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2009年3月 3日 (火)

狭心症の喘鳴

 朝、家族の方から予約を頂いた70代の女性が指圧にいらっしゃいました。

 喉から笛が鳴るような音をさせながら、肩を上下させて苦しい呼吸をしています。

 家族の方からは「足が痛い」とうかがっていましたが、これは心臓が悪い時の呼吸だと直感しました。

 この女性には狭心症があります。

 手足が冷たく、手の甲の静脈がうっ血して青黒く盛り上がっています。

 「明け方3時頃、胸が苦しくて目が覚める」ということなので、典型的な肺か心臓の血管の狭窄による症状です。

 就寝中、布団で圧がかかるので、胸郭は拡がりにくく肺の働きは弱くなります。

 また睡眠中、副交感神経が優位になると心拍数が減少して、狭心症で狭窄がある冠状動脈の血流はさらに減少し、胸の絞扼感が強くなります。

 副交感神経優位で悪化するところは喘息と同じです。

 伏臥位で心臓を圧迫したくないので、仰臥位で下肢の指圧から施術しました。

 足の痛みは坐骨神経痛の症状としてあるようですが、心臓の働きが弱くなったためのむくみや冷えのほうが問題であると感じました。

 少し歩いても息が上がってしまう労作性狭心症の症状が強いので、ここのところ外出さえあまりしていないということでした。

 下肢の指圧が終わり、上肢の指圧で左橈骨動脈をとると、しっかりとした脈があります。

 上肢の指圧を終えると、手の甲の静脈の怒張はおさまっていました。手足も温かくなっています。

 頭部顔面、前胸部、腹部と指圧をして、横臥の指圧に移ります。

 左肩上部のこり、左肩甲間部のこりは、狭心症の内臓反射と考えてよさそうです。

 上肢の指圧から眠り、呼吸は下肢の指圧で、すでに落ち着いていました。

 施術後顔色も良くなり、呼吸で聞こえた喘鳴もありません。

 「病院で先生に症状を伝えてる?」と尋ねると「話してない」との答えです。

 「それを言わなくちゃだめだよ。薬を増やすくらいですむかもしれないんだから」

 検査は必要かもしれない、もしかしたらかかりつけのお医者さんではできない検査になるかもしれませんが、毎日胸が苦しくなるようなら今の治療のままではいけません。

 高齢者の方は『年をとるとこんなものなのかな…』と自分の体の変調の重大さに気づかないことがあります。

 家族の方も『足の問題』と思っていたくらいです。

 確かに第二の心臓である下肢を、指圧師の手指が第三の心臓となって施術をすれば、(第一の)心臓の働きを助けることはできます。

 しかし、この状態は病院で医師の診察を受けなければいけません。

 『今度薬を貰いに行く日が2週間後だから』と甘く考えて緊急の状態になるよりは、薬が一つ二つ増えて、もう少し冠状動脈が拡げられたほうが毎日の生活の質が向上します。

 お年寄りは面倒臭がったり、ナイーブでお医者さんに言い出せなかったり、入院が嫌で病院に行かなかったりします。

 この状態を指圧で引っ張って「先生は名人だ」と言われて喜んでいるようではいけません。

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