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2008年7月 7日 (月)

“そんな時にまで”指圧に来ていただいたこと

 毎週一回午前中に指圧に来ていただいている男性から、その前日に「夕方に変更してください」という電話をいただきました。

 夕方にいらっしゃった時には、いつもと違う右肩僧帽筋の中央『肩井』に新しいこりがありました。

 体は温かく血流もよく、蒸し暑い午後だからかなと思っていました。

 指圧をしながらあれこれ話を交わすうちに、お墓に行ってきたのだとわかりました。肩井のこりは、お墓掃除でできたのかもしれません。

 少し早いお盆の用意なのかなと思いました。

 帰り際、それは御自分が喪主になる葬儀の準備だとわかりました。

 現在、心肺停止状態の御家族が、病院で最後の時を迎えようとしているのです。

 いつもと違う体の温かさは、悲しみか、それとも憤りか、様々な感情が交錯していたのだと思います。その御家族の命の消耗していく姿は、決して簡単に受け入れられるものではなかったように思います。

 最後の帰り際に、その現実を私に伝え残していくことは、必要なことだったのでしょう。

 私はその状況で、世界一予約の取れないセラピストの施術がやっと受けられるとしてもキャンセルします。

 午後に予約を変えてまで此処に来ようと思っていただいたことを、とても重く受け止めました。

 心の整理と体の準備に必要な時間であるとしたら、その方にとっての指圧は、私が指圧に託すもの以上なのだと思います。襟を正す思いでした。

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