« 2010年4月 | トップページ | 2010年6月 »

2010年5月31日 (月)

「坐骨神経痛で苦しむ妻に頼まれて夫が殺害」のニュース。

 「坐骨神経痛で1ヶ月前から寝たきりの61才の妻に頼まれて64才の夫が殺害」というニュースは衝撃です。

 「苦しいから殺してくれ」と頼まれたそうですが、61才なら神経ブロック麻酔の注射や手術という選択肢もあったのではないかと思います。

 坐骨神経に沿った痛みがあるというのは症状で、脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアや腰椎椎体圧迫骨折などの診断があったのではないかと思います。

 詳しいことはわからないので、経済的に苦しくて病院に行ってなかったということがあるのかもしれません。

 しかし、一回でも病院や手技療法の治療院に訪れていたとしたら、もしそこで「うちでは治せません」と言われていたとしても、それで絶望して寝たきりでいることはなかったのです。

 確かにその病気に対する知識がなければ不安は増していき、痛みの連続は絶望のどん底へ導くかもしれません。

 本人が絶望したとしても周りに医療情報を探す努力をする人や、積極的に治療を受けさせようとする人がいなかったことは残念です。

 昨日は日曜日でしたが、夕方にはぎっくり腰の人が指圧にやって来ました。

 外出から帰って、留守電が点滅するだけでコメントはありませんでしたが、誰かお得意様の急患だろうと思っていたらやはりそうでした。

 『右大腰筋の小さな傷、3日くらいは起きたり座ったりする動作で痛みがあるでしょう』という見立てで全身指圧をしました。

 症状を理解し安心するためにやって来る人がいて、それに答える指圧師がいれば強力な組み合わせです。

 殺害を依頼した奥さんも手をかけてしまった旦那さんも、セカンドオピニオン、サードオピニオンと求めていけばよかったのです。

 マイケル・ジャクソンさんの死因になったとされる麻酔薬「プロポフォール」に関しては、250件にも及ぶ訴訟を抱えているそうです。

 良かれと思って選択した治療が害になることもあります。

 しかし治療を続けているうちに展開していくこともあります。

 新しい治療法は開発されています。1ヶ月の闘病で死を望むというのは残念です。

 われわれタッチセラピストは、坐骨神経痛で死にたくなるほど痛いことがあることをしっかりと胸に留めておかなければいけません。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月30日 (日)

濡れた道路で後ろ歩きの転倒を目撃。

 今朝は雨が上がり、ウォーキングをしていると、後ろ向きで歩こうと向きを変えた女性が背中から転倒しました。

 幸い頭は打たなかったようですぐに起き上がりましたが、上着は泥だらけです。

 「大丈夫ですか?」と駆け寄ると、きまり悪そうに「洗濯しなくちゃぁ」と言って歩いていきました。

 年齢は60代後半でしょうか。

 この後ろ歩きというのを車が通る公道でするというのは考えもので、おまけに路面は濡れて滑ります。

 小石でも踏んでバランスを崩したのかもしれませんが、小脳の梗塞などがあれば協調運動ができなくなります。

 声もしっかりしていて動きも異常はないようでしたが、ちょっとした油断が大きな外傷につながることもあります。

 まず普通に、真っ直ぐ正面に向かって、大股で姿勢よく、無限大遠くを見て、肩を後ろに振る意識で歩くだけでいいと思います。

 手を横に大きく振って歩いている人には“欽ちゃんか!?”と突っ込みたくなり、後ろに歩いている人は“マイケル・ジャクソンか!?”と言いたくなります。

 そういう歩き方は舞台かグラウンドか庭か屋内でやればいいことです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月29日 (土)

辺野古の「へ」にアクセントを付けてしまうようなことは…。

 昨日罷免された今では元が付く大臣が、辺野古の「へ」にアクセントを付けてしゃべるので“Gas Child”のように聞こえて、とても違和感を覚えていました。

 沖縄県知事を始めとして、皆さんが辺野古は平板に発音している中、私が聞いた中では唯一“Gas Child”な発音だったので、そうなってしまうにはどういう要因があるのかと思います。

 地域によって“橋”が“箸”になることはあるにしても、国の中枢で論議されている注目の地名に独自のアクセントを付けてしまうのは、かなり異端な感じを受けます。

 日本人が“とむ”と呼ぶアメリカの男性は、本当は“タム”と呼ばなければ振り返りたくもないかもしれません。

 指圧のタッチでも、妙なアクセントを付けると不快な刺激になります。

 1点の指圧は漸増漸減圧ですから平板ということはあり得ませんが、漸増のタイミングが急激だったり、漸減が短すぎるということは、ほとんどの人が注意しなければいけない間違いです。

 物事を正しく理解するということの基本は、人名でも地名でも、漢字を正しく覚えて、その発音も通常の呼び方を真似ることです。

 記号として呼び方があっていれば発音はどうでもいいというのでは、正確な理解からは欠けています。

 指圧も、上手な人のアクセントやニュアンスを正しく真似て、基本は基本に従い、そうすることによって伝統や技術を継承することができます。

 正しく理解するには協調性も必要になります。独自性を出そうとするなら粛々と基本を理解した後の話です。

 指圧やタッチセラピーでは、自分の感覚を使って最終的には判断することになるので、誰もが独特のタッチしかできません。だから共通理解できる部分は正しく勉強しなければいけないのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月28日 (金)

筋肉疲労と挫傷の違い。

 腰痛でも、使い過ぎによる筋肉疲労の痛みと、何らかの傷がある状態の痛みとでは違います。

 使い過ぎで炎症があり、筋肉が短縮していて腰が痛い時は、ストレッチをすると気持ちいいと感じます。

 一方、使い過ぎの限界を超えて筋肉が裂けていたり、外部からの強い刺激で傷口が開いている時は、ストレッチが痛くて出来なかったり、ストレッチで痛みが増します。

 ですから強い腰痛の訴えがある場合はもちろん、腰に張りがあるくらいの訴えでも、施術中の治療的ストレッチは傷口を拡げないために、どこでも止められるようにゆっくりと丁寧に行わなければいけません。

 筋肉疲労はその日のうちにストレッチをする習慣をつけておけば、朝起きて動きにくいくらい痛いということは避けられます。

 疲れて寝て、寝返りもうてないようなことがあれば、頚から背中、腰、下肢と、体重による血行不良で寝る前に抱えていた症状は悪化します。

 無理に起き上がって腸腰筋の挫傷(ぎっくり腰)を作るのはこんな時です。

 私は指圧が4人続くと5時間近く(質問があって帰らない方がいるともっと)かかってしまうので、その後に全身のストレッチが必要になります。

 この段階では筋肉疲労ですから、肩、腰、下肢とストレッチを十分にしておけば何とか翌朝の9時までには体を戻すことができます。

 昨日の午後の指圧が4人続いて8時過ぎまでかかったので、指圧後にストレッチをして、早朝のストレッチとウォーキングで何とか体はニュートラルな状態に戻ってきました。

 それでも朝起きた時点では疲労が残っていましたから、昨夜のストレッチがなければ今朝の状態はもっと悪かったと思います。

 私は大事にならないように毎朝のメンテナンスを、そして疲労が強い時には夜にもメンテナンスを、そして週に1、2回は半日かけたメンテナンスを自分で行い、手から薬が出る体を作って指圧に望んでいます。

 筋肉疲労のうちにストレッチをするということは、毎日全身のストレッチをして自分の体の状態を把握しておくということです。

 病気や怪我の予防になります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月27日 (木)

手関節のポキッ(短縮によるぶつかり)を橈屈、尺屈運動で即改善。

 「手を使う時に手関節でポキッと音がする」という女性に、手関節の橈屈と尺屈の運動をゆっくりと行ってもらった所、30秒もしないうちに手関節の音がしなくなりました。

 手関節の橈屈は、握手を求める時のように、手指と手掌の屈筋をしっかりと伸展させて、前腕の延長線上に手先が伸びるようにして、手を上に持ち上げます。

 橈屈は25°、その逆の手を下に向ける尺屈は60°動きます。

 手関節がポキッと音を立てるのは、前腕の橈骨+尺骨と手根骨で作る手関節の間隔が短縮しているからで、これは人間が手を使う時には手指の屈筋の運動が多いので誰にでも起こることです。

 だから手指の伸展+手関節の橈屈・尺屈運動は隙間を拡げるストレッチとして最適なのです。

 手関節で音が鳴るようになったら、手指屈筋腱の腱鞘炎や手根管症候群の予備軍か、すでにそれが起こっているのかもしれません。

 手関節の橈屈、尺屈の運動はわずかな関節運動ですから、しっかり効いている感じがなかったり、動きが大きいようなら手関節が背屈か掌屈の方向に曲がっています。

 これをやってもらうと皆さん意外とできないものです。

 またほとんどの方は肩に力が入ってしまうので、そこもしっかりと見てあげなければいけません。

 肩の力が抜けないようなら、両肩を挙上し、10秒程度両拳を思いっきり握り締めてから脱力するように指導します。

 その後に橈屈、尺屈運動をしてもらうと、手関節だけの運動のコツがだんだんわかってくると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月26日 (水)

“ゴッドアイ”ではない映像を流してしまうのはニュースを作る側に問題が。

 昨日夕方にテレビをつけたらテレビ朝日のニュースの中で『肩こりを見抜くゴッドアイ(の達人)』というような映像がありました。

 道行く人の中から肩こりの人をズバリ言い当てるというのですが、どう考えても失敗の映像を流していました。

 ショルダーバッグを肩にかけた60代後半に見える比較的痩せた女性に声をかけると、「パソコンの後には肩がこることがありますねぇ」くらいの答えです。

 これは普段肩こりを感じていないということ、当たるまで別の人に声をかけて、当たった映像を流すべきです。

 しかしナレーションは「みごとに言い当てた!」というフォローをかぶせていました。

 ショルダーバッグ、痩せ型の年齢の高い女性という条件が揃って、慢性の強い肩こりを感じていなければ、物凄くはずしています。

 せっかくニュースの穴を埋めてくれ、出演してくれた方の名誉のためにもこの映像はボツにして撮りなおさないと…。

 施術の映像もありましたが、痛がられるくらいの強圧しで(指圧師の指圧とは違う指圧のような圧し方です)、言っていることや考え方はごく普通でした。

 健康関連のカリスマ登場的な映像は視聴者を惹きつけるから企画されるだと思いますが、ほとんどはがっかりかうんざりします。

 映像を撮る側にその分野への造詣がなさ過ぎるので、垂れ流しのような映像になるのです。

 せめてボロが出ないように専門家の確認がないと、うまくいっったようにう見えてもヤラセ映像や、提灯記事(広告と引き換えにごますり記事を掲載する)ばかりになります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月25日 (火)

「腱の生成遺伝子を特定」のニュース。

 「腱の生成に重要な遺伝子を、国立成育医療研究センターの浅原弘嗣部長らの研究グループが突き止めた」という記事が今日の産経新聞にありました。

 これは腱損傷の再生治療法の開発に大きく貢献する研究成果です。

 先日指圧後に右肩の痛みが強くなってしまった女性に、2回目の指圧をしました。

 おそらく肩峰下の棘上筋腱に石灰化か損傷があると考えています。

 腱の損傷が大きくなれば断裂です。

 断裂にも完全に切れてしまったものと小さく切れたものがあります。

 指圧後に肩の痛みが強くなったと言われたことは初めてで、よくリピートしていただけたものです。おまけに娘さんまで指圧に連れてきていただきました。

 前回の指圧後には非常にだるくなり、微熱が出たということでした。

 しかし3日後には肩が指圧前よりも上がるようになっていたということです。

 この3日後というのが指圧ではポイントで、それまでは老廃物や痛み物質が出て行く過程で神経にぶつかって痛みが増強し、炎症反応が強くなって微熱まで出たというように考えています。

 今回の指圧では6日前の指圧で改善された筋肉の感触が残っていて、肩の外転では肩峰下のぶつかり感はあるものの、何とか手を上げることができるようになりました。

 肩の状態の診断はX線で石灰化がMRIで腱板断裂がわかります。

 指圧ではその確定診断は( )でくくっておくことになりますが、この様子なら指圧のような保存的治療でも良くなっていくように感じています。

 昨日は変形性膝関節症の発症に関与するタンパク質が特定されたというニュースも目にしました。

 医療の情報に注目しながら、クオリティ・オブ・ライフに貢献する指圧をしていたいと思います。

 改善の見込みがないのなら、医療機関に受診するチャンスを奪うべきではありません。

 医療機関とすんなり行き来が出来るような指圧でありたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月24日 (月)

伏臥位で前頚部の施術は必要なし。

 「伏臥位の前頚部は外側から内側に向かっての施術でいいか?」という御質問をいただきましたが、「伏臥位で前頚部の施術はしなくていい」というのが私の答えです。

 この外側から内側にというのは、胸鎖乳突筋を起始の鎖骨部から停止の乳様突起に向かってタッチするということだと思いますが、まずやりにくい、不安定なタッチは気管を詰めてしまう可能性があります。

 前頚部は血圧と心拍数を調整する頚動脈洞や内臓の働きを制御する迷走神経が走るとても重要なタッチポイントです。

 上からかぶさって圧すのも、下から圧し上げるのも、軽々しく行うべきではありません。

 伏臥位だけで終わることがあるとしても、最後に座位でタッチをすればそれでいいと思います。

 背後から頚に手を回して頚動脈を締める様子を想像してみてください。

 映像として美しくない、だからやらないのがセラピストです。

 癒したいのか、治したいのか、傷つけても平気なのか、答えはわかるはずです。

 伏臥位では後頚部と側頚部にとどめ、前頚部は仰臥位や座位で、安定した姿勢で慎重に行います。

 これは指圧師が基本指圧で自然と身につける基本(中の基本)です。

 指圧師のほとんどが意味など考えず、自然とこの教えに従っています。

* 外側から内側という起始から停止へ向かうというこだわりも、指圧は遠心性というこだわりも指圧自体がこだわっていなくて、頚部は求心性に頚の上部から下部へ指圧します。(私は仰臥位の後頚部を、頭の重さを利用して後頚部両側を両3指で持ち上げるように下から上に指圧することもあります。)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月23日 (日)

肩痛に上肢を体側に下垂したままの回旋運動。

 肩が上がらない原因の多くは、肩甲骨周囲の外旋筋群の使わな過ぎです。

 特に右利きの人は左肩の外旋運動をしなくても、日常生活に支障はありません。

 例えばドアノブ。

 右手で外側に回すドアノブは前腕の回外運動ですが、そこからさらに回さなければいけないような事態が起きれば、その先は肩の外旋運動を伴います。

 右肩外旋筋は使わないこともない、のです。

 上肢の指圧後、前方挙上+牽引のストレッチをしますが、腰痛で指圧に来るような方にも左肩が上がりにくいことは多く、うっかりストレッチをかけていくと「イテ、テテテッ!」などと言われてびっくりするはめになります。

 前方挙上のストレッチの前に上肢を下垂したまま手首と上腕を持って肩関節の内旋・外旋の運動をしておくと、比較的前方挙上が容易になります。

 この運動がストッパーをはずすことになるわけです。

 いくら伏臥位で肩甲骨外側を緩めたとしても、肩の関節運動をしていなければ前方挙上のストッパーはかかったままだと思ったほうが安全です。

 無理に伏臥位で肩の関節運動をする必要はありません。逆関節になる形のストレッチは、気持ちのいいものではありません。

 痛みがなければ肘を90°に曲げたほうが肩関節の外旋運動はしっかりできますが、痛みがありそうなら“あまり効かないやり方”から始めたほうがより丁寧です。

 強い痛みがあれば“あまり効かない運動”から少しずつ運動強度を上げていくしかないのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月22日 (土)

手足口病と口蹄疫。

 口蹄疫の感染はついに大量の殺処分という方針が決まりました。

 移動させていた種牛にまで感染は拡がりをみせ、日本の畜産には大打撃となる事態になってしまいました。

 口蹄疫と似た症状に人間の病気では手足口病があります。

 手足口病の流行がニュースになってしばらくしてからの口蹄疫の被害ですから関連性を疑いたくなりますが、そのウイルスはそれぞれ違います。

 口蹄疫感染の現場で懸命に働く方たちがいて、ウイルスが形を変えていくうちに、それが人間と動物のどちらにも脅威となるものにならないよう祈るばかりです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月21日 (金)

心臓“マッサージ?”はアンパンマンのマーチで。

 心臓“マッサージ”という言葉には抵抗があります。

 救急救命措置の手根圧迫の手技ですが、あれはどの手技療法でも使い物になりません。

 肋骨を折ってもいいという前提のあるマッサージなどありません。

 言葉の問題ですが、この救急救命措置の手技に“マッサージ”という言葉が使われることには賛成できません。

 心臓“マッサージ”は、1分間に100回の圧迫をすることとされています。

 「アンパンマンのマーチ」が1分間に100拍のテンポなので、これを頭の中で歌いながら行うようにという指導を受けた人もいると思います。

 心臓“マッサージ”の緊急事態に「アンパンマンのマーチ」が使われるとは、亡くなった作曲者の三木たかしさんには思いもよらないことだったでしょう。

 三木たかしさんはすでに小学生の時にマーチを作曲していたそうです。

 テレサ・テン作品や石川さゆり作品だけでなく、劇団四季やジャンルを超えた幅の広い作品群は、努力と才能とセンスの賜物だと思います。

 ちなみに、エクササイズ・ウォーキングでは「上を向いて歩こう」を歌いながら、1分間に150歩のペースが推奨されています。

 1秒間に2歩以上のペースですから、腰や膝の痛い方にはとてもできませんが、歌をペースメーカーにするのは良い方法です。

 ただ坂本九の「上を向いて歩こう」と忌野清志郎のとでは違ってきますし、リズム感が痛いと残念なことになりますので、そこは大人の判断で正しいリズムに近づけましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月20日 (木)

リラックスを妨げるもの。

 人気温泉ランキング上位に入るような温泉でも、露天風呂からの視界を邪魔する高圧電線と双発プロペラのヘリコプターが何機か目に入ると、転地療養感が下がります。

 清潔感とぬる湯の源泉が素晴らしくても、高圧電線が近いと場所の選定、建物の向きなど、もっと配慮ができたのではないかと思います。

 元気のいい若い(若過ぎる)受付の女性も、日常に連れ戻してくれるには十分のパワーがあって、『ポテトはいらない!』という時の状況を思い出させてくれます。

 目をつぶって、耳を塞いでいればリラックス出来るという状況では、トータルイメージを損ねるいくつかの油断に気づきます。

 指圧でも声のトーンや目につく小物のセンスは、リラックスを妨げるのに十分な障害物となります。

 男性セラピストでは髭が気になるということもあると思います。

 落語家が髭をはやさないのは女を演じるため、これは基本です。

 指圧も基本は母心ですから、髭に注目が行くようでは剃るべきです。

 注目の行かない演出、実は凄く考えて何も目がとらえないようにしている配慮、見えているのに見えない、聞こえているのに聞こえない、そこに視覚や聴覚を超えた意思の疎通が生まれ、深いリラックスをもたらします。

 人気温泉の露天風呂から、そんなことを思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月19日 (水)

カリスマ女トレーナーの無免許電気治療、重症火傷を負わせ逮捕。

 今朝の産経新聞の社会面で大きく扱われていたのは「医師の不同意堕胎容疑」ですが、「カリスマ女トレーナー 実は無免許」という記事も掲載されていました。

 この女性は高校野球の甲子園出場校野球部の出張治療で評判を呼び、スポーツ関係者の間では“カリスマトレーナー”として知られていたのだそうです。

 「医師の資格がないのに整体院で74才の男性に電気治療をして重傷を負わせた」医師法違反と業務上過失傷害の疑いで逮捕されました。

 「けがをさせなければいいと思った」と容疑を認めているそうですが、この供述が事実だとすれば、幼稚極まりないとしか言いようがありません。

 おそらくもっと多くの被害者がいることでしょう。

 野球部への出張治療で数多くの部員に施術をする場合、その施術の質は低下します。

 若く健康な体は、下手な施術も受け止め、適量刺激を超えていても体のほうでそれを修正します。

 この“カリスマ”が何を学び、どんなテクニックと知識を持っていたかはわかりませんが、『まぐれの適量刺激』を自分の技量だと錯覚し、慢心があったのでしょう。

 痛みに対してはどれだけ慎重なタッチをしても、結果として血行促進により炎症反応が憎悪することがあります。

 私の指圧では100例に1例くらいのように感じていますが、昨日、肩に痛みがあるお客様が不安を感じるようなそれが起こってしまいました。

 慎重なタッチと痛みを出さない範囲の関節運動をしようとしても、急性の強い痛みでは、触れただけでも2~3の痛みは出てしまうことがあります。

 昨日指圧をしてほしいとやって来た段階では、断るほどの激しい痛みはなかったので、このケースでは指圧の血行促進によって痛みが増強してもやむを得ないことだったと思っています。

 触れて動かしてみなければ患部の特定もできません。このケースでは鍼灸や整形外科の電気などの治療法でも、あるいは何もしなくても、やがてはっきりとした痛みを自覚するようになったのではないかと思います。

 『こういうことがある…』、昨日はしばらく愕然としていました。

 じゃあ安静にして冷やしていないさいと電話でわかる状態ではなかったのです。

 こういうことがあるから、「もっと弱く」、「もっともっと弱く」、「慎重に慎重に」、「もっともっと丁寧に」と思います。

 「けがをさせなければいいと思った」などと供述の流れの中でうっかり出てくるようでは、無免許どうのこうの以前に、セラピストとして失格です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月18日 (火)

肩甲挙筋+菱形筋を覆う僧帽筋。

 肩こりを考える時に、深層筋である肩甲挙筋+小菱形筋+大菱形筋とそれを覆う上部と中部の僧帽筋は働きが同じであること気づかなければいけません。

 肩甲挙筋と上部僧帽筋は肩甲骨を引き上げ、小+大菱形筋と中部僧帽筋は肩甲骨を脊柱に引き寄せます。

 肩甲挙筋と小・大菱形筋は脊柱上部を起始として肩甲骨内側に停止し、その形を拡大して覆いかぶさるのが僧帽筋です。

 第5頚神経から第1胸神経が腕神経叢となるので、腕から指先にしびれがある場合は、まずこの頚椎から胸椎までの脊柱両側のこりを緩める必要があります。

 肩こりがひどくなると腕や手指にしびれが出るという時には、神経根症状の出発点から緩めることこそ良策です。

 しびれの訴えのある箇所に鍼やお灸や電気をあてても治らないというケースでは、この頚から肩甲骨内側を緩めていないということに問題があります。

  頚椎上部から肩甲間部まで、頚椎両脇から“人”という文字を書くように軽いタッチでストレッチをかけていきます。

 左右差があるので私は左側から行い、刺激量を調整し、最後に左右同時に“人”の形にストレッチのタッチをしています。

 肩こりの緩和と手指のしびれを解消するのに効果があります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月17日 (月)

脳血管障害後遺症、アキレス腱を伸ばす。

 昨日はお休みの日でしたが、肩の痛みがとれないという女性の指圧をすることになりました。

 主訴は左肩上部の痛みからの頭痛です。

 手足の冷えと全身性のむくみ、右上腹部(季肋部)肝の硬さがあります。

 仕事をしながら子育て中なので、冷えと、怒りの臓器“肝”の硬さから強いストレスが窺えます。

 1時間よく眠り、肩の痛みと頭痛は緩和されました。

 この場合の手足の冷えは、肩関節内転・内旋の抱っこや手仕事姿勢と、爪先立たないことによる膝から下の血行不良が原因です。

 乳幼児を抱く時は、姿勢の安定のためには踵体重、股関節外旋に自然となるものです。

 一方、この指圧の前に近所の方から旦那さんの脳血管障害後遺症の相談を受けました。

 毎日旦那さんにマッサージをしていて疲れるということですが、マッサージで大切なのは力ではなく、関節を越えて広い範囲を刺激することと、下肢ではアキレス腱を伸ばすことだろうというお話をしました。

 このアキレス腱を伸ばすというのは、片麻痺で置きやすい内反尖足の改善が目的です。

 つまり脳血管障害後遺症では、踵体重になることで安定した立位を確保できるようにすることが重要になります。

 踵体重は姿勢の安定のために重要、爪先立ちで固定された形では立てない、しかし健康な人ではこの踵体重の固定が冷えやむくみの原因となります。

 伏臥位でアキレス腱を伸ばす踵骨の指圧(踵骨を圧し上げ足を背屈さることによってアキレス腱のストレッチをする)は基本指圧ですが、実践的な臨床の現場では重要なテクニックになっています。

 踵体重の固定で足の毛細血管の働きが衰退している若いお母さんと、脳血管障害で反体側の足に麻痺がある初老の男性を、昨日は思いがけず対比させて考えることができました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月16日 (日)

発熱後の指圧。

 暑かったり急に寒くなったりで風邪を引いている方が多いようです。

 39℃の発熱後、だるさと腰の張りがある女性が指圧にいらっしゃいました。

 この場合の注意点は、体力が衰えているので長時間や強刺激は禁物だということです。

 昨日もバラエティ番組で整体をやっていましたが、痛がっているのに強刺激で肘を入れるようなことは、あん摩・マッサージ・指圧理論からはずれています。

 炎症反応としてのむくみと、寝ていて動かなかったためのむくみがありますが、運動させ過ぎないことが大切です。

 風邪の仕上げですから、筋肉の起始から停止までをとらえてストレッチさせ、リフレッシュが目的となります。

 代謝を促進しリンパの回収を補助するくらいのイメージで全身指圧をします。

 指圧は押圧操作と運動操作で成り立ちますから、軽圧にストレッチを多めにするという考えでいいと思います。

 今回はS状結腸に抵抗がありました。後で聞くとやはり下痢の症状もあったということです。

 発熱で胃腸の働きも悪くなっていますから、長い間寝ていた腰背部の筋肉の硬さを緩めることは、胃腸を支配する副交感神経を優位にするのに効果的です。

 軽いタッチとストレッチで1時間ほどで全身操作を終えました。

 終わった時に微熱やのぼせはなかったので、発散し代謝を促す指圧ができたと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月15日 (土)

看護師の7割が慢性疲労を感じている。

 「看護師の7割が慢性的な疲労を感じていて、6割が睡眠薬や鎮痛剤などの何らかの薬を常用している」という調査の結果が出たようです。

 指圧に来るお客様の中にも看護職や介護職の方が多く、病んだ体や老いた体を毎日扱う専門家だけに、指圧、マッサージの良し悪しを選択する目も肥えていて、確かなものを求めて指圧にいらっしゃいます。

 命の終わりを悔いなく終わらせるために、何度も命を呼び戻し、患者さんと家族との最期の別れの時間を作るのも医師のいない時には看護師の仕事です。

 夜勤あけの看護師のふくらはぎは、いくつもの物語を閉じ込めてむくんでいます。

 主婦と子育てと看護の仕事をしている方の疲労とストレスは、指圧をしていても大変なものだというのがわかります。

 人数が足りないことを外国の看護師で埋めようとしていますが、これも日本語の試験が難しいという課題があって、早期の解決策とはならないでしょう。

 睡眠薬や鎮痛剤の常用はなくてすむ勤務形態となるのは、いつの日のことか…。

 せめて睡眠薬と鎮痛剤の代わりになる指圧の効果が持続するようにと、丁寧にメンテナンスをさせていただいています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月14日 (金)

腰痛の回復期にストレッチ痛を確認しないようアドバイスをする。

 腰痛が主訴で指圧に来る方の中には、関節可動域が正常に近い方もいます。

 このような場合は腰痛の回復期であることが多く、痛みが出る原因は、出来るストレッチをしてこなかったことと、しなくていいストレッチをして痛みを確認してしまうことにあります。

 出来るストレッチというのは個別の筋肉のストレッチなので、専門的な知識がないと難しいと思います。

 これは指圧の中でしていきますから、身体感覚として自分のものに出来た方は自分でも続けていくと回復が早まり、次の腰痛の予防になります。

 わからない、できない、めんどうならば指圧に来てください。

 是非やめていただきたいのは痛みが出るまでストレッチをして痛みを確認するということです。

 筋肉の使い過ぎ、疲労の蓄積で短縮した筋肉はストレッチをすると痛みを伴うものです。

 傷があればその伸展痛は傷の修復を遅らせる、あるいはせっかく閉じかけた傷口を拡げているかもしれません。

 “痛いほうが効きそう”という間違った考えは正していかなければなりません。

 痛みの連続を断ち切ればいい、そこに痛みがあってもそれを感じずに日常生活を送ることができれば安静によって傷は回復します。

 ようするに痛みの出ない範囲で小さく動かすことが重要で、痛みを確認するような伸ばし切るストレッチは回復とは逆の行為なのです。

 ささくれを引っ張って傷を拡げるようなもの、やらなければよかったということなのに、腰だから自分の目で確認できないだけのことです。

 自分の背部を自分の目で直に確認することができない、だからセラピストの目はしっかりと本質を捉えなければいけません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月13日 (木)

口蹄疫家畜の殺処分、獣医への負担。

 宮崎県で発症した口蹄疫は数万頭の感染に拡大し、その殺処分は獣医以外には認められていません。

 獣医の負担はそろそろ限界に達しようとしています。

 大型の家畜の扱いは素人では難しいので、涙を呑んで飼育していた農家の方にもしていただくということは無理でしょうか?

 「一番上等な飼料を食べさせて、乳房をきれいに拭いてから処分をお願いしている」という農家の方の談話は悲しくも美しいものでした。

 パンデミックが予想されるような家畜から人間へ感染する伝染病なら、この対処の仕方では遅過ぎます。

 初夏を迎えて、海産物によるA型肝炎が流行の兆しを見せ、カンピロバクターによる食中毒もニュースとなっています。

 今後の危機管理という点からも、口蹄疫への対処は迅速に特別な措置で行うべきではないかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月12日 (水)

塩の「ミネラル豊富」の表示禁止。

 4月から塩の「ミネラル豊富」の表示が禁止されました。

 「ナトリウムはミネラルだから、塩がミネラル豊富なのは当たり前だ」というのがその理由です。

 なるほどなと思いました。

 当然ナトリウム以外のミネラルが豊富なことを言いたくて「ミネラル豊富」と謳っていたのでしょうが、言われてみればナトリウムもミネラルなので商品の差別化を計る為の表現としては適切ではないのかもしれません。

 同時に「天然塩」や「海水塩」また「太古の塩」や「古代の塩」の表示も禁止されました。

 日本で生産されて工業的に作られたNaCl以外で流通しているのは天然、自然の海水から摂った塩がほとんどなのと、太古や古代のと証明する合理的な根拠を持たないというのがこれらの言葉を禁止する理由だそうです。

 誇大表示とのクレームが多かった結果が今回の規制の動きとなったようです。

 “あん摩、マッサージ、指圧”と“マッサージ類似行為(あん摩、マッサージ、指圧の国家資格を持たない)”を比べてみると、保健所の監督下にあるので病院並みに広告の制限があるのが“あん摩、マッサージ、指圧”で、“腰痛が治る”とか“小顔”“痩身”とか掲げてしまえるのが“マッサージ類似行為”です。

 このあたりも知らない方が多く、指圧をすれば腰痛を緩和したり、小顔になったり、ウエストが痩せたりするのは当たり前ですから、あん摩、マッサージ、指圧師はわざわざ“ミネラル豊富”のようなキャッチコピーを使いません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月11日 (火)

寒証から熱証への通過点。

 女性の更年期というのは、それまで冷え性で『寒証』だった人が、『熱証』へ移行する通過点となることがあります。

 片頭痛に悩む女性の指圧を重ねているうちに、腹部の手掌圧でチャポチャポという振水音が小さくなっていきました。

 腹力弱で腹部(心窩部)振水音があれば湿をためているので、消化力が衰えた寒虚証であると診ることができます。

 水の停滞である湿は体を冷やし、むくみは血管拡張による片頭痛の要因となります。

 しかし、更年期症状でコレステロール値が上がると動脈硬化が進み血圧が上がってのぼせる、『熱証』に移行していきます。

 指圧を始めた時は冬だったこともあり冷え性の自覚があったようですが、現在は冷房が好きだというように変っています。

 指圧を通して寒証から熱証へ変りつつあった体と本人との感覚の間に、折り合いがついてきたようです。

 この体が変わる時期を上手く乗り切るのに、指圧のサポートは適しているのでしょう。

 片頭痛はほとんど起きなくなりました。

 腹力弱と腹部振水音を除いては熱証の嗜好を示しています。

 これで腹筋運動を習慣にすればすっかり熱証の体になって、今までよりも疲れにくくなってくるのではないかと考えています。

 全身性の指圧では冷えとむくみ、冷えと熱、痛みとむくみなど、一点ずつタッチを変えて対応していけばいいわけです。

 漢方や鍼灸では熱と寒の入り混じった体で、一点ずつの微調整が指圧ほどはできません。

 これが指圧の優れたところでです。

 ただ全ての指圧師がそれを明確に使い分けているかというと、そこまで行かない者も多いとは思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月10日 (月)

作務衣とSUBWAY。

 温泉から出てフロントに向かう廊下で擦れ違った御夫婦が「SUBWAYが…」と話しているように聞こえ、近くにサンドイッチ屋さんができたのかと一瞬思いましたが、それは館内着が「作務衣」だという話だと気づきました。

 作務衣の「さ」にアクセントをつけると、お寺の作業着がサンドイッチ屋さんのように聞こえるのだなぁというちょっとした発見でした。

 指圧のお客様の出身地は様々で、リラックスしてくると方言が出るのは常ですから、時々イントネーションの違いで会話の理解に時間がかかることがあります。

 隔絶良くはっきり話すことができるくらいなら疲労を溜めていたり病気ではないですから、指圧に来なくてもいいわけです。

 タッチは言語に近いコミュニケーション手段だと思っていますから、言葉が通じなくてもある程度意思の疎通はできます。

 しかし言いたいことを理解することもセラピーになりますから、作務衣をSUBWAYのままにしておくようなことでは残念な結果になります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 9日 (日)

『神門の脈』は妊娠の兆候と言いますが…。

 お得意様の女性、いつもより上半身が一周り大きく見えます。

 むくんでいるというわけでもなく、顔や手の皮膚も綺麗です。

 手首で脈を取ると、橈骨動脈だけでなく尺側の『神門』でも左右ともに脈が取れます。

 『神門の脈』は妊娠の兆候と言われ、普通ならこの脈を取ろうと思いません。

 微妙な問題なので、そこに脈があったことだけ告げて、『体の調子が良さそうですね』とだけ言っておきました。

 もしそうならきっと嬉しいに違いないとは思いますが、切実に望んでいるとすればぬか喜びに終わらせるわけにはいきません。

 何となくそんな感じをカルテに書きとめておきました。さて…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 8日 (土)

「酢は太る」「チーズは痩せる」と病院で情報を仕入れてきた人。

 膝痛の注射をしに病院に行って、「酢は太る」「チーズは痩せる」と書いてあったと言う女性。

 「梅干は太る」とか「そばよりうどんのほうがカロリー高い」とか、どうも今知られている一般的な常識とは違うような…。

 その病院の先生がタイの出身だというので、熱い国では食欲増進になるので酢酸やクエン酸について考え方が違うのかなと思ったり、もしかしたらクイズ形式になっていて、わざと間違えが書いてあって、その先に答えがあったのかなと思ったり…。

 その女性は70才を超えていて、耳も少し遠く時々会話が成立しないことがあるので、少しあわてて趣旨を読み違えたのではないかと思うのですが、病院の待合室にトンチのきいた情報はならいらないなと思いました。

 極端な考え方ならなおいりません。

 加糖してある酢なら太るかもしれないし、チーズを少量なら良質のタンパク質なので痩せるかもしれませんが…。

 それをよく読むとローファットチーズの宣伝になっていたんじゃないかと睨んでいます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 7日 (金)

元大リーガー野茂さんのフォークボールの母指。

 プロ野球オリックスの投手が春のキャンプ後にインタビューを受けた時に、野茂茂さんからフォークボールの投げ方を教わって勉強になったのは、『母指の使い方』だという話しをしていました。

 フォークボールはボールに回転を与えないために示指と中指の間からボールを抜くように投げるので、元祖フォークボールの杉下茂さんによれば『すっぽ抜け』なのだそうです。

 投手がフォークボールを投げる時に重要なのは示指と中指だと考えるのがわれわれ素人です。

 それを母指の位置を変えることによって、さらに内外角へ斜めの変化を加えることができ、母指があっての『すっぽ抜け』なのだというのが野茂さんのフォークボールの投げ方なのだと思います。

 これは指圧の母指圧の時の四指の使い方と共通するもので、四指を安定して使いこなせない限り最小限の力で自在の垂直圧刺激を行うことはできないのです。

 フォークボールの時にボールが乗る母指にポイントがあるというのは、様々な匠が技を語る時に出てくる“逆転の発想”と同じです。

 極めればそういうことなのだなぁと思いました。

 指圧も初めの頃は一人の全身指圧でへとへとになり、自分の肩や腰が疲れてしまうようなレベルです。

 3年勉強して資格を取ってその程度のことです。

 野茂さんのフォークボールの母指の使い方を耳にはさんで、それがヒラメキにまでなる人は何人いることか…。

 それでもやがて力が抜け、自分の目盛りがしっかりしてくれば適量刺激をひどくはずさないようにはなっていけます。

 人間の中に治そうとする力はあるということを頭に置いて、そのお手伝いをすればいいのだと謙虚に考えて、あらゆるものから発想を得ながら自分のタッチを作っていってほしいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 6日 (木)

音の伸びと強弱。タッチとの共通点。

 昨日はCD製作の現場にいて、音楽とタッチとの共通点について非常に納得することができました。

 ピアニストの友人はペダルでリバーブ(≒エコー)がかかっているので、リバーブなしでいきたいと言うのですが、録音とミキシングをしてくれた方と私は共にギター弾きの感覚なのでリバーブを少しでもかけたほうが心地良く聴こえます。

 これがピアノの鍵盤のタッチから感じるギア数の違いで、ピアノ弾きの彼女はとても微妙なタッチの違いを持っています。

 われわれが1から2へボリュームを一目盛り上げ感覚の間に、彼女にはたくさんの段階があり、タッチの長さにもたくさんの段階があるので、音が伸びてしまうと表現が均一的になってしまったと感じるのです。

 録音・ミキシングの彼が男性オペラ歌手のCD製作の時にもそういうことがあったそうで、声の強弱の幅が大きいと弱い音が聴きづらくなるので上下の幅を圧縮して聴かせたら「僕はこんなに歌が下手でしたか?」と尋ねられたそうです。

 ピアノ弾きの友人はグランドピアノというアコースティック楽器をタッチによってピアノからフォルテまで表現し、オペラ歌手にとっては声がアコースティックな楽器なのです。

 この作業の比較としてたまたま尾崎豊の『I LOVE YOU』を聴いたのですが、時代もあってか当時はリバーブ全盛だそうで、なるほど音は均一化されていて、リアルな表現のテクニックは存在しようがないな、と思いました。

 今までそんなふうに『I LOVE YOU』を聴いたことはありませんでしたが、これからはあのリバーブのビンビン効いた…、という思いが頭をよぎりそうです。

 音を追求していく時に強弱と持続が無段階に存在していて、段階がないということは無数の組み合わせがあるということです。

 「リバーブをやたらかけるとつまらなくなる」、この命題を追求していくと、持続の長さでタッチに芸術的な変化をつけられるということにもなります。

 それからアタックのこと…。出だしの強さというか…。

 これもピアノでも歌でもクレッシェンドしていかない時は思いのほかきつい音色に聴こえました。

 これが漸増漸減圧ということです。

 昨日の午後は、1秒の何分の1かのタイミングを持ち場の違う3人が擦り合わせていく作業でした。

 すごく充実していました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 5日 (水)

産科医のベビーマッサージへの警鐘。

 昨日の産経新聞に、最近のベビーマッサージの流行に警鐘を鳴らす産婦人科の先生のコラムがありました。

 御自分のマッサージ体験からも、上手いマッサージと効果のないマッサージがあるのに、ベビーマッサージ教室の流行は、そもそも教える側にしっかりとした安全性への配慮や有効性への検証はあるのかと危惧を抱いておられます。

 この教える側の問題というのは確かにあって、タッチング理論と現代医学と実技が安定して結びついているインストラクターというのは非常に少ないと思います。

 現役のセラピストでも、その理解度はまちまちで測りがたいものがあり、中には危険なことや乱暴なことを、そう感じていない人もいます。

 赤ちゃんは一般的に熱証で実証ですから、虚症の体質を補足するようなタッチはいりません。

 体も小さく皮膚の表面積も狭いので、長い時間をかけるというのはタッチング理論から見れば間違いです。

 体はまだ自由に動かせないけれど元気なら、軽擦や軽い手掌圧+他動的な(関節)運動法くらいでいいわけです。

 このコラムを読んで、我が子のベビーマッサージをお母さんが間違うわけないだろうと思っていた考えを改めました。

 マニュアルを教わることによって間違うのです。

 これは我々指圧・マッサージ師も同じで、工程をこなそうとすることによって、その時に必要なことを見失い、余計なことをしてしまうという過ちを犯すことがあります。

 ただ愛だけで、必要なことを感じ取ってマッサージをすれば、やり過ぎることはありません。

 タッチの適量刺激が難しいのは、とても強い痛みを持つ人と『どこも悪くない人』です。

 赤ちゃんはどこも悪くない人にグループ分けできることが多いので、コラムで産科医の先生が仰るように、余計なタッチを教えるベビーマッサージ教室なら教わったことが害になることもあると思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 4日 (火)

「肩外兪(けんがいゆ)」、秘伝のツボは大袈裟ですが…。

 今日の新聞のテレビ欄に、今夜8時からのテレビ朝日「たけしの家庭の医学」の紹介で『名医が教える秘伝のツボ肩外ゆ』とありました。

 『兪穴の「兪」が「ゆ」だなぁ』などという感想はともかく、秘伝のツボは言い過ぎではないかと思い、夜には『そんなわけないだろう』などと言いながらテレビが見れそうなので今から楽しみです。

 肩外兪は一部の人しか知らないツボではなく、小腸経の肩甲骨内側上角にある正穴ですから、あはき師の資格があれば皆覚えているはずのツボです。

 肩外兪は秘伝ではありませんが、このツボがとても良いポイントにあることは確かです。

 肩外兪は肩甲骨を引き上げる働きをする僧防筋と肩甲挙筋上にあり、その下には吸息のために肋骨を引き上げる上後鋸筋があります。

 また肩外兪の位置は肩甲骨を内側に寄せる小菱形筋にぎりぎりかからないポイントと言うこともできます。

 このように考えていくと、肩上部の肩こりは手を使うことにより肩甲骨が上がって起こるので、肩外兪は肩こりの緩和に良いポイントであることは明らかです。

 肩甲骨内側上角の溝を切る、小菱形筋との溝を切る、筋肉や筋膜の癒着をはがすのに有効なポイントです。

 ただ秘伝ではない…。

 秘伝ではないなぁと言いながらテレビを見て大したことはなかったとがっかりするか、それを上回ることを勉強できるか、それともチャンネルを変えてしまうか、さて…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 3日 (月)

恥骨を支点とした腹筋の効果。

 腹直筋は恥骨と恥骨結合を起始として、剣状突起と第5~7肋軟骨の前面に停止します。

 腹直筋は下から上に向かっているので、これが収縮すれば体幹が恥骨の方に引っ張られることになり体幹が前屈します。

 仰臥位で膝を立てて行う腹筋運動の時に、恥骨を支点として体幹を引っ張り上げる意識があれば運動の強度が上がります。

 恥骨を床に押し付ける、そこを支点として体幹を持ち上げようとする、この二つの意識が腹筋運動を効果的にするわけです。

 ヨガの行者がおなかを波打たせて呼吸をしているところを想像してみてください。

 恥骨から上に波が移動していけば、消化器を動かすことになるとともに下垂した内臓は上がります。

 腹部の基本指圧の最終動作はこれと同じことを行っていると言えます。

 腹直筋を恥骨から上に向かっているイメージで捉えている人は少ないはずです。

 もしそれがイメージできれば、ポッコリおなかや、便秘や尿漏れなどは改善していきます(ヨガの行者さんは快便で、日に何度も便意をもようすと聞いています)。

 おなかの真ん中辺りだけを収縮させる腹筋運動よりは、恥骨を支点として起き上がる腹筋運動の方が効果大です。

 これがわかれば普段から恥骨から上に向かって下腹を引っ込めておくことが大切であることも納得していただけると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 2日 (日)

坐骨神経に沿ったしびれや痛みの3つのタイプ。

 昨日は3つのタイプの坐骨神経沿った下肢のしびれや痛みに対して指圧をしました。

 この症状の基になる病名は、①変形性脊椎症②糖尿病③脊柱管狭窄症です。

 ①の変形性脊椎症の方は、加齢により脊柱の後弯が増強しています。

 朝起きた時には体重による血行不良で下肢のしびれがありますが、歩いたり指圧をすれば症状はなくなります。

 この場合は同じ姿勢の連続で坐骨神経が圧迫されますが、常に坐骨神経が圧迫されているわけではなく、症状も比較的軽いものです。

 ②の糖尿病の方は、下肢の閉塞性動脈硬化症を伴っているので、血行促進の指圧ができれば症状は緩和します。

 坐骨神経の出口である腰椎や仙骨周囲の問題ではなく、下肢の血流の問題です。

 足に冷えがあった時は遠心性の指圧が効果的でしたが、指圧を続けているうちに足の冷えがなくなると、ゼラニウムを使った求心性のアロマオイルマッサージが効果あります。

 血液の滞留を取り除くとともに、おそらく血糖のかけらが排出される時に痛みを伴うので適量刺激を超えないように気をつけています。

 ③の脊柱管狭窄症の方は坐骨神経の右神経根症状があり、右下肢痛があります。

 この場合は指圧後の除圧できている時間を過ぎれば、ほとんど常に坐骨神経の圧迫があります。

 今回は下肢痛よりも下肢のむくみが主でした。

 疲れが限界を超えた状態で指圧にいらっしゃったので、下肢を動かさないようにしていたのだと思いました。

 指圧後はいつも症状がとれるのですが、このまま悪化せずに保存的治療でいけるとしたら、手術をするよりはそれが良いのではないかと思っています。

 いつも来る方でも毎回症状が違い、下肢痛やしびれにもそれぞれ理由があります。

 腰痛を腰で終わるのではなく、坐骨神経痛を腰から下肢で終わるのではない、いつもゼロからスタートして積み上げていくのがタッチセラピーです。

 同じ日の同じような訴えを、同じタッチで終わってはいけないのです。

 昨日もそれぞれノープランから積み上げて、その結果に不満を感じた方はいないと思いました。

 だから弱いレンジにまで敏感に反応できるように五感を鍛えて、ニュートラルな自分、できれば不動心に近いものを作って応対することが大切だと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年5月 1日 (土)

背が高く体を低くした生活でぎっくり腰に。

 背が高い女性、幼児を子育て中で仕事もしています。主訴は左の腰痛です。

 脊柱は左に側屈し、腰痛の他に、前腕のしびれや膝の違和感も左にあります。

 全身にむくみがひどく、右大腿のむくみの感触からは肝臓癌の患者さんに指圧をした時を思い出しました。

 背が高く、自宅のキッチンでは換気扇に頭がぶつかるのだそうです。

 三度の食事の準備は体を低くして行っています。

 慢性的な左腰背部の筋肉の短縮が限界を超えて、左第5腰椎付近で裂けたということでしょう。

 左前腕のしびれは肩甲間部の第8頚神経~第1胸神経付近の硬さ、つまり尺骨神経の走行と一致します。

 左膝の違和感は第4腰神経~第3仙骨神経からなる大腿後側の硬さ、つまり坐骨神経の圧迫+左足に体重がかかっているということです。

 これで右大腿のむくみは右下肢の筋肉が運動不足でむくんでいることがわかります。

 授乳はやめているということですが、まだ母乳が出るということで、この時期のお母さんの体は、むくみを溜めておいて、いざという時の母乳の需要に備えているのだろうと思います。

 指圧中2回、指圧後1回トイレに行きました。それほどむくんでいたということです。

 実は最近2回目の指圧をしました。

 体のむくみが驚くほどなくなっていました。

 それまで透明な尿が多かったということですが、この間には随分色の濃い尿が出たということです。これが本当のデトックスです。

 生活習慣も根菜を摂り入れた食事でナトリウムを排出するように努めるなど、こちらからのアドバイスをよく実行していただき、いろいろな面での健康感をつかんだようです。

 こういう人は体がどんどん良くなっていきます。

 小さく痛みが出ないように動かす運動や半身浴も効果があったようです。

 小さい傷のぎっくり腰だと思いますが、安静にし過ぎれば治りが遅れ、無理をすれば傷を拡げてしまうこともあります。

 それにしても画期的に良くなった症例ではあります。「ウエストと体重を測っておけばよかったね」と後で話して笑ったほど、体がよく締まりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年4月 | トップページ | 2010年6月 »