寝た子を起こさないようにサイレントペインも扱う。
村上春樹さんの『1Q84』にはメインキャストとして女性のストレッチ・トレーナーが登場します。
彼女は「現実は痛みが伴うもの」として、痛みを我慢させながらストレッチをします。
これは施術です。施術の域を超えません。
健康な施術者が、我慢強い人間に、あるいは我慢強くない人間にでも我慢を強いて成立する行為です。
痛みを伴うストレッチの痛みの多くはサイレントペインです。
彼女のようなスポーツインストラクターでストレッチトレーナーとタッチセラピストとの違いは、『痛みの扱い』です。
タッチの専門家なら『痛くないように触る方法』や『痛くないように伸ばす方法』が、どれだけ痛みを抱えた人に有意義であるかということを思い知らされます。
そこを思いっ切り伸ばせば痛い現実がわかっている時、サイレントペインを扱うタッチセラピストがやりたい放題のことをやれば寝た子が飛び起きます。
現実の痛みを夢の中の出来事のように扱うのが、セラピーとしてのタッチです。
サイレントペインを扱うことは、丁寧に触れなければ寝た子を起こすことになります。丁寧に触れてさえ起こしてしまうかもしれません。
寝た子を起こさないようにするというのには、実害がなければスルーしてしまうということもあります(骨の変形や加齢に伴う不可避的なサイレントペインなど)。
タッチセラピストならば、施術を超えたところにフィールドを作ってほしいと思うのです。
現実の痛みを突きつけるのではなく、誤魔化しでもいいからファンタジーの中へ誘ってあげてほしいのです。
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