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2009年7月19日 (日)

前脛骨筋内側に末梢神経障害のポイントがあった症例。

 高齢者の下肢の末梢神経障害は下肢全体を貫くもの、大腿のみ、下腿のみ、外側のみ、内側のみなど多岐にわたり、個々に訴えは違います。

 坐骨神経の延長は下腿後面は脛骨神経、下腿前面は深腓骨神経、下腿外側は浅腓骨神経というように枝分かれしています。

 下腿三頭筋に代表される下腿後面の筋肉(屈筋)は主に足の底屈に働き、前脛骨筋に代表される下腿前面の筋肉(伸筋)は主に足の背屈に働き、長腓骨筋に代表される下腿外側の筋肉は主に足の外反に働きます。

 末梢神経障害を診る場合はこの3通りを念頭に、足をどのように動かした時に感覚の障害が増強するかを確かめます。

 長い間下腿から足の末梢神経障害に対して指圧をしてきた60代の男性に、ゼラニウム1%のオイルマッサージをしてみました。

 その日は両前脛骨筋に違和感があって、左母趾を屈曲すると症状が増強する感覚があるとのことでした。

 母趾屈曲は長母趾屈筋が働き、脛骨神経が支配しています。

 長母趾屈筋の起始は腓骨体下部後面ですから、前脛骨筋の斜め下方から下腿後面を斜めに横断し、内踝を回って母趾末節骨底に停止します。

 仰臥位で前脛骨筋の脛骨際(正中線に近い方)を上から溝を切るように母指軽擦から強擦し、足三里より正中線に近い部位に老廃物のカタマリが散在することを発見しました。

 指圧では圧さない、おそらく通常のマッサージでは意識してとらえない部分に確かな手応えを感じ、この感覚は受け手の感覚とも共有できるものでした。

 どのマッサージでも教えないと思うことなのでこのタッチの感覚は、“そういう症状を持ったお客様との出会いと、そのインスピレーションが降りてこなければ創れないこと”だと思います。

 脛骨と前脛骨筋の間、それと前脛骨筋の正中線よりの何ヶ所かの部分、ツブツブの痛み物質を圧し出していく感覚のタッチです。

 指圧は“皮膚の表面に対して垂直に圧すもの”ですから、手首を柔らかく使ってフレキシブルに母指の指紋部を当てますが、このケースではむしろ上から垂直に潰しながら母指軽擦、母指強擦をする感覚が正解だと思いました。

 この前脛骨筋の老廃物が流れることで、左母趾の底屈は俄然楽になったようです。

 このことから考えると、深腓骨神経から脛骨神経の連絡を考えるより、下腿前側から外側の皮膚を支配する伏在神経が共通のため、マッサージにより二つの筋肉が緩む結果になったと考えるほうが正しいかもしれません。

 オイルマッサージを終えて立ち上がったお客様には「13年ぶりに足の感覚が戻った!」と大変喜んでいただきました。

 どうやらこのお客様にとっては10年に一度のビッグウェーブが来た感覚だったようです。

 私にとっても素晴らしい発見でしたが、10年に一度のビッグウェーブの感覚まではいきませんでした。

 これは工夫すれば可能なことです。何でもっと早くやってみなかったかと悔やまれます。

 今までの指圧による約3年の布石がなければ、この日のオイルマッサージはなかっただろうとも思います。

 それほど、下肢の感覚は徐々に徐々に戻っていき、感覚の鈍い部位や訴えは様々に変わっていきました。

 私にとって10年に一度のビッグウェーブの感覚は、それこそワンタッチで中学生の頃の感覚が蘇えるような、震えるような感動です。

 今まで2回体験しました。その2回のために、指圧師で、アロマセラピストで、いられます。

 次は果たしてあるでしょうか?目の前で起きたビッグウェーブを傍観しながら、“そう、確かにこんな感じだった”と冷静ながら喜びのお相伴にあずかりました。

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