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2009年5月17日 (日)

腰椎後弯で起こるギックリ腰の典型例。

 20代男性、介護職、右の激しい腰痛が主訴です。

 1週間前にいわゆるギックリ腰になり、整体へ行って悪化しました。

 この男性の腰椎は後弯していて椅子に座ると骨盤が寝てしまっています。

 その整体では、この腰に仰臥位で膝を胸のほうに曲げていく『前弯の矯正』をして後弯を増強させ、傷を拡げてしまいました。

 ………(ここは記すに耐えない悪口の数々が…)。

 もちろん、マッサージの資格を持っていようが、整形外科の先生や理学療法士であろうが、考えずに、あるいは考える力もないのに、ただ知っている方法を思い切ってやるだけではこのような『骨格の矯悪』をすることになります。

 腰椎を後弯させ骨盤を寝かして座る癖があると、腰椎腹側から大腿骨上部内側小転子に伸びる大腰筋(腸腰筋)がハンモックのような状態になり、起始の腰椎横突起や腸骨稜で大腰筋を傷つけることがあるのではないかと私は考えています。

 この場合、伏臥位下肢伸展挙上の大腰筋+腰椎後弯のストレッチでも腰の傷に痛みが走ります。

 大事なことは、腰椎の矯正は前弯の矯正も後弯の矯正も、どこでも止められるように、下肢の重さをセラピストが受けとめて徐々に曲げていくことです。

 だから急性腰痛への対応はとても体力が必要で大変なのです。

 幸い筋肉が柔軟で腰椎の後弯と腸腰筋以外の問題点は見出せなかったので、指圧後はかなり可動域が拡がりました。

 来る時は家族に送られ、車の後部座席に横になっていて這い出してきましたが、帰りは座って帰っていきました。

 大腰筋の痛みは腸腰筋の痛みとして腸骨筋に拡がり、中殿筋、下肢(今回は小転子から大腿前側に)へと拡がることがよくあります。

 3日の安静と冷やすこと、そして整体に行ってなかったらもう少し早く治りそうな、始めは小さな傷だったと思います。

 仕事を休んでいて、復帰後の再発を心配していましたが、ちゃんとお辞儀をし自然な形で靴を履いて帰っていきました。

 痛みを再現するような動きをしなければ明日はもっとよくなっているはずです。

 「心配ない、大丈夫」と言うと、「心のケアまでしていただいて」と返していただきました。

 この腰痛は治りかけています。どうしてわかるかというと、それは痛みに対して恐るおそる指圧をしてきたからです。

 自分がされたくないことはしない、痛みを再現しないためにどこでも圧を止められるような指圧をしていると、これはかなり良くなっているということが自然と伝わってくるようになります。

 私もギックリ腰を経験し、下手な体の使い方をすれば今でも軽い腰痛にはなります。

 どうやったら痛みがなく早く治るか、毎日の指圧で考え、自分の体でも試しています。心配ない、大丈夫な感じは“よくわかっているほう”ではないかと思います。

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