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2007年5月31日 (木)

CD『MENTAL DETOX』

 CD『MENTAL DETOX』(監修:まのえいこ(株)デラ)はマッサージ・ミュージックとして使えます。

 どこかで聞いたヒーリング・ミュージクのフレーズを集めたような“何でもあり”の感じがするCDですが、入門編としてはお勧めできます。

 大人買いをしてしまった同じ“WELLBEING”シリーズの『SPA』『ヨガ』『予防のための音楽「うつ」』はマッサージ・ミュージックとして私は使えません。テンポの変化がありすぎたり、歌入りだったり、メロディが歌いやすかったり、集中を削がれることがその理由です。

 BGMとも治療的な音楽とも違う、内面の世界へ向かうためのスピリチャルな音を見つけるのはなかなか難しいものです。

 8小節くらいの試聴で買ってしまうと後でがっかりなことも多いので、できるだけ粘って聴いてみてからのCD購入をお勧めします。

 クライアントの心に浸透する音楽は、現実の場所と潜在意識空間の架け橋になります。確実に施術の効果を向上させるアイテムとなります。自分のインスピレイションにマッチする音を探しつづけ、なければ創作することです。

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2007年5月30日 (水)

黄砂の影響で肩がこる?

 日曜日以来、黄砂の影響が考えられる肩こりの方が3人指圧にいらっしゃいました。

 肩こりと息苦しさ、都内にいたというのも共通点です。下痢の方もいました。

 単なる肩こりでないと感じる理由は、胸郭の詰まりと前頚部の硬さです。喉・気管・肺と圧迫されて心臓の働きの弱さを感じます。

 普通のアレルギー反応と違うのは、喘息の方に発作が起きていないことです。

 今まで経験してこなかった異物が、呼吸によって体内に取り込まれたということではないでしょうか。

 アロマと指圧によって皆さんの症状を回復させることができましたが、これから始まるプールの授業などで、子供たちに影響が出ないか心配です。

 煤煙などの化学物質が含まれていると言われる黄砂をたくさん吸い込むと、体は緊張し、肩や頚がこって疲れるのだと思います。

 花粉以上の注意が必要だと感じます

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2007年5月29日 (火)

キャッチ&リリース

 手技療法で使われる“リリース”という概念は、体の硬直を解放していくということです。それが同時に心の解放につながることは、多くの人が経験しています。

 人間の生命は栄養の吸収とエネルギーの消費の出し入れで維持されていきます。

 良いモノを摂り入れ、悪いモノを排出するということが必要になります。

 しかし、時には悪いモノを摂り込み、せっかく集めた良いモノを捨ててしまうこともあります。

 忙しさや痛みや悩みは、人間を“トラワレ”にして、目下の一大事に固執するあまり、良いモノや素晴らしい今をわからなくさせてしまいます。

 その胸を締め付け、手で握り締めているものを解き放つための選択肢は、医療の、あるいは癒しの現場では、いつも見えるところに掲げられていなければいけないと思います。

 放すことは話すことでもいい、アロマテラピーなら香りに包み込んで寄り添うことでもいい、自分の命の奥底から湧き上がるようなタッチができるなら、握り締めていた手を開くことは可能です。

 二人の死が大きく報道される中、アロマテラピーや手技療法に携わる私たちは、“トラワレ”から解放する施術ができることを、広く知らしめていかなければいけないと思いました。

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2007年5月28日 (月)

ヒトES細胞の培養と血管拡張

 ある血管拡張剤を使用することによって、ヒトES細胞の大量培養が可能になったそうです。再生医療という選択肢が、これから一般化していくことだろうと思います。

 血管を拡張することが新しい細胞を生み出す必要条件だとしたら、指圧やマッサージの役割があらためて見直されることになるかもしれません。

 昨日は日曜日で一応はお休みなので、温泉とその中のサウナで、かなり汗をかいてきました。

 お休みモードで帰ってきて、留守番電話を解除しないうちに電話が2回ありました。

 できればこのゆったり感の中で一日を終えたいと思っていたので、緊急ならメッセージがあるだろうと用事をしていて電話に出なかったのですが、留守電の点滅はありませんでした。

 留守電を解除した時、また電話がありました。休みを承知で電話をかけている必死な思いを感じました。

 電話をとると、川崎から実家に戻った娘さんの肩こりがひどく、呼吸が苦しいというので診てもらえないかという、お得意様からの電話です。

 電話越しに頭を下げられ、「これから用意をしますので、30分時間をください」と言って電話を切りました。

 自分の体を絞ってきているので、すぐに指圧ができる状態ではありません。着替えて、アロマやCDを用意して、水分を補給して、ストレッチをする間もなく、娘さんを連れてお得意様がいらっしゃいます。こういう時、30分の時間はいただけないものです。

 パソコンの仕事をしているそうで、肩甲骨と背骨とその間の筋肉が一枚の骨のようになっています。肩関節が内転・内旋し猫背なので、胸を締め付けてこれでは呼吸も苦しいだろうと思いました。

 全身指圧をし、ラベンダーのアロマミストでよく眠りました。なかなかここに来ることはできないので、いくつかのストレッチを教えて施術を終えました。これなら何とか川崎まで帰れそうです。

 玄関まで見送り、施術が終わった部屋に戻って驚きました。物凄く、蒸し暑い!隣の診察室の窓を開けていたうえ、部屋を閉め切ってはいなかったのに、風通しが少しはあったはずの施術室の温度と湿度は、まるでビニールハウスの中に入ったようです。

 『こっ、これは私の放熱か!』おまえただものじゃないなと、ひとりツッコミを入れながら、水分を入れ換えきった、サラサラの汗をぬぐったのでした。

 この指圧は効いたと思います。そして血管拡張しきった私は、大量に細胞が新生するのかもしれませんが、偏頭痛に襲われて日曜日を終えたのでした。

 できれば温泉・サウナで汗を出し切った後に、指圧やマッサージはしないほうがいいと思います。そうしたいのはやまやまなのですが、よくこんな日があります。

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2007年5月27日 (日)

ペパーミント、ミストで使用するときの注意

 昨日は暑くなるという予報だったので、午前中からペパーミントのアロマミストを香らせていました。

 最初に指圧をした男性は、すぐにおなかが動きだしたので、ペパーミントが胃腸の運動を活発にしたのだと思いました。

 体もよくゆるんで、伏臥位のうちからウトウトしていたのがわかりました。

 仰臥位の指圧でもよく眠っていたのですが、悪い夢でも見ているようなうめき声をあげます。ののしっているような声です。とても穏やかな方なのに何かあったのかなと思いました。

 施術後、鼻がつまっています。体に寒気がしたというのです。

 施術の早い時点で体はゆるんでいたのに、ペパーミントのせいかなとは思いました。でもこの時には、そういうこともあるかくらいにしか思っていませんでした。

 その後の急性胃腸炎の女性にこそ、ペパーミントでいいだろうと思ったのですが、念のために加温作用のあるスイートオレンジを足しておきました。

 これも施術は上手く進んだのですが仰臥位になった時に寒気を訴えます。アロマミストは止めることにしました。

 ペパーミントは冷却作用と加温作用があります。この時、女性の体は熱いくらいでした。しかし、寒気を感じています。

 約30分ほど、ペパーミントの成分を呼吸によって取り込んだ体は、冷却されていき、その反射で体温を上げる方向に向かいます。

 急性胃腸炎で触れると微熱を感じた体ですが、本人が寒気を感じている時、触れると熱いくらいに体表から熱を発散していました。

 ミストを止めて、その後の施術を終えると、体温は程好く安定していました。おなかの指圧でも、特に異常は感じられませんでした。調子も良さそうです。

 ペパーミントのミストは、濃度にもよりますが冷房よりも体を冷やすことがあります。この時は室温がちょうど良かったので、エアコンを使っていませんでした。たぶんまだ日本アロマ環境協会にもあがってきていない事例だと思います。注意が必要です。

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2007年5月26日 (土)

「いくらですか?」

「肩がこっているのですが、マッサージはいくらですか?」と電話で尋ねられると、『ここで指圧を受けているどなたかに紹介されたのではないな』ということがわかります。

「うちは全身を診て5000円です」の後に「わかりました」で電話が終わる時は、『肩こりを根本的に楽にしたいのではなく、10分とか20分“肩をいじってくれるところ”に行きたいんだ、やれやれ…△×$%&…』と思います。

「いくらですか?」と聞く方の多くは、『10分につき1000円です』という答えを期待しているのだなと思います。

そう答えればよかったかなと思いますし、それでもいいのですが→『おまえ、10分肩につかまっただけで全身施術と同じくらい肩こりを楽にできるようになったのか?そんな技術はないだろう?』→『10分で評価されたくないな』→『そうだ、それではやりかけだ、未完成だ、前奏だけだ』→『それもそうだ、納得!』ということに心は落ち着きます。

初めての方の体に触れるのです。お話しだけでも10分はかかります。初対面の人のテンションもわからずに、いきなりエンターテイメントトークショーはできません(そこが頑張りどころでない事はうすうす感じているのですが、個性なので…)。

「1000円でいいですから全身の指圧をさせてください!」でもいいのですが、『何だか必死で逆に恐い!』と思われても残念です。

要するに、クイックマッサージでないものがあるという事は知っていただきたいのです。そこにあるクイックマッサージにはないものを知っていただきたいのです。

忙しくしたくないので、予約を逃すことが問題なのではありません。私の施術が評価されないうちに「いくらですか?」には、「そこかい!」と裏拳で電話越しにツッコミを入れたくなります。

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2007年5月25日 (金)

いつもと違うと感じること

 予約の電話の声から“いつもと違う” 感じがすることがあります。

 一昨日は都内まで往診していて帰りは夜になってしまったのですが、お得意様の留守番電話がありました。

 力のない声に、緊急かとも思ったのですが、いろいろ考えて翌朝こちらから電話して指圧をすることになりました。70代の女性で、後遺症はないのですが脳梗塞になったことがあります。

 「おとうさんが送ってくれるかな?こちらから迎えに行こうか?」と言うと大丈夫だと言います。目が開けにくい症状があるので、いつもは旦那さんが車で送迎してくれています。“おとうさん”はもう畑に行ったのかなと思いました。

 畑でできたキャベツを一つぶら下げて来たその背中は大きく後弯しています。今まではこんなにもおばあさんの背中でなかったのですが…。

 頚椎の前弯は前から強く、顎が少し上がっているような姿勢です。座位、横臥、伏臥と指圧し、仰臥になった頃「おとうさんが肺炎なんだ」と言います。

 旦那さんが本当にこまめに世話を焼いている様子は以前から知っていました。その旦那さんが病気で、普段してこなかった日常の家事をしていたのだと思います。

 体は疲れていろいろな痛みを発していますが、様々な苦しみを乗り越えてきた精神力は大したものです。ありのままを受け入れて、心配を抱えていても平静であるようにさえ見えます。

 「病院が嫌いで案外と恐がりなんだねなどと旦那さんのことを笑いに紛らしながら、最後に座位で左肩上部僧帽筋の硬結を、肩関節の回旋運動をしながら指圧します。

 これで、頚と肩のこりからくる指先のしびれる感覚がなくなりました。昨日のほうがもっと辛かったのだそうです(ごめんなさい、昨夜帰ってきても、汗もかいていたし、ご飯も食べていなかったので…)。

 誰もがいろいろな事情を抱えながら懸命に生きています。それに加えて次々と新しい難問が立ちはだかるものです。私にできるのは、その時のマイベストな施術をすること、ただそれだけです。いつもと違うところを探しながら。

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2007年5月24日 (木)

『ためしてガッテン』頚の運動

 昨日のNHK『ためしてガッテン』の頚の運動は、頭の重さを利用して、静的なストレッチとエクササイズの中間位のことをするので、大変よろしいと思いました。

 枕をして仰臥位で顎を引く、その時に頚の筋肉に力を入れるという運動は頚椎の矯正になります。

 自分の手と頭で双方を押し合うというような運動も紹介されていました。

 どちらも決して目新しい事ではないのですが、整形外科を受診している高齢者の方に聞いたところ、こういった具体的な筋力強化運動を教えてもらっていないのだそうです。

 昨日も膝が痛い方の往診に行ってきたのですが、大腿四頭筋の衰えは指摘されても、それをどうやって強化するかは教えてもらっていないのだそうです。

 大腿四頭筋は、膝を伸ばして挙上すれば鍛えることができます(この場合反対側の膝を立てます)。

 体に不調を抱える方は、具体的に改善する方法が知りたいはずです。

 患部に負担をかけない静的なストレッチやエクササイズは簡単にできるものが多いのです。

 たくさんの患者を抱える病院でできないなら、公共の電波で有用な情報をわかりやすく紹介してほしいと思います。

 少数のミラクルな症例や強烈なダイエット食品より、知りたいのは具体的で一般的なためになる情報です。

 病院で教えてくれないなら、微力ながら有用な情報をかき集め、今日も皆さんに改善策を提供するつもりです。

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2007年5月23日 (水)

触れることは触れられること

 むくみやこりを見つけて適量の刺激をしていくのが手技療法の原則です。むくみは圧されて気持ちよく、こりは弱い圧から圧さないと痛いものです。

 感覚が鋭い人や何度も私の施術を受けた人の中には、タッチの強弱の意味をわかってくれる人がいます。『こっているから弱い刺激を角度を変えて細かく繰り返している』というようなことです。

 触れることは触れられることでもあります。受け手の体の情報とこちらからの刺激の情報が交換されます。

 硬い筋肉を指の力だけで圧せば、指の無理な過伸展の連続で指を痛めます。これは硬い筋肉で指を圧されているようなものです。

 強引な方法で解決しようとしても結果があまり良くないことは、日常生活の中でも多々あります。

 硬い筋肉と指の圧との妥協点を探しながら施術を進めていけば、強い圧が選択されるはずはなく、指を痛めることもないはずです。

 弱い刺激で効果的な施術をするためには、正確に筋肉をとらえなければいけないので、テクニックも経験も必要です。マニュアルがこなせるだけで生理学的な知識と一致してこないうちは、弱い刺激で施術をするには勇気がいります。

 もし弱い刺激から施術ができるようになれば、受け手のむくみが尿になり、そろそろトイレにいきたいということがわかることもあります。

 受け手の感覚を自分の感覚に取り込んでまた返していくこと、触れることは触れられること、人間性が試されます。

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2007年5月22日 (火)

忘れ物

 肩こりで胸焼けもして昼食も食べられなかったという女性が、『どこかいいマッサージはないか?』と尋ねたらここを紹介されたということで、仕事が終わった夕刻に指圧にいらっしゃいました。

 右肩上部僧帽筋に硬結があり、右肩甲骨の棘下筋もこっていて、右上肢の挙上で痛みがあります。五十肩の治りかけたような状態です。

 少し前は眠れないほど右肩に痛みがあったということです。

 頚の筋肉にひどいこりがなかったので、これはすぐに楽になるだろうと思いました。腰椎の4番が後方にズレていましたが、横臥位、伏臥位と指圧をするとおなかが小さく鳴りだします。

 仰臥位の下肢前側の指圧では胃経を刺激して、おなかの動く大きな音が続けざまに起こります。

 「胸焼けが治まった。何か食べられそう…」

 下肢、上肢、顔面、頭部、前胸部、腹部と指圧をし、胃に動悸がありましたが、指圧をするうちにそれもおとなしくなりました。

 座位で上肢を挙上すると180度上がります。初めての指圧で施術中の質問も多く、眠りはしなかったのですが、「今なら眠れそう」だということです。

 かなり成果のある施術ができたと思いました。

 30分ほどたって、電話がありました。「時計を忘れてきたようなのですが…」

 「お預かりしておきますので明日取りに来てください」

 「確認していただけますか?」どうやら高価なもののような感じがします。

 脱衣カゴの中に確かに時計はありました。ブランドを知ってビビることも重荷なので、名前を書いた紙で包んで確かな場所にしまいました。

 そういえば、紹介したいと昼にチラシを取りに来たお得意様が、ブランド物でキメたバリバリのキャリアウーマンだと言っていました。

 せっかく双方納得の施術ができても、忘れ物に心配がいってしまうと、効果が半減してしまったかもしれません。

 しばらく忘れ物がなかったので、うっかりしていました。今日からは『施術後、脱衣カゴ指差し確認』をします。

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2007年5月21日 (月)

渦巻き状柔捏のテクニック

 私はほとんど柔捏という手技を使いません。筋肉線維の走行に対して横からねじるような刺激をすると、筋肉を傷める、ひどい場合は断裂させるということも考えられます。

 脂肪を分解するという目的で行われているエステの柔捏がありますが、“痛い”刺激であるなら(短時間に結果を出そうとしているのはわかりますが)、体に悪い影響があるだろうと考えています。

 柔捏をマイルドな刺激にするためには、被術者の皮膚とセラピストの手掌、あるいは手指の密着が必要です。

 しっかりと密着していれば、横のねじりの動きは少なくなりますが、筋肉を傷める危険性は少なくなります。

 渦巻き状柔捏は母指で被術者の皮膚をしっかりととらえて、同じ皮膚をとらえたままサークリングします。

 動く範囲が狭い分、筋肉に対して微振動が浸透することになります。

 硬いものを潰そうとしたり、余分なものを全て排除しようとすると体は緊張します。過度の刺激は体の恒常性のバランスを狂わせ、補おうとする方向に体をフル回転させるので、施術後にリラックスすることはできません。

 密着感と漸増漸減の刺激、これが手技の究極の奥義だと感じています。

 良い施術をするには、いつも弱い刺激から行い、セラピストが施術を押し付けないことです。短時間に結果を求めるのではなく、明日もっと良くなる、二日たってもっともっとよくなったと言われるような、クライアントが調整できる余白を残しておくことも必要です。

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2007年5月20日 (日)

頚の左回旋

 回転寿司の多くが右から左へ流れるように、ほとんどの人は頚を左に向けていく動きのほうがやりやすいと思います。

 頚の左回旋は、縦書きの文章を読む時にも、目の上下の動きに伴って行われます。

 右利きの人が縦書きの文章を書く時に、体の中心に向かって手を動かしながら頚は左に回旋していきます。

 右ハンドルの車でバックをする時、運転席と助手席の間から後ろを見れば体幹と頚は左に回旋します。

 指圧を受けに来る方のほとんどは頚に左回旋の癖があり、左前頚部が硬くなっています。

 これは右利き、縦書きの文化の影響だと感じています。

 とすると、横書きで左から右に文字を書く英語圏では、頚の右回旋が一般的なのではないかと推察できます。

 左ハンドルの車で運転席と助手席の間から後ろを見れば、頚は右に回旋します。

 最近は横書きのほうが一般的ですが、頚の左回旋が多い現実をみると、これは日本の生活習慣に由来するものか、それとも人間は生理的に頚を左回旋するようにできているのかと考えます。

 そういえばフィギュアスケートでは、頚の左回旋方向の回転しか見たことがありません。フィギアスケートの選手が、椅子で逆方向に回る実験で気持ちが悪くなったと言っていたのを思い出しました。

 指圧をしていると、左胸鎖乳突筋の鎖骨部と右肩上部僧帽筋肩根点がこっている人が多い事に気づきます。そして仰臥位で眠ると、ほとんどの人が頚を左に回旋させています。

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2007年5月19日 (土)

長引く症状を持つ方への対応

 『左膝の軟骨が擦り減ってしまった60代の女性。指圧をすると、歩きやすくなる。』

 膝の指圧や関節運動をしても痛みはなく、歩き始めや、長い時間歩くと膝に痛みが出ます。ヒアルロン酸注射の治療を整形外科で受けてから、下肢が自分の思い通りではないという違和感を訴えます。

 連休中の風邪の症状が長引いて、口内炎の治療も受けています。この時の施術で気にしていたことは、右足の甲の痛みです。

 『体がどうにかなってしまったようで、このままなら死んだほうがまし』という気持ちを訴えます。この日は整形外科の診察も受けてきたのですが、「右足の甲の痛みは先生に話そうと思って、整形外科では黙っていた」ということです。

 ここのほうが話しやすいし、ここですめば病院では黙っていようという方は結構います。

 喘息もあってアレルギー体質だということもありますが、風邪も口内炎も薬が合わずに、病院を変えてようやく良くなってきています。

 膝の経過も良好なのです。指圧をすれば歩ける、長い距離でなければ歩けるというのはかなり良いのです。大腿の筋力運動を続けていけばもう少し楽になるでしょう。

 右足の甲は押圧で最初は痛みがありましたが、指圧をするうちに痛みはなくなりました。痛風の心配もしていたようですが、結節もなく、打撲や内出血もありません。

 腰から来た痛みか、運動がしにくいので循環が悪いことによる痛みではないかと思います。

 指圧後、軽く立ち上がり、歩いても右足の甲や左膝に痛みは出ませんでした。

 症状が長引いて不安が募ると、一種の鬱状態になっていきます。五月病のようなものと言ってもいいかもしれません。

 気分転換をしてもらって、現状はそう悪くないことを一緒に確認していくことが大切です。

 この日は最近の物騒な事件の話をフリながら、徐々に気持ちが高揚していく方向に話を盛り上げていきました。

 これはカウンセリングなどというつもりはなく、自分も共通の興味のある話で楽しんでいます。帰りは来た時とは別人のように、笑顔満面でした。

 「いつも長くやってもらって…」と言われますが、調子の悪い時は時間のかかるもので、「うちは良くなるまで帰さないから」と言うことにしています。

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2007年5月18日 (金)

昨日のNHK『なるほど!なっとく介護』~寝返り~

 昨日NHK教育テレビで放送された『なるほど!なっとく介護』は、麻痺のある方の寝返りについて、理学療法士で生活とリハビリ研究所所長の三好春樹先生がわかりやすく解説してくださり、とても勉強になりました。

 何よりも麻痺を持つ方とのやり取りが、健常者に対するのと変わりないことに、経験と実力を見せつけられました。

 体の動きに不自由なところがあっても自立を促すスタンスが一貫していて、最小限の補助で寝返りをうつための体の使い方が示されていきます。

 膝を立てる、両手を組んで腕を伸ばす、頭を上げる、自分のできることをすれば、介護者の負担が減るだけでなく、自分も楽なのです。

 老々介護が増える中、こういう情報は広く普及されなければいけないと思いました。

 褥瘡をつくって感染症を拡げないために、自分で寝返りをうつことの大切さがよくわかりました。

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2007年5月17日 (木)

施術への集中

 一人の体を施術する間には、最初のタッチから終了まで“ある緊張感”の中で進んでいきます。

 緊張し過ぎていては硬いタッチになってよくないのですが、気もそぞろな状態で施術に対する集中が足りないと、何よりも後で自分の満足感を得る事ができません。

 一本の糸が始めから終わりまでスーッと伸びているような施術は、満足感もあり、結果もよいと思います。

 施術中トイレ(小)に行きたくなることがあります。ほとんどは我慢して施術をしてしまいますが、一度伏臥位から仰臥位に移ったところで眠りから覚めないお客様がいたので、トイレを済ませたことがあります。

 その後、急に緊張の糸が切れたようになって、自分で納得できない感覚に襲われたことがありました。排尿によって血圧が下がり、テンションも一気に下がってしまったのです。

 施術を受ける側には分からなかったかもしれませんが、電話で施術が中断されるような時とは全く違いました。

 体調もあり、トイレを我慢しながら施術をするということがよいとは思いませんが、もし何とかなりそうだと思ったら、テンションを変えずに最後まで施術をしたほうがよいと思います。

 数日後これに懲りて、壁を這う小さな虫を発見した時に、そのまま施術を続けたのですが、お客様がたまたまはずし忘れた時計が枕元にあって、虫はそれを目がけるかのように進み、どこかへ消えていきました。

 『物事は面白い方向に進むものだ』と指圧をしながらドキドキ見ていた時間と、後で虫を捜索する時間が無駄なので、こういう時は施術を中断してよいと思います。

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2007年5月16日 (水)

多愁訴の場合の施術

 更年期症状では、肩こり、頭痛、腰痛、足の冷え、のぼせ、不眠、不安、抑鬱症状、その他、体の不調が様々な部位に及びます。

 更年期ではなくても、例えば腰痛をかばうために様々な部位に筋肉痛が起こるというようなことはよくあります。

 症状が多岐にわたる場合、「今一番辛いことは何ですか?」という問いかけが大切です。

 ほとんどの場合、主訴の慢性症状は完治に時間がかかり、継続的な施術が必要ですので、その時の施術で一番効果的なのは、主訴の影響でできた急性で単純な筋肉疲労やむくみを緩和することです。

 体で気になっていた部位の痛みがとれると、精神的に楽になるものです。具体的に体の症状が改善されると、主訴の緩和にも希望を持つことができます。

 加齢による骨格の歪みによって起きる腰痛などは、対症療法の施術と割り切るしかないことがほとんどです。筋肉の緊張をその時は緩和できても、変形した骨の刺激などによって、また背中を丸めることになります。

 多くの場合、主訴に対して刺激をし過ぎると、体に炎症が起きるような悪影響を及ぼします。痛みを避けるために弯曲した背骨を矯正し過ぎてしまうと、神経にあたって痛いのです。

 体に多くの症状を抱える方に施術をする場合、長く付き合っていく症状と、今気になっている症状を把握して、手技療法の一回の施術で解消できるのは、使い過ぎによる筋肉疲労や運動不足によるむくみであると考えていいと思います。

 

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2007年5月15日 (火)

卓球ラバーの接着剤で有機溶剤中毒のニュース

 何日か前に、卓球のラバーを貼り換えていて、有機溶剤による中毒を起こしたというニュースがありました。

 アロマテラピーで溶剤といえば、バラやジャスミンの精油を抽出する時の溶剤抽出法が思い浮かびます。『へキサンなどが使われている』というあの件(クダリ)です。

 工業的に『水に溶けないものを溶かす時に使われる』という有機溶剤の中には、シンナーも含まれます。

 有機溶剤を吸い込めば、体や精神に影響のある中毒を起こすこともあります。中毒が起きた卓球ラバー接着剤の販売会社は、その接着剤を回収するという告知を出していました。

 だからといって溶剤抽出法によるアブソリュートの精油が危険だということではないのですが、残留溶剤の懸念もあるということと、有機溶剤にはシンナーも含まれるということは、しっかりと認識しておかなければいけないと思いました。

 何しろ有機溶剤は、『水に溶けないものを溶かす』のですから。

 (薬の製造に使用された中国製代用グリセリンが、車の不凍液に使われるべきもので中毒を起こしたというニュースや、糖類を混ぜたはちみつに純粋はちみつと表示していたなど、信頼性や安全性の危うい物も溢れています。

 モノを選択する眼と、適材を適所に使う知識が足りないと、とても恐いことが起こりそうです。)

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2007年5月14日 (月)

体の良い所を伝える

 手技療法では、体の悪い部分を改善することだけに目が向けられがちですが、むしろ大切なのは、体の良い部分をさらに良くしていくことだと思っています。

 加齢的な変化や傷や病変によってできた不可逆的な変性と向き合う中で、自然と良い部分をもっと良くして可動性を補うという施術を考え続けてきました。

  体に対するプラス思考をしていかないと施術そのものの有用性が疑わしくなってしまいます。

 『こんなことをして何になる?』という疑問が、施術者と被術者そしてその周囲の人たちに生まれるようではいけないのです。

 本人も気づいていないような良い所を見つけ、伝え、維持し、伸ばしていくという共通の前向きな目標は生活の質を向上させます。

 痛みをとる、悪い所を改善するというのは目先の目的ですが、ゴールの見えないことも多いものです。それで終わりにしてしまっては施術の有用性がさみしいことになってしまいます。

 柔軟な筋肉を見つけたり、本人が思っているほど脂肪が溜まっているわけではないことを伝えたり、そんなことで心を覆っていた雲が消えていく感じがすることはよくあります。

 『自分の体を今の自分のマイベストに調整する』、そのつもりで施術を受けていただければ、効果がわからないということはあっても、有用性が疑われるということはありません。

 施術中、施術後、体の良い所を見つけたら、伝えたほうがコミュニケーションとしてもよいと思います。心から思うことなら、顔色、ヘアスタイル、爪のオシャレだっていいのです。

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2007年5月13日 (日)

血流検査と手の感覚

 壊疽を起こした足の血流検査をしてきた男性の指圧をしました。

 組織が死んでいるので、部分的には壊疽を起こしたほうの足の血流がいくらか悪いという結果だったそうです。

 問題にするほど悪くない状態を保てていることは、毎週施術をしてきた私にも嬉しいことです。一時は冷えて仕方がなっかったという足が、今では触れるといつも温かさを感じるようになりました。

 ここのところ“我々”が問題にしているのは、壊疽を起こしていないほうの下肢です。

 “我々”というのは、意見交換をしながら施術をしていくスタイルをとっているので、どうも指圧をしていると被術者との間に、『病院の検査ってちょっとずれてるよね』という共犯意識のようなものが芽生えてくるのです。

 患側の鼡径動脈は、ここのところはっきりとした拍動を感じることができますが、健側と見なされている鼡径部では動脈の拍動が感じられません。

 患側の大腿前側と後側のこりは筋肉の使い過ぎによるものという手ごたえですが、健側の大腿外側には、重い痛みと血流の悪さを感じさせる筋肉の絡みつくような感触があります。

 壊疽を起こした原疾患は全身性の生活習慣病ですから、その患部の血流だけでなく、全身の血流管理が課題のはずです。

 最近導入された機械を使っての検査だったそうですが、保険でできることと、ホリスティックな予防法として手で感じたこととでは、とても違うところを診ていると思いました。

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2007年5月12日 (土)

不眠とおなかの冷え

 『50代男性。肩こりで頭痛がする。腰痛もあり、このところ眠れない。』

 座位、前頚部の触診を兼ねた指圧でおなかが鳴ります。右肩甲骨外側の痛みのある部位は小腸経に属します。

 デスクワーク(書き物)のし過ぎで右肩上部僧帽筋に硬結があります。その延長で、右の『曲池』、『手三里』に圧痛があります。

 胸椎下部から腰椎の後弯は加齢的な変化です。臀部から下肢にむくみがあります。

 おなかの指圧では他の部位よりも冷えを感じます。手足に冷えはないのですが、おなかに水の停滞があり、胃の脈を感じます。

 風の強い日でした。敏感な人は冷えを感じます。冷えの強い部位は臍より下です。

 運動不足による水の停滞が、おなかの冷えと腰痛を生み、体温の上昇→下降→睡眠という流れを遮断しています。

 仰臥位の手掌圧でおなかを温め、腰に指先をすべりこませて、下から腹部をこねあげます

 施術中によく眠り、おなかに動きもあったので、水の停滞は解消されて眠れるようになると思います。

 水分の吸収は大腸の働きによるものです。『曲池』『手三里』など、大腸経のツボに圧痛がある時は大腸の働きが鈍くなっていることがあります。

 今回は胃より下、特に十二指腸潰瘍の疑いを感じました。これはあくまでも感覚の問題です。科学的な根拠があるわけではありません。ただ、何か御自分で感じていないストレスがあるのではないか、そんな気がしました。

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2007年5月11日 (金)

草とりの筋肉疲労

 庭の草を手で抜いていたという40代の女性。小さい椅子に座って草を抜いていたのだそうです。

 右は肩上部、上腕二頭筋、前腕外側と内側、肩甲下部、下肢外側が広範囲に緊張しています。

 左は前頚部と下肢前側、外側が硬くなっています。椅子に座り、両股関節を広げて右手で草を抜いていたのがわかります。

 草を右手でつかむ時に、肩甲下部の右広背筋をつかって内転方向に上腕を伸ばしていたのでしょう。広背筋の緊張が目立ちます。

 急性の筋肉疲労に対しては軽い刺激にとどめ、慢性の筋肉疲労には弱い刺激で丹念にこりをほぐしていきます。

 急性の筋肉疲労の中でも、広背筋は薄い筋肉なので、軽い手根柔捏や結合織マッサージでほぐしておくと背部の緊張感が随分楽になります。

 左前頚部と右肩甲上部は、草取りのためだけの緊張ではないので時間をかけてこりをほぐしていきます。筋肉の起始と停止を確実にとらえ、その間の痛みのないところをしっかりと押圧し、痛みの強いところは始めのうちは軽く触れるだけにします。

 そのうちに、しつこい硬結でもゆるんできす。その部位の施術の最後に、軽い持続圧で痛みの強いポイントをとらえます。

 筋肉疲労の回復には全身性の軽い刺激をする必要があります。眠れるような刺激をするということです。急性の炎症を持つ筋肉に強い刺激をしても逆効果であると割り切ってしまえるようになれば、施術と解剖生理学の理論が一致してきたということです。

 疲労回復の循環サイクルに、調度良い量の刺激でアシストできれば絶妙の手技療法ということになります。

 寝顔の眉間に皺が寄った時点で、右前腕の施術は基本指圧の刺激にとどめておきました。

 施術後、座位で上肢伸展が楽にできたことで、大きく循環に影響する事ができたと思いました。細かい急性の筋肉疲労は、あとはこの大循環にまかせておけばいいのです。

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2007年5月10日 (木)

一病息災、健康観が変わる

 今まで普通にできていたことが痛みのためにできなくなって、実は酷使していたのだと気づく人がいます。ケガをして、病気になって、健康の大切さに初めて気づくのだと思います。

 『一病息災』、病を得てその後健康である事を貪欲に希求している中で、私と出会ったという方がたくさんいます。

 そう、治そうとしている時、人間は健康に対して貪欲です。

 往診の時、ふと見上げた棚にコンドロイチンの錠剤があったり、床にダンベルが転がっていたりします。

 施術をして、お話をして、今何が不足していて、これから何をしていけばよいのか考え、そして伝えます。

 症状の理解が足りないと思えば、本のコピーをとって渡したりもします。お医者さんが当然わかっていると思って説明しなかったことが、わかってないなと感じることは多々あります。

 ヨガを始めたというので、どんなに体が柔らかくなったかと思えば、呼吸ができずにかえって体を硬くしてしまう人もいます。でもそれは微笑ましいことだと思います。続けていけばそのうちに呼吸も深くなるでしょう。

 あせらないことです。前のような痛みがなければよくなっています。急いで体を鍛えようとしないで、痛みの出ないように体を保つことが大切です。

 昨日お会いした方たちも以前より健康になっていました。健康を希求する体のプログラムが、生活の中で活性化していました。

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2007年5月 9日 (水)

場の空気をタッチで変えてくること

 今日も往療の予約があります。医療保険では往療、一般的には出張施術ということですが、日本指圧協会では出張治療としてあります。

 指圧の基本原則が「診断即治療(指で触れて検査をすると同時に適量刺激の指圧をしていくことだと私は理解しています)」なので、医師以外は診断、治療をしてはいけないことになっていますが、指圧は治療手技として、治療という言葉が随所で使われています。

 出かけて行って、定量圧してくれば終わりということではないので、私は毎回「往診」と思って出かけています。期待されているのは、不安をとりのぞいてくること、顔を見ただけで治ったと言った方もいます。

 慣れない環境で、気も使い、施術する条件も整っていないので、かつては往診の時に疲れたものです。

 ホームでの施術は十分な準備ができますが、アウェイではそうもいきません。音楽でリズムを共有することが重要だと考えているので、初めの頃はCDプレイヤーを用意してもらったりもしました。

 最近そんな事を言わないのは(近くにあれば使いますが)、場数を踏んで経験の蓄積があることと、タッチで場の空気を変えられると感じているからです。

 場の空気を変えるのには、精油にも助けられています。精油は手軽に持ち歩けるので、ケーシー服のポケットに、精油を含ませたコットンを入れて往診しています。

 老若男女いろいろな人に、いろいろな条件で触れさせていただいてきて、今、施術の際は、それぞれの体を統合した『ひとりの人間』に触れているような感じがしています。

 誰かの施術経験が、次の誰かの施術の時に蘇えり、活かされています。施術に集中した時に、誰かを癒したリズムが自然と湧き上がり、ポイントに手が導かれています。

 皆さんに先生と呼んでいただき、先生にしていただいたのだと思います。

 今日は暑くなりそうです。指圧、マッサージの仕事というのは清潔感を保つためにも、野球のピッチャーのようにアンダーシャツの交換も重要です。下着の換えを持って、その家の空気が変わるような往診をしてきます。

 

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2007年5月 8日 (火)

吐き気を伴う頭痛の施術例(2)

 『50代の女性。2週間前から風邪で、咳止めなどの薬を病院から処方されている。スギの花粉症がある。久しぶりにパソコンの仕事をしたところ、頭痛がして気持ちが悪くなった。』

 頚が右から左に側屈して左側頚部が硬くなっています。胸椎の後弯があり、脊柱もやや左に傾いています。上腕のむくみ、中殿筋周囲のむくみがあります。体重は右にかかっていて、背部の筋肉は右のほうがより硬くなっています。

 病み上がりといった印象で、連休中は寝こみがちであったようです。風邪がこじれると臥床によって腰痛が起きるということもあります。パソコン画面の光刺激と操作時の猫背姿勢が、硬くなった背中に負担をかけ、吐き気を伴う頭痛の症状を起こしたようです。

 左側頚部、両肩甲上部から腰背部、中殿筋の上殿神経、右三角胸筋溝、右の『曲池』と『手三里』に圧痛があります。

 経絡でいえば、肺経、大腸経、膀胱経、胆経に反応点があります。風邪の呼吸器症状、アレルギー性、脊柱後弯の増強、骨盤の開きと下肢の外旋がそれぞれの経絡と関連する症状です。

 パソコンと目の疲れ、吐き気、頭痛ということから偏頭痛が主であると考えられます。しかし頚や肩の緊張から緊張性頭痛も含んだ混合性頭痛であると診ておいたほうがいいでしょう。

 全身指圧とストレッチにより、むくみ(『水の停滞』)をとり、筋肉の緊張をゆるめ、骨格の矯正をします。

 施術後、むくみは解消され、筋肉はゆるみ、胸椎の矯正はできましたが、頚と脊柱の左側屈は残りました。

 施術中におなかも鳴って、胃の拍動も感じられなかったことから、 座位で頚を回してみたところ、まだ気持ちが悪いと言います(基本的には、頭痛の症状が強い時に頭を動かす運動法は適しません)。

 長い時間をかけて癖のついた姿勢なので、一回の施術でできることはここまでかなと思いました。

 仕事中、頭痛に耐えながら頚や肩を叩いていたということですが、これはかえって悪くしてしまうことのほうが多いので、やらないほうがよかったと思います。

 体に溜まった水分が三半規管に影響を与えて、めまいのような気持ち悪さまだ残っているように感じます。脳脊髄液のバランスが悪いということもあるのかもしれません。血液の循環が良くなったことで、古い水分の排出ができればもう少し症状が楽になると思います。

 それでも顔色も姿勢も来た時よりはかなり良くなりました。体は軽くなったそうです。とはいっても、こちらの感覚ほどは回復のみられなかったケースです。

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2007年5月 7日 (月)

軽さとフィット感

 イチロー選手の今年のスパイクは20g軽くなったのだそうです。あまりの軽さに最初は「つんのめりそうになった」とインタビューで語っていました。

 「これを作った人は天才だ」と賛辞を惜しまないイチロー選手の映像を見たスパイク製作チームの社員たちは、感動し、涙さえ浮かべていました。

 しかしその会社の社長さんは「つんのめりそうになった」という言葉に問題点を見つけていました。もっとフィット感やサポート感を向上させなければいけないことを感じたのです。

 これは手技療法のタッチにも言えることです。

 軽擦でも母指圧でも、手指と手掌の密着感、フィット感があれば、限りなく圧刺激を軽量化しても、効果的なタッチを作り出すことができます。

 適量刺激を超えて症状を悪化させてしまったり、体をより緊張させてしまう原因は、被術者の受容器と施術者の効果器が別の神経に支配されているということにあります。

 被術者と施術者の一体感を作り出すためには、フィット感、サポート感のある正確で軽い刺激のタッチをしていくことです。

 スパイクに限らず、靴や服や様々な道具も、自分の皮膚感覚にフィットしたものを使えば体の疲労を軽減することができます。

 手技療法では、被術者が自分自身の手で触わっているような感覚のタッチであって、そこにそれ以上の効果を乗せていくことが一つの理想です。

 イチロー選手の今年のスパイクの話題から、軽さとフィット感はタッチにも言えることだと思いました。

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2007年5月 6日 (日)

腰痛と大腿後側の緊張

 長時間の座位姿勢は腰痛の原因となります。渋滞の道路でのドライブなどで、ゴールデンウィーク明けには腰痛を訴える方が指圧にいらっしゃいます。

 座位姿勢は膝を曲げるので、大腿後側の大腿二頭筋に負担がかかります。大腿と体幹が直角に近い角度にあれば、大腰筋も短縮しています。

 腰の筋肉の疲労ですめば、腰背部の指圧が適応になります。これに傷や関節の捻挫などで強い炎症が加われば、患部の指圧はかえって炎症を悪化させることになるので、冷やして安静にします。

 急性の炎症を伴う腰痛で施術が有効なのは、大腿後側と腹部の指圧です。患部以外の骨盤の筋肉も誘導的に炎症を軽減させる指圧ポイントになります。

 長時間膝を曲げて緊張した大腿後側をゆるめることは、座骨神経の緊張を緩和し、第4腰神経から第1仙骨神経の神経根症状を抑えることになります。

 そういう意味では大腿前側や下肢全体の施術も効果があります。

 また、大腰筋をゆるめたり腰椎の前弯を矯正するためには、腹部の手掌圧が有効です。

 これに仙腸関節を矯正する股関節のストレッチができればいいのですが、急性の激しい痛みを伴う腰痛の場合は、どの方向に動かしても痛みを増強する可能性があります。無理なストレッチはどんな場合でもしてはいけません。

 大腿後側の緊張がとれると下肢の伸展が容易になり、体幹の前屈で指先床間距離が短くなります。

 それは大腰筋が緊張したままであったとしても、大腰筋の働きを大腿二頭筋が柔軟性を得たことでカバーできるようになったということです。

 膝窩のツボ『委中』が腰背部の疾患を治療する四総穴である理由は、そんなことからもわかります。

 

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2007年5月 5日 (土)

肩こり予防エクササイズの注意点

 なで肩の女性のように、筋肉が細いと肩こりが起こりやすくなります。筋力を強化して頚や肩の周囲の筋肉が太くなれば、肩こりは起こりにくくなります。

 額を両手掌で圧して頚の力で押し返すような等尺性運動やダンベル体操は、肩こり予防のエクササイズとなります。

 しかし、筋肉が硬いまま筋力強化のエクササイズをすると、肩こりがますますひどくなるということもあります。

 順番からいえば、肩の筋肉をゆるめてからエクササイズをしなければいけません。

 長い間ひどい肩こりに悩んでいるのなら、まず筋肉を温めてから、指圧やマッサージにかかって、その後毎日ストレッチをして、正しい姿勢でいるように注意するだけでいいでしょう。

 頚が肩の上にあって、頭の重さを受けとめる姿勢でいられたら、肩こりがひどくなることはありません。

 姿勢を良くするだけで、頭という5kgのダンベルで頚や肩の筋肉を鍛える効果があるのです。肩こりが苦痛でなくなって、余裕がでてきたところで、筋力強化のエクササイズを始めます。

 時々無理な運動をしている人がいます。まずは正しい姿勢、その後軽い負荷から運動を始めることです。

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2007年5月 4日 (金)

足の痛みから考えられること

 足の甲や踵、足指や足指間の指圧で跳び上がる程痛みを感じる人がいます。

 足のストレッチができていない場合と、第4腰神経から第1仙骨神経の影響がある場合に大きく分けられますが、中には痛風の痛みや火傷などの傷が痛む場合もあります。

 指圧の被術者は靴下を履いていることが多いので、最初のタッチを軽くしたつもりでもとても痛がる方がいます。靴下を脱いでいても、腰痛の関連痛である場合は触れてみないとわからないので注意が必要です。

 腰痛や座骨神経痛が主訴であれば、足を丁寧に刺激していかないと痛がらせて体を緊張させてしまうこともあると心しておかなければいけません。

 触れてみて冷えがあれば、強刺激は血管を収縮させるので、弱い刺激で施術をして足をストレッチしていきます。

 デルマトーム(脊髄神経皮膚文節)を施術することによって逆行性に腰を治療するという考え方は、経絡経穴もリフレクソロジーも同じです。

 この他に胼胝(タコ)や水虫、踵の角質、過去にアキレス腱断裂をしたことがあるなど、様々な要素が施術の際に影響します。

 マニュアルの施術だけで、これらの要素に対応していく事はとても難しいのです。さぁそこからどうするという試行錯誤があって、私のタッチにも柔軟性が生まれてきたのだと思います。

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2007年5月 3日 (木)

妊娠中のむくみの仰臥位施術

 昨日は生活の木飯能校の講座の日で、『妊娠5ヶ月以降の妊婦さんを想定したむくみの仰臥位施術』を実習していただききました。

 生徒さんの中にジュニパーやフェンネルを使いにくい病気を持つ方がいらっしゃったので、サンダルウッド1滴+ネロリ1滴+オリーブ・エキストラヴァージンオイル10mlという、成分的には、利尿作用があって、荒れた肌を修復し、妊娠線の予防になるという、妊婦さんにも安心できるブレンドオイルを使ってみることにしました。

 まず、鼡径部手掌圧から足指までの下肢前側の指圧をし、足関節、股関節のストレッチをします。

 その後下肢前側のアロマオイルトリートメントを、足から鼡径部にむかって軽擦中心に施術します。

 これだけのことなのですが、施術後生徒さんたちはトイレに向かうことになりました。むくみが腎臓に還って尿が作られたということです。

 妊婦さんはおなかの命と自分の命の血液循環を保つために“生理的にむくんでいる”と言ってもいいと思います。どこか一部のむくみに強刺激を加えるのではなく、全身性に気持ちの良い刺激で血流を促進して、相対的にむくみを緩和することを目指します。

 強刺激でふくらはぎの周囲を1cm細くしても、体液のバランスをとるためにまたすぐにむくみます。

 遠心性の指圧を下肢前側だけにしても、ある程度の技術がある指圧師であれば、むくみの緩和は可能です。

 今回の講座では、ジュニパーやフェンネルを使わずに、仰臥位の施術という条件で、一般の方でもむくみを緩和することができました。これは正直なところ期待した以上の結果でした。

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2007年5月 2日 (水)

吐き気を伴う頭痛の施術例

 60代女性。昨日、頭痛がして吐き気がしたので胃腸機能調節薬(吐き気止め)のナウゼリンを服用したところ、吐いてしまい、頭を冷やしたらイライラしてきたので冷やすのをやめたということです

 第7頚椎両側を中心に、肩上部よりもやや後ろ側の筋肉が硬くなっています。一昨日はお孫さんを抱いて遊園地に行ったのだそうです。肩から上腕の筋肉が緊張していて、上肢はやや外転気味に開いています。

 背部、臀部の筋肉も硬くなっていて、大腿内側・後側と、耳から顎にかけての部分が普段以上にむくんでいます。

 胃酸が混ざったような口臭があって、左大腿前側の『粱丘(りょうきゅう)』に硬結があります。ここは急性胃炎のツボです。大腿前側の緊張を緩めていくとおなかが動き出します。今朝まで全く食事をする気になれなかったということです。

 お孫さんを抱いて坂道のある広い遊園地を歩き、いつも使わない筋肉を使ったようです。

 頭痛は抱っこで腕を使い続けたことによる緊張性頭痛のようです。冷やしてイライラしたのは、頭が余計に締め付けられる事になったからでしょう。

 しかし、吐き気がした場合に偏頭痛と考えて冷やしてしまうのは仕方のないことだと思います。その場にいたら、あるいは電話を受けていたら、私も冷やすのに賛成したと思います(指圧をすれば何とかできたとは思うのですが…)。

 吐き気の原因は胃にあったと考えていいのではないでしょうか。

 筋肉の緊張をほぐし、下肢や顔のむくみを還すと、体は楽になったようです。

 今回は緊張性頭痛と考えていいと思いますが、マニュアルで一つの刺激しかできなければ、様々な原因による頭痛の施術はできません。

 昨日のテレビで『偏頭痛の時にマッサージをしては逆効果だ』としている番組を見ましたが、それは肩こりのクイックマッサージのようなものが該当します。

 それ以外の手技もあるということは、実際に施術を受けた人しかわからないのだなぁと寂しく感じました。

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2007年5月 1日 (火)

即効性と恒常性

 むくみや冷えを改善するために、すぐに結果を出さなければいけないのなら、即効性のある強めのタッチや温熱などの物理療法があります。

 ただし強い刺激をしている時はリンパや血管の流れが促進されても、刺激が終わった時点で血管は反射的に収縮します。

 そこに我慢しかなく、気持ち良さが伴わなければ交感神経が緊張して体はリラックスできないということです。

 人間の体は体液バランスや恒常性を維持するために、高温サウナで大量に汗をかいても、水分を要求し、もとの体重のセットポイントまで戻ろうとします。

 これはダイエットのリバウンドのメカニズムと同じです。

 長期的なゆるいカーブで、体液の入れ換えをしながら、少しずつ体が引き締まり、気持ちがいいという感覚の中で健康が増していくとしたら、それが最高のダイエットだと思います。

 すぐに結果を出さなければいけないモデルさんのボディメイクなら別ですが、一般的には即効性を求めない弱刺激のほうが、体の恒常性を大きく変動させずに新陳代謝を促進させることができます。

 老廃物の溜まった古い体液を、きれいな新しい体液に入れ換えていく作業が新陳代謝です。新陳代謝は手技療法でも、温泉などの温熱によっても促進されます。

 熱い温泉や痛いマッサージを好む日本人は本当に我慢強いなぁと思います。そしてそれはマイルドな温い刺激が出来る手技療法者が少ないという、残念な現状でもあります。

 

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