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2011年3月10日 (木)

風呂で温めてぎっくり腰に。

 50代女性、ヨーロッパ旅行の飛行機や帰国後の長時間のデスクワークという座位姿勢と運動不足が続いて、腰痛を感じていました。

 温めたら楽になるかと入浴した後に、激しい腰の痛みを感じて指圧にいらっしゃいました。

 ヨーロッパ旅行では胃腸の具合も悪くなり、帰国後には喘息の発作も起していました。

 自分で車を運転して来られたので、乗り降りで痛みがあっても、最悪の状態ではありません。

 歩くのがやっとなので座位での問診はやめて、今一番楽な姿勢でマットに横になっていただきます。

 左腰を下にした横臥位をとったので、左の腰に患部がありそうです。

 急性腰痛では患部を下にした横臥位で膝を曲げる姿勢が一番痛みが出にくいので、施術も「楽な姿勢」から始めることが大切です。

 急性腰痛では、①安静にして、②冷やす、ことが対処法として望まれるのですが、このケースでは慢性の筋肉疲労の小さな傷から、お風呂で温めたことによって出血が増大し、傷口が拡がって痛みが強くなったようです。

 入浴で温めたことが直接の原因となった急性腰痛ですが、入浴したら良くなりそうな感じがあったということは、それまでの疲労の積み重ねで自分の感覚以上に腰の状態は悪くなっていても、皮一枚でつながっているような状態だったのでしょう。

 左右の横臥位の指圧で、椎間関節や仙腸関節のズレではなく、左腸腰筋の腸骨稜とぶつかる部位の傷であることがわかりました。

 棘突起の軽い圧迫から、椎間板ヘルニアの可能性も排除してよさそうです。

 じっとしていても熱が出るような痛みではないので、中等度のぎっくり腰、左腸腰筋挫傷ということでしょう。

 筋肉が裂けているので、3日ほどは強い痛み、2週間ほどは動作に伴って左腰に痛みを感じると思います。

 左膝窩のツボ『委中』に、典型的な坐骨神経に沿った圧痛がありました。

 第4腰神経から第3仙骨神経の範囲の傷ですから当然と言えば当然なのですが、わりと教科書通りの反応は少ないものです。今回はドンピシャリでした。

 他の特徴的な反応点は、喘息の影響で肩甲間部が緊張していたことと、右第2趾の胃経のツボ『厲兌(れいだ)』と左腰の患部が反応点として連絡していたことです。

 胃腸の不調からその反射として腰部の筋緊張が生まれることがありますから、胃経の右末端と左腸腰筋の関係も時としては対角線の密接な反応点として現れることがあるのでしょう。

 ①腹部の指圧で腹筋の緊張を緩めること、②下肢伸展牽引で腸腰筋のストレッチをはかり、ストレッチにあたっては慎重に下肢の上げ下げをすること、③頭部から腰に向かって指圧し、脳脊髄液の循環をはかること、④全身性の血行促進によって急性の症状からの早期の回復に貢献すること、これらはマイルドな施術となるので重要です。

 いつも言いますが、傷が魔法のように治ることはありません。しかし、今の患部の状態をお客様に具体的に知らせることによって、不安を取り除くことや、回復の見通しを伝えることはできます。

 ぎっくり腰は発症後3日間は急性だから引き受けないということもありなのですが、断れないお客様ができてチャレンジしてみるとそれが自分の成長の糧になります。

 どれだけ自分が足りないかを思い知らされるのもこういう時です。

 お客様にもわからない『お客様の患部そのものの気持ち』になって、お客様の痛みのストーリーを考えてみてください。

 指圧後、体幹の前屈や股関節の屈曲では痛みがあるものの、全身の血行が促進されたことによって動きの制約は少なくなりました。

 これから1日毎に良くなっていきます。腸腰筋のストレッチのために、ウォーキングができると回復が早まります。

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