« 不眠症にローズマリーを選ぶ女性 | トップページ | 献血ルームの超ベテランドクター »

2008年8月31日 (日)

両手の火傷にできること

 揚げ物をしていて油が炎を上げ、両手に火傷を負った40代の女性、予約なしに飛び込んできました。

 火傷から3日目、両手は包帯に覆われていますが、指先の白い水ぶくれを覗き見ることができます。

 額や体からは微熱を感じ、まだ炎症が急性期にあることを感じます。

 サンダル履きで来た足は土に汚れ、『この時間しかなかった』というような、慌ててやってきた印象を受けました。

 処置の済んだ包帯をとってラベンダーを原液で塗り込むなどということはあり得ないので、パニックに傷んだ心と体をリラックスさせて、誘導的に火傷の回復を早めるような指圧をすることにしました。

 火傷に至る過程では、家族の問題など、大きなストレスを抱えていたことがわかります。揚げ物をしていながら注意散漫になった原因は、本人が自覚しています。

 指圧を受けながら、それをうかがえるようなことをポツポツと話していましたが、すぐに眠りの世界に入っていきました。

 両手の火傷ですが、それは痛みや緊張を通して、頚と肩のこりと、腰の筋肉の強いつっぱりをもたらしていました。

 深い眠りです。右肩上部僧帽筋の指圧のときに、「△×○……」と、意思だけの言葉をはっきりと寝言で語りました。

 それは誰かに何かを語る口調でした。古代の言葉のような響きにも聞こえました。心だけが音になっているのだと思いました。

 全身指圧をし、仰臥位でもとてもよく眠りました。

 施術後は、「すごくスッキリしました!」と、明るい顔で帰っていきました。

 アロママッサージでは必ず拭き取る足の汚れですが、今回は拭きませんでした。汚れを落とすのが、かえって失礼なような気がしました。

 その素足の汚れに彼女が気づかないはずがありませんが、その時は何でもないように扱おうと思いました。

 道のぬかるむ中を、“急いで抜け出してきた”のだと思います。

 もちろん、足の指圧の後は、自分の手を洗い、上肢や顔の指圧をしました。

 寝ている彼女を起こさないように、そーっと静かに手を洗い、エタノールで消毒をして、指圧を続けたのでした。

|

« 不眠症にローズマリーを選ぶ女性 | トップページ | 献血ルームの超ベテランドクター »

心と体」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 両手の火傷にできること:

« 不眠症にローズマリーを選ぶ女性 | トップページ | 献血ルームの超ベテランドクター »