行ってから、腕をおなかの上に乗せて寝る姿勢をとると痛みが出るようになりました。この姿勢は肩関節の内転内旋を伴います。

 元々前に詰まる肩こりがある方なので、胸郭出口症候群という見方をしてきました。頚の前屈によって、胸鎖乳突筋や斜角筋群のこりはあるのですが、いつもの大胸筋や鎖骨下筋の硬さがありません。それより下の第3肋骨第4肋骨間に硬結ができています。

 肩上部僧帽筋よりも、背部に向かった第7頚椎両側に硬さがあります。葬儀に参列して頭を下げていたので肩上部のラインが後ろにずれています。

 そうなると腕を内旋する主動筋は大胸筋ではなく、それより後ろにある肩甲下筋であると考えられます。

 仰臥位で腋窩から肩甲骨に向かって母指圧をすると凄く痛がります。むくみもあり、脇から内部の脂肪がはみ出してきています。顔だけでなく全身が一回り膨らんだように見えたむくみの原因は、このあたりの循環の悪さにあるようです。

 施術後、即効で体が一回り小さくなるということはありませんでした。在宅介護のストレスだけでなく、突然のお葬式まであると、人間の体は想像以上に消耗するものです。そして人間には消耗して痩せるタイプと太るタイプがあり、この方は後者です。

 全身の硬くなったネジに油をさして、締め直してはあります。あとは呼吸と姿勢の意識が、全身の血液循環を正常化していきます。今朝になって、少しずつ楽になっていると感じていただけていれば、質の良い施術ができたということです。

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2007年4月19日 (木)

長身の男性の背中は2ヶ所で曲がる

 転職した新しい職場でパソコンの仕事を始めた長身の男性の背中は、肩甲下部と腰の2ヶ所で曲がっていました。

 低いデスクで頭を下げて、腰を曲げてパソコンを使っているのがわかります。ひどい頭痛で3回吐いたということです。眼精疲労もあります。鎮痛薬を飲んで頭痛はひどくなりました。

 緊張性頭痛と偏頭痛の混合性頭痛だと思いますが、鎮痛薬が毛細血管を拡張したために、一部で拡張して神経を圧迫していた血管がさらに拡張して、偏頭痛の痛みが強くなってしまったのだと思います。

 こうなると労働災害と言ってもいいと思います。会社の福利厚生費を個人にあったデスクに投資していかないと、結局作業効率は低下し、やがては医療費にも跳ね返って、社会保険の支払いをすることになります。

 身長の高い社員を採用した時点で作業環境を整えるというシステムは、なかなか存在しないようです。4月で二人、そんな方に指圧をしました。

 身長が高いというのは不便なことも多いようで、“この国サイズ”でないと猫背生活を強いられます。全身の指圧をして頭痛は治まったのですが、注意をしないと椅子に座っても猫背になります。

 会社まで往復3時間、車の運転をすることになるそうです。施術が終わると、体を畳んで車に乗り込み、帰っていきました。会社が用意してくれないなら、自分でパソコンの高さを工夫するしかないでしょう。できれば車も。

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2007年4月18日 (水)

左利きの大工さん

 一年以上前に一度だけ指圧をした女性から「いい所を知っている」と紹介されて来たのは60代の男性でした。

 まずその女性に感謝です。記憶に残るタッチをしたいと思っています。こんなふうに思い出してくださる方がたくさんいて、いつも有難いことだと思っています。

 男性は整形外科で「六十肩だ、これは治らない」と言われ、後ろから肩に電気をあてられ、内服薬2種類と外用薬をもらって帰ってきたそうです。良くならなかったので、薬も病院も1回でやめてしまったそうです。

 痛みがあるのは左前胸部で、2週間前の夜中に突然の痛みで目が覚めて以来、痛みが続いています。狭心症も疑ってみたほうがいいと思いますが、脈に異常はなく、健康診断でも異常なし、日常生活で息切れがするということもないそうです。

 座位で左肩の関節運動をすると内転・内旋で痛みがあります。上肢を下垂して後ろから前に肩を動かす時にも痛みがあります。これは明らかに大胸筋の痛みです。典型的な『五十肩(六十肩)』のように、肩関節の挙上や外転・外旋で痛みはありません。

 私なら後ろから電気をあてません。

 男性は左肩が下がっています。「左肩が下がっているのは珍しいですね」と言うと「左利き」なのだそうです。

 手仕事を体の前でする、手掌を下に向けるという時には、肩関節の内転・内旋を伴い大胸筋が緊張します。

 左母指の末節骨は職人の歴史の中で変形し肥大したようです。組合の役職もまかされ、県議、市議と選挙が続くので、建築関係の仕事をしているととても忙しいようです。

 横臥、伏臥、仰臥と指圧をしましたが、ほとんど眠っていました。左鎖骨部大胸筋には硬結があり、長い間にできた“仕事の筋肉”だと感じました。過度のストレスが筋肉の痛みと神経の痛みを生み出していたのでしょう。

 施術後、しばらく眠りから覚めないような状態でしたが、ゆっくりと起き上がって左肩の関節運動をすると痛みはなくなっていました。

 ポケットのたくさんついた作業ズボンにはペンキがついていて、肩を回しながら白い軽トラックで帰っていかれました。小雨混じりの天気で仕事が休みなので指圧に来れたということですが、選挙期間中は本当の休みはないのかもしれません。お大事に。またお待ちしております。

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2007年4月17日 (火)

ソムリエの右肘痛

 歓迎会や送別会の宴席が続いて、右肘の痛みを訴える女性ソムリエが指圧にいらっしゃいました。

 考えてみたこともなかったのですが、パーティーで30本、60本、100本とワインのコルク栓を抜き続けると、橈側手根伸筋を酷使することになり、“手三里”“曲池”が硬くなります。

 コルク栓を上に抜く手首の動作は橈側手根伸筋の働きです。この時にワインオープナーを握っているので、示指の付け根の“合谷”も橈屈の動作に伴い硬くなります。

 ソムリエというのは名前の印象ほどスマートな仕事ではないようです。コルク栓を抜くだけでなく、ワインを注ぐ時にも腕の筋肉を使います。パフォーマンスもソムリエの仕事ということであれば、ワインの瓶を持って最低でも一杯はグラスに注ぐことになります。それを続けて疲労の蓄積により炎症が亜急性的に悪化しています。

 上肢の他に、腰、膝、足、肩、頭まで痛みがあります。軽くゆったりとしたリズムで全身に指圧をします。グレープフルーツのアロマミストを使いたいと思ったのは、体の許容量を超えた疲労を抱えていると感じたからだと思います。体に幸福感が足りません。

 右肘は触れただけでも痛いという状態だったので、ペパーミントとブラックペッパーをスイートアーモンドに希釈して母指軽擦を繰り返しました。

 始めは触れただけで痛かった右肘も次第に痛みが緩和されていきました。患部より手前と患部より先の施術を重視して、誘導的な炎症の緩和を目標としました。

 「腰がギックリ腰になりそう」で、「膝がはずれるかもしれない」という体は大騒ぎの状態なので、いくつかのストレッチは関節を狭い範囲で動かすだけにしました。

 予約はずっと続いているのだそうです。ワインの栓抜きは自動のものにするか(電動があったのでは?)他の人にまかせて、ワインの選択のアドバイスだけにしたらどうですかとはお話ししています。

 本当なら3日安静にするのが妥当ではないかと思います。同じように仕事をするのなら、仕事の後に腕を冷やす必要があります。こだわりや仕事の満足感というのは本人の問題なので、腕がねじ切れるまでワインを抜き続けるならそれも良しということです。何だかスポ根漫画のようです。

 此処に来る人全員に「指圧の効果は最低でも2日は持続するので、毎日来る必要はありません」と言ってきたのですが、特別に「痛みが治まらなかったら、明日来てもいいですよ」と言ってあります。

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2007年4月16日 (月)

岩盤浴の値下げ

 最近できた温泉施設では、岩盤浴が入浴料に含まれて1000円程度という所が増えています。温泉の掘削技術が向上し、温泉を掘るギャンブル性が減ったことと、岩盤浴の設備が安く作れるようになったということが理由だと思います。

 岩盤浴を取り入れる温泉施設が増え、一般に知れ渡った最近では、実質、岩盤浴は値下げ傾向にあるようです。

 そうなってくると差別化を計るには岩盤自体に特長を持たせるということが一つの方法なので、岩盤浴を待つ入口付近には麦飯石やラジウム鉱石などの効能が高らかに掲げられています。

 しかし、岩盤浴で温熱療法としての効果以外に石の成分の影響まで受けることができるかとなると、20分前後の時間ということもあり疑問です。

 集団で部屋に寝そべる形の岩盤浴では、温度の調整もできず、いびきをかいて寝始める人でもいると、イライラがつのって単なる我慢の時間になってしまいます。

 エステのようにカプセルにしたり個室にしたりして高級感を出す方向性もありますが、岩盤浴の値下がり傾向と逆行しているので、そこまでして岩盤浴がしたいかとなると、NOの意見のほうが多くなっていくでしょう。

 私は『岩盤浴ってそんなにいいかぁ?』という感覚なので、温泉の岩盤浴室の前で行列して並んでいたその行列が短くなってきた今、岩盤浴の正当な評価が世間にされてきたのだと思っています。

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2007年4月15日 (日)

左の腰痛が右の腰痛になる

 3年前に左腰部をギックリ腰で痛めて、今回は右の腰痛がなかなか治らないという30代の女性が指圧にいらっしゃいました。鍼の治療を受けたのだそうですが、効果は感じられなかったようです。

 まず口角炎に目がいきました。口角炎は頻繁に出現し、便秘気味だそうです。冷えの自覚はなく、実際に手足は温かいので、色白で水太りタイプではありますが、実証と診ていいと思います。

 パソコンの仕事をしているそうで、脊柱は左に側弯しています。猫背はそれほどひどいものではなく、前頚部の硬さもありません。

 立位で足を肩幅に開いての前屈は膝まで指先が届きません。後屈、側屈、回旋に問題はありません。仰臥位下肢伸展挙上テスト(SLR)は左右ともに痛みがありません。椎間板ヘルニアの可能性はあまりなさそうです。

 横臥位で触れていくと、下半身にむくみがあります。ほとんど運動をしていないそうです。伏臥位でヘッドポジションから左骨盤際の脊柱起立筋を圧しこんだ時に痛みがありましたが、通常の指圧では痛みがありません。

 「指圧ってツボを圧していくのではないのですか?」と聞かれます。予想していた指圧は、“痛い所を圧されて我慢して受けるもの”のようです。「ツボを圧していないわけではないのですよ」と答えます。

 指圧の考え方はそれぞれですが、私は施術の流れの中で浮かびあがってきたポイントや残ってしまった硬さをツボとして意識する以外は、体を気持ちよく伸ばしていくというタッチをしているだけです。

 伏臥位で下肢伸展後方挙上のストレッチをしても痛みはありません。大腰筋もひどく悪くはなさそうです。股関節の回旋や骨盤の調整をしても問題はみつかりません。やはり脊柱の左側弯のために第5腰椎と仙骨のあたりに問題がありそうです。

 最後の腹部の指圧で左下腹部に痛みがありました。内臓の下垂が腸を圧迫して便秘気味の下腹部に痛みを感じるようです。口角炎ができやすく便秘気味であるということと第4・第5腰椎間の“大腸兪”付近の痛みがここで結びついてきました。

 右に感じていた腰の痛みは左をかばうための腰の疲労だと思います。やはり痛みの本当の原因は左腰にあるのではないかと思います。

 ただし、下腹部の痛がり方が手掌圧でも感じるような強いものだったので、子宮や卵巣を含め内臓の病気で腰痛が起きているという疑いはあります。痛みが強くなったり、不正出血があるようなら専門医への受診も考えたほうがいいとお話ししました。

 脊柱の側弯解消のストレッチやいくつかの腰痛と肩こり対策のストレッチを覚えていただいて、施術を終えました。前屈は床まであと少しという所までできるようになりました。しかし「前は床まで着いた」のだそうです。

 「あまり無理に伸ばさないように、痛みの出る手前まで」と言って少し悔しい気がしたのは、まだ欲がある、達観はできていない、すっかりよくなっていたらもっと満足しただろうなということです。

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2007年4月14日 (土)

エストロゲン様作用のある精油

 女性らしさを醸し出すホルモンにエストロゲンがあるのですが、それに似た働きをする精油はたくさんあります。

 クラリセージ、フェンネル、バジル、ニアウリ、アニス、イランイラン、ゼラニウム、ローズ、メリッサ、ジャスミン、カユプテ、その他にも乳汁分泌を促進するレモングラスや最近では男性の女性化乳房を促すのではないか(男性ホルモンを阻害する)という研究発表がされたラベンダーとティートゥリーがあります。

 甘い花の香りとスパイシーなハーブが女性らしさを作るようです。イタリアのパスタや地中海の魚料理やタイのトムヤムクンなど、女性に人気の料理は女性の体が必要を感じて無意識のうちに要求しているのかもしれません。

 施術の際には、これらの精油は女性をリラックスさせ、筋肉の緊張緩和に役立ちます(もちろん男性をリラックスさせないということはありません)。

 問題なのは子宮や卵巣の病気を抱えた方の場合です。ホルモンを調整する薬を服薬している場合が多く、エストロゲン様作用のある精油は使用するべきではありません。

 またエストロゲン様作用を持つ精油は、妊娠中は使えないと考えていいと思うのですが、分娩を軽くし、産後の体調を整えるためには大活躍します。

 妊娠中や子宮や卵巣の病気がなくても、高濃度で使用しないということは必須です。たくさん使えば女性らしくなるというものではありません。それ以外のこともあって、プラス“ほのかな香り”も使い分けるということではないでしょうか。

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2007年4月13日 (金)

肩こりは“肩叩き”では治らない

 肩を叩く時に、“肩の筋肉に拳(手指)があたると同時に上に引き離し、軽い刺激ができる”プロのテクニックがあれば別ですが、筋肉を押し潰すように同じ部位ばかり叩けば、筋肉の炎症を増すだけで肩こりが治ることはありません。

 もし治ったように感じたなら、それは叩いているときは触圧刺激の連続が痛覚の伝達を止めていたからに過ぎません。

 特に電気式のハンディマッサージ機は、筋肉に密着させて使用するため、筋肉への刺激が強くなり、適量刺激を超えてしまいがちです。

 肩こりを揉み返しなく緩和するためには、痛みのある筋肉の端から端までを伸ばすように軽擦する、あるいは軽圧する、軽く叩く、ストレッチをするということです。

 筋肉の端と端を把握することができていない方のほうが多いと思いますが、例えば後頭骨の下端から肩関節までをストレッチするように刺激していくのが肩こりを緩和する効果的な方法です。

 先日、『歯医者さんが全身を診る主義なのでマッサージをしてくれるけど、とても痛いんだ』と言っていた方がいました。とてもいい先生だと思いますが、タッチの刺激は自分がやりたいような強さで相手を刺激すればいいというわけにはいきません。

 これは理容院や美容院のマッサージでも同じです。手技療法をマネても自分の一つのやり方しか与えられないのであれば、それはサービスにはならないのです。

 筋肉の端と端をストレッチするように、軽い刺激で正しい方向に伸ばしていくのが、肩こりを治す“肩叩き”です。当然やりすぎてはいけません。

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2007年4月12日 (木)

右肩が下がっている人

 右肩が下がっている人に施術をする機会が多いのですが、だいたいは頚の右側屈(右耳が右肩に近づく)、左回旋(顔を左に向ける)が伴います。これは右利きの手の使い方と関係しています。

 右手の仕事を目で追うためには、頚の右側屈、左回旋が自然です。机に右肘をついて右手でペンやマウスを使えば右肩は下がります。

 このときに頚の付け根と右肩が交差する右斜角筋隙が短縮し、腕神経叢の出口も狭くなります。右肩上部僧帽筋、右後頚部で後頭骨の際の“天柱”、左前頚部鎖骨上の胸鎖乳突筋、ペンを握れば“合谷”“手三里”“曲池”などの手から前腕橈側の伸筋が緊張します。

 脊柱も右に側彎し、右腰下部に負担がかかります。右に体重がかかると左半身のほうがむくみやすくなります。極端に言えば右利きの人がデスクワークをする時に左半身の筋肉は不動性萎縮の状態にあります。

 体の硬く緊張した部位は交感神経が過敏になっていて強く触れると痛いので、柔らかい刺激で施術をすることになります。

 あまり使わずにむくんだ筋肉は副交感神経が過敏であると考えてもいいと思います。何故ならば多少強い刺激であっても、むくんだ筋肉は触圧刺激を気持ちいいと感じるからです。

 肩こりがひどく、頚が右側屈、左回旋しているとすると、姿勢や周囲の筋肉の緊張によって、右の椎骨動脈と左の頚動脈の血行が悪くなっていると考えられます。

 頭痛と眼精疲労、特に右後頭部痛と左目の血行不良を念頭に置いて施術したほうが良さそうです(視力の良い利き目が右であれば右目のほうが疲れます)。

 この考察は、昨夜予約をいただいた方のシュミレーションでもあります。そろそろ頭痛が始まりそうなので指圧をしておかなければという思いが、少し疲れた電話の声から感じられました。

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2007年4月11日 (水)

平泳ぎの息つぎで頚を痛める

 頭を後ろに倒すと頚が痛いという女性の指圧をしました。寝違えか、むち打ちのようなものかと考えました。

 腕を使う仕事で猫背であり、右に体重がかかっています。右の第7頚椎と第1胸椎の脇で肩甲骨との間に硬結があります。

 脊柱起立筋、肩甲挙筋、大・小菱形筋などすべて硬くなっていると思ったほうがよさそうです。この部位の筋肉は肩甲骨を上に持ち上げたり、内側に引き寄せます。頭を後ろに倒す時に働く筋肉もあります。

 全身の指圧をして体のバランスを調整しましたが、この部位の硬結を取り去ることはできず、頭を後ろに倒すとまだ少し痛みがあります。

 指圧をしながらあれこれお話しをするうちに、頚が痛くなる前にプールで平泳ぎをしたということがわかりました(このプロファイリングというか、クライアントと一緒に原因を考えている時間は非常に楽しい一時です)。

 猫背のまま平泳ぎをすると、呼吸をするために頭を持ち上げる筋肉の負担が大きくなります。背泳ぎならストレッチになるのですが、平泳ぎでは泳ぎながら第7頚椎周囲の筋肉を緊張させていたことになります。

 泳ぎが達者で水泳がストレッチになる方と違って、頑張ってしまうタイプの性格なので、筋肉を余計に硬く緊張させて、寝違えに近い状態を作り出してしまったのでしょう。

 第7頚椎は突出しているので、頭の後屈を続けて行うと周辺の筋肉に炎症を起こす刺激を与えることもあると思います。

 車にヘッドレストがあり、胸鎖乳突筋が頭の後屈を制御する方向に緊張するように、頭を後ろに倒す方向に衝撃的な運動をしないように人間の体はできています。

 施術後、頭を後ろに倒しさえしなければ痛みはなくなり、肩や腰の張りは解消しました。猫背になっていなければまた違っていたのでしょうが、急性の炎症なので、3日くらいで痛みを感じなくなるでしょうと申し上げました。

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2007年4月10日 (火)

ジェネリック医薬品で喘息発作?

 昨日指圧をしながら聞いた話です。喘息の娘さんは近所の診療所に受診していたそうです。そこではジェネリック医薬品が処方されました。

 ジェネリック医薬品は新薬の特許期間満了後に、他の製薬会社が同じ成分で製造する薬です。開発コストが削減できるため安価な薬を提供することができます。最近テレビCMも盛んに放送されているのは、国の医療費削減の機運とも合致しているからでしょう。

 その娘さんは喘息の発作を起こして大学病院に入院しました。そこで医師から『ジェネリック薬が原因だ』と言われたのだそうです。

 そんなおかしな話があるだろうかと思いました。そこでいろいろと調べてみたところ、『製法の違い』『副成分の違い』ということが浮かび上がってきました。

 アロマテラピーを勉強するとわかるのですが、例えばローズの精油を得るためには水蒸気蒸留法と溶剤抽出法があり、前者で得た精油をローズ・オットー、後者をローズ・アブソリュートと呼びます。

 溶剤抽出法は揮発性溶剤へキサンなどを製造過程で使用し、精油成分を吸着させます。水蒸気で蒸留して製造するよりも、効率よく精油を作ることができ安価に精油を提供することができます。しかし残留溶剤の問題もあり、よりナチュラルなアロマテラピーを目指すアロマセラピストの多くは、トリートメントの使用を控える傾向にあります。

 ジェネリック医薬品も、工場の製造ラインの違いや材料の仕入先の違いなどから、『主成分は同じであっても、全く同じ薬ではない』物を作っている場合もあり得るのだと思います。

 薬の製造方法に水蒸気蒸留法と溶剤抽出法くらいの違いがあるとすればかなり違う認識のもとに作られていると言ってもいいと思います。また、色や味や香りや形を決める副成分に至っては、全く内容が違うということもあるかもしれません。

 医療費削減にジェネリック医薬品が大きく貢献することは間違いないと思いますし、ジェネリック医薬品の使用を推進することにも私は賛成です。しかし、喘息の発作を起こしてしまうほどの“違い”を持つジェネリック医薬品があるならば、もっと『タミフルなみ』に注意を喚起すべきだと思います。

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2007年4月 9日 (月)

魔法使いのおばあさん

 まだ子供だった頃、朝夕中型犬を3匹連れて散歩していて、よくすれ違うおばあさんに、「あんたはきっといい事がある、犬を大事にするから」と声をかけられたものです。

 よく知らない人に声をかけられるのは少し窮屈な思いもしたのですが、犬が好きなおばあさんなんだろうなと思っていました。

 そんなことはすっかり忘れていたのですが、たまたま犬を散歩していた道がどうなったか車で行ってみようと出かけたところ、いつもおばあさんとすれ違ったあたりで、“そのおばあさん”を見たのです。

 あの頃すでにおばあさんだったので、その時見た顔はしわくちゃで、魔女の風貌をしていました。そしてずっと忘れていたあの言葉が蘇えりました。『あんたはきっといい事がある…』

 車で通り過ぎてしまって、一瞬の出来事だったのですが、あの頃から感じたおばあさんの孤独の影は、一層深くなっていたように思いました。

 後で考えたのですが、あのおばあさんが生きているとすると相当な歳なので、実際は懐かしくあまり変わっていなかった景色が浮かび上がらせた幻だったのかもしれません。

 森の中に住み、周りと交流をたって異文化に生きるジプシーのような人たちを、昔ヨーロッパでは魔女と呼んだのでしょう。自然の中で五感、六感まで研ぎ澄まされた人たちは、人を見抜く力や、アロマテラピーや錬金術など、独特の技術を生み出したのだと思います

 あれから何年もたって、すでにいい事があったのか、これからいい事があるのかわかりませんが、あのおばあさんの言葉は、ずっと心のどこかで励まし続けてくれていた『魔法の言葉』であったと気づきました。

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2007年4月 8日 (日)

ジャイロボールと回旋

 ジャイロボールはボールの進行方向(球道)を縦軸として回旋しながら進みます。上肢の動きを例にとると、ドアノブを手で握って回す方向が回旋で、ジャイロボールは伸ばした上肢の方向に進みます。回旋には右回旋と左回旋があります。

 通常、オーバースローのピッチャーが直球を投げる時は、指が過伸展してボールを指腹で押し出すことになりバックスピンがかかるので、球道とボールの回転軸は一致しません。強いバックスピンがかかった速球は打者の手元でホップし、カーブのようにボールの前面に下向きの強擦をすれば、打者に近づくにつれて落ちるボールになります。

 ジャイロボールの回旋のスピンは、オーバースローの速球のように、肩関節外転・外旋、肘の屈曲、指の過伸展を利用して、球道の方向に指腹を押し出すことではかかりません。

 ボールの側面を下か上に強擦して、ジャイロボールのスピンをかけることはできるのですが、そのままボールの前面の延長線を球道として、速くて強いボールを投げるのは難しそうです。

 速いフォークボールがどちらかの指に引っかかった時か、カットボールを投げる時にボールの側面を指で強擦できれば、ジャイロボールに近いスピンが得られることはあると思います。

 “DICE-K”の活躍を見て考えてみた『臨床的ジャイロボール考』です。

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2007年4月 7日 (土)

ぬかるみに爪先をとられて膝下が痛い

 野球の守備でボールを追っていて、爪先をぬかるみに突っ込んで、そのまま惰性で下肢が伸ばされて膝の下が痛いという方の指圧をしました。

 足が底屈、膝伸展、股関節が後方に伸展して、足が後ろにある状態で伸びてしまったということです。

 右膝下内側に痛みがあり、膝屈曲で脛骨の引き出し検査をしてみましたが、靭帯ではないようです。膝蓋骨を動かしても痛みはありません。表面の痛みとすると大腿四頭筋の膝蓋腱を傷めたのではないかと思いました。膝伸展で傷めているからです。

 全身の指圧後、膝伸展、足底屈、第1足趾屈曲で膝下内側に痛みがあります。このような時に傷口が開くのかもしれません。傷めてすぐに膝にコールドスプレーをし、普段はサポーターもしているのでケアは適切だったと思います。しかし、傷が治るまでには時間がかかりそうです。

 施術後、第1趾を屈曲する筋肉が膝下内側に始まることはなかったかと考えましたが、長母指屈筋の起始は腓骨体下部後面です。膝下内側の脛骨粗面ではありません。

 脛骨粗面に停止する筋肉として、縫工筋、薄筋、半腱様筋の鵞足があるのですが、膝伸展で傷める事があるかどうか、次回もう一度触ってみなければいけないと思っています。

 

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2007年4月 6日 (金)

むくみにフランキンセンス、パチュリを使ってみる

 妊娠中の方や子宮の病気がある方に、むくみに効果的なデットックス系の精油やホルモン調節作用のある精油を使わないのが一般的です。

 ジュニパーを妊娠中に使っても問題ないという説もあるのですが、使って不安にさせてしまうよりも、妊婦さんや子宮の病気を持つ方のむくみにはジュニパーやフェンネルを使わない方が賢明です。

 むくみを解消する精油にはグレープフルーツもあるのですが、これから紫外線が強くなるので光毒性を考えると、日中のマッサージの後すぐに外出する素肌を出す服を着るという場合、ベストな選択とは言えません。

 そこで利尿作用や収斂作用(引き締め作用)のある精油、フランキンセンスやパチュリを使ってむくみを解消するマッサージを考えてみました。

 (厳密にいえばフランキンセンスには通経作用があり、妊娠初期の方の使用は控えたほうがいいと思います。フランキンセンスとパチュリは禁忌のない精油とする説を信じていたのですが、この文章を書いた後に調べたところ、妊娠中の使用を控えるとする文献もありました。しかし妊娠を知らないでトリートメントに使ってしまった場合は、1%以下の濃度であれば問題はないとされているので、心配はありません。この部分、4月14日に追加しました。)

 フランキンセンスは乾燥肌や老化肌に潤いを与え、パチュリは皮膚の再生を促します。この二つの精油は使用の際に特別な注意はいりません。単独で使うよりも二つをブレンドして使ったほうが面白いと思います。

 血液の循環を促進し、むくみを解消するマッサージを、より効果的にしてくれる精油です。

 サンダルウッドも同じように利尿作用、収斂作用がありますが、鎮静効果が強いので、気分が沈みがちな方には使わないほうがいいかと思います。

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2007年4月 5日 (木)

温泉で膝のリハビリをするお年寄り

 温泉の脱衣所で、椅子に座ってサポーターをつけた左膝の曲げ伸ばしをする高齢の男性を見ました。

 温泉の中ではサポーターなしでリハビリ運動をしていたのでしょう。膝の痛みがとれるようにと、真面目に几帳面に、毎日リハビリを続けている方だと思います。

 しかし、背中が大きく曲がっていて(胸椎の後弯)、右大腿、右下腿がひどくむくんでいます。左膝の運動だけを一所懸命に続けていて、他の部分のストレッチやエクササイズなど頭の中にはないのでしょう。

 保険診療では患部の治療をするので、全体のバランスまではなかなかアドバイスをしてもらえないことがほとんどだと思います。『背中を伸ばして、右下肢のむくみをとれば、左膝はもう少し動かしやすくなるだろうになぁ…』と思います。こちらは裸なので、いきなり指圧を始めるわけにもいきません。

 膝痛の場合は大腿四頭筋を鍛えることで伸ばしやすくなるということはあります。ただしそれだけでは運動の巧緻性や容易さを獲得することはできません。

 拮抗筋や協力筋、反体側の下肢や上半身を、鍛えたり、ゆるめたりすることが、患部の負担を軽減することになります。

 例えばバストアップも、胸の前で合掌して大胸筋を鍛えるだけでなく、背筋をゆるめて猫背の矯正もすると、より効果的です。

 温泉で温まって、血液の循環を良くしてからリハビリ運動をすると効果があります。『そうだけど、しかし…』と、反対側の下肢のむくみと背中の曲がりをセラピストの目がズームアップして見ていました。

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2007年4月 4日 (水)

頚が回らない!

 むち打ちの経験があり頚が回らないという40代の男性が、都内から車を運転して指圧に来ることになりました。

 こういう時は無事到着するか心配です。『近所にどこかいい病院でもないのだろうか』と思います。「予約の時間より一時間前に到着しそうだが行ってもいいか」という電話が入ります。ちょうど指圧が終わって休憩していたところですが、駄目だとは言えません。指圧への期待を感じるので『良くならないとかなり感じ悪いなぁ』と思います。

 問診に続いて座位で触診します。筋肉が発達し小太りで猫背、頚は軽度右側屈しています。右肩根点の硬結が神経の出口の斜角筋隙を詰まらせているようです。パソコンワークが一日のかなりの部分を占め、車での移動がほとんどで運動不足です。

 眼精疲労、高血糖、O脚の上、左踵痛は座骨神経の影響だと思います。幸いな事に頚椎の変形はひどくありません。

 頚部、背部の筋肉をゆるめ胸椎の後弯を矯正し、下肢の指圧とストレッチでO脚を矯正します。全身の指圧、ストレッチの後、頚の前屈、後屈、側屈、左右の回旋で痛みはありません。

 人間はそれまで痛くて動かせなかったものが動かせるようになると、グルグルと回したくなるようです。「……」という感じです。痛みから解放された嬉しさはわかりますが…。

「膝をしっかりと伸ばして大股で乳頭線上の胸骨を突き出して無限大遠くを見て荷物を持たずに歩くために歩く!その時に前に足を出した側の肩を後ろに引く!」毎回言っているので句読点なしでウォーキングのアドバイスをして施術を終えました。

骨の変形が顕著でなく筋肉がしっかりしていて矯正できる部位が多い今回のケースでは、一回の施術でも劇的な効果がありました。

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2007年4月 3日 (火)

膝痛治療の選択

 左膝の痛みで指圧を続けてきた60代の女性が激痛で歩けなくなり、整形外科で検査をしたところ、関節軟骨がほとんど磨り減っていたそうです。

 体質的に痛み止めの注射(ステロイドだと思います)はできないと言われたそうで、ヒアルロン酸の注射の1回目をしてきたそうです。あと4回注射をすることになっています。

 足を引きずりながらやってきた女性は、注射がとても痛かったと言います。できれば注射はしたくないということでしょう。

 膝関節の軟骨が磨り減っているだろうことは、ずっとそう思っていました。『指圧をすると歩けるようになる』ということが、本当に良かったのかという思いはあります。

 そして全身指圧をします。左鼡径部から足先までむくんでいて、大腿四頭筋、大腿二頭筋、前脛骨筋が緊張しています。こりをほぐし、むくみを還し、いつもよりも慎重に下肢の牽引や関節運動をしていきます。

 丁寧に触ることが痛みを感じさせないのでしょうか?正座ができないはずなのに膝関節を最大屈曲しても痛みはありません。施術後、足を引きずる事もなく歩けるし、膝の屈伸でも痛みはありません。

 下肢の筋肉を鍛えたり、過緊張をゆるめたりすることで、膝の曲げ伸ばしが楽になるというのは保存的治療の基本ですが、整形外科の保険診療ではここまでの手技をすることはできないと思います。

 『ここへ来れば何とかしてもらえる』というプラシーボ効果も擦り込まれていると思います。「今度整形外科に行ったら、注射ではちょっとも痛みが取れなかったけど指圧で良くなったと言ってくる」と言うので、「それはやめてくれ」と言いました。

 あと4回のヒアルロン酸注射は受けてみてもらいたいし、場合によっては人工関節の手術ということもあるかもしれません。病院へ受診する治療の機会を奪ってはいけないのです。整形外科の先生と良い関係を築いてほしいと思います。

 確かに指圧をすれば膝の痛みがとれて歩きやすくなるケースはたくさんあります。指圧に限らずポイントが的確ならばどんな手技でも膝痛が緩和することは多いだろうと思います。

 ただし病院の治療を開始したのであれば、そのサポート役の立場を超えるべきではないと思います。余程の事でもない限り…。余程の事態に進展して、また指圧ぐらいしか選択肢がないということが起きてくるのもしばしばなのですが…。

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2007年4月 2日 (月)

月経血を誘導する

 指圧でかなり確実に効果がある症状として、生理の遅れがあります。予定より生理が遅れている場合は、排出されるべき月経血はすでにそこにあると考えていいと思います。

 全身性に眠れるような気持ちのいい刺激をしていくと、ほとんどの場合翌日までに生理になります。施術直後にトイレに行って生理が始まっていたということもありました。

 特定のツボの指圧を重視するのではなく、その時の体の硬直したポイントをゆるめることを目標とします。ストレスが血流にストップをかけているような状態なので、末梢までの血流を改善していけば骨盤内臓の血流は誘導的に促進されることになります。

 アロマオイルマッサージの軽擦から強擦までの刺激をイメージして指圧をができれば、ほとんどの場合生理の遅れは解消します。

 おそらくこの施術感覚はかなり多くのセラピストが持っているのではないかと思います。成果は上げているのですが、実際の生理の感覚はわからないので、男性のセラピストは(たぶん多くの先輩たちも)知ったかぶりをしているようで、あまり自慢げには語れない部分です。

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2007年4月 1日 (日)

深紅の舌・裂紋 熱と分泌液の過剰

 疲れている上に花粉症で涙と鼻水が止まらないという女性の指圧をしました。舌の色は濃い赤で、クッキリとした裂紋(亀裂)があります。舌診では裏熱証、津液不足、言い換えると慢性的な炎症があり、体液の分泌が過剰で水分不足の状態です。

 五行で涙は、肝臓に対応する体液でもあります。右足の第1趾爪根部内側からその延長線上の足の甲を押圧すると痛みがあります。これは肝の経絡です。

 また、右足底の肝の経絡の真裏に硬結があります。これは足裏マッサージの機械にかかりすぎた事によってできたようですが、肝の経絡の痛みを感じてその部位に刺激を集中させていたのかもしれません。

 右上腹部中央肋骨際で肝臓の硬さに触れます。ストレスで深夜にお酒を飲まずにはいられないということです。

 花粉症なので、左右の前腕外側で橈側の“曲池”、“手三里”、母指と示指の間の“合谷”を圧すととても痛がります。鼻づまりもあり、薄い鼻水が流れます。涙も花粉によるアレルギー性結膜炎があるために流れ続けるような状態にあり、目の周りの皮膚は黒ずんでいます。

 五行で肝と対応するのは、「木・火・土・金・水」でいえば木です。『動かざること…』というのが、今の状態なのですが、どうも忙しすぎるようです。

 全身指圧をし、その間鼻水や涙が流れて困るということはありませんでした。しかし、花粉症のレベルからすれば抗ヒスタミン薬を飲んだほうが良いような状態です。疲労によって免疫力は低下し、過剰なアレルギー反応が起こっています。

 『…林の如く』休養がとれるでしょうか?足裏マッサージの機械は禁止、深夜の飲酒は控える、病院への受診、そんなアドバイスをしましたが、守れなければ次は“沈黙の臓器”肝臓が本格的な悲鳴をあげることになります。

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