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2008年10月31日 (金)

亀人間と鳥人間

 昨日指圧をしながら考えたこと…。

 背中がこっていて、胸郭全体が膨らんで見える50代の女性、息をするのが苦しく夜眠れない、『このままでは背筋や肋間筋が固まって、“亀人間”になってしまうかもしれない…』

 同じくこの女性の広背筋は腋窩後部の小円筋、大円筋とともに硬く緊張していて、『このまま筋膜と皮膚が肘まで伸びて腕に羽根が生えてきたら、“鳥人間”になってしまうかもしれない…』

 『アンタは何を考えているのだ』と言われるだけの話なのですが、施術中はむくみが流れてトイレに行き、施術後はちゃんと体の緊張がほぐれたので許していただきたいと思います。

 生物の進化には、体の使い方による“筋肉の緊張”が関与しているのではないかということを感じました。

 この女性は、体幹の筋肉の前後からの締め付けで肺を十分に伸展することができずに、呼吸が浅くなっていました。この状態では、仰向けでの安眠はできません。

 亀も鳥も、仰向けに寝るという話は聞きません。亀が仰向けになれば、裏返ろうと(or表返ろうと)ジタバタします。

 人間の仰向け寝は、生物界では特殊です。内臓を食い破られやすい格好で寝るのですから…。

 亀人間と鳥人間は退行か、進化か?

 イカロスの翼を、目指せば、目指せないこともないのかもしれません…。何代も何代もかけて…。

 長寿を目標に進化する一族は、飛翔によりエネルギー消耗が激しく短命な鳥人間よりは、やはり亀人間を目指すでしょうか…。

 あまりにもこった体の感触から、亀人間と鳥人間のインスピレーションが降りてきました。

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2008年10月30日 (木)

砂風呂の圧刺激

 初めて砂風呂に入りました。

 砂自体の重さで空気が抜けて“砂がしまってくる刺激”は、均等な垂直圧のように感じられました。

 砂風呂の最大のメリットは“重さ”だと思いました。

 仰向けで寝た足の甲は、徐々に空気が抜けていく砂の重さで繰り返し底屈運動をさせられます。これが砂がしまることで起こる垂直圧の刺激です。

 温熱の効果や砂の成分によってはミネラルの効果もあると思いますが、重さによる圧刺激の包まれ感が砂風呂の最大のメリットといっていいでしょう。

 タッチの参考になると思います。

 この“重さ”が砂風呂のメリットなのですが、心臓が悪い人や高血圧の人にはこの圧迫感が負担になります。

 胸の上には薄く砂をかぶせるというような配慮はしているのでしょうか?

 それをしたとしても長時間圧されっぱなしのような状態は、健康な人でも好ましくないので、その温泉施設の15分という時間は妥当な所だろうと思いました。

 治療的なメリットを考えれば、この砂の重さを利用して足のむくみをとることができるでしょう。

 また仰向けなので、肩関節の内転・内旋を砂の重さで下に押さえつけて矯正し、温熱もあって、肩こりに効果があるはずです。

 肩こりなら、胸には砂の重さをかけないで、肩関節から上肢に砂の重さをかけたほうがもっと効きそうです。

 腰痛なら膝を曲げて砂をかけるとか…。

 酵素風呂の酵素の軽さのメリットや塩とミックスしていいとこどりするとか、背部は岩盤浴と合わせることもできます。

 砂風呂とは違いますが、塩で体を固めて、魚の塩釜焼きのようにしたら…、いろいろなことを考えながら百握の、千握の砂に埋もれていました。

 砂風呂は存在価値を持っています。が、砂のかけ方にはもっと工夫が必要です。

 あらかじめ掘られた人型の窪みに、「キヲツケの姿勢で寝てください」というのは、ちょっと残念です。

 腋は軽く開いていたほうが自然だし、人によっては膝を軽く曲げていたほうが効果があります。

 砂をかけるのは大変な仕事だと思いますが、アルバイト的な流すような説明だったので、『バイト君は後でちゃんと助けに来てくれるだろうか…』と、少し不安になった砂風呂体験でした。

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2008年10月29日 (水)

ツボと関連痛

 ツボは一点を指しますが、関連痛の定義は『異常のある内臓、胸膜、腹膜の求心性神経と同じ脊髄文節に属する皮膚の感覚過敏や痛み』ということになります。

 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断に使われる圧痛点の“ボアスの圧痛点”は第12胸椎の左側にありますが、小野寺圧痛点は腸骨稜から3cm下の中殿筋にあります。この2点の脊髄皮膚分節は違います。

 これらのことから、内臓の痛みは1点に現れるだけではなく、脊髄皮膚分節を超えた部位にも痛みが出現すると考えられます。

 それを繋げたものを経絡と考えると、ツボ(経穴)の意味がわかりやすくなるのではないかと思います。

 ボアスの圧痛点は膀胱経の『胃兪』とみごとに一致しています。この『兪』がつく兪穴は背部にあって、“その前につく内臓”の治療穴とされています。

 背部兪穴のこりから内臓疾患の可能性を考え、またそのこりを緩めることで内臓の痛みを緩和する事が可能なのですが、一点のツボにだけ反応点が現れるのではないことは、脊髄皮膚分節や経絡を考えれば明らかです。

 ツボは、内臓に触れずに内臓の機能を調整するリモートコントロールのスイッチであると考えてください。

 圧すことをやめても、しばらく効果が持続するスイッチです。筋性防御がある時に強く圧さないことなどは、虫垂炎や腹膜炎を考えればよくわかると思います。

 腹膜後器官である腎臓、膵臓、十二指腸、直腸は、後腹壁に埋まっているので、背部に痛みが伝わりやすいということをよく理解して、ツボと解剖学、生理学の知識を統合した施術をしてください。

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2008年10月28日 (火)

右踵の痛みと両手の違和感

 1ヶ月前から1日30分のウォーキングを始めた50代の女性、右踵の痛みと両手に違和感があるということです。

 両手指を触ってすぐに“冷え”があることがわかりました。本人が自覚をしていない冷えです。

 頭が肩より前にある猫背で、肩と背中が硬くなっています。頚椎は真ん中が軽く右に突出しています。

 下半身はむくんでいて、お尻の筋肉にしまりがなく、下肢の筋肉もほとんどゆるんでいて、右前脛骨筋だけが硬くなっています。

 右足関節を背屈する右踵の着地だけに、力が入っていたということです。

 つまりウォーキングの時に、体より前に進む意識しかできていなかったということです。

 私が肩こりの方に勧めているのは、“後ろを意識したウォーキング”です。

 ヒトの仕事のほとんどは肩関節内転・内旋で仕事をするので、ウォーキングをストレッチにするためには、『肩を後ろに引き、下肢を後ろに伸ばした時に爪先でしっかりと地面を蹴る』ということが大切です。

 この女性はせっかくのウォーキングの30分で、右踵を衝撃的に着地する運動をしていたようです。おそらく顔も1mくらい前の地面を見て、背中は猫背になっていたと思います。

 全身指圧後、両手は温かくなったので、それほどひどい状態ではなかったようです。

 『周りの人にも勧めて、ウォーキングを始めた人もいるのに、先生に言われて始めた私の1ヶ月のウォーキングは何の役にもなっていなかったのですね…』、と笑いながら申し訳なさそうにしていましたが、何を仰いますやら、そんなことはありません。

 1ヶ月歩いたという実績があります。大股で、後ろを意識して左右のバランスよく歩けるまで、何ヶ月も、人によっては何年もかかります。

 今朝の私のウォーキングも、昨日の指圧で右肩の可動域が狭くなっていたので、右肩を後ろに引く意識を強く持って歩いたら、左足の後ろの蹴りは弱くなっていました。

 何年も毎朝歩いても毎回課題はあります。

 朝6時台に歩くなら、もう手袋が必要な季節になってきました。冷えに備えながら自分の体をチェックする時間としてウォーキングをしていれば、指圧の効果もグンと上がってきます。

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2008年10月27日 (月)

ツボは圧し上げてもよいし、圧し下げてもよい。

 雑誌『ChouChou(シュシュ)』は何でもアリなので、よく読んでいます。

 今朝読んでいたら、「ツボ押しは、押すというより、骨のキワから押し上げるイメージで!」とあったのですが、実は圧し上げても、圧し下げてもいいのです。

 骨のキワにツボが多いということは確かですが、骨を圧さないようにする、骨にあたらないようにするというのが第一番の注意点です。

 「押し上げる」ことだけを考えて、骨を痛めつけてしまうような押し方はいけません。

 ツボをとらえたのを「ツーンとくる感覚」と表現しているのですが、これを痛めつけている感覚がいいと思ってしまう人がいると困ります。

 素人のツボ圧しは、一点のツボ圧しでは効かないものです。

 鍼灸と違い、広く一般に普及すべきは、体を平均的にならすようなタッチだと思います。

 “いわゆるツボ”の周囲も圧す、肩こりなら、せめて頚から指先までと背中を圧す、圧し上げるだけでなく、圧し下げることもすることで、体にダメージのない施術ができます。

 私のツボ圧しの合格点は、ツーンとくる所をツーンとこないように圧して、胃腸の動きが活発になるということなのですが…。

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2008年10月26日 (日)

佐賀県 武雄市役所 レモングラス課

 去年から武雄市ではレモングラス課を設け、レモングラスの栽培と商品化に積極的に力を入れているそうです。今朝のNHKテレビ“月刊やさい通信”で知りました。

 レモングラスは年に3回の収穫が見込める上、その防虫作用によって農薬がいらないというメリットがあります。

 地域住民のコミュニケーションにも一役買っているということで、レモングラスは山間部の農業以上の役割も果たしているようです。

 ハーブティの売り上げの6割がレモングラスというのは驚きですが、頭痛や便秘や気分転換に効果のあるハーブとして、女性の支持が多いのだろうと思います。

 私は入浴剤としての生レモングラスの需要が拡がりそうな気がしています。

 菖蒲湯のお国柄ですから、イネ科の植物をお風呂に浮かべることは、違和感なく受け容れられるでしょう。

 それにしても日本のお役所がレモングラスに特化した部署を設けるとは、頭が柔軟でなければ、これから自治体も生き残れない時代になったということでしょう。

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2008年10月25日 (土)

ミロのヴィーナスの腕

 “ミロのヴィーナスの腕はどうなっていたか?”、指圧の合間にNHKハイヴイジョンで見たルーヴル美術館の番組でのお話しです。

 右脇腹にある痕跡から、“右手は左腰の下がりそうな衣服を摑んでいただろう”という説には賛成です。

 では、左腕は?

 左肩が上がっているので、左手は挙上されていないと不自然です。

 あの表情から、左肘関節伸展で拳を振り上げているとは思えず、左肘は軽く屈曲していたでしょう。

 胸の高さくらいの台に手を置いて、愛の象徴であるリンゴを左手で差し出していたという説がありますが、肩の上がり方からすると、もう少し高く、肩ぐらいの高さまで上げていたほうが自然に見えます。

 紀元前100年頃の作品らしいですが、とてもよく人間の体を観察して作った作品であることは間違いありません。

 その後、下痢の女性の指圧だったのですが、右肩甲挙筋がこっていて、そこを圧すと胃と左脇腹の下行結腸に痛みが響きました。

 まさかミロのヴィーナスの左肩甲挙筋を圧して、胃と右脇腹に響くような痛みがあるとは思いませんが、“右肘で脇腹を押さえてトイレに行こうとしていたという新説…”、いやいや、これは今無理やりの思いつきです。

 腕の形はともかく、そんなことまでは言われたくないでしょうね。

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2008年10月24日 (金)

“ゼロ磁場(気が発生するとされる場所)”と指圧

 昨日、分杭峠について調べてみました。パワースポットとして有名な場所です。

 分杭峠は南アルプスの西、長野県伊那郡にあり、巨大断層がぶつかる中央構造線の谷中分水界にあたります。

 相撲のがっぷり四つのように、断層の力と力が拮抗して、S、N両極の磁力の拮抗を生み、磁力がゼロの場所を作っているということのようです。

 中国の気功師・張志祥さんが発見して有名になったパワースポットだそうで、そこでは様々な病気が治ったという報告もあるようです。

 この『力と力が拮抗して力がゼロのようになっている』という現象は、指圧の時の等尺性収縮運動を思い出させます。

 『クライアントの体の一点と、指圧師の母指の指紋部がプッシュアップによる等尺性収縮運動によって拮抗する』、これはゼロ磁場と同じような状況です。

 そこに“気が発生する”ことはありそうです。

 相撲のがっぷり四つ、ここにも“気”を感じることができます。

 無気力相撲が問題になるはずです。

 一瞬のパワーが勝負を決める相撲で、力と力が拮抗した時、止まって見える動きの中で大きな力が渦巻いているわけです。

 対称性のやぶれの理論も、ここからなら理解できそうな気がします。

 そして指圧の時、ゼロ磁場が出現し、気が発生するパワースポットがクライアントの協力の下、出来上がることがあるのかもしれません。

 だって、2℃も室温が上がるのです。うちのパワースポットは…。

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2008年10月23日 (木)

映画『容疑者Xの献身』に指圧は出てこなかった。

 映画『容疑者Xの献身』は小説と違って、指圧が出てくる聞き込みのシーンはありませんでした。

 それを確認するために見に行ったようなものですが、堤真一さん(容疑者X)は十分醜男に見えました。

 どうしてでしょう?歩く姿が頭を垂れた猫背だからです。

 小説を先に読むと、この男の容姿が悪くなければ成立しない話なので、俳優を使った映画ではどうだろうかと思ったのですが、スクリーンの中の堤さんは“関わり合いになりたくないオーラ”に溢れていました。

 猫背の姿勢はそれだけで年齢よりふけさせます。そして猫背だけではなく、表情や動作に演技プランが感じられて、堤さんは演技力のある役者さんだと思いました。

 もうひとつ感心したのは、原作のセリフを活かしたまま映画が展開していたことです。

 3月の事件を映画では12月にして、たぶん映画的にするために雪山のシーン(これがあっても映画サイズのスクリーンで見る必要は全く無い映画だと思いますが…)やクリスマスの聖歌隊のシーンなどを挿入したにもかかわらず、とても忠実に原作を追っていました。

 それで思ったのですが、施術の時、クライアントの体を原作とすると、その体を隅々まで読んで理解し、自分の視点で脚本化した上でタッチを演じ、それが原作を再現し、要約し、批評したことになるのがセラピストの役割ではないかと…。

 タッチ・イズ・ラブ、タッチ・イズ・エンターテイメント、そう思っているので、この映画の脚本家、そして監督、タッチの仕事にその理解力を活かせると、きっと素敵なセラピストになれます。

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2008年10月22日 (水)

脳・脊髄を意識してタッチをすること

 脳+脊髄=中枢、その形はオタマジャクシに似ています。

 受精後第二週から八週末までの胚子期に、胎児の体の主な器官は形成されますが、その体はまだ、オタマジャクシに似ています。

 脳・脊髄は頭蓋骨と脊柱に守られ、成長した人間の体は骨や筋肉が発達し、四肢によって他の動物を圧倒するような活動をしています。

 それで肩こりや腰痛になったり、体がむくむことがありますが、シンプルに考えていけば、体の様々な症状も脳・脊髄があっての話です。

 二ヶ月前に肩が上がらないということで指圧をした60代の女性が、昨日久しぶりにいらっしゃいました。

 「もう肩はずっと痛いままかとあきらめていたけど、御陰様ですっかりよくなりました。今日は疲れたので指圧を受けたくなって…」

 この女性の右肩は肩甲挙筋に強いこりがありましたが、典型的な肩関節周囲炎の症状はなかったので、前回の指圧後はほとんど滞ることなく肩の前方挙上ができるようになっていました。

 これを肩関節周囲の問題としてしかとらえていなかったら、肩が上がることも、この日のリピートもなかったでしょう。

 脳・脊髄から各器官に末梢神経が伸びていきますが、部分の痛みを感じるのも中枢である脳・脊髄です。

 タッチがシンプルな命の根源まで『蘇える感覚を持って』遡ることができた時、反射療法としての本当の力を発揮します。

 四肢からの単なる触圧刺激の伝達ではないということが重要なのです。

 ツボを刺激するという考えだけでは、タッチの持つ心理的な側面を働かせることができません。

 丁寧であること、機械的でないこと、強くては、痛くては、侵害的な刺激として中枢に拒否されてしまうと考えてほしいと思います。

 疲れた時に思い出していただくということは、心の深いところで思っていただいているということです。

 “念”のようなものをいつも感じています。そろそろ指圧に行こうかという中枢からの念を。

 とてもシンプルなオタマジャクシの形をした中心を持つのがヒトの体です。そこに響かせるタッチ、共鳴のあるタッチ、今朝は歩きながらそんなことを考えていました。

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2008年10月21日 (火)

2拍3連・4拍3連の体重移動

 指圧の通常圧法は1圧し3秒とされているので、60分=3600秒の施術では1200回圧すことになります。

 1秒圧や5秒圧の場合もあり、ストレッチも含むのが指圧です。それでも1時間の指圧では1000に近いツボを圧しているということになります。

 通常圧法の1圧しが3秒だから、3拍子で圧す以外に考えたことのない人も多いとは思いますが、この『1・2・3』を『タタタ・タタタ』の2拍3連や『タタタタタタ・タタタタタタ』というギターのアルペジオのような4拍3連にとれると、ニュアンスが違ってきます。

 初心者は『1・2・3』のリズムでは、体重移動が性急な感じになりがちです。

 リズムを細かく分割すれば、動作にためができます。それには4拍3連の意識を持つのがいいと思います。

 これは4拍子にとれるので、呼気とともに圧をかけ、息を吸いながら姿勢を戻すのを、やりやすいと感じる人がきっといると思います。オイルマッサージのストロークでも同じことが言えます。

 上達するとリズムはフリーになります。

 相手の呼吸と脈拍の変化に合わせる、状況に合わせる、そして空気を読みクライアントの呼吸を作れるようになっていきます。

 その段階になるとタッチの休符が重要になってきます。間(=圧さない時間)にセラピストの個性が現れ、クライアントが独自に体を調整する余裕が生まれます。

 タッチが効果を持つようになればなるほど、タッチとタッチの行間にこそミラクルが潜んでいると感じるようになるでしょう。

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2008年10月20日 (月)

小説『容疑者Xの献身』に“指圧”が出てくる

 東野圭吾さんの小説『容疑者Xの献身』に、刑事の聞き込みで“Xではない容疑者”の友人が“腰痛を治した指圧の先生を電話で教えた”と答えるシーンが出てきます。

 指圧がドラマや小説に出てくると嬉しくなります。テレビの『ビバリーヒルズ青春白書』以来かもしれません。

 外国のほうが“siatu”の評価が高いということもあるのでしょう。日本のドラマや小説で、指圧はなかなかお目にかかれません。

 映画の『容疑者Xの献身』で、“腰痛を治した指圧の先生”のセリフが残っているかどうかわかりませんが、これを確認するだけのために、見てみたい気がしてきました。

 小説を読むとわかるのですが、“容疑者X”は風采の上がらない醜男でなければラストの感動は半減します。そのことについては批評もさんざんされていますが、さて、“指圧”はカットされていないでしょうか?

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2008年10月19日 (日)

リンパと称するセクハラを受けた女性の話

 「健康ランドの“マッサージ的なお店”で、片側の足をベッドから降ろされ、反対側の太腿を脇に抱えられて、“リンパだから”と言って鼡径部をグリグリと押された。痛いからやめてくださいと言ってもやめてくれなかった。」

 30代の女性に昨日聞いたお話です。ひどい話です。セクハラです。

 初老のと言いたいくらいの男性にされたそうですが、ド素人丸出しです。

 片足をベッドから降ろす必要はなく、その馬鹿者の個人的な性癖を満たすためのことでしょう。中2じゃないのだから、いいかげんに落ち着いてほしいものです。

 その馬鹿者は“恥骨筋”という言葉を使っていたそうで、まっとうなマッサージ師なら、メインでない内転筋なのでまず問題にしない筋肉です。

 股間への執着としか考えられず、そんなことをされたら警察を呼んでもいいと思います。

 私がその場にいたらベッドをひっくり返しているところです。

 そんなヤカラを使っている所は、素人集団でしかないと思います。

 今日、新聞に、ボディケア、フットケアと称して“リラクゼイション全般に興味がある”ことが資格の求人広告がありました。

 『“リラクゼイション”ってなんだよ!』と言いたくなります。

 幅の広い“リラクゼイション(もう主流はリラクセイション)”は温泉卓球でもいいのかとつっかかりたくなります。

 癒しが好きな人が、人を簡単に癒せるなどと思っていたら大間違いです。

 むしろ治療以上に癒しのほうが難しいのです。

 自分が癒したつもりの押し付けで、相手が本当に癒されたのかどうか、経験を積むほどそんな簡単なものではないことがわかってきます。

 幸いその30代の女性の体は“壊されてはいませんでした”。私が時間をかけて調整してきた体に“何てことをしてくれたんだ”と直接会って文句を言いたいくらいです。

 リンパマッサージは浅リンパに働きかければよく、鼡径リンパをグリグリ押すようではろくなもんじゃありません。恥骨筋を言葉に出すような施術者も、きっとよからぬことを考えています。

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2008年10月18日 (土)

乳癌+大胸筋切除の肩こり

 職場の同僚の紹介で、肩こりと腰痛のある60代の女性が、初めて指圧にいらっしゃいました。

 小柄で痩せ型、腰椎は後弯し、下腹がポッコリと出ています。

 電話では“肩こりと腰痛”とうかがっていましたが、問診で『乳癌による大胸筋を含む右乳房の切除』と、子宮筋腫の手術歴がわかりました。

 右肩は前方挙上で、左肩と比べて上がりきりません。しかし自覚的な肩こりは左だということです。

 以前、大胸筋腱を切除した重量挙げの選手に指圧をしたことがありますが、大胸筋の支えがなくなると、肩の保持や内転運動を別の筋肉を使って代用するようになります。

 思った通り、右肩周囲では鎖骨下筋、腋窩の肩甲下筋、拮抗筋である棘下筋などに長い間かかってできた硬結がみられます。

 また腰椎の後弯から骨粗鬆症について聞いてみると、『同年齢平均の90%の骨量』という検査結果があるそうです。

 伏臥位では骨の脆さも考慮して、軽い刺激のみで指圧をします。

 やや脊柱が左に傾いているので、左肩上部→右肩甲骨上の棘下筋→左肩甲下部→右腰部という対角線のこりがあります。

 頚は右側屈+前傾していて、右斜角筋から肩上部、胸鎖乳突筋下部と、頭の重さでこっています。

 痛みを溜めた体なので、軽い刺激でも腰の指圧や大腿後側のツボ『承扶』の指圧で痛みを感じるようです。

 右上肢の『曲池』『手三里』が硬いのと下腹の膨らみから便痛を尋ねると、やはり3日前から便秘をしているとのことです。

 下肢の指圧からはおなかが鳴りだしていたので、最後の腹部の指圧では下垂した内臓に圧をかけて、内臓の位置を上げていきます。

 施術後、「体がとても軽くなってフワフワしている」とのことです。右肩は左肩と同じ高さまで挙上できるようになりました。今はおなかが引っ込みましたが、腹圧をかける意識が持てなければ、腰痛も起こり、内臓も下垂します。

 「今日は体調が悪くて指圧に来るのをやめようかと思ったのですが、来てよかった!」

 指圧をしたかいがありました。いつも期待以上のことがしたいので、嬉しい言葉をいただきました。

 体調の悪い時にこそ来ていただきたいと思います。弱った体に無理のない、健康を回復するための指圧をしているつもりです。

 帰り際、「先生は何でもわかってしまうんですねぇ」と言われましたが、そんなに何でもわかるわけではありません。

 ただ、東洋医学的な考え方で施術をしていけば、易学と同じく『陰陽五行』を根拠としているので、時々占いの先生に見てもらっているような気がするかもしれません。

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2008年10月17日 (金)

指圧と整体の違い

 昨日「指圧と整体はどう違うのか?」という質問をいただいたので、その違いを明確にしておきたいと思います。

 まず指圧師の『あんま・マッサージ・指圧師免許』は国家資格ですが、整体師を名のるのであれば素人でも看板を掲げることが可能で、整体の学校を卒業して得られるのは、アロマセラピストやリフレクソロジストと同じく民間資格です。

 指圧の看板を掲げて開業するためには保健所への届出が必要ですが、整体は民間療法なので、開業するにあたって保健所への届出は必要ありません。

 指圧の看板を掲げて施術をするためには、認可された専門学校で3年間学んだのち、“あんま・マッサージ・指圧師免許”という国家資格を取得するための試験に合格しなければならないのですが、『整体を掲げたお店』で施術をするのは今日応募してきた主婦のパートさんでもよいのです。

 整体の先生の中には素晴らしい心と技術を持った方がたくさんいらっしゃいますし、あんま・マッサージ・指圧師免許を持っていても整体を標榜する先生はいらっしゃいます。

 全ての整体のお店が無資格者や素人を使っているわけではありませんが、無資格者や素人を使っているので、『あんま』『マッサージ』『指圧』の看板が掲げられずに『整体』の看板を出している、だから整体のお店が多いというこの業界の実態はあります。

 手技の違いでは、『指圧』は圧刺激による反射機転によって神経・筋・骨格・内臓・ホルモンの分泌などの機能を調整しますが、『整体』は徒手骨格矯正を主とします。

 ちなみに『あんま』は揉捏法(もむ・つねる・こねる)が中心、『マッサージ』は軽擦法(なでる・さする)が中心となります。

 それぞれの手技の境界は入り混じってしまっていて、整体のお店は特に“何でもありのような状態”になっているように思います。

 付け加えれば、接骨のタッチは骨折や脱臼の回復のために行うもので、上手な指圧師やアロマセラピストの目指すものとは大きく違っている場合が多いようです。

 私の指圧と、整体のお店で受けた“指圧のようなもの”の違いはよく言われることですが、指圧師の数が少ないのか、それとも先生方が控えめだからか、本物の指圧を受けたことのある人のほうが少ないようです。

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2008年10月16日 (木)

整体師逮捕のニュース

 『子宮筋腫が小さくなる』と謳った整体師ら4人が、医師法違反の疑いで逮捕されました。

 ニュースの映像でその整体師は「子宮筋腫が小さくならなかったことはない」と主張していましたが、高額な治療費と効果のなかった患者さんからのクレームの多さに、あまりにも悪質であるとして警察が動いたようです。

 私は、タッチで子宮筋腫が小さくなることはあると思います。実際に「指圧のおかげで子宮筋腫が消えました」と言われたこともあります。

 しかしそれを誰にでも再現できるかというと難しいと思います。

 ニュースでその整体師のタッチを見ました。“掻きむしるような、何かをむしりとろうとするような”頭へのタッチをしていました。

 そのタッチには愛を感じませんでした。まぐれの適量刺激で例えば半分の人を治せたとしても、必ず残りの半分の人の体を壊すタッチだと思いました。

 まねをしてほしくないタッチです。タッチに関わる人は是非その映像を見てほしいと思いました。

 “愛があるタッチ”をすることだけに、夢中になってほしいと思いました。

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2008年10月15日 (水)

お葬式の肩こり

 実家のお母様が亡くなり、葬儀を終えてから二日たつ60代の女性、肩がこって下半身がむくんでいます。

 腰痛持ちですが、お通夜と告別式の正座と着物、それに移動の電車に乗っている時間が長かったわりには、腰の痛みはありません。

 いつもと違った緊張を長時間強いられたことで腰椎はかえって伸びて、垂れていた頭の重さで肩がこったようです。

 ただし本人に肩こりの自覚はありません。お母様の死を受け容れる精神的な疲労も、これからしばらくたって、大きくなっていくのではないかと思います。

 施術開始からすぐに、寝息を立てて眠り始めました。疲労を感じる暇のない(感じていても容赦の無い)慌ただしさの中で葬儀は進行していきます。

 眠れない夜もあったそうです。それを取り返すかのような、此処での眠りです。

 施術自体は上半身を気持ちよく緩めて、力の足りない下半身の血行をテンポ良く流していくことです。

 施術後、気持ちの良い目覚めの中で、とてもリラックスできたようです。

 しかし、腰椎は後弯してしまいました。ある意味これが本来の姿です。いつもは無かった上体の緊張が緩んで、腰に重心が集まるバランスに戻りました。

 加齢的な変化の結果である軽い腰椎後弯が、今はこの女性のマイベストな姿勢であると言ってもよいのでしょう。

 葬儀のようなはっきりとしたストーリーを持った体への施術では、セッションをしながら、納得できる心と体の“落とし処”を探ってあげてください。

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2008年10月14日 (火)

後屈ができない腰痛は第5腰椎以下に注目

 お尻を突き出してぎこちなく入ってきた50代の女性、急性腰痛です。

 昨日居間の模様替えのために絨毯3枚を抱えて階段を降りたのが、直接の原因のようです。

 背中を後ろに反らすと痛みが出ます。

 このような時はまず、第5腰椎の関節面が仙骨から前にすべっていることが考えられます。腰椎すべり症です。加齢的な症状と言えます。

 右肩上部のこり、背部中央のこりがあります。

 伏臥位、坐骨神経沿いの痛みは臀部が主です。下肢後方挙上(股関節の過伸展)は左右ともに痛みが強く、特に右は床から上にほとんど上がりません。

 それで大腰筋の断裂など、小さな傷がある疑いが出てきます。

 股関節の過伸展では、『大腰筋がストレッチされるので傷が開いて痛い』ということが、どうやらありそうです。

 そうなると腹部から大腰筋に圧をかけて緩めるということが、ひとつの解決策になります。

 仰臥位、大腿前側の指圧からおなかが鳴り始め、右前腕外側の三焦経と大腸経にもこりがありました。

 三焦経の手背部には『腰痛点』というツボがあり、大腸経のこりは、肩こりの延長と腰痛以前にあった下痢の影響だと診ました。

 胸鎖乳突筋を軽く指圧すると、迷走神経が刺激されておなかが大きく鳴りました。体の血行が良くなって、胃腸が活発に動き始めたということです。

 これで今は腰痛を忘れ、副交感神経性に自律神経が調節されて、リラックスできています。

 「何だか動けそうな感じがします。」

 その頼もしい声の通り、施術後はスクッと立ち上がり、かなり痛みは解消されたようです。

 疲労の蓄積や下痢があり、重たい絨毯を抱えたことで急性腰痛になったようです。おそらく大腰筋が骨盤内で小さく裂けているのではないかと思います。

 第5腰椎の前すべり傾向は、全身指圧でかなり矯正されています。あと必要なのは休養でしょうか。

 今回は、腰痛が楽になるかどうか難しいケースだと思って施術を始めました。そして気持ちの良い指圧と、痛みの出ない範囲での慎重なストレッチで施術をしていった結果、腰痛を緩和することができました。

 お話しをしながらの施術ということが、この結果に導いた大きな要因だと感じます。

 『今何を目的にストレッチをしているか。どのような原因を感じているか。その他、趣味の話やその場で湧き上がるいろいろなこと。』

 楽しみながら施術を受けていただき、ジョギングのように会話ができる力で施術をするということ、これは何よりも大きなことです。

 何かを治そうとする時には、そういう雰囲気はとても大切です。

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2008年10月13日 (月)

大きな動作では無駄が多い。正確さを求めるには…。

 野球のコンパクトでシュアな打撃フォームと、上手なタッチをする人の動作は似ています。

 骨盤体操やフラフープでも、そのコツは腰を大きく回すのではなく、爪先と踵との前後の体重移動によって腰のエクササイズとなる回旋運動が完成します。

 経験の無い時に外から見てイメージするよりも、実際には小さく正確な運動のほうが筋肉の負荷は大きくなります。

 大きい動作のタッチには、車のブレーキのように制動距離以前の空効きともいうべき実際の触圧刺激には無効な動きを含んでいます。

 無効な動きから実際のタッチに移る時に、触圧刺激の方向が変わって、捻れた痛い刺激になります。

 野球のピッチャーで言えばノーワインドアップ、バッターなら2ストライクと追い込まれた後にバックスイングを小さくとる、タッチのフォームはこれで良いのです。

 ただ強いボールを投げるために大きくふりかぶれば、コントロールが乱れやすいということをタッチに当てはめてみれば、大きな動作には改良の余地があることがわかるでしょう。

 具体的には、『タッチの始動に反動をつけない』、『タッチの後に体を起こし過ぎない』、ということです。

 動きを小さくすると無駄な動きがないだけに、セラピストの精神的な緊張と肉体的な緊張は持続します。

 セラピストにとっては大変なのですが、考えた施術こそがクライアントにとって必要なのです。無駄な動きを省いた効果で、やがては疲れない施術を見つけることもできるでしょう。

 タッチはコンパクトでシュアなほうが良いのです。

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2008年10月12日 (日)

左膝の火傷で右大腿が緊張する

 三日前に買い換えたばかりのポットを持とうとして手がすべり、両手の甲と左膝に火傷をした60代の女性、肩こりと腰痛で眠れないとのことです。

 今までの軽いポットから容量の大きなポットに換えた、そんな違いがあっても、うっかりいつものように持ち上げようとして、感覚を間違えて、お湯がかかってしまったようです。

 幸いすぐに冷やしたので、痕は残らないと病院で言われたそうです。左膝は包帯をしていますが、両手の甲はほとんど痕がわからなくなっています。

 伏臥位では左膝を曲げて、仰臥位では膝の裏に枕を当てて指圧をしました。

 この膝当て枕が、とても気にいったようです。ちょっとのことですが、楽な姿勢を作れると、肩や腰の負担も減ります。

 左膝の火傷の皮膚を動かさないように緊張しているので、左下肢外側大腿骨頭下部と左大腿内側膝上に緊張があります。

 腰も左を動かさないように固定しているため左第5腰椎周囲に痛みがあり、肩は対角線の右肩上部『肩井』がこっています。

 左下肢に体重をかけないようにしているので、右大腿四頭筋と右大腿筋膜張筋には、自覚していなかった強い圧痛があります。

 肩や腰よりも、むしろ右大腿前側と外側を圧したほうが強い痛みを感じるようです。

 左下肢骨折の場合でも、同じようなこりが生じると思っていいでしょう。

 左膝の火傷でも全身に影響を受けるということです。

 全身指圧後、肩や腰はそこそこ緩んだのですが、右大腿は“練習もせずに運動会で短距離を走った時のような”緊張が残っています。

 左膝をかばうためのやむを得ない緊張なので、必要以上に時間をかけてこりをとろうとしなくていいでしょう。

 施術後、車にあった『韓国海苔』を5パックも頂きました。御自分用に買った大好きなこだわりの韓国海苔だそうで、包装され箱に入った頂き物でないだけに、余程今日の“膝当て枕”がよかったのだなと思いました。

 自分にとっては当たり前のようにしていることでも、体に不調がある方にとっては、それが一筋の光明にさえ見えることがあるのです。

 『いつも新鮮な気持ちで施術に取り組まなければ…』、手にした韓国海苔を見て、あらためてそう思いました。

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2008年10月11日 (土)

『香水~ある人殺しの物語~』パトリック・ジュースキント著 池内紀訳 文春文庫

 去年春に公開された映画『パフューム』の原作を、文庫本で見つけて読みました。

 残念ながら映画は見逃したのですが、文章でもアロマに関心がある方なら、必ず感じるものがあると思います。

 香りを言葉に置き換えるのは難しい作業なのですが、この物語には様々な香りが溢れています。

 精油を抽出する場面や香水を調合する場面だけに香りが表現されているのではなく、フランスの街の臭いや行き交う人の体臭までが物語の中に登場します。

 『神がかった嗅覚を持つ体臭の無い不幸な生い立ちの男』が究極の香水を作る物語、と要約すればいいでしょうか。

 18世紀のフランスを舞台に、水蒸気蒸留法や油脂吸着法(アンフルラージュ)など、アロマテラピーではお馴染みの精油抽出が物語の中で行われています。

 サブタイトルから“究極の香り”は良からぬことと想像して読み始めたのですが…、その結末は伏せておきましょう。

 アロマ小説と呼べるような物語にはなかなか出会うことはないと思いますが、この『香水』はアロマ小説です。

 倫理的には不愉快に感じるのが正常だと思います。しかし『奇譚』として大目に見て最後まで読んでしまえば、アロマテラピーの参考になると思います。

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2008年10月10日 (金)

他動的なリハビリとして自信を持って施術する。

 全身施術ができれば、それは遠心性の施術であっても求心性の施術であっても、タッチによってむくみを改善することができます。

 下肢のみ、部分のみの施術では、体循環という大きな血液の流れへの影響力は低下します。

 しかし患者さんにとっては、効果が短く不十分であっても、(やむを得ず?)部分施術をするとしないとでは、患部の可動性が違ってきます。

 右膝内視鏡手術後の70代の女性、大腿、下腿ともにひどくむくんで肩こりがあります。

 手術後1ヶ月たって、やっと朝夕1時間ずつの歩行が許可されて、指圧にいらっしゃいました(娘さんの車で送迎されてですが…)。

 『もっと早く指圧に来ればよかったのに…』

 リハビリの指導が十分とは言えず、痛みを恐れて運動が上手にできていなかったようです。

 上手に痛みの出ない範囲で下肢の運動をしていれば、もっと回復は早いはずです。

 行列のできる名医で、全国から膝の悪い人がやってくるそうですが、アフターケアにはクエッションマークを感じます。

 手術が専門でアフターケアには熱心でない先生がいてもいいとは思いますが、せめてリハビリテーションを指導してくれる病院との連携でもあればよかったのにと思います。

 施術のポイントは鼡径部から、膝の周囲の痛いところをとばして、足先までですが、膝の後ろに膝枕を入れるなどして、患部を急に曲げるような動作だけはしないようにします。

 患側の下肢でも、膝を伸展し下肢を牽引する運動は痛みが出ないはずなので十分に行います。

 伏臥位でも足首の下にタオルを入れるなどして、痛みの出ない角度を探しながら軽く膝を曲げるようにします。

 指圧・マッサージは、他動的なリハビリ運動として自信を持っていいと思います。

 全身操作ができれば、必ず患者さんは楽になります。むくみが激しいほど効果テキメンです。

 膝の手術後に下肢がむくむような方の肩こりは、全身施術ができれば比較的簡単に楽になります。

 施術中は「手術後こんなふうになるなんて著書には書いていなかった。歩いて帰った人もいると書いてあったのに…」とさんざん文句を言っていたのですが、施術後は「こんな楽に立ち上がれるとは思わなかった!」とニコニコです。

 膝の手術をしてくださった先生も数々の奇跡を起こしたかのように患者さんが喜んでいるということですが、「うちだって…」ということです。

 タッチを習得した人なら、誰でも他動的なリハビリテーションができます。自信を持ってください。とても喜ばれます。時々奇跡のように…。

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2008年10月 9日 (木)

「物事は難しく見えても、できてしまえば簡単なものだ」下村脩教授の言葉

 「“物事は難しく見えても、できてしまえば簡単なものだ”と私は常々思っている」、ノーベル化学賞を受賞された、下村脩ボストン大学名誉教授の言葉です(今朝の産経新聞より)。

 『クラゲの蛍光タンパク質“GFP”の発見と開発』という、半世紀近く前からの業績が認められて、ノーベル化学賞の受賞となりました。

 『クラゲがどうして発光するのか?』という疑問を抱き、蛍光タンパク質の発見まで1万匹のクラゲをすりつぶし、現在まで10万匹のクラゲを研究に使ってきたということです。

 “できてしまえば簡単なものだ”と我々でも思えるのですが、下村教授はそこにたどりつくまでに膨大な時間と努力を費やしています。

 「できるまでやめるな。一度ギブアップするとくせになる。」、これも下村教授の言葉です。

 研究の成果を“簡単だったように”サラリと語る裏には、その過程に費やした膨大な時間とモチベーションを維持し続けたタフな精神力があります。

 一生を託せるようなテーマに巡り会えた人は幸せです。それが一生のテーマになるかどうかわかりませんが、目の前の巡り会えたテーマの答えを夢中で探す時間もまた幸せだと思います。

 50年後に評価されるような仕事ができているかどうかはわかりませんが、努力が報われたノーベル化学賞の、その努力の過程を当たり前のように省略してしまう下村教授のダンディズムは、見習いたいと思いました。

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2008年10月 8日 (水)

緒形拳さんの顎の形

 俳優の緒形拳さんがお亡くなりになりました。8年前から肝臓を患い、5年前からは肝臓癌だったとの報道がされています。

 亡くなる数日前、ドラマの記者会見での緒形拳さんの顎の形を見て、私が指圧をさせていただいた肝臓癌の患者さんを思い出しました。

 その方はすでにお亡くなりになりましたが、緒形拳さんと同じように、腰椎圧迫骨折もありました。

 肝臓の細胞が機能しなくなっていくと、門脈からの栄養が摂り込みにくくなって骨が脆くなり、変形するのかもしれません。

 私は肝臓癌の患者さんが亡くなる数日前まで、丸く突き出た顎を見つめながら、刺激が強くなり過ぎないように指圧をしていました。

 腰の痛みは、肝臓からの関連痛でもあったと思います。

 緒形拳さんが薄茶色のサングラスを晩年にかけていたことが多いのは、黒くなっていく顔色を少しでも違和感なく見せるという配慮があったのかもしれません。

 おそらく腹部から下肢にかけて、相当むくんでいたと思います。腰痛も続いていたことでしょう。

 家族の協力や医療スタッフに恵まれたからこそ、最後まで役者人生を全うすることができたのだと思います。

 もしかしたら、共に苦しみながら大きく成長することができたマッサージ師がいるのかもしれません。

 緒形拳さんは、最期まで強く生き抜いた方だと思います。

 そしてその晩年の御家族の心労は、時限爆弾を抱えているような、気の休まることのない毎日だったと思います。

 お疲れ様でした。どうか安らかに…。

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2008年10月 7日 (火)

ドバイの1000mビルはバベルの塔を思わせる。

 金融危機、世界的な株安の最中に、ドバイで1000mを超すビルの建設計画が発表されました。

 『石油王か!』という漫才のツッコミのように、庶民の常識では素直に共鳴できないニュースです。

 「何故こんな時機に?」という思いと、金満の象徴としての建築物なら、バベルの塔の伝説のように、神の怒りに触れて崩壊するのではないかという映像が頭に浮かびました。

 これが宇宙エレベーター計画であれば、人類への貢献として、高さも、それにかかる膨大な建設費も、嫌な感じがしなかったと思います。

 巨額な財産を保有する大富豪を抱えた石油大国ならではの計画ですが、過去には戦艦大和に代表される『大艦巨砲主義』のように、明らかに時代に後れた計画を推し進めて、痛手をこうむった例もあります。

 ドバイのビル計画のニュースは、世界の経済情勢に反し、浮かれ過ぎた感じがして、『何か起こらなければいいが…』と思いました。

 バベルの塔を連想した人はたくさんいたことと思います。“石油バブルでバベル…”、きっともう漫才ネタになっているのではないかと思います。

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2008年10月 6日 (月)

十二単衣は撫で肩と肩こりを作る

 十二単衣の着付けをテレビで見ました。

 色の重なりの美しさと豪華さは、権威の象徴でもありますが、その15kgという重さは、“おしゃれは我慢”と言ったファッション評論家のピーコさんの言葉のほうがぴったりとします。

 重ね着がすすむにしたがって、その重さが撫で肩を作っていくのがわかります。

 手弱女(たおやめ)、手折やか、などという言葉を思い出しましたが、“撫で肩フェチ”のような美意識が、当時は最先端であったのかもしれません。

 働かずとともよい宮中の高貴な女性の象徴的なファッションとして、労働着とは真逆の不合理的な制服を身にまとうことがステータスだったのでしょう。

 十二単衣はその重さで肩こりを作ります。撫で肩は肩こりを招く条件のひとつです。

 重いコートのように、胸郭出口症候群を感じさせたとも思います。

 女性が男性と一緒に働く時代になって、もちろん十二単衣を着て働くことはありません(一部のイベントやエンターテイメントの世界では別ですが)。

 十二単衣を着なくても、現代に働く多くの女性が肩こりを感じています。

 十二単衣を着ていた女性は、ひどい肩こりであったと思います。

 そこで中国から伝来した按摩の技術は、渡来人によって宮中に広められ、独自の発展をとげていったと思います。

 常々、文化の爛熟した環境では、様々な安楽のための技術が求められ発展していくと考えています。

 今なら石油産油国の大富豪の邸宅では、物凄い高いレベルのマッサージのセラピストが、秘かに囲われるように施術しているのではないかと思います。

 おそらく十二単衣の時代に、とても高いレベルのタッチセラピストが、十二単衣を着る女性たちの健康を支えたという背景があり、伝承されず途絶えた幻の秘技がそこでは使われていた、そんな物語が浮かびます。

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2008年10月 5日 (日)

タッチの時は腹筋に力を入れません。(コメントに対するお返事)

武蔵さん、鋭い御指摘をいただきありがとうございます。

御指摘の記事が2年前のものであったため、コメント欄に書いてみたのですが、表示にセキュリティの問題が生じるようなので、新規記事としてコメントさせていただきます。

その記事の内容は『矯正下着の広告で、モデルの姿勢が背中が反り過ぎた腰痛姿勢になっていてがっかりした』というものでした。

そこで『腹圧をかけることで腰椎前弯増強を予防するのが良姿勢である』と書いたことに対して、武蔵さんの御指摘は、『施術の姿勢が腹筋を使っていてはいけないのではないか?』ということです。

私は腰痛の方に、立位でも座位でも、『腹筋を使い腹圧をかけることで腰椎前弯増強を抑え、腰痛悪化を防ぐこと』をアドバイスしています。

拮抗筋である腹筋を緊張させることで、腰の負担は軽減します。

一方施術の姿勢はというと、逆腹式呼吸のようにおなかを突き出して息を吐き、おなかを自然にへこませていきながらタッチをすることで、漸増漸減圧の刺激をしています。

御指摘の通り、腹筋に力を入れていては緊張した刺激をすることになります。これは、手指や肩にも力が入っていないのが良いということです。

私は武術を本格的に学んだことがないので、武蔵さんのように活法と殺法を体感して理解している方の御意見は大変勉強になりました。武術を愛し、鍛錬と研鑽を続けている方と推察いたしました。

確かにタッチの時は腹筋に力を入れていません。むしろおなかを突き出すつもりで、息を吐きながらタッチをすることを、講座の時にもお話しています。

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2008年10月 4日 (土)

腰痛でよくあるキリンの水飲み姿勢

 キリンは水を飲む時に大きく後ろ足を開いて首を下げます。

 腰痛では腰をかばうために、この“キリンの水飲み姿勢”がしばしば見られます。

 30代女性、いつもよりもお尻が下がって見えます。数日前から頭痛と腰痛があるということです。

 手が冷たく、お尻とふくらはぎがむくんでいます。

 腰痛のピークは過ぎたようで、足の冷えはほとんどありません。

 気温の変化になじめず、冷えから血行障害、筋緊張によって頭痛や腰痛が起こったようです。

 指圧をしていくと、仰臥位の上肢の時には手は温かくなっていました。

 下肢外側や腹筋の緊張はあり、腰を動かさないように体を使っていたことがわかります。

 当然、下肢後方挙上もしないので大殿筋は垂れ下がります。

 体を硬くしていたことが、肩こりから頭痛へと繋がっていったのでしょう。

 施術後は首を回しても頭に痛みはないようです。

 大袈裟ではないにしても、猫背+腰の疲労は“キリンの水飲み姿勢”に近づきます。

 腰痛持ちの高齢者ではこの姿勢の方をたくさん見ます。

 30代でも体の若い女性はお尻が上がっているものです。お尻が下がってきたと感じたら、“キリンの水飲み”を頭に浮かべて姿勢を正すと、腰痛になる手前で予防できると思います。

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2008年10月 3日 (金)

繰り返す症状のその時の空気から伝わること。

 タッチそのものは、視覚情報を排除したほうが集中できると思っています。

 視覚情報や触覚以外の感覚が大切なのは、その日のファーストコンタクトで雰囲気を把握する時です。

 朝起きようとして体を横に向けるとめまいがしそうになって、あわてて体を仰向けに戻したという70代の女性、昨日の朝は快晴で冷え込みました。

 血圧を測ると上が160を超えていて、しばらく前から夜の寝つきが悪く、肩こりと下肢のしびれもあり、不安になって指圧にいらっしゃいました。

 お馴染みの方なので、いつもよりかえって悪くなさそうな感じが伝わってきます。

 肩は確かにこっています。これでは夜リラックスすることができずに眠れないかもしれないというレベルのこりです。

 気に病んでいることをうかがいながら、“その手の身近なトラブル”が原因の肩こりや不眠は、誰にでも起こりうると想像できました。血圧も交感神経性の緊張が続けば高くなります。

 背中がそれほど丸くなっていないことや、指圧を始めるとすぐに手足が温かくなってカーディガンを脱いだことなど、顔色を見ればそれほど深刻な状態にはなさそうです。

 “肩の荷が降りた”ということでしょうか、施術後は声もはっきりとして、「体が楽になった!」ということです。

 第一印象にとらわれ過ぎるのもよくないと思うのですが、“最初に空気から伝わること”には、文字では正確に表せないようなデータが含まれています。

 まさに空気を読む、気を配り、気をとらえる、という集中は、施術のプロローグとして重要です。

 空気の層を通して伝わる光のプリズムのようなもの、そこに映るのは“単なる顔色ではない”、私にはそんな感じがします。

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2008年10月 2日 (木)

いろいろな首の形があり、個性があっていい。

 昨日は『がんこな肩こり・胸郭出口症候群』というテーマで、講座をしてきました。

 10人の生徒さんが集まると、それぞれ首の形、肩の形、鎖骨の形が違い、胸鎖乳突筋のわかりやすい人、わかりにくい人がいます。

 その後ろの前斜角筋となると、脂肪やむくみで余計にとらえにくい人がいます。

 施術を受ける時に肩の力が抜けない人、圧す時に手先の力が入る人、いろいろな人がいます。

 実技を重ね、いろいろな体型の方の体に触れて、やっとのことでどんな体型のどの筋肉にも対応できるようになります。それも実際は何年もかかります。

 アロマやタッチの初めの一歩としては難しいと感じた方もいると思いますが、追求していけばとてもたくさんの項目をクリアしていかなければなりません。

 まず触れてみること、そして自分のマニュアルの知識だけではなく臨機応変にその場で対応していかなければいけないこと、なんとなく伝わったのではないでしょうか?

 私はタッチを続けているうちに、いろいろな体があっていいのだと思えるようになりました。

 でも「苦しい体でないほうがいいよね、痛みを持つ体でないほうがいいよね、もっと体が良くなるといいよね」ということです。

 美しい顔、美しい体、というのも、マイベストな状態で毎日を過ごせば、それはもう十分に、美しい顔、美しい体なのではないかと思います。

 2時間の間に10人の首に触れ、体型には個性があるのだなぁと思いました。

 だから全ての人に対応することは難しいのですが、マニュアルにとどまらないオーダーメードのタッチを練習してもらって、いろいろな個性ある体型の、マイベストの動きをサポートできるような、そんなタッチの素晴らしさを実感してもらえる講座にしたいと思いました。

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2008年10月 1日 (水)

斜角筋から鎖骨-肋骨間のイメージ

 前斜角筋の後ろの斜角筋隙から、腕神経叢と鎖骨下動脈が、また前斜角筋の前に鎖骨下静脈が、どれも鎖骨と第1肋骨の間を通るという構造上の問題、これが手作業を前傾姿勢で続けると血行不良により肩こりや手のしびれを起こす大きな要因となっています。

 四足歩行の動物は、鎖骨-肋骨間の隙間が人間よりももう少し広いのではないでしょうか?

 直立と脳の発達、そして手の動きの巧みさが、鎖骨-肋骨間ストレスの原因と言えるでしょう。

 座禅は肩を緊張させない呼気を重視した時間です。

 斜角筋が深い吸気の時に第1・2肋骨を挙上する筋肉であることを考えると、正座や座禅で手を使わずに深く息を吐くということが、肩こりを緩和する時間であることがわかります。

 頭が前傾し、肩の上に乗っていないないと、約5kgの重さが鎖骨-肋骨間の神経と動脈・静脈を圧迫することになります。

 斜角筋と鎖骨-肋骨間のイメージを明確にしておくと、肩こりの施術に幅ができます。

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