膀胱経の二側線の考え方。
膀胱経の背部では、第1・第2胸椎棘突起間外側1寸5分の『大杼(だいじょ)』から胸椎棘突起間外側1寸5分のラインを下行して膝窩の『委中』まで行った後に、再び第2・第3胸椎棘突起間外側3寸の『附分(ふぶん)』から胸椎棘突起間外側3寸のラインを下行します。
この棘突起から3寸のラインを二側線と呼びますが、『二側線はどの筋肉の何処をたどればよいのか?』という質問を受けました。
ちなみに『経絡経穴概論』((社)東洋療法学校協会編・医道の日本社)には、膀胱経背部のツボに該当する筋肉として表層筋の僧帽筋や広背筋が示されています。
膀胱経の縦の経絡に対して、僧帽筋や広背筋は目印になりません。
ざっくりと考えれば脊柱起立筋の最長筋の内縁を一側線とし、最長筋の外縁を二側線と考えれば、内側の棘筋と外側の腸肋筋の癒着をはがす溝が一側線と二側線となります。
被術者の母指の最大横幅が1寸、四横指3寸ですが、いちいち受け手の指を背中に持ってきて測ることはあり得ませんね。
膀胱経の2つのラインが何を言いたいのか考えた時、「それは脊柱起立筋の3つの筋肉の束の溝を切るもの」、と考えるとストレッチ効果からも意味が見えてきます。
最も太い最長筋に触れておくということは、内臓に響かせるために必要です。
内臓の名前を冠した背部兪穴の指圧は、内臓に届かなければツボ刺激として不十分です。
それは強さではなく、持続によって伏臥位背部の母指圧が腹部では広く円錐形に圧されているような圧刺激を目指します。
ツボを考える場合、指圧で自然に沈み、こりもむくみも感じなければそこはツボとして“今は”大した意味を持っていないと思ってよいでしょう。
この引き算ができることが施術センスです。
悪くない所はこねくり回さないことです。
こりに指が乗った時に、それをどのように緩めるのか?
地雷を踏まないように、こりとぶつからないように、最適な刺激量で緩めていく、それもまた施術センスです。
この縦のライン取りも、こりとぶつからないセンスも、視覚ではできないんです。
触圧覚を磨いて、指紋部に目を作ってください。
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