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2009年7月31日 (金)

偏頭痛や生理痛が消えたという報告2例。

 今週は、“夏休みになったので帰省した時に指圧を受けたい”という女子大生の予約が、そのお母さんから2件ありました。

 そのどちらも指圧後から月経不順や生理痛が消え、ひとりは長年の偏頭痛が起こらなくなり、ひとりは体形を気にしていましたが6kgのダイエットができたということです。

 1~2回の全身指圧だけですから、20才前後の全身のメンテナンスをしたことのない女性に全身指圧をすると、血行改善にかなりの効果が期待できると言っていいと思います。

 この二人に共通するのは年齢と、上半身がスリムなわりには太過ぎる下半身のバランスです。

 下半身の血流の停滞はむくみになり、冷えになり、代謝を鈍らせ肥満気味(下半身デブと言われる状態)になります。

 下半身の筋肉に運動をさせるようなタッチと関節運動をすれば、代謝は促進されます。

 痛みが続くと炎症反応としてその周囲はむくみ、離れた部位に痛みや血管収縮による冷えが起こることもあります。

 一部では血管が拡張し副交感神経優位でだるい、一部では血管が収縮し交感神経が優位になり冷えや痛みがあるという血管のアンバランスを調整すれば、血行は改善し症状は緩和されます。

 若い体には順応性があり、一度良い血流を体が覚えるとホメオスタシスはそちらを恒常モードとして採用するようです。 

 股関節の後方挙上や内旋を一度も意識したことがない人のほうが多いものです。

 おそらく彼女たちは体の使い方についても今までとは違う意識を持ったから、下肢や骨盤内や首から上の血流が改善されたのだと思います。

 今年の春休みに初めて指圧に来たのも同じ頃でした。どんなふうに変わったか再会が楽しみです。

 今週もたくさん嬉しい報告を頂きましたが、その中でも印象的だった報告です。

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2009年7月30日 (木)

タッチのタイミングが時間を変える。

 時間の感覚は相対的なもの、嫌な時間は長く感じ、楽しい時間は速く過ぎていきます。

 強刺激を我慢して受ける時、お客様は呼吸を止めています。その時間は意識には上らなくても、嫌な長い時間として時を刻みます。

 日常より深い呼吸をしていただくために指圧があると言い切っても過言ではないと私は思っています。

 呼気のタイミングを利用して指圧をすると、息を止めた体に指圧をする時よりもはるかに小さな刺激で、体の深部まで到達する圧刺激になります。

 呼吸と脈拍と交感神経の緊張は連動していますから、深い呼吸は副交感神経を優位にします。

 脈を診る、呼吸に合わせるということは、お客様それぞれのその日の体調に“最適な一秒をセラピストが設定する”ということなのです。

 時計の1秒が体内時計では0.8秒の方も1.2秒の方もいます。

 その時間設定(つまり呼吸に合わせる)がはまれば、50分で全身指圧が終わったとしても、満足感の高い、嫌な感じのない、とても丁寧に長い時間をかけて指圧をしてもらったというお客様の感想を頂くことができます。

 セラピストは時間の感覚を作り変えて、タッチを秒針として世界を動かすことができます。

 上手なセラピストはワンタッチにとても深い内容を込めて、お客様に発信しています。

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2009年7月29日 (水)

昨日の『たけしの本当は怖い家庭の医学』 あのツボの捉え方では…。

 昨日の『たけしの本当は怖い家庭の医学』で、冷えに効くツボなどを紹介するコーナーがありました。

 いつもいつも言いますが、臨床では1点のツボ圧しが症状に著効を示すことは稀です。

 少なくともタッチでセラピーをしたいという考えがあるなら、痛がらせるような圧し方をしているようではいけません。

 ある症状に対してそのツボ圧しの効果があるという情報を知ってツボ圧しをするグループと、知らせずにツボ圧しをするグループの効果の違いを調べる二重盲検試験をした場合、あの収録スタジオの中でリアクションをするタレントさんを集めた評価よりも、知らずにツボ圧しをしたグループの評価は下がるはずです。

 1点のツボ圧しよりも複数点のツボ圧しのほうが効果があり、もっと言えば全身を気持ち良い刺激で物足りないくらいに圧すのが最も効果的です。

 番組内で、冷えのツボ『三陰交』が下腹の冷えに効くということの説明がされていなかったのでフォローしておきます。

 『三陰交』の経絡は脾経です。脾経は下肢内側を上行し、右は盲腸→上行結腸、左はS状結腸→下行結腸と連絡していきます。

 夏の冷房などで下腹が冷えて下痢をするような時、水分の排出を司どる脾経のツボ刺激は大腸の過敏な運動を抑制します。

 だから『三陰交』は下腹の冷えに効くという説明があると、ツボは経絡に属して効果を示すものだということがわかります。

 頬骨上にあって瞳孔の下1寸の胃経の『四白』が顔のむくみのツボとして紹介されていましたが、その(そんな)ことよりも番組内でタレントさんの大事なリアクションに注目しました。

 それは「眉毛の内側に響いた」ということです。

 『四白』は三叉神経第2枝の上顎神経上にあり、眉毛の部位は三叉神経第1枝の眼神経の支配領域です。

 あのリアクションは、ツボを勉強したものなら“おいしい反応”なので、私なら絶対に話を拾って広げていたのに…、残念に思いました。

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2009年7月28日 (火)

関連に気づき瞬時に展開していく。

 パソコンが前のより速く動くようになりました。

 セキュリティのレベルを下げる表示が偶然開き、それを低にしたら午前中にはこのブログにもログインできるようになっていましたが、お願いしていたパソコンの出張サポートの方にその他の細かい設定をしていただき、とても快適なパソコンが出来上がりました。

 設定の様子を見ていて感心したことは、次々と関連するファイルを同時に展開し、いくつもの“窓”を覗きながら問題を解決していたことです。

 これは筋肉の緊張から→筋肉の起始・停止の位置→その運動→支配神経→経絡→周囲の経穴と指圧をしながら瞬時に考えることと似ています。

 診断即治療ですから、まず触れてみて刺激位置や刺激量を瞬時に調整します。

 パソコンの設定をしてくれた方も、コピーを巧みに使って、前のファイルに戻ったり、新しくファイルを開いたりしながら問題を解決していました。

 うまくいかないことが何度もあり、原因を考えたり、タイピングミスを訂正しながらもとにかく手が止まることはなく、その引き出しにはいくつもの技術がつまっていることがよくわかりました。

 中古のパソコンですが縁が合ってこの一台というものに妥当な価格で巡り会い、そして専門家の施術を経てすっかりリフレッシュしたようです。

 見ているだけで、私の体は完璧に軽くなりました。あれは施術です。

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2009年7月27日 (月)

中古パソコン。

何でもいいからとりあえずと中古パソコンを買ってきたら、インターネットは接続できましたが、このブログへのアクセスができず、結局出張サポートで診断をお願いすることにしました。
セキュリティがしっかりしていて、やたら警告が表示されるのは、これくらいの用心深さが必要なのか、前に使っていた人の性格か…。
古い会計ソフトが使えないようなので、いろいろ面倒な作業が必要ですが、とりあえず生活の木のアロマ指圧講座のプリントは作れます。
普段考えもしないことをあれこれ長時間続けたら、このところずっと気になっていた右肩の痛みがほとんど感じないくらいになっていました。いいこともあります。
パソコンの出張サポートを待ちながら、明後日の指圧の往診を待つ方の気持ちもこんなだろうかと思いました。

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2009年7月26日 (日)

長母指屈筋。

下腿のひ骨後面下部から内踝を回って足の母指に停止する長母指屈筋は仰臥位で母指を底屈しながらふくらはぎの外側下部を探って見つけるのがわかりやすいと思います。
アキレス腱の外側を通り、明らかに下腿三頭筋とは違うことがわかると思います。
足の母指底屈で違和感があるという訴えがあれば、長母指屈筋に老廃物が溜まっていると思ってよいでしょう。
ピンポイントでこの筋肉を圧すのは難しいので、求心性のオイルマッサージがよく適応します。
母指軽擦から強擦で老廃物排出を促しますが、それでもかなり痛いので中心を少しはずすと丁寧なタッチ感覚をお客様に感じていただけます。老廃物が膝、大腿部と上行していく感覚をお客様が持てば効果ありということなので、やり過ぎないことも大切です。

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2009年7月25日 (土)

パソコンの植物状態。

パソコンはリカバリィで少し動き、やがてだんだんと動きを止めていきました。
パソコンと一日向き合うことで、体に触れながら臨終に立ち会って、現実を受け入れやすくなった時の気持ちを思い出しました。
とどまろうとするところに煩悩が生まれ、形あるものにはやがて終わる時があります。
山口県の大雨災害に比べると小さなことです。
キーボードの印字がはげたパソコンは、そろそろその役割を終えたいようです。

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2009年7月24日 (金)

携帯で。

パソコンが不安定で立ち上がらなくなり、結局ハードディスクをリカバリィすることになりました。
一時は慌てましたが、こうして携帯もあるわけです。バックアップが機能すれば問題なく、機能しなかったとしてもハードディスクの大掃除ができて動作も滑らかになることでしょう。
パソコンにもウィルスがあり、詰め込みすぎれば肩こりや腰痛の人のように動作が不安定になります。
何か大事なアイデアが飛んでしまったかもしれませんが、また考えましょう。
毎朝の脳のストレッチによく付きあってくれました。

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2009年7月23日 (木)

寝た子を起こさないようにサイレントペインも扱う。

 村上春樹さんの『1Q84』にはメインキャストとして女性のストレッチ・トレーナーが登場します。

 彼女は「現実は痛みが伴うもの」として、痛みを我慢させながらストレッチをします。

 これは施術です。施術の域を超えません。

 健康な施術者が、我慢強い人間に、あるいは我慢強くない人間にでも我慢を強いて成立する行為です。

 痛みを伴うストレッチの痛みの多くはサイレントペインです。

 彼女のようなスポーツインストラクターでストレッチトレーナーとタッチセラピストとの違いは、『痛みの扱い』です。

 タッチの専門家なら『痛くないように触る方法』や『痛くないように伸ばす方法』が、どれだけ痛みを抱えた人に有意義であるかということを思い知らされます。

 そこを思いっ切り伸ばせば痛い現実がわかっている時、サイレントペインを扱うタッチセラピストがやりたい放題のことをやれば寝た子が飛び起きます。

 現実の痛みを夢の中の出来事のように扱うのが、セラピーとしてのタッチです。

 サイレントペインを扱うことは、丁寧に触れなければ寝た子を起こすことになります。丁寧に触れてさえ起こしてしまうかもしれません。

 寝た子を起こさないようにするというのには、実害がなければスルーしてしまうということもあります(骨の変形や加齢に伴う不可避的なサイレントペインなど)。

 タッチセラピストならば、施術を超えたところにフィールドを作ってほしいと思うのです。

 現実の痛みを突きつけるのではなく、誤魔化しでもいいからファンタジーの中へ誘ってあげてほしいのです。

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2009年7月22日 (水)

サイレント・ペイン(隠れている痛み)。

 主訴とは離れた部位にある、お客様が気づいていない痛みを、私は“サイレント・ペイン”と呼ぶことにします(さっき歩きながら考えていて決めました)。

 40代女性、右手掌の屈筋腱が腱鞘炎になって調理のハードな仕事を辞め、体は楽になったはずですが、右肩こりと腰痛を訴えて指圧にいらっしゃいました。

 伏臥位、右下肢伸展挙上で痛みがあるので、まずは右腸腰筋の問題が考えられます。

 仰臥位、左股関節内旋のストレッチで骨のぶつかる音がします。左股関節が大きく動いたことは、このところほとんどなかったようです。

 右肩はごく普通の肩こりで、指圧をし、肩甲骨の可動性を拡げると随分楽になったようです。

 本人が全く気づいていない痛みが左烏口突起周囲にありました。これがサイレント・ペインです。

 調理で食材を切る時に、包丁を使う右肩・右肘・右手首は上下動がありますが、左肩・左肘・左手首は固定されます。

 屈曲に固定された左上腕二頭筋腱短頭に慢性的な炎症が生じて烏口突起あたりの痛みとなったようです。

 これを残してしまうと体調はいつまでも思わしくなりません。

 痛みのあるポイントに指を当てて肩の内旋運動をしていくと痛みが移動し、楽になっていきました。

 ハードな仕事を辞めて、急激なストレスからの解放は血流の停滞を起こしました。

 仕事はハードでもそれによって痛み物質や老廃物を少しずつ排出することはできていたわけです。

 それが急になくなって蓄積した疲労を自覚するようになり、それが右肩こりと右腸腰筋の痛みとなりました。

 しかし左烏口突起周囲の痛みや左股関節の硬さは意識に上がってはこなかったのです。

 全身指圧というのは、点で体全体のポイントをチェックする作業です。

 主訴を緩和するだけにとどまらず、サイレント・ペインを見つけて緩和することはとても重要です。

 もちろん、このケースは副交感神経が過剰に優位になっていますから、テンポの良いタッチをしました。こういう場合、眠くなるような撫でるようなタッチではだるさが増します。

 日曜日の頭痛や夏休み明けのだるさの多くは、これに近い副交感神経の過剰です。

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2009年7月21日 (火)

『1Q84』に出てくる触圧刺激の極意。

 村上春樹さんの小説『1Q84』に、触圧刺激の極意を上手に表現したシーンがあります。

 “力を入れる時に大切なことはむしろ力を抜くこと”、村上さんは高いレベルにある者にしかわからない極意をある場面で表現しています。

 村上さんの小説が世界中で評価されるのは、こうした的確なセンテンスの積み重ねが読者の共感を呼ぶからなのだなぁと今さらながら感心しました。

 新し過ぎず古過ぎない一度は聞いたことがあるような英単語や固有名詞が、そのまま読み過ごしてもいいし(調べればすぐわかる程度でもあり)、音声的にキャッチーな文体が心地良い時間の流れを作り出します。

 村上さんは触圧感覚も優れている方なのでしょう。

 思い出したら楽しそうなよく寝かされて熟成した時代と、半歩だけ先を行くような暗示的な展開、指圧もマッサージも村上さんのような構成力をもったものでありたいと思います。

 触圧刺激とアロマの嗅覚刺激により過去の記憶が蘇えり、心身の疲れがとれて明日につながるような指圧エンターテイメントが今日もまた始まろうとしています。

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2009年7月20日 (月)

夜9時過ぎ、急性腰痛の電話。

 先週は腰痛の指圧が多い週でした。

 忙しい一日が終わったと思ったら、9時を過ぎた頃、「今から指圧はお願いできませんよね…」というネガティブさの中にも有無を言わせない感じの電話がかかってきました。

 「肩が張ってきてめまいがしそうで眠れそうもない…」

 「わかりました」

 救急外来ではなく、明日整形外科へ行くでもなく、今おまえがやれと御指名をされたわけです。

 電気をつけエアコンをつけ音楽をかけアロマミストを焚いて、こんな時考えるのは終わったらシャワーでいいか、もう一度風呂に入りなおすか、下着はかえるようだな、などジクジク考えながら次第に指圧のセンセイの役作りに入っていきます。

 やってきたのは70代の女性、もう何度も時間外の急患としてここへ来ました。

 へっぴり腰で玄関を上がり、腰が悪いのがわかります。

 日中法事で、同じ姿勢で話し込んで、夜になって体の向きを変えるのもままならず悶々としてパニック寸前の状態まで行ってしまったようです。

 私が診るに左腰上部筋のいわゆるギックリ腰が、肩、頚から上、そして足先まで響いているようです。

 この方は自分を追い込む天才なので、何とか誤魔化してでも安心させていかなければなりません。

 以前これは指圧では無理だと言ったとたん、突然症状が重く動けなくなり、家族に連れられて行った救急外来では異常なしと言われ、結局湿布と鎮痛剤をもらって帰ってきたという、苦い経験があります。

 めまいがしそうだということなので、どの姿勢ならできるかと聞くと、足を投げ出した座位になりました。

 左第一腰椎外側のあたりに軽く触れても痛い部分があり、おそらく軽い肉離れのような状態です。

 誤魔化して横臥位になってもらうと左を下にしたいようなので、やはり左が悪いことがわかります。これは圧迫側の血圧降下、血管拡張、鎮痛という圧発汗反射からも明らかです。

 座位、横臥位と指圧をすると、何とか仰臥位も可能になります。

 「肩がこってるでしょう?」と聞かれますが、それほどはこっていないのですが、とりあえずこれも誤魔化して「大変だったねぇ」などと合わせます。

 大事なのは心理的な満足感で、肯定、肯定でいって、少しでも気分を害さないように盛り上げておきます。

 鎮痛のためなら、超調子のいいことを言うのも平気です。そのあたりはセラピストは役者でなけらばいけないと思っています。

 誤魔化し誤魔化し、何とか仰臥位もできるようになり、一時間の指圧でとりあえずめまいのおそれは消え、左腰に痛みはあるものの通常の動作は可能になりました。

 しかし、ここから帰らない。

 頚を一杯に回旋してみて、「ここまで曲げると頚が震えだす」だとか、余計なことをやらかしてくれます。

 頚椎症もあり、腰の変形もあり、無理をすればすぐに肩がこって頭への血流が滞り、腰痛になります。

 ちょと歯を喰いしばって「震えるトコまで曲げなくていいんだよぉ」ともう自分チのバァさんのようにあしらいながら、家族の迎えを待ちます。

 念のため翌日も指圧に来ましたがすごく良くなっていて、「昨日は眠れなかったでしょう?」と尋ねると「よく眠れた」とのことです。

 エネルギーの再点火で、結局眠れなくなったのは私のほうでした。

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2009年7月19日 (日)

前脛骨筋内側に末梢神経障害のポイントがあった症例。

 高齢者の下肢の末梢神経障害は下肢全体を貫くもの、大腿のみ、下腿のみ、外側のみ、内側のみなど多岐にわたり、個々に訴えは違います。

 坐骨神経の延長は下腿後面は脛骨神経、下腿前面は深腓骨神経、下腿外側は浅腓骨神経というように枝分かれしています。

 下腿三頭筋に代表される下腿後面の筋肉(屈筋)は主に足の底屈に働き、前脛骨筋に代表される下腿前面の筋肉(伸筋)は主に足の背屈に働き、長腓骨筋に代表される下腿外側の筋肉は主に足の外反に働きます。

 末梢神経障害を診る場合はこの3通りを念頭に、足をどのように動かした時に感覚の障害が増強するかを確かめます。

 長い間下腿から足の末梢神経障害に対して指圧をしてきた60代の男性に、ゼラニウム1%のオイルマッサージをしてみました。

 その日は両前脛骨筋に違和感があって、左母趾を屈曲すると症状が増強する感覚があるとのことでした。

 母趾屈曲は長母趾屈筋が働き、脛骨神経が支配しています。

 長母趾屈筋の起始は腓骨体下部後面ですから、前脛骨筋の斜め下方から下腿後面を斜めに横断し、内踝を回って母趾末節骨底に停止します。

 仰臥位で前脛骨筋の脛骨際(正中線に近い方)を上から溝を切るように母指軽擦から強擦し、足三里より正中線に近い部位に老廃物のカタマリが散在することを発見しました。

 指圧では圧さない、おそらく通常のマッサージでは意識してとらえない部分に確かな手応えを感じ、この感覚は受け手の感覚とも共有できるものでした。

 どのマッサージでも教えないと思うことなのでこのタッチの感覚は、“そういう症状を持ったお客様との出会いと、そのインスピレーションが降りてこなければ創れないこと”だと思います。

 脛骨と前脛骨筋の間、それと前脛骨筋の正中線よりの何ヶ所かの部分、ツブツブの痛み物質を圧し出していく感覚のタッチです。

 指圧は“皮膚の表面に対して垂直に圧すもの”ですから、手首を柔らかく使ってフレキシブルに母指の指紋部を当てますが、このケースではむしろ上から垂直に潰しながら母指軽擦、母指強擦をする感覚が正解だと思いました。

 この前脛骨筋の老廃物が流れることで、左母趾の底屈は俄然楽になったようです。

 このことから考えると、深腓骨神経から脛骨神経の連絡を考えるより、下腿前側から外側の皮膚を支配する伏在神経が共通のため、マッサージにより二つの筋肉が緩む結果になったと考えるほうが正しいかもしれません。

 オイルマッサージを終えて立ち上がったお客様には「13年ぶりに足の感覚が戻った!」と大変喜んでいただきました。

 どうやらこのお客様にとっては10年に一度のビッグウェーブが来た感覚だったようです。

 私にとっても素晴らしい発見でしたが、10年に一度のビッグウェーブの感覚まではいきませんでした。

 これは工夫すれば可能なことです。何でもっと早くやってみなかったかと悔やまれます。

 今までの指圧による約3年の布石がなければ、この日のオイルマッサージはなかっただろうとも思います。

 それほど、下肢の感覚は徐々に徐々に戻っていき、感覚の鈍い部位や訴えは様々に変わっていきました。

 私にとって10年に一度のビッグウェーブの感覚は、それこそワンタッチで中学生の頃の感覚が蘇えるような、震えるような感動です。

 今まで2回体験しました。その2回のために、指圧師で、アロマセラピストで、いられます。

 次は果たしてあるでしょうか?目の前で起きたビッグウェーブを傍観しながら、“そう、確かにこんな感じだった”と冷静ながら喜びのお相伴にあずかりました。

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2009年7月18日 (土)

肩関節前面の痛みの対処法。

 『肩関節前面の痛みの対処法』についてのあっちさんからの御質問にお答えいたします。

 大腸経のツボ“肩髃(けんぐう)”に一致するのは上腕二頭筋長頭腱、烏口突起付近は上腕二頭筋短頭腱か烏口腕筋腱、痛みがあるのはこの部位だということです。

 つまり筋肉の働きは肘屈曲で前腕回外、肩関節内転やや前方挙上ということになります。

 手仕事をすればパソコンでも包丁を握っても、ほとんどこれに近い形になります。

 安静にし難いので治りにくいと言えます。右利きの人にこの痛みがあれば使い過ぎということです。

 使う方向の逆に運動させればストレッチになります。

 しかし肩関節痛では可動域制限があるので小さく運動させます。

 持続的な圧迫は鎮痛効果があるので、痛みのある部位に指をあてながら、仰臥位肩関節外転45°肘屈曲で前腕の“回内運動”をしてみましょう(上腕二頭筋は前腕回外に働くからです)。

 まず肩髃に指をあてながらゆっくりと、徐々に大きく前腕を回内します。痛みが和らいできたら外転の角度を上げていきます。

 次に烏口突起に指をあてて同じようにします。

 これは座位でもできますし、示指から薬指の3指でおさえればセルフストレッチができます。

 私はウインターグリーンの濃度の高いオイル(5~8%)を塗布してからこのストレッチをすると(麻酔)効果があるように感じていますが、アレルギー体質の方には使えませんので、市販の鎮痛軟膏などを使ってみるのも一案です。

 お客様が医師から処方されたボルタレン・ゲルを使ってやってみたことがありますが、これは非常によく効きました。

 肘を屈曲する上腕二頭筋の起始が主な問題ですから、肘伸展で肩関節外転・外旋のストレッチをしたほうがよさそうなものですが、そうすると患部に指があたらなくなって鎮痛効果、ストレッチ効果が薄れるようです。

 肩関節前方挙上90°と外転90°での上肢牽引はまずどなたでもでき、効果が高いので、上肢の筋肉を緩めてから私は必ずやっています。

 肩関節前方挙上135°より上に上肢を持っていくことが出来ない原因は体の前で手を使ったからで、それ以上挙上することはできなくても当たり前ですから無理はしないでいいと思います。

 使いながら治すしかないので治るのに時間がかかりますが、無理に動かして痛みを再現するよりは、小さく動かして痛みを感じないことに価値があります。

 “寝た子を起こすようなまねはするな”とお客様に強く釘を刺せることも、セラピストの技量のうちに含まれます。

 日常生活で痛みを忘れているとしたら、それは治ったのに等しいのだと自信を持って言えるように、どーんと構えていてください。

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2009年7月17日 (金)

ライフガードのリーチとボクサーのリーチ。

 『Reach』はボクシングでは上肢の長さとして使われ、ボクサーはリーチが長いほうが有利とされています。

 ボクサーは曲げた肘を伸ばすことで破壊力のあるパンチを繰り出します。

 一方、ライフガードは肘を伸ばし、さらに精一杯手を差し伸べて、溺れた人を救助します。

『Reach』には手を差し伸べるという意味もあります。

 タッチセラピストがダメージを与えたいのか、救いたいのか、答えは明白です。

 救いたいのなら肘を伸ばし、さらに精一杯手を差し伸べるタッチをするべきです。

 この時、ダメージを与えずにタッチをしようとすれば、触れた瞬間にむしろ自分が浮き上がる、つまり圧し込まない、力の拮抗を破ろうとしない、というイメージにたどりつきます。

 例えばマイナスの力に、同じだけのプラスの力を加えてゼロにする、これがニュートラルです。

 ニュートラルにするための力加減は、セラピストにとってももの足りないと感じるくらいのものです。

 しかし、決して傷つけることはありません。

 肘を曲げてダメージを与えても人間の回復力に頼ってそれを続けていくのか、ニュートラルに調整できるセラピストになるのか、それはボクサーとライフガードの違いです。

 インドで生まれたというゼロの概念、そこにはリフレッシュ後にリスタートできる可能性が秘められています。

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2009年7月16日 (木)

運動は「運を動かす」。

 触圧刺激は運動になり、押圧操作や運動操作で成り立つ指圧を受ければ、他動的な運動をすることになります。

 運動をすることによって停滞は解消され、運が動きます。

 運命は動くことによって正常に作動、あるいは変化し、足を動かして出かけてみることによって、幸運と遭遇する機会は増えます。

 指圧師は、運を動かすためのお手伝いをさせていただいているわけです。

 指圧は運動になるので、運が動く、運を動かす、それはたとえ体が動かなくなったとしてもできます。

 引きこもっていれば運は動かない、自分で運を動かせないなら運を動かしてもらうところから始めてもいいのです。

 ビューティーなんたらなどというテレビ番組や多くのダイエット番組は見るに耐えられず不愉快ですぐに他の番組にかえてしまいますが、運を動かそうとして運動を始めるきっかけになったのだとしたら、そこは評価できます。

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2009年7月15日 (水)

圧すのではなく浸透させる指圧。

 横向きに寝て肘枕をし、側頭部にあたる手根部の感覚を感じてみます。

 この時、手根部は頭の重さで“圧されて”います。そこには手の力を使わない持続的な圧刺激があります。

 顔を少し下を向くように回旋させる、顔を少し上を向くように回旋させる、この時圧し込まれる感覚や圧のかかる部位が変わることがわかります。

 持続した垂直圧は肘枕のように、感覚として圧していなくても圧刺激を与えています。

 それを圧そうとして余計な力が入って垂直圧がねじれ、適量刺激を超えていきます。

 最近こんな例がありました。

 これといって症状はなく、月一回メンテナンスのために指圧に来ていただいている女性の一言に愕然としました。

 「指圧をして3日目からすごく調子が良くなる。直後は溜まっていた疲れを感じてだるい」

 これは適量刺激を超えています。

 約一時間の全身指圧をしますが、悪くない部位はもっと刺激量が少なくてもいいということです。

 痛みがある方の経過として3日後に良くなるならまず合格点をつけられますが、どこも悪くない感覚で来てくださる方にだるさを覚えさせるのでは、運動のさせ過ぎです。

 触圧刺激は他動的な運動になります。そしてどこも悪くない方への刺激こそ難しいものです。

 手を当てるだけ、持続を短くするなど、もっとだるさを感じさせない工夫はできます。

 何をされたか特に何も感じない、ただ気持ちがいいだけ、そこに基準があり、われわれはいつもやり過ぎる方向に間違うと思っていなければいけません。

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2009年7月14日 (火)

70代男性の頭重、血圧が高く、脳血管の詰まりも疑う症例。

 70代男性、昨日家庭菜園の手入れをしていて頭がボーっとしてきたそうで、今朝も頭の重さが残っています。

 家族に肩こりではないかと言われて指圧にいらっしゃいました。

 脈拍は72/分、自転車で急いで来たらしく、緊張する性格でもあるということですが、呼吸も心拍数も落ち着いたものです。

 ヘビースモーカーの臭いとポケットが側面にある作業ズボンを身にまとい、まだ現役で外仕事をしているとのことです。

 本人の申告では降圧薬を服用中で血圧は115-85(後に145-85だったと訂正がありました)、実際に測ってみると収縮期血圧が170ありました。

 服薬後、収縮期血圧が115なら降圧薬を使う必要はなく、145なら血圧管理が良好だということで、170なら降圧不足です。

 頭が重いのは高血圧の随伴症状で、おそらく動脈硬化がすすんで脳血管に狭い所がありそうです。

 CT検査は3年前にしたとのことですので、そろそろ再検査をしたほうがよさそうです。

 信頼していた主治医の先生が亡くなったばかりだそうで、どうやら先生が変わって上手くコミュニケーションがとれていないということは大きな問題です。

 指圧をして感じたのは、素晴らしい筋肉をしていて肩こりとは言えないということです。

 指圧後の収縮期血圧は160(拡張期血圧はいずれも85前後でした)、正常ならもっと下がると私は経験的に診てきました。

 体が頑健かつ柔軟なだけに、動脈硬化で血管が硬くなり、血管の内腔が細くなっているのでしょう。

 菜園の手入れで汗をかいた時や朝起きた時に頭がボーっとするというのは、水分不足になると血流が滞るということでしょう。

 こまめな水分補給と早期の検査の必要性を説明して指圧を終えました。

 先生が変わって症状を伝えられずに指圧を選んでしまう、やれやれ…。

 決してあがり症でもシャイなのでもましてや痴呆の傾向もないと思いました。きっと面倒臭いのだと思います。やれやれ…。

 

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2009年7月13日 (月)

静脈瘤のある下腿のむくみへのタッチ。

 あっちさんの御質問、「静脈瘤のある下腿のむくみ」について考えてみました。

 静脈瘤は文字通りこぶのように硬く盛り上がっています。この部位に強刺激は絶対にしてはいけません。

 静脈瘤より下部を誘導的、求心的に刺激していき、静脈瘤をとばして、それより上部を誘導的、求心的に刺激していくことは安全で有効です。

 精油ではサイプレスは静脈瘤に適応があるとされています。

 サイプレスの血管収縮作用、収斂作用を利用して求心性にむくみを排出し、静脈瘤には塗布します。

 塗布の場合には1%濃度から少しずつ濃度を上げていくという方法も考えられますが、それはお客様に説明をして同意を得た場合のみです(もし自信がなければ1%のままにしておきます)。

 他でソフトなトリートメントをしているのであれば、そこではやらないことに活路を見出すこともできます(もちろんサイプレスを使っていなければサイプレスのトリートメントをやってみる価値はあります)。

 静脈瘤ができる場合には、ほとんどの場合、動脈の血行にも問題があります。

 下肢遠心性のトリートメントで動脈の血行を促進し、静脈血を押し出すという方法も是非やってみてください。サイプレス以外に、冷えがあればマジョラムやジンジャー、冷えがなければフェンネルやジュニパーを選択してもいいでしょう。

 股関節が硬い方には伏臥位で下肢伸展挙上で回旋運動をした後、下に降ろして膝屈曲外旋・内旋のストレッチと、仰臥位下肢伸展挙上牽引と股関節の回旋運動、膝やや屈曲で股関節を屈曲する大腿二頭筋のストレッチなどが有効です。

 このあたりまでは素直な順張りの発想です。逆張りの発想として、是非上半身を緩めてください。見逃していることがあるかもしれません。

 例えば腋窩にむくみがあって片側の肩甲下部にこりがあれば横向きに寝ていてそれが不適切な姿勢であったり、左腕の使わな過ぎが巡り巡って下肢の血行不良の原因であったりします。

 体はパズルのように、ひとつ欠けても全体のバランスが崩れます。上半身の思いがけないこりやむくみが、下半身の不調の原因であることがあります。

 体が連れてくる物語を自分の感覚で読み解いて、お客様のクオリティ・オブ・ライフに貢献してください。

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2009年7月12日 (日)

下肢ゼラニウムのオイルマッサージで静脈の血行改善。

 前回ゼラニウムでオイルマッサージをした方の下腿の静脈の血行は、一週間たってから診ても明らかに改善されていました。

 静脈の茶色がかった色の部位は、青っぽく他と見た目に変わりはなくなり、ふくらはぎのとぐろを巻いて浮き上がっていた血管もおとなしくなっています。

 静脈の走行に沿った母指軽擦でも痛みはなく、足底の硬さも今回はありませんでした。

 今回は足の皮膚の乾燥に対して予定通りオリーブエキストラバージンオイルとローズヒップオイルを1:1にしたゼラニウム1%のブレンドオイルで全身指圧後にマッサージをしました。

 面白いもので足の感覚が改善されてくると、肩こりが発症していました。

 体の使い方が変わり、より仕事ができるようになって、違う部位に新たな痛みを抱えるというのが人間の常のようです。

 昨日の指圧例でも、数日前まで左腰が痛かったと言う方にストレッチをしてみると右腸腰筋に痛みがあったり、肩の関節炎の痛みが微妙に前後の腱に移動していたりします。

 治るという反応の過程には協力筋に無理をさせていたり、対角線に負担をかけていたり、下半身から上半身に痛みが変わったり、人間は様々な犠牲を払って日々刻々気づかない努力をしながら命をつなげています。

 今日は日曜日、休める方はどうか休んでください。そしてできれば全ての関節可動域を確認するストレッチをして、涼しい時間に大股で無限大遠くを見るような姿勢で歩いてください。

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2009年7月11日 (土)

タッチ=アナログの癒し効果

 タッチにはアナログの癒し効果があると言われています。

 この場合のアナログとは曖昧さを理解するという意味で使われています。

 デジタルの瞬間を切り取って数値化するという表現に対して、アナログは連続した量的変化を表現することができます。

 デジタル時計と昔ながらの大きなのっぽの古時計の違いは、デジタル化された物理療法機器(低周波治療器など)と“手当て”をする手技療法の特性との違いです。

 微妙にぶれることの心地良さは、自然界の波の音や渓流のせせらぎの音からもわかります。

 f分の1のゆらぎを持った手で触れるという行為は、刺激量の連続的な推移を示すものです。

 これがデジタルに近づいた時、タッチの特性は崩壊します。

 デジタルは呼吸を待ったり、リズムが走ったり、それを修正しようとしたりしません。

 「何故手で触れるのか?」、それは同調しようとタイミングを変えていくことに治療効果があるからです。

 人間は変わっていくもの、呼吸・脈拍・体温は変化していきます。

 微妙に変化する曖昧さを持った人間に、曖昧さを持った人間が同調しようとすることは尊い行為にまで高められていきます。

 わからない、迷う、それもアナログです。

 さて、そろそろ忙しい土曜日が幕を開けます。

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2009年7月10日 (金)

“体調の悪い方はやらないでください”などのエクササイズのテロップって…。

 テレビの健康番組を一番注目して見るのは、そのテーマとなっている体の症状がある方で、その次は何とか良い方法はないかといつも探している指圧師だったりします。

 指圧師はほうっておくとして、気になるのはエクササイズなどが始まってから流れる“体調の悪い方はやらないでください”などのテロップです。

 自分の抱えている症状を何とかしたいと思っているエクササイズを一番知りたい方にはできないエクササイズが放送されています。

 成熟した社会に貢献していくなら、そろそろ順番は逆にして、まずは痛みが強い人にはどれだけのことが可能かということから紹介していったほうがいいと思います。

 “医師と相談してから”とか“無理をしないでください”というテロップは、症状の回復を願う方たちに期待をさせておいてからいきなり落胆させるようなものです。

 健康な人を対象としたストレッチやエクササイズも、健康だと思っている人の中に、簡単に断裂してしまうようなアキレス腱の状態の方がいるものなのです。

 指圧やマッサージも同じ、通常ならこれでいいなどという甘い考えでは健康を害する刺激をしてしまうことがあります。

 他動的運動をさせ過ぎてしまえば、揉み返しや疲労が生じます。

 まずは最悪の場合を考えた刺激法で対応してから、徐々に刺激量を上げていく、エクササイズもタッチもそうでなければいけないと思います。

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2009年7月 9日 (木)

遠心性の施術と求心性の施術の使い分けについて。

 「遠心性の施術と求心性の施術の使い分け」についての御質問にコメント欄でお答えさせていただきましたが、もう少し補足しておきたいと思います。

 私は指圧が基本として身についているので、ほとんどは遠心性の施術をします。

 アロマオイルマッサージは全く指圧と逆にしているので、ほとんどは求心性に施術しています。

 ただし下肢内側は経絡の流れからみて指圧でも求心性に施術し、その他にも任脈や督脈の流れを意識して施術する場合には求心性に施術しています。

 肩関節周囲炎では肩甲骨や鎖骨の正中線寄りから肩関節に向かう刺激に自然となります。これは筋肉の走行に沿った施術が炎症や痛みの緩和に有効であると経験的に判断しているからでしょう。

 とすると、上肢・下肢の筋肉の走行は遠心性に停止しますから、遠心性の施術が鎮痛目的では優れているようにも思えます。

 また誘導作用を利用して炎症部位よりも心臓よりにある部位から求心性の施術をすることもあります。

 要するにセラピストが一つの筋肉をとらえて、求心性か遠心性かはっきりした意志を持った刺激をすることが大切だと考えています。

 施術が遠心性か求心性かと考えている段階ではまだ総体的な緩和を目指しているように思えます。

 究極のワンタッチ、10年に一度のビッグウェーブのようなワンタッチを求めて常にタッチを創っていくのであれば、遠心性か求心性かと考える必要はなくなります。

 

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2009年7月 8日 (水)

ウインターグリーン5%塗布の鎮痛効果

 精油の高濃度使用がアロマ環境協会の推奨する1%濃度の使用より効果があるというデータは実ははっきりしていないようです。

 目にしたいくつかの臨床データでは、徐々に濃度を上げて使用した結果、効果が変わらなかったという報告がされています。

 ラベンダーの火傷を治す作用は、私が実際に原液塗布で使用して効果があったと思っています。

 他に原液塗布や高濃度の使用で効果が期待できるものに、ティートリーの抗真菌作用などがよく知られています。

 原液塗布ではなく、8%くらいまでの高濃度使用で注目しているのが、サリチル酸メチルが主成分のウインターグリーンです。

 ウインターグリーンは抗炎症作用、鎮痛作用が期待できますから、肩関節の関節下滑液包炎や腱板炎への使用を考えています。

 実際に私が肩の痛みに5%濃度で使用したところ、翌日にはほとんど痛みが緩和されていました。

 ただし、ストレッチをしている、指圧をしている、オイルマッサージをしているので、高濃度塗布だけの効果ははっきりとしません。

 1%で使ってみた時よりは5%のほうが具合が良いような感じがしています。

 アレルギーを持つ人には使いにくいウインターグリーンですから、高濃度で使う場合には十分な問診が必要になります。

 市販の鎮痛消炎軟膏や湿布よりも効果があるような感触なので、同意していただいた方に使ってみて、臨床データを集めてみたいと思っています。

 (指圧やストレッチをしないわけにはいかないので、純粋な塗布のデータにはなりません。)

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2009年7月 7日 (火)

2匹の犬の散歩で引っ張られて大腿前側が痛い女性。

 体調の悪い友人に代わって2匹の犬の散歩を引き受けた女性、引っ張られて左大腿前側が痛いということです。

 私もかつて3匹の犬の散歩をしていましたが、犬にもそれぞれ性格があるので、立ち止まる犬、走り出したい犬、リードの絡まりをさばいている時でも急にあらぬ方向に引っ張られることはよくありました。

 前に進みたい犬を引っ張って止めている時に犬が急に走り出そうとして、踏ん張った足が急に前のめりになったとしたら、大腿直筋の付け根、下前腸骨棘のあたりにダメージを受けることがあります。

 確かに左大腿四頭筋の起始部は硬く緊張していました。

 左手首の橈骨動脈の脈が取れないので、おそらくリードを強く引いたことで肩関節周囲が短縮して腋窩動脈を圧迫しているようです。

 全身指圧、下肢のストレッチ、上肢のストレッチは支障なくでき、左橈骨動脈の脈も感じられるようになりました。

 左大腿四頭筋は急性の筋肉痛くらいで肉離れまではいっていないようです。

 自分の家の犬でも複数の散歩は大変でしたから、友人の犬2匹の散歩は大変だと思います。運動会で久々に走った人の筋肉痛に似ていました。

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2009年7月 6日 (月)

熱がこもった体の指圧。

 湿度が高く温度も高い梅雨時の曇りの日は、熱を体に溜め込んでしまいがちです。

 果物屋さんでほとんど外気に触れて仕事をしている60代の男性、いつもは訴えのない右肩のこりがあってとても疲れた様子です。

 体に触れるといつもより熱く、微熱を通り越して熱があるという感じです。

 冷房の温度を少し低く設定しても寒くないということなので、こちらとしては大変ありがたいことです(体を使う自分が快適な温度に冷房を設定してはお客様には寒いので、いつもは汗を滲ませながら指圧をさせていただいております)。

 このような熱疲労の時は、末梢から放熱するような解熱効果のある指圧をしなければなりません。

 癒し系の体を温めるような刺激をしては余計に疲れさせてしまいます。

 強さではなく、リズミカルなテンポが大切です。

 比較的早く指圧が終わってもいいと思います。

 それでも一時間かかってテンポの良い指圧とストレッチをしました。

 仕上げの座位指圧で前頚部に触れると熱は下がっていて、右肩も緩んでいます。

 「これで明日も頑張れる!」と仰るので、「そうじゃなくて、指圧は頑張らないことの大切さを体感するための時間ですから…」と後姿に声をかけました。

 疲れて休んでいれば誰かがその仕事をやると信じて、早めに休憩をとることが大切です。倒れたら、もっと迷惑がかかります。

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2009年7月 5日 (日)

下肢の温度覚麻痺 ゼラニウムのオイルマッサージで気づいたこと。

 下肢の温度覚が鈍い糖尿病の方に、予定した通りゼラニウムでオイルマッサージをしました。

 効果は即あらわれたようです。

 糖尿病になる以前の皮膚と血管の色になり、感覚がはっきりしてきたと喜んでいただきました。

 このはっきりしたという感覚は足を使う時の触圧覚のようです。

 全身指圧後の膝から下のオイルマッサージなので、単純にオイルマッサージの効果だと言う事はできません。

 しかし指圧では見逃していたことに気づくことができました。

 それは静脈血の停滞です。

 もちろん以前にも何回かアロマオイルでマッサージはしたことがあるのですが、指圧だけでも経過が良好なことで最近は肌を直に見ていませんでした(これは足に壊疽があって、こちらが遠慮していたということもあります)。

 下肢の閉塞性動脈硬化症と糖尿病性末梢神経障害が合併した症状なので、しばらくは冷えをなくし動脈血を末梢にまで行き渡らせるという指圧が続いていました。

 指圧の効果で足は温かくなりました。

 そして、久々に見た足首の足背静脈は茶色っぽく見えました。この静脈に沿って母指軽擦をすると感覚の鈍さや痛みがあるようです。

 そしてふくらはぎ外側中央にも、とぐろを巻いて色の悪い静脈がありました(静脈瘤ではありません)。

 ツボや経絡や神経の流れ、大きな動脈の流れ、リンパの流れは追ってきましたが、細かい静脈の部分的な走行は見ていませんでした。

 腎経と脾経が上行し後脛骨動脈が足底に向かう内踝外周と、痛みの強い踵骨前縁を最近は重視していました。

 ツボとは言えない部分的な静脈の流れと痛みやしびれが一致したのは意外でした。

 ゼラニウムの評価は次回来て頂いたときに検証してみる必要があります。

 鎮痛作用、ホルモン調節作用、加温作用などがあり、即効果があったようなので選択として間違いではなかったようです。

 次回キャリアオイルは肌の乾燥の状態と足趾の傷から、オリーブオイルにローズヒップオイルを足してみようかと考えています。

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2009年7月 4日 (土)

下肢の温度覚麻痺

 糖尿病による末梢神経障害で、足を風呂ににつけて温度がわからないという方がいます。

 熱い風呂にうっかり足を入れてしまったら火傷をするかもしれません。

 温覚は鈍くなっていますが、痛覚と触圧覚は機能しています。

 調べてみると、温度覚は麻痺しやすく痛覚は麻痺しにくいようです。

 アロマでの過去の事例を見つけるに至っていませんが、私はゼラニウムを使った下肢のオイルマッサージを考えています。

 ゼラニウムのホルモン調節作用は糖尿病にも有効なようですし、血行改善作用にも期待ができます。

 血糖値を下げるベンゾイン(安息香)も考えましたが、血糖は良好にコントロールされているので、今回は使用しないことにしました。

 これまでの指圧で、鼡径部で取れなかった脈が取れるようになり、末梢の毛細血管は再生されてきたと思っています。

 今度は神経の温度覚が戻るように、ゼラニウムから試してみます。

 

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2009年7月 3日 (金)

腱鞘炎手術の痕を手相に隠す名医のこだわり。

 熊本の60代の女性に指圧をしました。

 娘さんの嫁ぎ先に来て腰痛になったようです。

 阿蘇山のふもとで農業を続けている体は、あちらこちらにメンテナンスが必要でしたが、年齢とともに重ねてきた変形以外は特別に異常のない腰痛のようでした。

 全身指圧後、軽快に起き上がり、こちらに来た時にはまた来たいと仰って娘さんの車で帰っていかれました。

 右手首橈側には3cmほどの母指外転筋腱の手術痕がありました。

 その他にも左右の手掌にいくつかの屈筋腱の手術をしたようですが、その痕はわかりません。

 手掌の腱鞘炎は“名医”と評判の高い、熊本の整形外科の先生の手術だとのことです。

 その先生を訪れた時に右手首の手術痕を見て、「これは僕の手術じゃないよね。僕だったらこんな痕は残さない」と仰ったそうです。

 プライドと美学を感じます。

 感情線と生命線の中に手術痕があるのだと思いますが、よくわかりませんでした。

 東京からも患者さんが訪れるとか。

 技が芸術に昇華しています。感心しました。

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2009年7月 2日 (木)

力士の四股名が“右肩上がり”。

 “右肩上がり”という四股名の力士が誕生しました。

 左から始まるグラフが右肩上がりなら、売り上げなどの“伸び”を示します。力士の四股名とわかりにくい珍名ですが、縁起をかついでの命名なのでしょう。

 指圧では右肩上がりをそのままにしておくわけにはいかず、矯正させていただきます。

 右利きの人が体の中心で指を使う場合、肩関節内転+内旋、肘屈曲で僧帽筋は詰まる方向に短縮して“右肩上がり”になります。

 この時に“左肩下がり”や“脊柱の左側屈”のほうに問題があることがあります。

 見た目は“右肩上がり”でも、脊柱の左側屈によって実は左腰痛が主訴のこともあります。

 手技療法はボディメイクですから、右肩上がりも左肩下がりも傾きを矯正しなければなりません。

 セラピストにとって右肩上がりは、決して容認することのできない疲労を溜めた姿勢以外のナニモノでもありません。

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2009年7月 1日 (水)

丸椅子の気づき。

 腰部脊柱管狭窄症の男性に3回目の指圧をしました。

 前回の指圧の翌日は快適だったとのことなので、良姿勢の維持、体重を減らす、禁煙でかなりの効果を上げられると思います。

 しかし、どれも簡単なことではなさそうです。タバコの臭いが強く沁みついた体と、20kgは減らしてもよさそうなおなかがそれを物語っています。

 「タバコをやめると体重が増える」という錦の御旗は、この体重にすれば説得力はないのですが…。

 最初の時から提案している自転車は、座ることができ前屈みの姿勢になれるので比較的痛みを出さない上、下肢の運動になります。

 杖や手押しのカートも痛みの軽減になると思いますが、仕事で接客が多いのでなかなかそれはできないことだと思います(痩せると皮膚がたるんで格好悪いとか、なかなか形を気にする方です)。

 指圧が仰臥位になってからしばらくして、「先生は人助けだ…」に続けて「こんなに気持ちがいいなら痛みがあるのもいいもんだ…」と仰います。

 「それ、前にも誰かに言われました。みなさん同じような事を思うんですねぇ…」

 痛みが続けば不安になり、痛みからの解放や痛みの緩和からは強い感動が沸き起こります。

 全身指圧後、丸椅子で仕上げの座位指圧をしている時に、「丸椅子にしょうかなぁ」と仰います。

 この“気づき”はとても大きな前進です。合戦の殿様のように、背もたれのない椅子で猫背にならない意識を持つことは良姿勢の維持につながります。

 具体的に、積極的に、痛みを出さない改善策に気づくことができたわけです。

 そして自転車。

 数年前まで、脊柱管狭窄症の発症以前は自転車で長距離の移動もしていたことを思い出したようです。

 指圧は自分の体と向き合うための時間です。そこにアロマオイルの香り(この時は有機ラベンダー・フレンチ)やヒーリングミュージック(この時は『究極の眠れるCD』)が加わって心身の平安と脳の活性化がもたらされたようです。

 セラピストは平易な言葉に噛み砕いて、実効性のある提案をしていくことが大切です。

 良い方向へ風向きは変わりました。

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