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2009年11月15日 (日)

ばね指が曲がらなくなった60代女性の指圧。

 「知人に紹介されたのだが、(アンタは)曲がらなくなったばね指を治せるか?」というニュアンスに聞こえた電話に、「曲がらなくなったばね指が完全に元通りになるのは難しいでしょう」とお答えしたところ、翌週の予約をいただきましたが、その翌日、また電話があって「今日指圧を受けたい」とのこと、空いている時間があったので指圧をすることになりました。

 何かトッチラカッテいます。こういう方は人物的に合わせるのが難しい…。

 左母指屈筋腱の腱鞘炎が、曲げようとすると弾かれるばね指に悪化し、それが曲げられない状態まで進行したということらしい…。

 実際に触れてみると、母指を触って痛みはないようです。普通はばね指では触らせてくれないようなこともあると覚悟していたのですが…。

 左手掌を指圧していくと、母指球内側の短母指屈筋深頭~母指内転筋斜頭に痛みがあります。

 右肩を左母指を屈曲させて強く押したことがばね指の引き金になったとのこと、その動作をしてくれましたが、なるほどひどい押し方です。

 母指の関節を曲げて強く押すような圧迫法をしている人は是非やめてほしいと思います。仕事として続けていこうと思っている人は特に気をつけてください。

 脊柱が左に側弯しているので頚はやや右に側屈しています。骨盤は右下がりでジャージのお尻の中心線は右にずれています。

 そして内臓下垂で下腹部がぽっこり突き出ています。

 それらを念頭にまず全身指圧をして体全体の歪みを矯正しました。

 指圧後、椅子に座ってもらった時、ジャージの中心の縫い目と仙骨の中心は一致していました。

 ここでペパーミント1滴+ラベンダー(ブルガリア)1滴+スイートアーモンドオイル10ml(濃度1%)のブレンドオイルを使ってアロマオイルマッサージをします。

 手首内側屈筋支帯の硬さと前腕内側の腕橈骨筋の硬さを緩め、母指球と母指の指節関節に軽い母指軽擦をしました。

 結果は「曲がる」ということです。

 原因は動かさな過ぎ、安静にし過ぎて、曲がらないほうに固定し過ぎたために曲がらなかったようです。

 指を触れせてもらえるようなばね指であれば、痛みの出ない範囲で動かすリハビリを始めていなければいけません。

 どうも不確かな情報に振り回されて、動かしてはいけないと過敏になっていたようです。

 誰もが初めての痛みを持った時にはどうしていいかわからないものです。なかなかわかるように説明してくれる人もいなかったりして不安を募らせています。

 セラピストであるためにはその説明力をつけることも欠かせません。

 曲がらなくなったばね指は、曲がるようになりましたが引っ掛かりはあります。

 これからばね指と上手に付き合って、少しずつ動かしていくことで症状は軽くなっていくことでしょう。

 「頚椎症で頚が動かしにくい人がいるが(アンタは)治せるか?」、指圧中に聞かれましたがやはり答えは「頚椎症は変形があると難しいですねぇ…」です。

 「指圧は痛いものだと思っていたが、こんなにやさしいタッチなのか?」この質問にも私のタッチはこういう感じですと答えるしかありませんでした。

 ぶっきらぼうな物言いの少しあわてた感じの女性のばね指は、落ち着いてよく考えて、丁寧な指圧とアロマオイルマッサージをしたら曲がったというお話でした。

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