虚証の脈と実証の脈。
体質や病状を表現する時の虚証は「生命活動を正常に行うための“気”が不足している状態」、実証は「“気”が旺盛なために、邪気と激しく闘ってしまう」というように考えればいいと思います。
虚証の人は病気と闘う力が乏しいので、ウイルスなどの感染後すぐに症状が現われてダウンしますが、実証の人が病に負けて伏せる時には、病気が深く進行して重くなっている、というようなことがあります。
虚証は筋肉が細く、痩せていて、栄養を吸収する胃腸の働きが弱い、実証は筋肉が太く、体格が良く、栄養を溜め込むので太りやすいというようなことも言えます。
小鳥などの小動物を両手に乗せると、心臓のドキドキがはっきりと速いことに気づきます。空中に停止して蜜を吸うハチドリと、体の大きなゾウとでは心拍数の違いが行動の違いとして現われています。
人間でも体が虚弱な虚証の人の脈が浮いた軽い脈となり、体の大きな実証の人の脈が沈んだ重い脈となります。
このような虚証の脈を浮脈といい、実証の脈を沈脈といいます。
虚証は疲れやすく、すぐに肩がこってきます。虚証へのタッチは筋肉が細いので、強い刺激や長い時間同じ部位を刺激することは禁物です。
施術時間が長いと刺激量も増えますから、受け留めることのできる触圧刺激の許容量の小さい虚証の人へのタッチは、筋肉に運動をさせ過ぎないようにします。癌の患者さんや寝たきりの方は、たとえ太っていたとしても、当然虚証と診ます。
実証の方は無理ができるので、肩こりも重く深く慢性化し、毒を溜め込んでいます。
実証では毒を溜め込むので肥満になり、肝臓や心臓などの実質臓器の病気が多くなるのです。
実証の方は邪気と闘う力があるので、セラピストは強い刺激のタッチを要求されることがあるかもしれません。
しかし、その要求に応えるのは間違いです。
強刺激のタッチは邪気と同じですから、セラピーを目指すならば“そんなに闘わなくてもいい”ことを体に記憶させていかなければいけません。
虚証の方には病気と闘う気力を、実証の方には病気とがっぷり四つに組んで闘うのは止めて体力を消耗しないようにするという選択肢を、タッチそのもので表現して伝えていくのがタッチセラピストの仕事です。
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