圧せないレベルの頚椎症状。
『しばらく指圧に来ないけど入院でもしたのだろうか…』と思っていると、「先生が心配しているんじゃないかと思っていました」と、久しぶりに指圧にいらっしゃたのは60代女性、頚椎椎間板ヘルニアで左神経根症状が主訴です。
毎日何十人もの人をどうしているのだろうかと思っていそうなことは、指圧を受ける側にもわかるみたいです。
タッチセラピーは共感で成立するものですから、毎日思い浮かぶ人たちは、毎日私を思っていてくれるのかもしれません。
さて、左の頚部から肩上部、そして肩甲間部にかけて『風に当たっても痛い』というのはこのような状態を指すのだと思いました。
手掌を当てただけで痛み、僧帽筋、肩甲挙筋は硬さのマックスを超えて、筋肉が裂けているのだろう思われる炎症があります。
体全体が弓なりに左側屈し、左頚部をかばうことで右腰痛が起こっています。
頚部の痛みは左をかばうことで右にも及び、右にも神経根症状が起こっています。
頚が曲げられないので、左上腕二頭筋を強く緊張させて、エクササイズをしたような力こぶがあります。
右上腕は外側と内側に緊張があり、橈骨神経と尺骨神経に沿ったこりを確認しました。
一応は軽圧を試しましたが、左頚部から肩甲間部は通常ないレベルの反応を感じたので、この部位はスルーします。
左腰部以下と、右半身の伏臥位指圧、そして仰臥位下肢、上肢、頭部顔面、頚は前頚部のみ、前胸部、腹部と指圧します。
この指圧のメインは休憩させることにあります。
仕事、家事、引越しの用意の毎日、これではよくなる要素がありません。
毎日の仕事の中で何を省き、何を遅らせることができるか、これは本人が持っている答えを肯定することが大切です。
3日の安静、服薬、湿布でおそらく今の状態からは何割か痛みを軽減することができます。
しかし、それができないのであれば、それに近い状態に毎日の仕事を整理するお手伝い、それもセラピーだと思います。
病院での見通しは、今の薬で頚の痛みが緩和されなければ神経ブロック注射か手術ということになっているようです。
それでも指圧に来る理由は、痛みを緩和するアプローチが此処にあるからだと思います。
指圧後、頚に手を当てて痛みがありました。
普通、手掌を乗せただけで鎮痛効果があるものなので、これは傷の痛みだということです。
しかし、掃除機をかけるのはしばらく旦那様やってもらうだとか、引越しを先に伸ばすだとか、具体的な改善策を御本人の口から聞いて、お互いに笑顔のまま見送ることができました。
セラピーには成功でも勝利でも解決でもないのに、症状が改善したかのような世界観もあるのです。
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