« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »

2011年11月30日 (水)

タッチは痛みの悪循環を断ち切ることができる(マジョラムでも痒みを抑えることができました)。

 大腿骨骨折の方の指圧が続いています。

 本当なら昨日からショートステイで、3日ほど指圧はお休みになる予定でした。

 ところが朝になって「泊まりに行くのは嫌だ。センセイを呼んでくれ」ということになって、ショートステイを断ったようです。

 奥様を休ませるためにショートステイに行っていただくとよかったのですが、ショートステイで自宅ほどのわがままが通るわけはないので、行きたくない気持ちもわかります。

 このことで奥様とは朝から喧嘩をしていたようです。「センセイはどう思う?」と興奮冷めやらぬ声で尋ねられました。

 夜眠れないなどの今の状況を見てもらうためにも「行けたらよかったのにねぇ…」とお答えしましたが、本人は怒りがおさまらず、しばらく興奮が続いていました。

 奥様が用意したお泊りの荷造りは無駄になり、施設へは断りの電話を入れて、デイケアを含めた度々のキャンセルで、今後の受け入れにも影響がありそうです。

 一喧嘩あって興奮して体が痒くなってきたようで、指でおなかや背中をかいています。

 鎮痛とリラックスにマジョラムを持ってきていたので、スイートアーモンドオイルを基材として1%濃度でマッサージをしました。

 痒みを止める精油としてマジョラムをあげるセラピストはまずいないのではないでしょうか?

 私もこのケースで痒み目的だけなら、カモマイル・ジャーマンや老人性の乾燥肌ということからサンダルウッドを選択したいところです。

 このあたりが往診のライブ感、主訴は右大腿の痛みです。

 「血管収縮→組織の酸素欠乏→発痛物質産生→脳への痛みの伝達→交感神経の緊張→筋肉の攣縮→血管収縮…」という痛みのサイクルを断ち切ることができれば、興奮による皮膚の痒みを抑えることができると思いました。

 腹部、胸部、背部と、痒いというところからマジョラム+スイートアーモンドオイルで手掌軽擦をしていきます。

 患部の骨盤から右大腿を軽擦する頃にはイビキをかいて眠っていました。

 触れるところはほぼ全てアロマオイルマッサージをした後、頚、肩、背部、上肢、下肢と指圧をしました。

 朝の喧嘩で疲れたのでしょう、よく眠ったままアロマ指圧を終えました。

 1%濃度であれば加温作用のあるマジョラムでも痒みが強くなるというようなことは心配しなくていいでしょう。

 このケースでは鎮痛作用や血圧降下作用が重要です。

 タッチの強弱だけも、強い刺激は血管を収縮させ、マイルドで気持ちの良いタッチは血管を拡張させるという使い分けができます。

 今回のように、いざという時に温存しておいたアロマオイルマッサージを行うと、とても効果を発揮します。

 もちろん私もアロマしかないケースではアロマに頼ります。

 いろいろ考えてみてください。

 明らかな間違えでなければ、様子を見ながらまずやってみることです。

 今日は頭皮のスプレーと“痒み止め専用のブレンドオイル”も用意しました。

 心配なのは介護する奥様が疲れた様子だったことです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月29日 (火)

S&Bハニージンジャー(チューブ入り)。

 何か変わったジャムでもないかと探していたら“ねりわさび”のような箱入りのチューブが。

 それは“S&Bハニージンジャー”でした。

 罰ゲーム的、いたずら感覚で、『冷蔵庫のねりわさびなどのチューブと並べて置くと面白い』、そのヒラメキだけで買ってみました。

 しかしこれがなかなか使えるシロモノでした。

 紅茶に、ヨーグルトに、トーストに、そのままお湯に溶かして、といろいろ試してみましたが、どれも美味しくいただけました。

 ショウガブームに乗って発売された各社の商品の中でも、インパクトといい、絶妙な甘さ加減といい、“さすがスパイスのS&B”と感じさせる出来栄えです。

 無添加でなければ…という方にはお薦めできませんが、手軽さ、味、コストパフォーマンスから言えば、優れたショウガモノ商品です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月28日 (月)

高齢者の誤飲や薬の食道などでの張り付き。

 昨日も夜になって骨折の方に呼ばれて指圧をしてきました(『モヤモヤさまぁーず』の放送がない日だったので躊躇せずに出かけることができました)。

 部屋に入ると「相対的に調子が悪い…」ということで、気持ちが悪いと言って唾や痰をしきりにティッシュに吐き出しています。

 「相対的」などという言葉が出る日は「何もわからない」という日よりも頭は働いています。

 30分ほど前に座位で食事をしてから「もう寝る」と言って横になったようで、それからすぐに私が呼ばれました。

 留守番電話にメッセージはなかったのですが、午前中から何度か電話をしていたようです。

 室内はファンヒーターが点いていて、足が熱く、両膝は硬く屈曲しています。

 額や耳を触るとややのぼせ気味、微熱を感じたのでファンヒーターを消しました。

 ウゲウゲとティッシュに吐き出す唾は透明で、青や黄色の痰も、血も混ざっていません。

 食後に粉薬を飲んだということで、それが気管のほうへでも入ったか、あるいは錠剤も飲んでいるので、それが食道に張り付いていて気持ちが悪いのかもしれません。

 「何かスーッとするような飲み物がありますか?」と奥様に尋ねると、今度は奥様が「ポカリでも飲むか?」と旦那様の了解を得て、吸い飲みに入れたポカリスエットを飲ませました。

 暖房を切り、喉を潤して詰まりを除き、背部から腰部の指圧で肺や胃の反射区を中心に刺激していくと、すぐにイビキをかいて眠りました。

 70分ほど指圧をしている間よく眠り、いつもはその後に車椅子でトイレに行くのですが、眠り続けていました。

 奥様とは指圧をしながら、今日は川越の街がマラソン大会で午前中は道路の通行止めがあった話をしたり、最近こちらのお宅に電話をかけてきたオレオレ詐欺のことをうかがったりしました。

 この御夫婦は川越に長く住んでいたのをうかがっていますから、そういうちょっとした街の話題を提供することも、タッチセラピーの空気感を作り、セラピー全体の成果に影響を与えると私は感じています。

 平日も休日もなく介護は続きます。

 外から来た私には暖か過ぎるくらいに感じた室温も、一日中家で過ごしていればそうは感じないでしょう。

 次々と訴え続ける要介護者に対して、介護する側はちょっとした体温の変化を見逃したり、体調の変化に対しての対応を思いつかなかったりすることがあります。

 その夜に呼ばれたのは、疲れ果て困り果てた奥様も私に助けを求めたのだと思いました。

 食後すぐに横になり、しかも左半身が下なので胃の通過障害が起きやすい姿勢だということ、たくさんの薬を飲んでいるので誤飲や副作用としての胃腸症状が起きやすいということ、これらが気持ち悪さの原因だったのでしょう。

 冷静に状況を把握し、自分の感覚を信じて、具体的に改善できることはやってみましょう。

 のぼせていれば気持ちが悪くなるし、乾燥で喉に違和感が出ることもあります。

 タッチは熱を下げることも、消化管を動かすことも、眠らせることもできるのです。

 今日も五感と第六感まで使って、気持ちの良いタッチを創造しましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月27日 (日)

正座の御辞儀の手関節は橈屈、指圧の手関節は尺屈、どちらが無防備か?

 正座で御辞儀をする時、指先は内側を向くので手関節は橈屈しているか、橈屈気味に使っています。

 指圧では四指の指先が外側を向くので手関節は尺屈しています(部位によって、位置取りによって、手関節橈屈または中間位で指圧をすることもあります)。

 正座の御辞儀の手関節橈屈時には肘関節屈曲が自然ですし、指圧の手関節尺屈時には肘関節伸展が自然です。

 このような対比をすれば、指圧で肘が屈曲してしまうのはおかしいということがはっきりとイメージできるはずです。

 御辞儀は頭を下げますが、指圧は胸を張って頭を下げません。

 正座の御辞儀は相手を敬い自分をへりくだってみせる動作ですが、実は格闘技でマウントポジションを取られた場合の防御姿勢です。

 正座の御辞儀は、頭を低くし内臓を隠すことができるので、致命的なダメージに備える姿勢だといえます。

 また正座の御辞儀から肩関節を内転内旋させて片手を反対側の殿部の方向に引けば、背中で回転して受身をとることができます。

 正座の御辞儀から肩関節を内転内旋させれば刀を抜くこともでき、反動を使って手拳で殴打することもできます。

 一方、指圧は。

 頭を上げ、胸を晒し、上肢は固定されています。

 だから安定した体重移動ができ、圧刺激の微調整が可能になるのです。

 指圧の姿勢は攻撃された時に反撃できない無防備な姿勢です。

 それだからこそ受ける側には危害を加えられることがないという安心感が生まれ、体だけではなく、心にまで刺激や感動を伝えることができるのです。

 「私はあなたの痛みをやわらげたい」、それを言葉にしなくても、正しい指圧の姿勢が語っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月26日 (土)

トイレから車椅子への移乗で転倒。

 大腿骨骨折の方のお宅での指圧が続いています。

 一昨日は奥様が買い物で出かけているわずかの時間に一人でトイレに行き、車椅子への移乗の時に車輪が動いたのかトイレの前で倒れていたそうです。

 奥様だけでは起き上がらせることができず、近所の方に頼んでベッドまで運んでいただいたそうで、ちょうどその直後が私の指圧の時間でした。

 ひどく痛がるというよりもショックが大きかったようで、患部の右大腿を下にして横臥していたのは、痛みを抑えるために自然にそうなったのではなく、近所の方がベッドに運んだ時の体の向きによるもののようでした。

 車椅子の車輪に関しては、畳が傷つかないような工夫やもっと簡単なストッパーなど、改良すべき点があると思います。

 倒れていたのは日中で、時間も30分未満だったようです。

 前のめりに倒れ、頭を打った様子もなく、触診でひどく痛がる部位もなく、発熱やひどい腫れもありませんでした。

 衣服をめくってみても内出血や傷などはありませんでした。

 脈はやや早いようでしたが、指圧をするといつものように眠り、その日の指圧を終えました。

 そして昨日も朝から電話をいただいたので、すぐに指圧に出かけました。

 夜中から“センセイを呼んでくれ”と言っていたようです。

 前日に緩めていた背部や腰部はまだ指圧の効果が続いているようで、下肢のむくみは腫れ、発熱もありません。

 いつもよりも患側の右膝関節の拘縮感が強く、屈曲が大きくなっていましたが、全身指圧後、仰臥位で膝裏に枕と毛布をあてがって右股関節を動かさないようにして膝を伸ばすと、痛がることはありませんでした。

 おなかの指圧でも強い動悸はなく、指圧後に血圧を計ると165-85、脈拍72だったので、強い痛みが続いている80代ならそういう数値に驚くことはないと思えます。

 心配だった新たな骨折や緊急性のある挫傷はないだろうと思いました(わずかな傷やヒビ、くっつきかけた所が少しはがれたというようなことはあるかもしれません)。

 夕方、また電話がかかってきたので何か起こったかと思いましたがそれは足湯に関する相談でした。

 本来なら昨日はデイケアでシャワーの介護を受けられる日だったと聞いていました。昨日はデイケアを断って、指圧を呼んだのです。

 足湯で血行促進することは鎮痛にも骨の再生にも良いことです。

 ショウガの入った入浴剤をもらったのだそうで、「そばにポットを置いて、ぬるくなったらお湯を足しながら25分くらい足をつけておけると、心臓から出た血液が25回くらい温められることになるので、代謝もよくなってよく眠れるのでは…」と申し上げました。

 さて、今朝も指圧に出かける用意をしておかなけれなけば…。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月25日 (金)

左腰痛と左膝関節屈伸時の骨のぶつかる音の関係。

 デスクワークの40代男性、主訴は左腰痛です。

 座位では猫背で股関節外旋の“腰痛姿勢”です。

 伏臥位の指圧では左肩甲下部から左大腿後側の緊張が強く、右半身のほうが比較をすると緩んでいます。

 仰臥位左股関節の回旋運動で左膝を90°に曲げる時に、膝関節からゴキッと音がしました。

 左下肢では大腿骨と脛骨の間隔が狭くなっています。

 この男性の腰痛緩和は、この“左膝のゴキッ”を失くすことがポイントになります。

 右利きでデスクワークをしている場合、右半身は座位姿勢でも体幹部の前後左右の動きが伴います。

 その時に右坐骨、右足に体重をかけていれば、右下肢は姿勢の変化により筋肉の緊張と緩和が繰り返されます。

 一方左体幹部は置きざられたまま、左下肢にも動きが起きないので左半身の筋肉は不動性の萎縮といってもいい状態になります。

 右半身はそこそこ使うので座位が続いても腰への負担は軽くなり、左腰部は腸腰筋や腰椎には動かさな過ぎで負担がかかり続けます。

 全身指圧後、仰臥位左膝屈曲で左膝裏を両手で抱え込んで、左下肢を振り上げ+振り下ろし、体幹を起す運動をしていただきました。

 この運動は遠心力により無理なく大腿骨と脛骨の間隔を拡げることができ、腰のストレッチにもなります。

 下肢伸展挙上の大腿四頭筋のエクササイズも覚えていただき、『左半身を使うこと』で、左膝屈伸時の骨のぶつかる音は全くしなくなりました。

 これは左半身の使わな過ぎによる典型的な症例です。

 タッチによってエクササイズをさせることが必要ですが、痛みや強い緊張があれば強い刺激になってはいけません。

 痛みを緩和する臨床では『強い刺激=エクササイズではない』ということがわからないと、関節クリック音を消すことはできません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月24日 (木)

立川談志さんの考え続ける姿。

 昨日の夕方往診から帰ると、テレビのニュースは立川談志さん死去のニュースを伝えていました。

 立川談志さんは『現代落語論』に始まり、たくさんの著作を残しました。

 談志さんは落語を細かく分解して分析して、話の流れから辻褄が合わないと思えば自分の解釈を乗せて、古典落語をより落語らしくする作業に没頭した一生だったのだろうと思います。

 大好きな落語が仕事となり、自分を癒してくれる落語の良さを人に伝えるためにはどうしたらいいかと、日常のあらゆる場面からヒントを得ながら考え続けずにはいられなかったのでしょう。

 求道者でした。

 古典を現代にどのようにシンクロさせていくか、すでに叩き台があるあらゆるものは、それを今目の前の御客様にどのように提供するかに苦心します。

 立川談志さんの落語を考え続け、工夫し続けた生き方は、そうせずにはいられない人間の本能にただただ素直であったのでしょう。

 たくさんの人の感性に影響を与えました。私もその影響を受けました。

 今朝のテレビでも新聞でも、たくさんの人からその死を惜しむ声が上がっています。

 立川談志さんの仕事は本やDVDとしてこれからも残っていきます。素晴らしい成果を残してくださいました。

 どうか安らかにお眠りください。もうどこかの世界で御活躍でしょうか?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月23日 (水)

ヘルパーさんは断って、指圧に呼ばれたこと。

 昨日はヘルパーさんが来る予定の時間にヘルパーさんを断った大腿骨骨折の方に呼ばれて指圧をしてきました。

 ヘルパーさんの介護の内容がヘルプになっていないんです。

 これは多くの要介護者が感じていることだと思います。それをいつかわれわれも感じることになるのです。

 要介護者が必要と感じることをしていたらヘルパーさんが断られるはずはないのです。

 「痛いから指圧をしてほしい。ヘルパーさんはいらない」というのはおかしなことです。

 介護保険の範囲内で介護レベルに合った要介護者が希望する内容をもっとしていたら、そんなことにはならないはずです。

 指圧中に一緒にヘルパーさんが仕事をしていても私はかまいません。

 ヘルパーの技量やケアマネージャーの技量が要介護者の生活の質に大きく影響します。

 手技療法者と同様、受け手の気持ちをくんで最適なことをしようとする介護関係者は多くはないのでしょう。

 賃金を得るために時間中ただ手を動かしていればいいという考えでは、手技療法も介護の仕事も続きはしません。

 指圧を始めると大きなイビキをかいて眠った方にとって、おそらくヘルパーさんの仕事内容はなくてもよいことばかりなのでしょう。

 1時間指圧をして目覚めるとトイレに行きたいというので、車椅子を押してトイレまで行きました。

 血流が良くなり、むくみが尿となったのです。

 健側の左股関節や左膝関節を動かしても右大腿が痛かった頃と比べると、痛みは少なくなってきています。

 デイケアでも歩行訓練が始まり、昨日は家でも歩行器を使って廊下を歩いたようです。

 「もう歩けないだろうと言ってしまう医師や断られてしまうヘルパーVS困惑する要介護者とその家族」、これではいけません。

 よく話を聴いて、受け手の気持ちをもっと考えて、「自分だったらそんな時にどうされたいか」、それをしなければ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月22日 (火)

「私はお通夜に行けるでしょうか?」、老人心理に答える指圧。

 「つい先日大笑いをしながら話をしたばかりだという親戚が突然亡くなった」という70代の女性、夕方からお通夜に行く予定ですがとてもショックだったようで、主訴は腰痛と下肢のしびれです。

 背中が丸くなり、頚から背部まで筋肉が硬くなっていて、突然の訃報によるショックで交感神経支配領域に強い緊張が生じたようです。

 亡くなった方は糖尿病を患っていて、朝起きて一旦立ち上がってから倒れ、そのまま意識が戻らなかったということです。

 おそらくエコノミークラス症候群のような肺動脈塞栓か、脳か心臓の血管が詰まって倒れたのでしょう。

 滅多に来ない親戚が突然やってきて話し込んでいったという最近の出来事も、亡くなった方にとっては予感があって、お別れの意味があったのかもしれません。

 私は老人心理を臨床の中で学んできました。

 『背中を圧す』という行為にはダブルミーニングの“一歩前に進めるように背中を押してあげる”ということが含まれています。

 『今の自分は大丈夫なのか、お通夜に行ったら倒れてしまうのではないか?』、そんな問いかけに対して、体の一点一点に安全点検をしていくことが指圧です。

 高齢者の筋肉や骨は一般的に弱くなっていきます。

 そして精神的にも徐々に気力が衰えていくものです。

 『年をとって綺麗に落ち着きを持った枯れ方をする』のは稀有のことだと思います。

 とっちらかってしまい、体力的にも精神的にも誰かに何かに自分の苦しみを委ねたくなるものです。

 セラピストは、そのとっちらかった心身に「大丈夫、落ち着いて」とタッチで語る続けるのです。

 頚から背部の緊張が緩むと、腰痛も下肢のしびれもなくなりました。

 体力も気力も弱くなれば一言で傷つき、一報で慌てふためき、わずかな時間で体の不調が生じます。

 高齢者の気持ちの落ち込みに対して、具体的、客観的なデータを示して繰り返し『大丈夫』なことを確認していただくのに指圧は適しています。

 痛かった部位が痛くなくなっていくこと、関節可動域が拡がっていくこと、「大丈夫」と口に出さなくても、タッチがそれを語り続けます。

 若い頃の体力気力を求めることも、完璧を求めることも、今のマイナスポイントをほじくり出して見つめ続けることも、現実的合意理的な解決策にはなりません。

 小さな“大丈夫”をいくつも探してあげてください。それが大きなお守りになります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月21日 (月)

棒高跳びの棒の接地面の動きと指圧の密着との違い。

 より良いタッチを考える時に、してはいけない動きを世の中の事象から探してみると、タッチの本質に近づくことができます。

 昨日、温泉のぬるめの源泉掛け流しで青く高い空を眺めながらふと浮かんだのが『棒高跳びの棒の支点は指圧に似ているのでは…』といううっすらとしたイメージです。

 そこから『いやいや、そうでもない』というポイントが次第にはっきりしてきます。

 まず、棒高跳びの体重移動は棒のしなりに合わせて円弧を描いていきます。

 指圧はプッシュアップの体重移動です。

 棒高跳びでは体重移動が止まらずに、行き過ぎてしまいます。体重移動のベクトルも一定の垂直圧ではなく移動しています。

 これを指圧の母指に置き換えると、始めは指紋部で接地しても次第に母指先端の接地になっていき、最後は逆立ちしてから前へ倒れることになります。

 そこまで大袈裟に間違える人はいませんが、指圧の時に前にのめって指紋部の広い密着から先端だけの圧し込みに変わってしまう人はいます。

 甘手なのに苦手の圧し方をしていたり、垂直圧で止まらずに『もう一つねじ込んでしまう』という圧し方がこれです。

 この『もう一つねじ込んでしまう、もう一つ圧し込んでしまう』人はとても多くて、垂直圧の体重移動はこれでもかと前にかぶさることではないのです。

 棒高跳びの体重移動では駄目なことがわかれば、垂直圧の体重移動を練習してください。

 ミートを心がけたタッチは大振りにならず、静かな動きです。

 クライアントの体格が違えばスタンスや足の爪先の向かう方向などの調整が必要ですし、猫背の背中とそうでない背中では垂直圧の角度が違います。

 その時の自分に合った、合理的で最小限の動きを更新し続けてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月20日 (日)

同一経絡上の2点、例えば僧帽筋と三角筋を左右の母指で圧す。

 普通、人間の体は上半身と下半身、左半身と右半身で使い方に違いがあります。

 ですから例えば伏臥位で左右の脊柱起立筋を左右の母指で同時に圧すなら、左右の刺激量が同じでは適量刺激になりません。

 もしそれをするなら絶妙に左右の刺激量を変えるか、それができないなら弱い刺激が必要な側に刺激量を合わせるべきです。

 弱い刺激が必要な側に合わせれば、足らない側には後で足すことができます。

 適量刺激を超えても平気で左右を同じ刺激量で圧すような施術は、ダメの典型です。

 調子合わせのファーストコンタクトや、ざっくりと緩和するような仕上げのタッチでは、左半身と右半身に同時に施術して問題はありません。ここで強く圧すような人は向いていないので、この手の仕事はあきらめるか、一から勉強し直してください。

 時間節約のためにとか、筋肉の緊張部位の確認ができていないうちに左右同時に強く圧し込むというのでは、揉み返しを作るマッサージ器と同じです。

 最近のテレビ通販で11種類のタッチを驚くようなマッサージ器の紹介がありましたが、だからマッサージ器はダメなのです。

 臨床ではアロマオイルの軽擦でも痛いという人に出会います。

 11種類のタッチではそこには遥かに及びません。

 私が左右の手指を同時に使い、圧の刺激量を変えてタッチをするのは、同側の同一経絡上、あるいは同一神経上の2点のタッチです。

 例えば伏臥位で、左僧帽筋と、左三角筋や左上肢の筋肉をこりを確認しながら左右の手指で同時にタッチをしていきます。

 これも「診断即治療」の一つの形なのだろうと私は考えています。

 左肩上部僧帽筋上では、肩甲挙筋と重なる部位(肩根点)や、前・中・後の斜角筋と交差する部位、やや後側の棘上筋に沿った部位などの硬い柔らかいを左母指でチェックし、浅く弱い圧から徐々に深く持続させる圧に変えていきます。

 この時に右の手指は左母指とは関係のないランダムな動きをしています。私はこの時の右手は補佐的な役割でよいと考えています。

 三角筋は前部・中部・後部と3つに分けて右母指でチェックし、上肢は下るに従って上腕三頭筋、上腕二頭筋、肘部、前腕伸筋群、前腕屈筋群、戻って肩甲骨周囲とザックリとした把握揉捏や手根圧、四指圧などを使っています。

 動きが違うのでこれだけでも左右違った刺激量になり、左右の手指で「同じ刺激をしない練習」になります。

 そして最終的には僧帽筋の一番こっている部位を左母指で、そのこりの原因となった手指の動きでこった上肢の部位を右母指で、左右同時にじんわりとした持続圧をかけます。

 厳密には同一経絡上、同一神経上からずれることがありますが、その2点のこりを結びつける動作を推理することもセラピストの醍醐味です。

 これは全身指圧のほんの一部にすぎませんから、ドヤ顔で持続圧をしなくても、あっさりと先へ進んでもけっこうです。

 しかしこのように考えた指圧をしていると、それは必ずクライアントの感覚に伝わります。

 最後の持続圧は「この部位フィニッシュ」の意味、一つの幕を引いて、次の幕に移ります。

 もちろん最後は軽擦でもよし、それはその時の流れで、私もいつも同じ事をしてはいません。

 この指圧らしい一点の持続圧をするために、壮大な伏線を引いて、面倒臭い方へ、面倒臭い方へと遠回りをして、そろそろ痛くないかなというころでやっとオトモダチの重力に本腰を入れて力を貸してもらうというのが、私のやり方です。

 ですから左右同時に1、2、3、ダァーみたいなやぶれかぶれの圧し方とはかなり違います。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月19日 (土)

マイコプラズマ感染症。

 先日マイコプラズマ肺炎で40℃近い発熱をしたという20代の女性が『仕上げの指圧』にいらっしゃいました。

 御母様が「センセイの指圧を受けると病気の仕上げになるから」と言って連れてきて、御自分も指圧を予約しています。

 前もって娘さんのマイコプラズマ肺炎のことはうかがっていなかったので、玄関を上がって来た時は、御母様のほうが具合が悪く見えました。

 マイコプラズマ感染症は4年周期くらいの流行があって、以前は『オリンピックの年に流行る』などと言われたそうです。

 現在御病気で公務を休まれている天皇陛下もマイコプラズマ感染症の疑いがあるそうなので、今年は流行の年なのかもしれません。

 マイコプラズマは細胞壁を持たない細菌なので、一般的によく使われているセフェム系やペニシリン系の抗生物質が効きません。

 マクラロイド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系などの抗生物質での治療が必要となります。

 一般的な上気道炎との診断でセフェム系やペニシリン系の抗生物質の服薬を続けていたもそれでは治らないので、気管支炎から肺炎へと感染が気道の奥のほうにまで拡がってしまうことがあります。

 20代の娘さんは炎症反応としてのむくみと発熱による関節痛の名残のようなものがありましたが、上半身の緊張を緩め下半身のむくみを流すとおなかもよく動いて、指圧後には体が締まって見えました。

 問題は御母様です。

 主訴は腰痛、膝から下に冷えがあり、大腿後側の大腿二頭筋膝上に異様な筋緊張がありました。

 仕事場がとても寒く、制服がスカートで、どうやら膝がとても冷えるようです。

 膝の冷えのために、座位姿勢で膝を屈曲する時に使う大腿二頭筋の遠位部分だけがガタガタと震えるたびに筋張を続け、逆行性に腰痛症状が出たようです。

 全身指圧でいくらか膝から下が温かくなりましたが、大腿二頭筋のストレッチでは痛みがありました。

 我慢が当たり前になると筋肉が傷つくくらいのおかしな緊張を続けることになります。

 こういう時は、膝の前後に貼るカイロなどで温めるのが良いと思います。

 私は先日400ccの献血をしてきましたが、3日くらいは膝が冷える感覚があったので、膝蓋骨の上にカイロを貼っていました。

 血液の総量が少なければ冷えますし、血行が悪ければ冷えるということです。

 寒さを我慢するストレス、座位姿勢の連続、この2点に思い当たれば膝を温めるのが良いと思います。

 様々なストレスに加えて、冷えて血流が悪くなれば免疫力が低下して感染症にかかりやすくなります。

 娘さんの回復へ向かう力と御母様の病気になりそうな状態、生命力のレベルの違いは玄関からは入ってきた時の様子に現れていました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月18日 (金)

永六輔さん自宅で転倒、大腿骨頸部骨折のニュース。

 「永六輔さん自宅で転倒、大腿骨頸部骨折」のニュースにはびっくりしました。

 パーキンソン病を患い、言葉が不明瞭だった頃から比べると最近は以前のように随分はっきりとラジオでお話しをされるようになったと思っていた矢先の骨折のニュースです。

 「リハビリのために自分が作詞した歌を歌う」というコンサートは2月に延期となりました。

 痛みとショックで今は大変だと思いますが、何とか回復して一言でも多くその言霊を伝えていただきたいと思います。

 ラジオのパーソナリティで言語不明瞭でも出演を望まれる人など前代未聞です。

 今の永六輔さんは、高座で寝てしまっても客が「寝かせておけ」と貴重な寝姿を楽しんだという古今亭志ん生師匠の域の凄さがあります。

 今年78才で病気があっても、東日本大震災の被災地におもむいて「被災した方のお話を聴く会」を催すなど、そのフットワークの軽い個性的な活動には頭が下がります。

 私は昨夜も大腿骨骨折の方のお宅で指圧をしてきました。

 ショートステイから帰ってきて、指圧中はいつになく饒舌で、痛がらず、仏壇にしまわれていた何代も前の木の位牌まで奥さんに取り出させて説明をしてくれました。

 あれがセラピーなのだと私は思います。

 あの時間、言葉が魂から溢れ出していました。

 指圧師に先祖の木の位牌を見せることが、見せる側も見る側も不思議ではない時間でした。

 その間もずっと私の手は動いていました。

 魂が語る時、言葉はわからなくてもいいのです。

 それが許された時間であれば、全てが温かい。

 弟子をとらない永六輔さんには、心の弟子がたくさんいます。

 もし呼ばれたら飛んでいきますが、永さんの周りにはもう優秀な方がたくさん集まっていて、最適な治療が始まっていることでしょう。

 いつまでも同じ痛みが続くことはありません。

 御自分の努力と周囲の尽力があれば、骨折の患部は良く変わっていくものです。

 どうか良くなりますようにと、わずかな気を送り続けたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月17日 (木)

椎間板ヘルニアをマクロファージが食作用で削っていく。

 昨夜のNHK『ためしてガッテン』のテーマは腰痛でした。

 椎間板ヘルニアがあっても痛みがない人がいることや椎間板ヘルニアの手術をしても痛みが消えない人の例をあげて、番組では腰痛とストレスと脳の関係を説明していました。

 『痛みを抑制する鎮痛物質オピオイドを受け入れて多幸感に関わる脳内報酬系の「側坐核」が、ストレスや痛みの連続によって働きが悪くなるのが腰痛の原因である』ということが最近の研究でわかってきたのだそうです。

 また椎間板ヘルニアはマクロファージのの食作用によって、手術をしなくても突出部分が異物として排除されることもわかってきたようです。

 指圧では「ヘルニアは引っ込む」というように考えられていたと思いますが、実はマクロファージの力によるものだったのですね。

 そうであれば、指力で圧し込むような腰痛の施術は、ますます『意味がなくなります』。

 血行を促進しリンパの流れを活発にする気持ちの良いタッチこそが腰痛に適したタッチだということです。

 痛みの連続を断ち切ることで痛みの悪循環、痛みの増強を抑えることは以前から言われていましたし、経験的にもストレスの除去が鎮痛につながることを臨床から得て、私もそれに努めてきました。

 私がいつも言う『転地療養感のある時間を作る』ことがまさにそれです。

 アロマの香り、ヒーリングミュージック、ハーブティ、そしてデトックスになるくらいまで会話をすること、全て側坐核の活性化につながるアイテムのようです。

 気持ちの良いタッチを全身性に行い、血行促進、ホルモンの調節、内臓の調節をすること、私のアロマ指圧で腰痛が治ったという方が多いのがうなずける内容の番組でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月16日 (水)

左背部が後ろへ突出している時、右手を伸ばして使っている。

 70代女性、主訴は左下肢の座骨神経に沿ったしびれ、特に左第1趾に強いしびれを感じていて昨夜はよく眠れなかったということです。

 座位の背中を診ると左背部が後方に突き出ていて、左肩上部肩根点から仙骨上部際まで左脊筋に強いこりがあります。

 左上腕二頭筋のこりがありますが、右上腕二頭筋のこりはありません。

 また、左下腿三頭筋のアキレス腱より少し上にこりがありましたが、右の同じ部位はこっていませんでした。

 このケースでは左の筋肉を多く使ったように思いがちですが、実は左半身が同じ姿勢を続けた“使わな過ぎ”にこそ問題がありました。

 ここのところ日中は暖かい日が続いたので、キッチンの掃除や普段使わないお皿の天日干しなどをお嫁さんとしていたそうです。

 これがお嫁さん主動のキッチンの大掃除だったそうで、3日も続けると心身の疲労が蓄積することになりました。

 私は指圧の後で食器棚の高い位置や低い位置から、大きなお皿を取り出す動作をしてみました。

 すると高い棚のお皿を右手だけを伸ばして取ろうとする時、左背部は後方に残って固まっています。

 右立て膝で低い位置のお皿を右手を伸ばして取ろうとする時、左下腿前側は床に付き、左足関節は底屈して不完全に下腿三頭筋が緊張します。

 背部の指圧では左肩甲間部がポキッと音を立てて矯正されました。

 右脊柱起立筋は曲げたり伸ばしたり、右手の動きに合わせての運動がありますが、左脊柱起立筋は背中を起したまま動かさないので筋緊張が続いて短縮していたのでしょう。

 左股関節もかなり硬くなっていました。左腸腰筋が股関節屈曲姿勢が続いたことで短縮したようです。

 全身指圧+ストレッチ後、左大腿後側、外側から左第1趾のしびれは解消しました。

 股関節を大きく動かして歩くことがなかったことと、左半身が長時間同じ姿勢を続けていたことが今回の症状の原因です。

 お嫁さんとの力関係によってキッチンの片付けがストレスになったということもあるでしょう。

 疲れたら休む、同じ仕事量を無理して頑張らないということができればよかったのですが、お嫁さんの目的が“使わない食器を捨てる片付け”であれば、思い出のある大事な食器を仕分けるために付き合うしかなかったのかもしれません。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月15日 (火)

タッチをするまではたくさんのタッチがある。

 実際に体に触れてしまえば、それは一つのタッチです。

 タッチをするまではたくさんのタッチがあって、そこから一つのタッチを決定していきます。

 その表現力が豊かでないと、適量刺激に近づけることはできません。

 タッチのギアは5段変速とかではなく、無段階つまりフレキシブルで無限大の可能性のあるものを目指したいものです。

 冬の冷えた体にいきなり強い刺激をしては、硬くなった筋肉が傷つきます。

 温めて緊張を徐々に緩めていくようなタッチが寒い時期には必要です。

 皮膚→筋膜→筋肉の浅層と何回にも分けて徐々に深く圧をかけていき、最終的には背部なら筋肉の深層から腹部まで通るような圧を浸透させます。

 体は曲面で構成されていますから、上から下への単純な力のベクトルをねじ込むようなことはナンセンスです。

 背部から、腹部から、脇腹から、体の曲面に対して垂直な圧刺激を体全体に行えば、ドーム式のサウナで遠赤外線が乱反射して体の深部を温めるような効果があります。

 タッチが最大の効果を発揮するのは、内臓の調整やホルモンの調整までができた時です。

 運動器だけのイメージで決まったリズムのタッチをすると、心にまで届くタッチにはなりません。

 共感を得るタッチをするには、まずはいろいろなニュアンスを持つたくさんのタッチを自分のものにする努力が必要です。

 その中から最適な一つのタッチを選択するには、クライアントに共感できるメンタルのセンスを磨く必要があります。

 自分の心身が日々変わっていることを知り、クライアントの状態も日々変わっていることを感じて、最適な一つのタッチをつむぎだします。

 自分の体や感覚は衰えていくかもしれない、そして相手があることだから難しいのです。

 一本調子の施術では適量刺激になり得ない、冬には冬のタッチがあります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月14日 (月)

新しくできた献血ルームはサービスが良過ぎるくらいでしたが…。

 よく行く楽器屋さんの隣に献血ルームができたので献血をしてきました。

 まずスポーツドリンクを手渡されたのが今までと違っていました。

 タッチ式ディスプレイの質問から、献血の支障にならない手術歴が削除されていたのも以前と違っていました。

 応対はどなたも丁寧で、採血前の消毒もとても丁寧になったようで、採血後の圧迫ベルトの中に丸い圧迫パッドを入れたことも以前の献血の時とは違っていました。

 採血後にはアイスクリームのサービスまでありました。

 自販機の専用コインを渡されて、なかなか小じゃれたアイスが選べるようになっています。

 以前から献血ルームではドリンクやお菓子がサービスされていましたが、この献血ルームのお菓子のセンスはなかなかのもので、和洋合わせてちょっと食べてみたいと思えるようなお菓子をそろえています。

 日本赤十字ですから、雑誌のコーナーには東日本大震災の写真集も何冊か並んでいました。

 帰りには、開設記念の携帯用魔法瓶と、そのまま御飯やパンにかけられる小分けされたカレーとウエットティッシュがもらえました。

 震災の時にも役立つおみやげです。

 それでも震災の写真集を目にした後では、サービス過剰のような気がしました。

 どんなに居心地の良い献血ルームでも、献血をしない人はしないでしょう。

 献血をしたくてもできない人もいます。

 献血をする人は粗品がなくても、古い献血カーでも献血をします。

 清潔感や丁寧な対応や問診の簡素化など、献血ルームも進化しているなぁと思いました。

 かさばるくらいの粗品をいただいて献血ルームを後にしましたが、サービスにかける経費は少し削って、日本赤十字の根幹の事業のほうにまわしたほうが良いのではないかと思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月13日 (日)

介護する家族の体の不調。

 昨日も大腿骨骨折の方に呼ばれて指圧をしてきました。

 患部の右大腿よりも右肩が痛いことが気になっていたようですが、肩から背部の指圧をすると、すぐに寝息が聞こえてきました。

 熱や冷えはなく、むくみも問題にするほどではありません。指圧中のほとんどは眠り、そのうち40分は眠り続けました。

 気になったのは珍しくアクビが続く奥様のほうです。

 昨日の夜は何度も起されたのか、元気がありませんでした。

 いつも奥様は指圧を見ているか、食事の支度などの家事をしていることが多いのですが、昨日は居間で旦那様の薬を一回分ずつに分けている音が聞こえてきました。

 音だけで、それは薬のプラスチックの錠剤のシートを切り分けているのだとわかりました。

 嫌な予感がしました。

 自分の体に深刻な異変が起きていると感じた時に、先の準備をしておく人のことを、私は何度か見てきました。

 旦那様は背部の指圧でおなかがよく動き、眠り続けています。悪い状態ではありません。

 帰り際に居間にいた奥様に「今日はどこか具合が悪いのではないですか?」と尋ねると、朝からおなかが痛かったのだそうです。

 奥様の脈をとらせていただくと、1分間に54くらいのとても弱い徐脈で、明らかに脈がとぶ不整脈です。

 心臓に持病があることをうかがっていたので、心窩部(上腹部、胸骨の下)の痛みであれば心臓の反射が考えられますが、痛かったのは臍の周囲で、今は治まっているということでした。

 左肩や左上肢の放散痛もないようで、肩から背部に軽く指圧をしておきましたが、ひどくこってはいませんでした。

 軽い指圧と上肢伸展+背中を伸ばすストレッチをしてからもう一度両手の脈をとると、明らかに脈の勢いはしっかりとしていて、不整脈のとび方も少し落ち着いていました。

 わずかな時間の指圧でしたが効果はあったようです。

 居間には薬局かと思うくらいの種類の薬と、ポリ袋に小分けされた1回分の薬がいくつかできあがっていました。

 月曜日のショートステイに向けて用意をしていたようです。おそらく万が一のことが頭をよぎるくらいに、今朝は具合が悪かったのだろうと思います。

 ほっとする間もなく電話が鳴って、どうやらショートステイの施設からのようでした。

 その電話の間に旦那様が目覚めて、“トイレに行きたい”とさかんに奥様を呼んでいます。

 介護される側も痛みを抱えていますが、介護する側も心身に余裕はありません。

 「今電話に出ていたんだよ!」

 奥様の声に張りが出て、動きがキビキビして見えたのがせめてもの救いです。

 医療保険で行う訪問マッサージではなかなか難しいことだとは思うのですが、介護を受けている方だけではなく、介護している家族の方の心身まで気にかけておいてください。

 その家の病気の割合を減らしてくるということから考えば、介護を続ける家族の方に「お疲れのようですから私がいる間は少し休んでいてください」と一声かけるだけでも、張り詰めていた心身を穏やかにできることがあり、これも仕事です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月12日 (土)

冬の水枕。

 昨日の寒さの後、今朝は西の空の靄の中にまん丸な月が浮かんでいました。

 今日は晴れて暖かくなりそうです。

 昨夜最後に指圧をした60代女性の主訴は、左頚の付け根の痛みでした。

 朝起きたら左頚から肩にかけて痛くなっていたということです。

 寝違えのようではないそうで、3日ほど前から頭が重く、眠りが浅いということでした。

 座位の後ろ姿を見ると、右肩が上がり、右肩甲骨が後ろに突出しています。

 触診でも右肩のこりのほうが頑固なものでした。

 事務仕事で大きな帳簿を棚から出すにも左手の力ではできないということで、右手の使い過ぎ、左手の使わな過ぎという日常であることがわかります。

 右肩の筋肉はこっていますが、毎日の生活の中で鍛えられて太くなり、筋肉のテンションが高くなっているので、こっていても意識に上らないようです。

 左頚の付け根の痛みは、頚から肩甲骨周囲の筋肉を緩めていくとすぐに解消しました。

 肩甲骨より下の筋肉はほとんど緊張がなく、手仕事が多く歩かない生活であることがわかります。

 左肩甲下部の指圧でおなかが動き始めました。

 右肩上部僧帽筋は指圧の母指を圧し返すくらい緊張していました。

 しかし肩甲骨周囲を緩め、仰臥位で右上肢の指圧をする頃には肩の緊張が緩んでいました。

 指圧後はいつもぐっすり眠れるそうなので、これで3日の寝不足を取り戻せることでしょう。

 肩から背部の交感神経支配領域の筋肉がこっていると、緊張が緩まずに眠りが浅くなります。頭の血流が悪くなるとその後に強い頭痛に悩まされることになります。

 年齢が高くなれば脳血管障害の引き金にもなるので、たかが肩こりと思わず、昨日のような寒い日に感じる強い肩こりは、早いうちに緩めておくにこしたことはありません。

 帰り際玄関で「水枕を使っているが大丈夫か?」と尋ねられました。

 一瞬『冷やすのはよくない』と思いましたが『頭寒足熱』が理にかなっていますし、冬の水枕は体温の伝導で室温よりは温まってテンピューロなどの枕とあまり違いはないでしょう。

 そうお伝えし、一日の指圧が終わりました。

 帰り際、油断をしたところでの『水枕』の質問に、セラピーは一つ一つの細かい疑問までを安心に変えて帰っていただくことなんだなぁと思いました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月11日 (金)

冷えと乾燥VS保温と保湿。

 肌荒れの季節になりました。

 血行不良は皮脂のバランスを崩します。

 血行不良の原因には、冷えや運動不足、ストレスなどがあります。

 また、便秘も肌荒れの原因となります。

 宿便は血液に毒素を供給し、肌の質に影響を与えます。

 保温と保湿、快便と栄養の補給が肌荒れ対策です。

 皮脂のバランスを整えるゼラニウムやラベンダー、肌を柔らかくするサンダルウッドは、呼吸器症状も緩和する精油です。風邪のあげくの肌荒れには使ってみたいところです。

 肌荒れや肌の乾燥対策の基材としては、ローズヒップ油やシアバターが最適です。

 好みの精油をブレンドして軽くマッサージした後に、蒸しタオルを当てておくと潤い肌の再生に効果的です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月10日 (木)

アメフト選手も指圧の指の形で構える。

 アメリカンフットボールを題材にした映画で、攻撃側の選手の母指への体重移動を見て、守備側の選手が相手の走る方向を予測して防ぐ場面がありました。

 アメフト選手の指の構えは、基本的には指圧の指の構えです。

 アメフト選手の体重移動は前のめりになって、少しでも速くダッシュをしようとしています。

 指圧の体重移動をそこまでしてしまうと垂直圧ではなくなって、斜め後ろへのねじれた圧刺激になってしまいます。

 アメフトはアメリカ人の開拓魂のような前へ前へ進む陣取りゲームです。

 指圧は前に進むのではなく、遠心性に後ろに進みます。

 指圧でアメフト選手のような前への体重移動をしてはいけないということを、このような比較をして教えるとわかりやすいと思います。

 アメフト選手も指節関節は伸展で、巨体を支えるために中手指節関節は屈曲させています。

 指を曲げて圧せば指先の力になり、体重移動にならないか、大きな力が指先の関節に集中して指を傷め、御客様には不快な刺激になり、セラピストにはやがて取り返しのつかない関節の変形が起こります。

 民族性の違いと国の広さの違いがあるからなのか、相撲とアメフトを比較して面白いことに気づきました。

 相撲は軽く拳を握って尺側の拳をつけてから立ち上がり、アメフトの前のめりの姿勢からのぶつかり合いとは違います。

 まず、裸でぶつかるか、防具をつけているかの違いがあります。

 そして、土俵という円の枠を越えて前へ進めば負けになる相撲と、前へ前へ進むアメフトとの違いも、手のつき方の違いに反映されているのだと思います。

 指圧とアメフトの手指の構えは似ていますが、アメフトの前傾姿勢のような体重移動を指圧で行えば前にのめり過ぎ、方向が間違っています。

 私は井戸の滑車で斜め上に吊り上げられるイメージの体重移動を心がけています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 9日 (水)

江戸時代以前の作という茶碗をいただきました。

 「玄米に合いそうな器だから…」と、指圧の御客様から箱に収められた茶碗をいただきました。

 江戸時代以前の高取焼らしいというその茶碗は、少し緑色がかったベージュの釉薬が、あと少しで全体を覆うというところで止まっています。

 実際に雑穀入りの玄米を盛ってみると、落ち着きのある小世界が生まれました。

 それでも私の片手の掌に収まるには大振りの茶碗でだったので、両手で包んで抹茶をいただく器にしています。

 高取焼は九州地方の焼き物で、朝鮮からの影響を受けているそうです。

 秀吉の時代に武将が使ったものか、庶民が使ったものかと想像するのも面白く、骨董市を巡る間に持ち主を変え、箱が付き、時代物の風呂敷に包まれて、無銘の器が私のもとへやってきたのかもしれません。

 タッチセラピストをしていなければ、この骨董を探し当てた御客様との出会いもなかったことでしょう。

 玄米を食べていなければ、茶碗をいただいたとしても、この器ではなかったと思います。

 手の大きな武将なら御飯茶碗として使っていたかもしれません。

 手掌を広く使い、指紋部を広く当てれば、御客様は実際の手のサイズよりも大きな手に触れられているように感じます。

 大きな手だと思っていただくことは密着感と持続のある正しいタッチをしていることになるので、タッチセラピストとしては良いことです。

 一方、タッチセラピストは手を人一倍大事にして、手指の繊細な感覚に磨きをかけななければいけないので、道具は身の丈に合った物を選んで、余計な力を使わないということも大切です。

 箱に収められていた茶碗は、普段使いの抹茶茶碗として使っています。

 本当に江戸時代以前の作か、高取焼なのか、といった真贋を問うこともしません。

 どうやら高価な茶碗らしいのですが、使ってこその器です。自分の手元にたどりつくまでの縁に思いをはせながら、お茶の時間を楽しみたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 8日 (火)

腰痛、内臓下垂の重り+左股関節内旋+左外反母趾。

 60代女性、主訴は腰痛、3年前、2年前とギックリ腰になり、今回もその前兆の気配を感じて指圧にいらっしゃいました。

 入って来た時に歩き方がおかしいので、私は膝が悪いのかと思いましたが、左外反母趾があり、指圧をしてからわかったのですが、左股関節は内旋気味で外旋させて胡坐をかくことができないということでした。

 望診してまず目についたのが、スカートのウエストラインからはみ出して乗り上げたおなかです。おなかが前下方向の重りになっています。

 それから気になったのが、左目の下の涙です。

 1時間ほど車を運転して来たので、年齢的に光がまぶしくなってきていて、白内障が進行しはじめているのではないかと思いました。

 老眼が進み、視力は悪くなってきているとのことでしたが、最近眼科での検査は受けていないとのことでした。

 脈は1分間に72、やや勢いが弱い脈ですが大きな問題はなさそうです。脈に左右差があり、左橈骨動脈の脈が右より弱く、左半身の血行の弱さを感じます。

 水仕事で荒れた主婦の手ですが、冷えはなく、本人には肌荒れの自覚はありませんでした。

 座位の背部に回って見ると、腰椎の前弯が減弱し、上部腰椎がおなかの重りで前下方向に引っ張られて腰痛が起こりやすくなっていることがわかりました。

 伏臥位の指圧では背部の緊張が強く、殿部以下、下半身にむくみがあり、上半身と下半身のアンバランスが顕著です。

 右半身と左半身の差もはっきりとしていて、右はよく使い、左はあまり使われていない(左半身は固定された運動不足のこり)ということがわかります。

 下半身のむくみが強かったので、トイレはどうですかとうかがうと、やはり伏臥位の指圧終わりでトイレに行かれました。

 仰臥位の指圧ではおなかがグーッと動きだしました。

 腹部の指圧で圧をかけ、それまでの指圧で寄せた骨盤の調整もあって内臓の位置はいくらか上がりました。

 全く運動をしていないということなので、ウォーキングでおなか周りの重りを減らしていかないと腰痛を繰り返すおそれがあります。

 最後に、股関節を左右に揺らすストレッチでは左股関節外旋の可動域が拡がり、いくつかの背部から骨盤のストレッチでも痛みはありませんでした。

 そして起き上がっても、腰の痛みは消えていました。

 慢性の腰痛が治らない、あるいは強い急性腰痛を繰り返すという方は、毎日のストレッチとウォーキングで症状を改善することができます。

 この女性のケースでは、歩く時に後ろに残した爪先に体重をかけてしっかりと地面を蹴ることで、腸腰筋のストレッチにも外反母趾の矯正にもなります。

 猫背、小股でチョコチョコと踵体重で歩いていれば、頭と上肢の重さで肩がこり、おなかを引っ込める意識がなければ腰椎が伸びて腰に負担がかかり、股関節の可動域も狭くなります。

 上肢を後ろに振って歩けば、肩関節の振り子運動になって肩こりが解消し、爪先でしっかりと地面を蹴って歩けば、小さな段差でつまずくこともありません。

 胸を張って肩甲骨を寄せるイメージ、おなかを引っ込めること、肩を後ろに放り投げる感覚、爪先で蹴って大股で歩くこと、いつもしていないことは全て体の症状を緩和する体に必要なことなのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 7日 (月)

ロケットマンの気持ち。

 日曜の早朝はFMラジオJーWAVEの『ロケットマンショー』を聴いています。

 昨日ロケットマンはリスナーとの生電話で感情を抑えることができなくなりました。

 そのリスナーにしてみればちょっとした冗談のつもりだったのでしょう。

 そのコーナーは試験前で勉強しなければいけない人や悩みを抱えた人からの相談にロケットマンが生電話でやりとりをしています。

 芸人さんでミュージシャンでもありますが、真面目なロケットマンがいじめにあったように傷ついた様子がラジオから伝わってきました。

 私はそれを隠せなかったロケットマンが人間臭くて好きです。

 もっと上手に大人の対応をする人はいます。

 しかしそれでは「むかついたことを我慢している」大人の顔が伝わります。

 ロケットマンは後できっと、傷ついたことを隠せなかった自分に傷ついてしまっただろうと思います。

 人間には感情があり、私も大人の対応は苦手ですから、ロケットマンがリスナーとの電話で自分が間違い電話をかけたかと思って申し訳なく思い、それが冗談だったとわかって怒りが込み上げてきて抑えられなくなった様子がよくわかりました。

 そのコーナーの1人のリスナーを選ぶのに時間をかけ、気持ちを軽くできるように何かヒントを与えることができないかと真面目に考えるロケットマンですから、早朝に間違い電話をかけないようにという注意は誰よりもしています。

 「〇〇さんのお宅ですか?」に「違います」を繰り返されて凍っていった後、血管収縮の反射のように怒が込み上げてきたのは無理もないと思いました。

 昨日の夜も大腿骨骨折の方に呼ばれて指圧をしてきました。

 「悪くなってない?」と聞かれて、「悪くなるようなことは一つもしていないから、ずっと同じ痛みが続くことはありません」と申し上げました。

 会話は相手があることですから、冗談を言える場面かどうかの空気を読むことができないと、人の気持ちを傷つけることになります。

 リスナーの気持ちをやわらげようと電話をしたロケットマンの真剣さと、痛みの不安を尋ねた骨折の方の真剣さには、同じ空気を感じました。

 見えないものを感じ、体に触れる前から心に触れられるようにありたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 6日 (日)

腱鞘炎後、左手が軽く使えるようになったピアニスト。

 友人のピアニストは左小指の腱鞘炎が主訴でしたが、御近所のピアニストは左手関節の違和感(軽い腱鞘炎でだったのしょう)が指圧を受けるきっかけでした。

 最近コンテストで金賞をとったそうで、指圧の時にその話をうかがいました。

 自分では30%の出来で、はっきりとしたミスもあって、まさか賞が獲れるとは思っていなかったようです。

 「センセイは私のどちらの手が軽く使えるようになったかわかりますか?」

 指圧をして、こっているのは左肩上部と右背部、左半身の筋肉は弱く、右半身の筋肉をより多く使っているので右半身の筋肉が太くなっています。

 巧緻性を獲得しているのは右手、強いタッチも弱いタッチも頭で考えてアウトプットできるはずです。

 私は「右手が軽く使えるようになったのではないですか」と答えました。

 残念、答えは左手でした。

 左手の違和感を経験して以来、左手に力を入れないタッチを心がけ、それが以前とは違った自然な軽いタッチとして自分のものになったようです。

 これは質問を受けた時から「左手が軽くなったでしょう」という答えを期待していることがありありとわかる流れなのですが、私がどうして右手と答えたかというと、おそらく以前から左手は自在なタッチではなかっただろうと思ったからです。

 腱鞘炎後に左手のタッチから硬さが取れたのは確かだと思いますが、左半身の筋肉の弱さから、それは自在な軽さではないのだろうと思いました。

 タッチが軽くなったのは良い変化と言えると思いますが、おそらくこれからもう一つ上のタッチへの進化が始まるのだと思います。

 指圧でも左母指のたくらみのない、無器用で実直なタッチを誉められることはよくあるものです。

 しかし、それは何を評価されたのか自分ではよくわからないということがあります。

 無器用なタッチから力の抜けた軽いタッチになるのが一つのステップアップ、その先に、感覚にまかせたアウトプットだけではなく、筋力によって自在に微調整できる巧緻性の獲得というステップがあるのだと思います。

 この筋力というのも硬く強い筋肉によるものではなく、練習によって、エクササイズによって、一回り太くした柔軟な筋肉による柔軟な筋力のことです。

 左手は右脳支配ですから、感覚的な動きに優れ、理論的な動きには向いていないのかなぁとも思いますが、右手に近づけるように巧緻性を獲得する努力をすることはできます。

 左手のタッチの硬さは、指節関節の硬さや手関節のストレッチ不足、左上肢および左半身の筋力不足ということも関係しています。

 指圧に来るたびに指の伸展方向のストレッチをしていただいたことは、手関節の違和感解消と、左手のタッチが軽くなるのに役立ったようで、今でも毎日心がけてストレッチをしているようです。

 今度受賞の演奏会の時にはピアノを弾く姿勢を見てアドバイスをしてほしいとのこと、なるほど、セラピストにはいろいろな使い道があるようです。

 ピアノが弾けなくなるのではないかと心配をしていた様子を診ているだけに、本当におめでとうございました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 5日 (土)

体を委ねていただく時間に通い合う安心感といただく力。

 昨日も往診があり、その後に座骨神経痛の方に指圧をしました。

 その指圧中にかかってきた電話は8月に出産した方からで、お母さんの指圧を予約する電話でした。

 上のお子さんにもまだ手がかかるので、子育てに忙しい様子が電話からもうかがえます。

 プレゼントしたクラリセージで腹部マッサージをしてから分娩にのぞみ安産だったとの報告に、「そう思っていました」とお応えしました。

 ちょうど座骨神経痛の方が7月の終わりの出産予定日前々日くらいに入れ替りで指圧をしたので、その時のことを覚えていました。

 「あんなおなかの大きくなった妊婦さんが指圧受けに来るのを初めて知った」そうですが、タッチは体の苦しい人全てに通用するものです。

 妊婦さんが体を安心して委ねられないようなタッチでは、痛みのある人の患部に触れることはできません。

 午後には子宮の病気でホルモン治療をしていたリフレクソロジストの方が指圧を受けながら、「そろそろ子供がほしいのでホルモン治療をやめることにした」と病院での医師とのやりとりなどを話します。

 人工受精を一方的に勧める医師に心を傷つけられた診察時の様子が、彼女の体に触れる手指を通して、冷たい映像として浮かんできます。

 全身指圧を終え、彼女は「センセイに話を聞いてほしかった」と言いました。

 彼女はリフレクソロジストですから、その自分の傷みをタッチに反映させていってほしいと思います。

 御客様と会話をする時、どういう言葉を使ったらいいか、何に自分が傷つき、何が自分に力を与えてくれたか、自分の経験を一つ一つ生かして、気持ちのこもったタッチをしていってほしいと思います。

 苦しい今、自分ひとりではない、手を添えていてくれる人がいることを感じて安心感を得るのがタッチセラピーです。

 これから先の痛みや苦しみの取り越し苦労はいらない、痛くない今を作り出すことができれば、それがセラピーです。

 心配で胃が痛くなるくらいだったけれど、やってみると案外思ったほど大変ではなかったということがあるものです。

 話を聴くのもセラピー、言葉のデトックス、気持ちのデトックス、話すことで息を吐かせることもセラピーです。

 眠っていただくこともセラピー、まずは1日に2人の体と心を楽にすることができれば、それで自分の体は疲れきって世の中に1人疲れた人が増えても、世の中から疲れた人が1人減ったことになるのです。

 強く圧すこと、機械的な対応、それではセラピーにはなりません。

 弱い自分がタッチをすることで、満足した御客様から安心感や力をいただくのです。

 御客様の望むことを推し量ってタッチをしていきましょう。

 強いタッチを望まれたなら、弱いタッチを正確に当てて持続して、その触圧感覚の感度を教育していくことも仕事です。

 いろんなことがあります。でも取り越し苦労をしても仕方がありません。

 体を委ねていただくこと、命を委ねていただくこと、それは自分に安心感と力を与えていただくことでもあるのです。ありがたいことです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 4日 (金)

「風呂で腰が立たなくなった。救急車で3つの病院を巡って…」

 昨日は暗くなってから大腿骨骨折の方に呼ばれて指圧をしてきました。

 ショートステイから帰ってきたばかりのようで「全身が痛い」のだそうです。

 ショートステイの夜に痛がって強い鎮痛薬か鎮静薬が出たようで、それが強かったのか「オレは何にも覚えていない」を繰り返します。

 ショートステイの前には「風呂に入りたい」と言って風呂で立ち上がれなくなって、夜に救急車で病院へ向かったこともあったようです。

 2つの病院で断られ、3つ目の病院ではX線検査をし、医師から「この状態で風呂に入ったりできることが不思議だ」と言われたそうです。

 その医師が言うには、車椅子で移動しトイレに座ることも「よくできるねぇ」と不思議なくらいだというのです。

 「手術をしても歩けないだろう。この手術を引き受ける医師もいないだろう」、その診察の様子を話す奥様の目からは涙がこぼれ、横臥位でそれを聞いていた御主人は「オレは何にも覚えていない」を繰り返します。

 夜の救急外来ですから、その医師が整形外科の先生ではなかったかもしれません。

 リハビリや整形外科が専門の先生でないと、普通よりも可能性の低い回復の見込みを言葉に出すことはできないようです。

 でも…。

 祝日でも『きっと呼ばれる』と思っていた指圧師はこう考えます。

 「夜に3つの病院を巡る時の気持ちはどんなに心細かったか」

 「自分の体が弱って、救急車で運ばれる時の気持ちはどんなか…」

 手指で体に触れていくと自分はいなくなって、痛みや不安を感じながら受け手の体と混ざり合っていきます。

 哀れ→あぁ我→まるで私のようだ、この感覚がセラピーになっていくのだと思います。

 まず右大腿部にしばらく触れてから、風呂で立てなくなったというので腰に指圧をしました。

 しっかりと深く圧し込んでも痛がることはないので、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の強い症状はないようです。

 全身を指圧し、「足が気持ちいい」とのことだったので、座骨神経に沿って足底から下腿に時間をかけて指圧をしました。

 寒がることもなく、胃腸も動き出したので「全身が痛い」と言っていた緊張は緩んだようです。

 指圧を始めた時は「オレは何も覚えていない」を繰り返していましたが、血流が良くなると「(救急車で運ばれた)あの病院には、昔弟が入院していたことがあって、その頃は小さな病院だったがパンが食べたいと言うので届けてやったことがある」と古い記憶が蘇ったようでした。

 「赤飯があるから、帰りに持っていて。うちの家内は祭日には赤飯を作るんだ。よく働くんだ、感謝している」、何度もお宅にうかがっていますが、初めて奥様への感謝の言葉を聞きました。

 それを奥様に伝え、お赤飯をいただいて帰ってきました。

 そうそう、トヨタ自動車の下肢に装着する介護ロボットの話もしてきました。

 最大公約数的な治療では歩けないかもしれません。

 しかし私たちタッチセラピストは、最大公約数的な治療ではできないことができます。

 人が人として生き続け、最期まで命を全うするには、「頑張れという言葉を使わずに希望を与えることができる人」が必要です。

 私はそうありたいと思います。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 3日 (木)

毎朝の体と心のチェック。

 昨日の午後、ひとりの男の死を知らせるメールが届きました。

 「末期の肺癌で昨年に死んでいたことがわかった」とあったので、病院を受診した時にはかなり状態が悪かったのでしょう。

 彼は編集者で、タバコとストレスにまみれて生きたのだろうと思います。

 最期が近づいた時、苦しい中で弱った姿を見せてでも会いたいという人は、ほんのわずかに絞られるものです。

 そんなことを思う間もなく、(我慢を続けて)、最期が突然やってくることもあります。

 彼は昨年死んでいたのに、そのメールを受け取るまで、私の中で彼は生きていました。

 そのメールをくれた友人への返信をしばらく考えて、「…さっきまでのように、これからも彼はまだ生きているように思っていようかと思います…」と送信しました。

 しばらく会うことのなかった人がこの世から消えていたことを突然知らされても、そう簡単に納得することはできません。

 これからも書店で『地球の歩き方』を目にすれば、相変わらず彼の仕事もあるなぁと思うことでしょう。

 メンタルの動揺はフィジカルに表れます。

 毎朝このチェックの繰り返しです。

  朝目覚めることができてまだ命が続いていること、ぐっすり眠れたこと、今どこも痛くないこと、どれもありがたいことです。

 昨日何があっても、今日が祝日でも、体に痛みを抱えた方から声がかかることを考えておかないと、準備もせずに咄嗟の動きをすれば自分の体を痛めます。

 体の柔軟性は心の柔軟性を生みます。

 体の疲れも心の疲れも毎日ありますが、一晩眠れば、そしてストレッチやウォーキングやちょっと体に触れることで、ニュートラルな自分に近づけていくことができるようになりました。

 ストレッチの後、ウォーキングでセロトニンの分泌を活発にし、『彼に今度会った時にがっかりさせないような何か』を考えておきたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 2日 (水)

トヨタ自動車の介護ロボット、平成25年以降実用化へ。

 今朝の産経新聞に、「トヨタ自動車は『介護・医療支援向けロボット』を開発し、平成25年以降に実用化すると発表した」という記事がありました。

 脚に取り付ける「自立歩行アシスト」を写真で見ると、下肢がガンダムになったようです。

 大腿骨骨折の方に、このニュースを報告したいと思います。

 身体の不自由な方や高齢者の生活支援と、介護者の負担軽減のために現在3種類の医療向けロボットが開発され、実用化に向けて検証中だということです。

 SFやアニメにこめられた未来の夢のような科学技術が、研究者やそれに携わる様々な人の努力によって、現実化されていくのですね。

 移動手段であり物資を運搬する自動車や荷役のクレーン、フォークリフト、ベルトコンベアは、重労働の負担軽減に大きな貢献をしてきました。

 これらの機械よりも柔軟で巧みな動きを可能にし、軽量化し、人間の体に装着できるようにするまでには、大変な時間と努力が必要だったことでしょう。

 介護・医療支援向けロボットから、将来的には高速移動手段としての個人用ロボットの開発が進むかもしれません。

 やがて自動車を体に装着する日が来て、さらに飛行機を体に装着する日が来れば…、夢のようです。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 1日 (火)

“アメトーク”ではなくアートメークで健康被害のニュース。

 昨日新聞を開いて、テレビ番組の『アメトーク』が問題になったのかと思ったら、“アートメーク”で健康被害が多発しているという記事でした。

 アートメークは“コスメティックタトゥー”とも呼ばれ、針を使って皮膚に色素を注入し、アイラインなどを美しく強調する施術のことです。

 “美しく強調”できれば問題にはならないのですが、目の周りが腫れたり、角膜が傷ついたケースもあり、施術が失敗した場合の高額な治療費をめぐって、施術者側とトラブルになることもあるようです。

 国民生活センターでは、「どうしてもアートメークをしたければ医療機関で行うように」と呼びかけています。

 アートメークが“アメトーク”に見えてしまったことが昨日の朝の最初の小ネタでした。

 先週、テレビのニュースから聞こえてきた「ゴキブリの赤字」というおかしな言葉を画面で確認すると、「5期ぶりの赤字」を伝える経済ニュースだったということもありました。

 ぼんやりと情報に接すると、日本語は音声でも文字でも勘違いをして笑えます。

 韻をふむ詩も、ラップも、同音異義語の組み合わせが感情を刺激するフレーズとなるのですから、こういう笑える間違いはメモに値する良いものです。

 さてその後に朝のウォーキングに出かけると、ビーグル犬がずっと臭いを嗅いでいる草があります。

 飼い主の男性がうながしてもビーグル犬は動こうとしません。

 その場は通り過ぎましたが、ウォーキングの帰りにもビーグル犬と飼い主はまだそこにいました。

 「何かいるんですかねぇ?」と聞かれたので、「このへんはタヌキがいますから…」と答えて戻ってきました。

 狩猟犬のビーグル犬が嗅ぎ続けるからには、何となくタヌキかなという感じがしました。

 そして昼、うちの庭に久しぶりにタヌキがやってきました。

 しばらく見かけなかった、毛のごっそり抜けた皮膚病のタヌキです。

 以前見たのと同じかどうかはわかりませんが、怪我でもしたのか右後ろ足を引きずっていました。

 そっとしておいたら2時間ほど昼寝をしていきました。時々ゴソゴソして起きるタヌキ寝入りでした。

 野生ですから食物から摂り込んだセシウムの影響もあるでしょうね。

 ビーグル犬が草の臭いを嗅いでいる時、私もタヌキの尿の臭いやそこに残った気配を感じていたのかもしれません。

 指圧を続けていると、こういう“何となく…”の精度が上がっている感じは確かにあります。

 “何となく…”発した言葉に、五感と第六感まで動員されていたのだなと、後で感じることがあります。 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »