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2007年9月30日 (日)

冷え性に効果的な中殿筋と梨状筋の指圧

 冷えの改善に、女性には中殿筋の指圧が、腰痛持ちの男性には梨状筋の指圧が効果を発揮する場合があります。

 中殿筋は臀部側面上方にあり上殿神経に支配されています。大腿の外転(側方挙上)の時に働きます。

 中殿筋の指圧は腸骨を閉じる方向に力が加わるので、骨盤を矯正するだけでなく、骨盤の内圧が高まって子宮などの骨盤内臓を刺激する効果があります。

 当然骨盤内臓を栄養する内腸骨動脈の血流も促進されて、冷え性の改善にもつながります。

 梨状筋は仙骨の中央くらいから大腿骨大転子に停止する大腿の外旋筋です。大殿筋の奥にあって仙骨からやや斜め下方に向かう2~3cmの筋肉を探します。横臥位で押圧するほうが伏臥位よりも深くとらえることができます。

 梨状筋は坐骨神経の出口になるので、この筋肉を刺激することは足先まで神経を刺激することになります。

 施術の心得としては、単に筋肉をイメージするのではなく、筋肉と骨を越えたその先にある内臓や先端へ連なっていく神経の終末までイメージすることです。

 中殿筋の指圧は女性に多い下腹部を原因とする冷えを改善し、梨状筋の指圧は中高年の男性に多い腰痛を原因とする冷えを改善します。

 これは一つの筋肉の押圧でも、姿勢によりその反対側にある動脈にまで圧が浸透するということです。

 逆に考えると、中殿筋や梨状筋の指圧で冷えが改善しない場合は、押圧の方向が違っていたり、筋肉をしっかりととらえることができていないということになります。

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2007年9月29日 (土)

大きく変えてはいけない人

 100才でイカをさばきスルメを作るおばあさんをテレビで見て、『あの体は相当な覚悟がないとさわれないな』と思いました。

 腰は曲がり、指先は曲がり、正座を崩してお尻を床について座る大腿が、やけに長く見えます。

 自然と自分なりの命の保ち方を身につけているように見えるので、外からの力で体のバランスを大きく変えてしまうと危険な感じがします。危うい体のバランスの中で、人間である形を超えて、命そのものが生きているように見えます。

 今まで、命の終末期に入った何人かの方の体に触れさせていただいて、人間の力では及ばない“神に近づいた”感覚を受けました。

 胎児もそうです。妊娠中の女性のおなかに手掌をあてていると、おなかの中の命が、“生きようとして生きている”ことを伝えてきます。

 自分の力の及ばない崇高な領域がそこには存在します。

 しかし、これは実際にそういう方に施術をすることにならなければわからないことですし、マニュアル化、一般化しようとしても、誰にでもわかるような共通の感覚として伝えるのは難しいことだと思います。

 テキストにあるような『高齢者や妊娠中の方には注意して行う』とか『~には控える』といった注釈だけでは、まるで役に立たない現実がそこにはあるのです。そこではドミノを並べるような緊張の中で、タッチを選択していかなければなりません。

 私たちが施術をさせていただく方たちの体は、本当に健康で安定した体ばかりでしょうか?

 むしろどの体も、命の始まりや終わりと同じように、繊細さを持っているはずだと思うのです。

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2007年9月28日 (金)

「九州の温泉のマッサージで…」という話

 「九州の温泉でマッサージを受けたんだけれど、あんまり痛かったので『やめてください!』って言ったら、『どうしてですか?』って聞かれたので『いつも行くところはこんなに痛くない!』って言ってやった」のだそうです。

 良くぞ言ってくださいました。ありがとうございます。見事な対応です。日頃の私の教え(と言ってはなんですが…)がちゃんと行き渡っていると思いました。

 「温泉で体が緩んでいるのに、『筋肉がガチガチですねぇ』と言われ、そのマッサージさんは、大汗をびっしょりかきながらガンガン圧してきた」のだそうです。

 『おまえが(下手くそだから)緊張させとるんじゃ~!』と思い(言ったのかもしれません)、さっさっとそこを飛び出したということです。

 一緒に行った人には「どうして途中でマッサージをやめたの?」と聞かれたそうです。『マッサージはこんなものだよ』という認識なのだと思います。

 お客様に合わせられない施術者は淘汰されていくはずなのですが、施術者に合わせるお客様もいて、“残っていられる場所”が存在するわけです。

 『我慢』や『揉み返し』やひどい時には『頚が曲がらなくなる』ことがつきもののマッサージであってはいけないのです。一日に何人の肋軟骨にひびが入るかと思うとぞっとします。

 此処に来てくださるお客様は、各地のマッサージ屋さんで『正しい活動』をしてくださっています。私も見習いたいと思います。

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2007年9月27日 (木)

施術の構図を変えてみる(位置とズーム)

 頭部・足部・左右の側部に部位毎に位置を変えるだけでなく、例えば左腰の一点について、斜めから、反対側から逆手を使ってなど、施術の立ち位置を変えることで刺激の方向が変わり、施術そのものの質が変わってきます。

 また、微視的から巨視的まで一点に対するズームを変えて施術することで、頑固なこりに対するタッチや仕上げのタッチをはっきりと使い分けることができます。

 絵や写真のように、手技療法も施術の構図を変えることで全体の雰囲気を変えることができます。

 室内で人間の体にいつも同じように触れているだけで終わってしまうと、だんだんと煮詰まってきてしまいます。

 大きな景色に触れること、小さな命に目を向けること、絵や写真、いろいろなデザインに興味を持つこと、そうすればいつかそのイメージが施術に反映してくるようになると思います。

 絵のような、写真のような施術の演出も必要です。

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2007年9月26日 (水)

顔を見て痩せたと思った

 第一印象には“何かある”と思っていたほうがいいと思います。

 顔を見て『痩せた』と感じた男性に、そう話すと「いや、むしろ体重が増えたんですよ」ということでした。この時は顔が日焼けしたからかと思いました。

 主訴は右肩の棘下筋の痛みです。腰に手を廻す外旋がしにくいということですが、何もしなくても痛みがあるようです。

 右側頚部と肩の交わる腕神経叢の出口を圧すと、右棘下筋に響くようです。

 肩甲下部の脊柱起立筋がかなり硬くなっています。左臀部から大腿二頭筋にかけて、坐骨神経痛があります。両ふくらはぎはむくんでいます。

 頚の回旋で痛みが出るので、フェイス枕とバストマットを使って伏臥位の指圧を終えると、汗をびっしょりとかいています。

 仰臥位で指圧をすると眠ったり起きたりしながら、最後には膝を立てたり、伸ばしたりしています。

 「だるくてどうしようもなくなってきた」のだそうです。

 上腹部、特に左季肋部の硬さがあります。胸脇苦満があり半表半裏(病気がやや深く体に侵入してきた)の状態だと思いました。

 右棘下筋の痛みは少し緩和されて、肩もいくらか動かしやすくはなりました。しかし、肩関節周囲炎(五十肩)の典型的な症状ですし、腱板の断裂はなさそうですが、石灰化をしているように思います。

 老廃物が溜まっているなと思いながら、おなかの硬さの話をしていると、「腎臓結石がまだ残っていて検査がそろそろある」ということです。

 『それか!』と思いました。背中の硬さ、施術中の汗、施術後半から施術後のだるさ、腎臓結石が体液の循環を鈍らせているところへ指圧をしたので、老廃物や痛み物質が体全体を回っているのだと思いました。

 家に帰ったら寝ると言って帰っていかれましたが、この施術はもう少し短い時間で終えていたとしても、体にだるさをもたらすことになったと思います。

 第一印象で感じた“痩せた顔”は、“日焼けした”からではなく、下に滞って上にのぼせていることを表すシグナルだったのです。

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2007年9月25日 (火)

車のエンジンベルトと回旋腱板

 車の定期点検でエンジンベルトのひび割れが見つかったので、日を改めて交換してもらいました。

 『始めはスタートの時に変な音がしだして、いよいよダメになってきたら走行中にもその音が続く』と言われたのですが、そこまでのことはなく、ただエンジンの回転が上がりにくい感じと、何よりも点検の日からエアコンが冷えなくなった事で早めにエンジンベルトの交換を頼むことになりました。

 エンジンベルトのひびは、肩関節の回旋腱板にひびが入っているようなことなのかなと思います。

 力が伝わりにくくなっています。腱板断裂とエンジンベルトが切れた状態は同じような感じだろうと思います。

 『車のエアコンはエンジンの回転が必要なので渋滞では効きが悪くなる』と猛暑の今年は何度も報道されていたので、そのあたりのことを修理の方に聞いてみたのですが、それはあるかもしれないが電装関係ではないかという答えでした。

 エアコンは前回の点検でも今回も異常なしということで、もし効きが悪ければ電装を調べる整備工場に外注するということになったのですが、エンジンベルトを交換した車に乗ってみるとエアコンの効きが快適に戻っています。

 あれっ、この軽くあしらわれてしまったような感じは、施術後の説明でも同じようなことがありそうだなと思いました。

 大変丁寧な言葉使いで説明していただいたのですが、素人であっても毎日車を使う自分にはわかる感覚というものがあります。

 体もそうです。専門家のつもりで、自分の先入観でしか体を診ることができないと、毎日体を使うクライアントにはわかる情報に気づく見方ができなくなります。

 違う業種であっても、自分がこんな対応をしてしまうとするとかなりがっかりだなと考えさせられました。

 『訴求に対して適切に対応すること』は確かに難しいことです。

 エアコンが再び効くようになった車で、エンジンベルトと回旋腱板について考えながら帰ってきました。

 

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2007年9月24日 (月)

クライアントに合わせること

 『自分に容易くできるストレッチをクライアントが容易くできるわけではない』、これがわかっていないと自分がやりたい施術を押しつけてしまうことになって、その結果、かえって悪くしてしまうことがあります。

 『他人の痛みを思いやること』、施術にはどの動作にもこの想像力が働かないと、適量刺激を超えて痛い思いをさせてしまうだけになります。

 経験したこともない病気や怪我の痛みをわかるわけではないのですが、まっすぐに仰臥することができなかったり、肩が上がっていたり、膝が曲がっていたり、よく診ていればわかることもたくさんあります。

 「痛いっ!」と言わせてしまえば体は緊張して、それまでの施術がだいなしになってしまうこともあります。

 だから弱い刺激から始める、ゆっくりといつでも止められるように注意しながらストレッチをしていく、これが施術の成否を分けます。

 骨粗しょう症があれば、くしゃみをしても肋軟骨にひびが入ることがあるのです。

 例えば、仰臥位下肢伸展で踵をゆっくりと突き出していってもらうようなストレッチや、仰臥位でゆっくりと上肢を前方挙上し肩甲骨まで持ち上げるストレッチなど、あまり動きがなくても効果的なストレッチはできます。

 肩が上がらない自分や、病気で起き上がれない自分を考えて、タッチやストレッチをシュミレイトしておくと、自分主動の施術で終わってしまうことの予防になります。

 クライアントとのやりとりの中でフィードバックがあって、適量刺激が決まっていくということを忘れてはいけません。

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2007年9月23日 (日)

手足のほてり・おなかの冷え

 顔や頭がのぼせて下半身が冷える症状は、更年期障害に限らず比較的よく診ることがあります。

 『60代女性、三日前から頭痛がする。手足が熱く、顔に汗をかいて、おなかが冷えている。冷房も扇風機も寒いと感じるのであたりたくない』、この症状には困ったものです。まずエアコンを切りました。

 甲状腺の手術歴があり、糖尿病で白内障もあります。背中は硬く、右大腿後側の坐骨神経に沿って圧痛があります。

 老人性の膀胱炎の診断もあり、漢方薬の猪苓湯(チョレイトウ)を服用中です。猪苓湯は体質に関係なく膀胱炎や排尿障害に処方されます。

 背柱起立筋に沿って膀胱経が走行するので、背中の硬さ・丸さは、膀胱炎と関連づけることができます。

 また、東洋医学では背中の丸さは“腑の病”と診ます。つまり、『胆・小腸・胃・大腸・膀胱』のいずれかの病であると診るのです。

 一方、老人・坐骨神経痛・排尿障害・糖尿病・白内障というキーワードからは、漢方薬では『八味地黄丸』が思い浮かびます。

 ただし、八味地黄丸は手足の冷えを改善する薬なので、ここから附子(ブシ)と桂枝(ケイシ)を取り除いた『六味丸』の証ではないかというイメージが浮かびました。

 八味地黄丸は裏寒証、六味丸は裏熱証の処方です(『裏』は慢性の病気という意味です)。どちらの薬も血液の循環障害を治療します。

 こんな事を考えながら指圧をしました。手足は熱く、顔も伏臥ではフェース枕のペーパータオルがビショビショになるくらい汗をかきました(頚を曲げ難い感じがあったので、今回はフェース枕とバストマットを使いました)。

 ただし平熱が低い方なので、体温が37℃を超えているようなことはないのです。

 おなかも触れて冷たいというほどの冷えではありません。

 このあたりは、クライアントの訴えを汲み上げて施術に反映させることができるかということにかかっています。

 全身の指圧をしましたが、座位で触れると背中や頚に痛みが残っていたので、軽い押圧を繰り返して痛みを軽減させていきます。

 おなかは硬さもなく比較的良好な感触でした。問題は末梢の血液循環障害だと思います。

 施術後、「頭痛はとれた」ということです。手足の温度もいくらか下がりました。

 旦那様にお迎えを頼んだのですが、お客様が来て出られなくなったということで、お宅まで車でお送りしました。

 締め切っていた車で冷房もすぐには効かないので「窓を開けてもいいですか?」と了解を得て窓を開けました。風は嫌だったはずです。

 しかし「風が気持ちいい」と言ってくれました。体の血液循環の調節ができたのです。

 全身指圧をした上で東洋医学的に考えると、この膀胱炎に猪苓湯を処方するのは間違いではありませんが、全身症状からは別なチョイスがあると感じました。

 

 

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2007年9月22日 (土)

「片鼻呼吸が長生きの秘訣と聞いたが?」

 「片鼻を指で押さえて呼吸をする片鼻呼吸が長生きの秘訣と言う人をテレビで見たが、どうなのか?」と施術中に尋ねられました。

 健康のためにできる呼吸法は、まず腹式呼吸をすることです。片鼻で呼吸をしても、呼気の時におなかがへこみ、吸気の時におなかが膨らまなければ効果はありません。

 この質問をされた方は、指圧の圧を漸増していく時に息を吐いておなかはへこみ圧を漸減していく時に息を吸っておなかは膨らみますが、自分でストレッチをしてもらう時には息を吐いておなかをへこませていくということができません。

 片鼻で強く息を吐くことと連動しておなかをへこませていくことができない方は、片鼻呼吸よりもまず鼻口呼吸を練習したほうがいいと思います。

 女性は一般的に胸式呼吸で腹筋も弱いため内臓の動きが悪く、冷えや便秘になりやすいということがあります。

 不随意筋の内臓を動かすための片鼻呼吸なので、トランペットが吹けるくらいの方ならいいのですが、そうでなければ鼻から息を吸って口から強く細く息を吐く、その時におなかが膨らみ、そしてへこむ、というところから始めるのがいいでしょう。

 腹式呼吸は運動量が多くなるので代謝を促進します。

 それを考えると、一時間程度腹式呼吸をしていただくことになる全身の指圧・マッサージは、運動であり、代謝を促進するということがよくわかります。

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2007年9月21日 (金)

「磁気治療器の効果はありますか?」

 『磁気治療器を買ったが効果はあるか?』と尋ねられたのですが、効果を実感していればこういう疑問は浮かばないわけです。指圧に来ることもないでしょう。

 健康器具をセールスで買った場合、そこで語られるセールストークを実感できる効果を得られる人は稀です。しかも健康器具は高価なものも多いので、買ってからかなりがっかりする人もいるわけです。

 磁気治療器にある程度の効果はあるはずですが、そのセールスのターゲットとなる年齢層には不可逆的な体の変化がある場合も多いのです。

 『磁気治療器の効果』を尋ねた方には頚椎の変形があります。血圧・血糖・脈拍をもう少し下げるように管理する必要もあります。

 磁気治療器よりも、服薬やストレス管理や運動や食生活の改善のほうが体に影響を与える事ができるでしょう。

 何にでも効果があるようなセールストークに期待してしまう心理はわかりますが、誰にでも効果が実感できるというわけではありません。

 健康器具のブレスレットでもネックレスでもそうですが、「これは効果がありますか?」と尋ねられた時点で、「残念ですがあなたにはあまり効いていないようですね」とお答えします。

 そしてそう答えた以上、それより確実性のある、部位毎に刺激を変えた効果のあるタッチで、全身を細かく診ていくのです。

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2007年9月20日 (木)

激辛カレーで頭痛

 「激辛カレーを食べた後に、汗がダラダラと出て頭痛になったがどうしてか?」というお尋ねをいただきました。

 激辛の素はトウガラシですので、これによって新陳代謝が促進し、体で発生した熱を逃がすために毛細血管が拡張し、発汗が起こったということになります。

 普通はその後に血管は通常程度に収縮していくのですが、刺激が強すぎた場合や筋肉のこりなどで一部に血管の狭窄部位があると、ホースをつまんだように血管が太く拡張してしまう所ができます。

 これによる頭部の痛みが偏頭痛です。拡張した血管が三叉神経を刺激して起こるといわれています。

 いつもなら激辛カレーを食べてもそのようなことはなかったとすれば、その日はいつもよりも血管が拡張していて、むしろ体調が良かったのかもしれません。

 緊急の対処法としては、コーヒーや緑茶などからカフェインを摂ることや、静かな暗い場所で横になることなどがあります(その状態で光刺激を受けたり、満員電車に乗れば悪くなることがあります。)

 指圧では痛む部位の持続的圧迫で血管を収縮させます。その部位を冷やすのも同じ効果があります。

 意外と効果的なのが、痛む部位より下部のリンパや静脈血を心臓に戻す方向(求心性)にマッサージすることです。

 詰まりの先を流してしまったほうが、拡張した血管に溜まった血液を排出するのに効果的な場合が多いように思います。

 痛みのある頭をゴリゴリ圧してもなかなか良くならないものです。ずっと叩いていると痛みを確認するだけに終わったり、かえって悪くすることもあります。

 それよりも上肢下肢のむくみをとっているような時に頭痛が治ることがあるのは、静脈血やリンパの促進によって“体循環”という大きな流れを促進するマイルドな施術法だからだと思います。

 手技療法においては、遠大な計画や俯瞰的な人間の見方のほうが、部分的なアプローチよりも優れていることがほとんどです。

 そして偏頭痛は、少し眠ることができると良くなっていることが多いです。

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2007年9月19日 (水)

運動会後の頭痛

 『40代女性教師、運動会でテントの設営やパイプ椅子運びをし、炎天下で過ごした。頭が痛い。』

 今朝吐いたということでしたが、体調はそれほどひどいものではなさそうです。

 右上腕二頭筋の外側にコブ状のこりがあります。パイプ椅子をいくつか持って揺らしながら運んだのではないでしょうか。

 大腿外側の硬さから、下肢を開いて踏ん張って立っていたことがうかがわれます。運動会当日は30℃を超えていて、体力的にも相当きつかったようです。

 自覚的腰痛はなかったのですが、指圧をし、ストレッチをしてみると、右腰に痛みがあります。パイプ椅子でも大量に運べば腰への負担はあるだろうと考えていました。

 吐いたことと股関節を開いた大腿外側の硬さから、こめかみのあたりにも痛みはあるだろうと予想されました。実際に右こめかみに強い圧痛があり、これは偏頭痛の典型であると思われます。

 炎天下の光刺激も偏頭痛の誘因だったと思います。

 顔面・頭部の指圧から寝息を立て、15分くらいは眠れたようです。

 施術後症状は治まり、「これから遊びに行く!」と言えるまでになりました。

 最初に座位で友人にいただいた“石のマッサージローラー”を使ってみたのですが、吐くほどの頭痛の方には『石の冷たい気持ち良さが伝わるほどではなかった』ようです。

 頭痛薬より指圧という方は、指の柔軟さと密着感のほうをマッサージ器具よりも好まれます。

 『そういうものをもらって試してみたいのはわかったから、まずお前の指で何とかしろ!』というオーラがグワングワンと伝わってきました。

 

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2007年9月18日 (火)

「問いを見つけられたものが答えを見つけることができる」

 「問いを見つけられたものが答えを見つけることができる」、昨日の『異次元への招待』という番組の中での、リサ・ランドール博士の言葉です。

 彼女は『小さな磁石でもクリップを吸い上げられる』ことを例に、『他の様々な力と比べて重力の力が極端に弱い』ことを説明します。

 それは『重力がこの宇宙から漏れ出している』と考えれば説明できるとし、宇宙が何層にも重なって、その間を重力が行き来する『膜宇宙』の理論を導き出します。

 疑問を持つことで答えを求めて研究を重ね膜宇宙の理論に至った経緯がよくわかります。

 そして疑問を感じる、問題意識を持つというセンスを磨くには、基礎的な勉強が自分のものなっている必要があります。

 今まで自分が身につけてきた常識から考えると説明がつかない、わからない、と疑問を感じることが第一歩です。

 閃いてグッドアイデアだと思っても、しばらく寝かせておくうちに冷めていくアイデアは、やはりどこか十分ではないのでしょう。

 世界的な物理学者であっても葛藤があり、モチベーションが下がることもあり、失敗を重ねてきたことが伝わってきました。

 生活の木で講座をしていても、質問ができる人はある程度基本の勉強ができています。

 宇宙物理学は遠い学問だと思っていましたが、取り組む姿勢は同じなのだと思いました。

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2007年9月17日 (月)

moxa

 “moxa”。ダイレクトメールで宣伝されていたのは、『もぐさ』からネーミングされたと思われる、せんねん灸の新商品のことでした。

 “くだもののかほり”“はなのかほり”“緑茶のかほり”“香木のかほり”があるそうです。

 香りではなく“かほり”なので、只事ではない製造の(販売の?)意気込みが感じられます。

 『女性をターゲットにしたヒーリングアイテム』と宣伝文句を謳っています。

 最近は『女性をターゲットにした』『スピリチュアルな』『ヒーリング』という冠がつくイベントや商品が目白押しです。

 私はアロマセラピストの指圧師なのでお灸を使うことはありませんが、“m・o・x・a=モグサ”、こいつは一体ナニモノだと目を惹きつける効果はありました。

 お灸の会社も時流から離されないように努力しているのだなぁと思いました。

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2007年9月16日 (日)

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

 掌や足底から踵にかけて、皮膚がカサカサに剥がれて、所々小さく赤い丘疹が散在するのが掌蹠膿疱症です。

 これは細菌やウイルスによるものではなく、原因不明とされています。

 指圧をしていると、時々掌蹠膿疱症に出会うことがあります。

 掌の場合はすぐにわかりますが、足にあると指圧は靴下を履いていてもかまわないので見逃している事もあります。

 昨日は前脛骨筋から第1趾足底の痛みが前から気になっていた方の足に、初めてアロマオイルマッサージをすることにしました。

 糖尿病で壊疽を起こして手術をしていたので、ずっと足を見ることがためらわれていました。

 靴下をとると壊疽の傷はきれいなものでしたが、両足の踵から足底に掌蹠膿疱症が現れました。

 何となく足を直に見ることがためらわれる雰囲気があったのは、これを気にしていることが伝わってきたからかもしれません。

 指圧後にオイルを使うことにしていたのですが、指圧がよく効いたためかオイルマッサージの前にトイレに行かれました。施術中、胃腸の動きがはっきりと伝わってきていました。

 血行促進ということで事前にマジョラムとスイートオレンジを1:1の割合でスイートアーモンドオイルに希釈したブレンドオイルを用意していたのですが、これは便通促進のオイルでもあります。

 排便後にこの選択はどうかとも思ったのですが、そのまま足から膝までのオイルマッサージをしました。

 指圧で下地はできていたので、施術後には「足の感覚がこんなにはっきりしたことはここ数年なかった」と、とても喜んでいただけました。

 この感想は、思っていた以上に末梢神経障害が愁訴であったことを確認することにもなりました。

 加温性も高いのでこれから寒くなることもあって、精油の選択はこのままでもよいと思います。

 しかしキャリアオイルは皮膚の修復ということを考えると、カレンデュラとかローズヒップのほうがいいかと思います。

 予期せぬ掌蹠膿疱症でしたが、こういった症例に施術ができるということは有難い事です。後に繋げることができるようなデータを残していきたいと思います。

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2007年9月15日 (土)

心因性の肩こり

 肩こりが心因性である場合があります。

 精神的な緊張によって体が硬くなっていたり、うつむいてばかりいて頭の重さで肩がこるので、筋肉の使い過ぎの肩こりと心因性の肩こりは結局同じことになると言ってもいいのかもしれません。

 「胃カメラの検査が恐くて…という方がいました。アレルギー体質でもあり、敏感な、繊細な、神経質なタイプであることはよく承知しています。

 この方の肩こりは、全身指圧をすれば毎回軽快します。

 「話をする」ことが施術の大きな役割を占めています。

 指圧をしながら「胃が重たいから念のための検査でしょう?おなかを触ってもおとなしいし(硬さはないという意味)、血便が出て大腸癌の検査に行くわけじゃないんだから…」などと言ってみます。

 「鼻から入れる細い内視鏡ができたっていうじゃない。その病院は胃カメラを新しくしたって聞いてきたんでしょう?だったらそれかもしれないよ。」

 いろんなことを言ってみます。「ハーゲンダッツは何味が好きなの?」

 どうでもいいようなことですが、『ハーゲンダッツが一番好きだと言っていたのを覚えているよ』ということがポイントです。

 何でもない会話は膨らんで「火傷で入院した時に知り合いがお見舞いにくれたストロベリーのハーゲンダッツの美味しかったこと!」というお話を引き出します。

 前向きのメッセージを施術の中で作り出して、帰っていただけばいいのです。

 気分転換をしてもらう、美味しい、楽しい記憶を甦らせる、あまり適当とはいえませんが、何もなければしょうがないので「誰々よりはマシですよ」という比較級の言葉かけでもいいのです。

 自信満々にあみだした「新しい胃カメラはこんなに楽だったよって、近所の胃カメラが恐いって言っている人に教えてあげられるじゃない」というフレーズは心の琴線に触れずに却下されました。

 心因性の肩こりは、心のひっかりに対応していかないとゆるむということはありません。たとえその晩同じ不安にかられるとしても、一時でも気分を変えられた言葉は拠り所になります。

 肩こりをほぐすだけでなく、スタートラインから背中を押して前に進んでいただくための言葉、それが“ハーゲンダッツアイスのストロベリー味”だったりするのです。

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2007年9月14日 (金)

良い圧刺激

 指圧に限定せず、良い圧刺激とはどういうものでしょうか?

 一言で言うならば「皮膚の表面に対して垂直の圧」ということになります。

 皮膚の表面は曲面でできています。当然その下の筋肉も曲面でできています。顔面であっても臀部であっても、筋肉の硬結に深く到達するためには、上からベッドに垂直になるような圧し方は間違いで、皮膚の曲面に柔軟に手指を密着させた垂直圧が必要になります。

 ここまで考えが及んでいるセラピストは多いと思います。

 しかし、これにはまだ先があって、垂直圧が正しく行われていれば、圧刺激は骨を越え、臓器を貫き、反体側の骨、筋肉、皮膚まで刺激します。

 しかも点圧は水滴が波紋を広げるように円錐形に刺激が広がり、良い圧刺激というものは、背中の一点圧が腹部を広範囲に圧すことになります。

 これは施術者の圧だけでなく、被術者の背中の皮膚が筋肉を圧し、筋肉が骨を圧し、その圧刺激が内臓から腹部の皮膚に伝わるということです。

 一点の圧刺激に対して、人間の体はスピーカーのように刺激を増幅していきます。

 良い施術者になるには、この感覚を受けたことがあるということが必要だと思います。

 不幸にもその経験がない場合は、周りにそれができる技術を持った人がいなかったか、自分の感覚がそれを理解するまでに到っていないかのどちらかです。

 『背中の一点圧が腹部の広い面を圧すことになる』垂直圧を自分のものにしていれば、漸増漸減圧ができ、いきなり痛い圧になってしまうなどという初歩的な間違いはあり得ません。

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2007年9月13日 (木)

サムウォークとムーンウォーク

 リフレクソロジーのサムウォークという手技は、足底に施術をする場合、四指を足の甲に固定してから、母指の指節間関節を曲げて前に滑らすことを繰り返していきます。

 サムウォークと比較すると、指圧の母指の動きは、指節間関節を曲げることはありませんが、ムーンウォークのように後ろに滑ることになります。

 サムウォークで母指の指節間関節を曲げることは、中手指節間関節を曲げることになります。

 指圧は指節間関節を伸ばして、中手指節間関節を曲げます。

 指圧の指の使い方は、母指と四指の指紋部を手前に引いてくる感じ、広げたティッシュの上でやってみると、真ん中にしわが集まってきて、つまみ取る時の動きに似ています。

 サムウォークは前に進みますが、指圧の動きを真似してみるとムーンウォークも可能になります。

 手を傷めたときに、反対側の手でムーンウォークができればサムウォークと同じ動きになります。

 私は基本が指圧なので、ムーンウォークのほうがしっくりきます。面白がってやってみると、マイケル・ジャクソンのムーンウォークそっくりです。

 のこぎりを引いて切るか、押して切るかのような、そこには東洋と西洋の体の使い方の違いがあります。

 リフレクソロジーにムーンウォークはないようですが、微妙な違いを出せたほうが施術の応用範囲が広がるので、どちらもできると良いと思うのですが…。

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2007年9月12日 (水)

焦げたミルラの臭い

 昨日は換気をしてもマジョラムやペパーミントをミストにして焚いても、ミルラの焦げた臭いを消すことができませんでした。

 「アロマオイルをこぼしてしまいまいして、ちょっと変な臭いですみません」などと言いながら、80過ぎの女性に指圧をしたのですが、少しウトウトと眠っていたと思ったら突然、「うちの近くでボヤがあって、天ぷらを揚げていて少し目を離したら燃えたそうで、消防車が二台来て…」と言ってまた眠ってしまいました。

 FAX用紙と反応して明け方に燻っていたミルラの臭いは、誤魔化せないものです。

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2007年9月11日 (火)

ミルラ発火!

 早朝まだ暗いうちに妙に煙たいので、どこかで何かを燃やしているとしたら迷惑な話だと思っていたら、精油を保管している部屋のくずかごの中に捨てたFAXの紙が燃えていました。

 もう煙を出してはいなかったのですが、部屋から漏れ出した煙は家の中に広がっていました。

 昨日、中蓋が精油で固まってしまったのではずしていた古いミルラの瓶を床に落としてしまい、こぼれた精油をトイレットペーパーで拭いてくずかごに捨てていました。

 夜の7時頃には何も起こっていなかったので、その後FAX用紙のインクとミルラが反応して燃え出したのかもしれません。

 手の消毒にエタノールを含ませたコットンを使っているので、もしかしたらそれも反応したのかもしれません。

 大事にならなくて良かったと思いました。

 アロマテラピー検定1級のテキストに『消防関連法「危険物の規制に関する政令」』という項目があって、「精油は揮発性物質であり、しかも引火する可能性の高いものです。」と記されています。

 さっきそのページのことがが頭に浮かんで、思わず読み直していました。

 ミルラはミイラに使われ、キリスト誕生の贈り物とされただけあって、精油そのものに力強さがあります。

 スモーキーな香りだと言われるミルラが燃えてよりスモーキーな香りに包まれたこの部屋を教訓に、精油の取り扱いを見直さなければなりません。

 精油を拭き取った紙は水を含ませて、それだけビニール袋に入れて捨てるのがより安全だと思います。

 FAXは迷惑な広告のFAXであっても、丸めて捨てずに資源ゴミに出さなければいけません。いつもそうしているのですが、余程忙しい時に来た迷惑FAXを丸めて捨てたのだと思います。

 そして精油瓶の中蓋が重たい精油で固まってしまったら、アルコールできれいにして、きっちりと中蓋を閉めなおすことです。

 家を一日空けていたとしたらゾッとする出来事でした。

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2007年9月10日 (月)

富士見温泉見晴らしの湯

 群馬県赤城山の山腹、富士見村にある見晴らしの湯は、露天の心地良さがあります。

 目の前にトウモロコシ畑が広がり、その先は前橋市に下っていきます。

 露天の広い庭を前にして、赤城の山肌を撫で降りてきた涼しい風にあたっていると、大自然にマッサージされているようです。

 温泉はPH6.7でカルシウムを含むやや硬さを感じる塩化物泉です。源泉が高温のためか、寒い土地柄からか、やや温度は高めです。

 床面は滑りにくく、露天に下りる階段も滑りにくい石を使っている上に、滑り止めが貼られています。

 泉質や設備が素晴らしいわけではありませんが、赤城山を撫で降りてきた涼しい風にあたることができるのは、残暑の午後の贅沢です。

 隣接する農産物特売所ではとてもみずみずしい梨を買うことができました。りんご、とうもろこし、栗、どれも赤城山の恩恵を受けた、特別な味がしました。

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2007年9月 9日 (日)

「触圧覚と痛覚が脊髄で結合することがある」

 昨日のNHK教育『サイエンスZERO』で、脊髄に入った触圧覚と痛覚が結びついている写真を見ました。

 この状態では、“体に触れただけで、刺激が痛みとして脳に伝わる”ということです。

 肩こりでも、触れた瞬間に「痛いッ!」と声を上げられてしまうような、通常のこりとは違うものがあります。

 ヘルニアなどで神経が圧迫されているということもあるのですが、感覚的には、『慢性的なこりでは、炎症によって毛細血管や神経が何度も傷つき、断裂して、再生する時に瘢痕などを避けて複雑な伸び方をするので、神経が過敏になるのではないか』と思っています。

 つまり施術の時に感じているのは、『脊髄で触圧覚と痛覚が結びつくというよりは、皮膚の表面で触圧覚は痛覚の働きもするようになる』ということです。

 まだまだ脊髄での触圧覚と痛覚の結びつきについては検証する必要があるそうなので、今後の研究に期待しています。

 またこの番組の中で、『脳梗塞後の麻痺の痛みに、前頭葉中心前回にある運動野への磁気照射が効果をあげている』例を報告していました。

 この研究が進めば、慢性痛を持つ方への頭部指圧の効果を見てきた私には、理論的な後押しになります。

 磁気でできることは、垂直圧ができれば指圧でも可能だと思っています。運動野への指圧を研究してみます。ツボでいえば『百会』の周囲ということになります。

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2007年9月 8日 (土)

手強さを感じた電話「メタボの薬!」

 お得意様に紹介されたという女性から、予約の電話をいただきました。「何か薬を飲んでいますか?」と尋ねると「メタボの薬!」という声が返ってきました。

 声のハイテンションと不眠症という主訴から『そうとう手強い』と感じました。『それだけではあるまい』という感じが満ち満ちていましたが、電話でそれ以上尋ねることはやめて、その日のうちに来ていただくことにしました。

 案の定、糖尿病があり、脳梗塞も経験し、薬こそ拒んでいるようですが高血圧もあります。脈をとると一分間に108を数えました。

 座位で両肩をつかんで持ち上げるとギシギシと音がします。右踝には複雑骨折でボルトが入っているそうです。そのせいか足は内反しています。

 右膝はむくんでいて、変形性膝関節症が疑われます。

 頚はやや右に側屈し、前傾しています。美容室のシャンプーでは頚を後屈で固定された上に、左右に揺らされることがあるので、気持が悪くなると言います。

 背中の筋肉の硬さ、骨盤の開き、股関節の硬さ、肘関節まで硬い、糖尿病による動脈硬化と末梢神経障害は進んでいるように感じます。

 つまり、『メタボの薬を飲んでいること』は本筋から派生したことであって、どうも現状認識がずれてしまっているように感じます。

 そして施術中に、彼女の携帯電話に2回電話がかかってきました。指圧をされていた直後からハイテンションで電話に出る声を聞いていても『ゆるむということがわからなくなってしまっている』と思いました。

 仕事の時間とゆとりの時間を分けることができなければ、そもそも眠れるはずがありません。

 電話の中で「一時間後にまた電話する」と言っていたのが聞こえてしまったので、その後一時間で施術を終えました。

 施術中は眠っていたように見えたのですが、本人にその自覚はないようです。脈は一分間に84まで下がりました。

 声のトーンも落ち着いたものになり、肩関節の可動性や背中の硬さも柔軟性を取り戻したようです。

 しかし、彼女からはっきりと楽になったという言葉を聞くことはできませんでした。状態が悪過ぎるとそういうこともあります。

 そしてそこから30分に及ぶ彼女の質問が始まりました。「どこが悪そうでしたか?」から始まって、いろいろと、いろいろとです。

 少なくとも『まぁ試しにちょっと揉んでもらおう』くらいのところから、『傷病歴や服薬歴を聞く指圧もあるんだ』くらいには見方を変えてくれたようです。

 こちらも真剣勝負をしています。その試合に望む相手としては、このマット上のマイナールールを覚えていただく必要があります。

 そしてあれこれ話を続けるうちに、さっきの電話をかける約束を忘れて、先方から電話がかかってくることとなりました。

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2007年9月 7日 (金)

『レミーのおいしいレストラン』

 『レミーのおいしいレストラン』はアニメ映画ですが、久しぶりに感心させられた作品です。

 アニメーションで描き出された街の風景が、私の記憶に定着した現実の風景に重なって見えました。

 視覚を通して脳に記憶された現実世界は、連続したフィルムというよりは絵画的、断片的であるように思います。

 ネズミのレミーが勇気を出して、下水溝からビルの配管の隙間をよじ登って屋根の上に登りつめた時に、目の前に御褒美のように広がる、憧れの美しいパリの風景、それが一番感銘を受けたシーンであり、作者が表現したかったことではないかと思いました。

 好きだから、興味があるからという理由さえあれば、何もないかもしれないけれど行ってみること、何も出来ないかもしれないけれどやってみること、それが大切なんだと胸に訴えてきました。

 指圧の一つの施術も、始めは暗中模索でどこへ行き着くかわからず、手がかりや出口を探して、最終的には美しい風景が広がる世界へ抜け出しているというような結果で終わるのが望ましいことです。

 『レミーのおいしいレストラン』は、どんな仕事をしている人にでも感情移入ができるのではないでしょうか。

 ネズミは嫌いを通り越している私でも、ネズミが大量に画面に現れる時は気持ち悪く思いながらも、作品はそれを超えるものがありました。

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2007年9月 6日 (木)

触れただけでこりがわかるようになるには

 「触れただけでこりがわかるのはどうしてですか?」、これはリフレクソロジストの方の質問です。

 彼女は筋肉を強擦したり柔捏すればこりがわかるようですが、皮膚に触れただけではわからないと言います。

 確かに筋肉の走行を縦に強擦していけば、抵抗のある硬さの部位が“こり”だとわかります。また、筋肉を端から横にねじっていっても、こぶのように隆起した硬結に当たればそれが“こり”だとわかります。

 では触れただけで“こり”がわかる人と、わからない人との違いはどこにあるのでしょうか?

 一言で言い切ってしまえば、それは“センサーの違い”です。

 触れただけでこりがわかるようになるためには、たくさんの人に触れて経験を積んで、触圧感覚を磨くことです。

 他人の体に触れるという行為は緊張を伴います。『自分の体に触れているようにクライアントの体に触ることができるようになる』ということも必要です。そのためには暇さえあれば自分の体に触れてみて、気持のいい刺激を探すことです。

 そして極小のタッチを持つ事が大切です。

 強く触れてしまうと、こっていない筋肉を緊張させてしまって、本当のこりがわかりにくくなります。

 ミュージシャンもそうですが、プロフェッショナルは強いタッチもできます。しかしほとんどの場面で、プロのミュージシャンが最大のタッチで演奏することはありません。それは気持の良い音にならないからです。

 強いタッチを持つ者の極小のタッチは、単なる弱いタッチではなく、余裕を持ったタッチになります。だから音楽では、観客の聴覚を惹きつけることができます。

 これを手技療法のタッチに置き換えると、強いタッチもできた上で極小のタッチを自分のものにできれば、余裕が生まれて、触圧感覚がより鮮明になるということです。

 

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2007年9月 5日 (水)

感覚が鈍くなるということ

 嗅覚は悪臭であってもそのうちに慣れるということがあります。これは生きていくために必要な一種の“鈍感力”といえます。

 良い香りもまたそのうちに慣れてしまうということがあります。生理学的には感覚が鈍くなることを「閾値(最低刺激量)が上がる」と言います。

 感覚が鈍くなるなら「下がり」そうなものなので、アロマテラピーを勉強する時に、“閾値が上がる”という表現で戸惑った人も多いことでしょう(ここはよく試験に出るところです)。

 年齢とともに感覚は鈍くなり閾値が上がります。“小さい声では聞こえない”“味がわからなくなった”“味付けが濃くなった”“足先の感覚が鈍くなった”など感知できる最低刺激のレベルが上がっていきます。

 また加齢によらずとも強い刺激を好んでいくと、だんだんと感覚は鈍くなり閾値が上がります。

 香水を迷惑なくらいつけている人、大音量でなければ音楽を聴いた気になれない人、ライスがくるとまず塩をかけてしまう人、世の中には強い刺激しかわからなくなってしまった人々がたくさんいます。

 手技療法のタッチもそうです。強い刺激は繊細な触圧覚を抹殺します。クライアントだけでなくセラピストも繊細な触圧刺激がわからなくなります。

 フランスの有名な調香師のことを、「火を入れた物を食べない」と紹介していたテレビ番組がありました。彼は嗅覚と味覚の繊細さを保つために、生野菜や果物中心の食事をしていました。

 プロフェッショナルであるために厳しい精進を日々課しているのだと、その徹底ぶりに凄味を感じました。

 強い刺激はわかりやすいのですが、多くの強い刺激は不必要なものです。

 微妙な刺激はわかりにくいかといえば、「筋肉が硬すぎて上から潰しても痛いだけなので、皮膚をゆるめて、筋膜をゆるめて、こりの中心をはずして少し斜めから圧しておきました」と言うと、「だから此処へ来てしまうんです」と言ってくれる方がいます。

 繊細なタッチは繊細なタッチのわかるクライアントを作ります。繊細な感覚は繊細な感覚を生みます。私は手技療法にミラクルがあるとしたら、閾値の低いレベルにあると考えています。

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2007年9月 4日 (火)

バウエル(腸)マッサージ

 BSでマッサージ店を紹介するミニ番組があり、“バウエルマッサージ”をやっていました。

 バウエルは腸を意味するので、バウエルマッサージとは腹部マッサージのことです。

 手技は仰臥の腹部のみのようで、内容は腹部の基本指圧のようなものでした。

 「効果はそれぞれですが、中には施術後にトイレに行く方もいます」とセラピストの方が言っていましたが、それではごく当たり前のことです。

 “バウエル”という聞き慣れないネーミングに注目してもらうことと、おそらく便秘の女性をターゲットにしたというわかりやすさが売りということでしょうか。

 妊娠中の女性と体の弱い方は御相談くださいとしていたので、マッサージの資格を持っていないセラピストが施術をする場合もあるのかもしれません。バウエルマッサージを教える民間のスクールがあります。

 腸のマッサージに特化したということは良い考えだと思います。肩や腰で終わるだけがマッサージではないということは、もっと浸透してほしいと思います。

 バウエルマッサージをもう少し効果的なものにできれば、残っていくことはできるでしょう。そのヒントは背部や上肢・下肢への施術を組み込むことです。

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2007年9月 3日 (月)

イメージを言葉にしておく

 世界陸上の棒高跳び女子で優勝したイシンバエワ選手は、試合が始まって他の選手が跳んでいる最中も、出場前は音楽を聴きながらタオルをかぶって寝ていました。

 今回の世界陸上では、過酷な暑さもあって、肉体のピークと精神のピークを合わせることの難しさが、素人目にもよくわかりました。

 イシンバエワ選手は外部の世界から視覚と聴覚を遮断して、マイナスイメージの侵入を防ぐとともに、プラスのイメージを膨らませて競技にのぞんだのだと思います。

 一生のうちでの肉体のピーク、そのシーズンの肉体のピーク、その大会の肉体のピーク、その日の肉体のピークと、全て揃うことはほとんどありません。

 肉体を補うのはメンタルであるということは、30才を過ぎて女子マラソンで銅メダルをとった土佐選手からも感じました。

 跳べる高さをパスして自己新記録にかけたイシンバエワ選手の集中力と練習でつちかった自信は、惜しくも記録は逃しましたが素晴らしいものでした。

 あの外部を遮断して集中していた時間は、何度も繰り返しイメージを頭の中で言葉に置き換えていたのではないかと思います。

 指圧やマッサージのタッチも同じです。いつも体調がベストというわけにはいきませんから、イメージを言葉に置き換えてメンタルで補う必要があります。

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2007年9月 2日 (日)

「頭って重いのね…zzz」

 60代女性、伏臥位で右側の施術に移ろうとして、頚の向きを右に変えていただいた時に発せられた言葉が「頭って重いのね…」でした。

 眠っていて、おそらく目が覚めないままに頭を動かして、心からその重さを感じたのでしょう。

 脱力していたということです。催眠術の「だんだん頭が重くなってくる~」という状態です。

 入ってくるなり「いい香り…」と言っていただける方は、もうそこから施術の効果は有利に働くと言っていいでしょう。

 この女性の場合もそうで、こちらの意図する気分転換の演出を気持ちよく感じ取ってくれています。

 体を安心してまかせてくださるので、『脱力』が深く完璧に近づいていきます。

 私が嬉しく思ったのは、60才を過ぎて初めて、自分の頭の重さに気づいてくれたことです。

 体の中にはいろいろと面白い感覚があって、その一つでもこちらの知ってほしいことを感じてもらえたら大満足です。

 ただ、「頭って重いのね…」と言ったことは覚えていないかもしれません。その後もよく眠っていましたので。

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2007年9月 1日 (土)

こりとは付け根に向かって引っ張られること

 背中の筋肉が硬くなって背中が丸くなると、脊柱起立筋が仙骨の方向に引っ張られます。

 すると、それにつながる頭部の帽状健膜も引っ張られるので、緊張により頭痛が起こります。

 このように筋肉がこって硬く収縮した状態が続くと、付け根(筋肉の起始部)に向かって短縮するので、身長や上肢、下肢の長さが短くなります。

 背中のこりは身長を低くし、肩こりは上肢を肩に引っ張り、下肢の筋肉が硬くなると大腿の付け根が鼡径部を詰めることになります。

 だから肩こりでも腋窩部が詰まって神経を圧迫して手がしびれることがあり、大腿の筋肉のこりでも鼡径部の血管を圧迫して足の冷えやむくみの原因となります。

 背中のこりをゆるめるだけで終わってしまうと、『時々起こる頭痛の原因は何か』ということをクライアントに示すことができません。

 肩こりによる手のしびれも、腋窩部の施術が有効なこともあれば、頚の筋肉をゆるめることが有効な場合もあります。

 部分のこりを、その影響を考えてもう少し大きな単位で考え、さらに体全体で考えた施術ができると、クライアントは自分の体の状態を把握することができ、安心してもらうことができます。

 これは昨日の指圧をもとにしたこりについてのお話しなのですが、実際に右手のしびれを腋窩の指圧で、頭痛の理由を背中のこりをゆるめながら説明し、納得してもらいました。

 漠然と疲労を感じている状態を、具体的にこりをゆるめ骨格を矯正することで、お互いに感覚の交換をしながら体の点検整備をした時間になったと思います。

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