ぎっくり腰、右腹直筋の緊張。
60代女性、3日前に台所仕事でぎっくり腰になりました。
靴下を履くのも、顔を洗うのも大変な3日間でしたが、3日目の午後には少し痛みがやわらいできたので、指圧にいらっしゃいました。
椅子に座っていただいて背中を診ると、脊柱が左に側弯し、ズボンのお尻の中央のラインも左にずれています。
軽く腰に触れたくらいでは痛みはありませんでした。
急性腰痛は仰臥位で腹部から指圧します。その理由は、いきなり腰を圧せば非常に痛いからです。
上腹部は左右ともに緊張し、臍の脇の右側、腹直筋に強い緊張がありました。
手掌圧から指圧をし、緩んできたら両母指の先端をくっつけて広い指圧点を作り、せっかく広い指圧点を作りましたが、圧は片方の母指の指紋部にかけます。
つまり圧をかけない方の母指があるので反跳痛(圧を抜く時の痛み)が抑えられるわけです。
おなかの緊張がとれてきたら下肢の指圧にうつります。
左前脛骨筋と右大腿四頭筋という対角線のこりがあり、右股関節の外旋と屈曲のストレッチをゆっくりしていく途中で痛みが出たので、無理には伸ばしませんでした。
これらのことから、右股関節の大腿骨小転子に停止する右腸腰筋に傷があるだろうことが考えられます。
右腹直筋の緊張は、右腸腰筋を使わないように代わりに使われたためで、右大腿四頭筋のこりは、膝を曲げて股関節を持ち上げないようにつっぱていたということです。
上肢、顔面、頭部、前頚部、前胸部と指圧し、もう一度腹部に軽い手掌圧をして伏臥位の指圧にうつりました。
症状が重ければここは横臥位で指圧をします。
脊柱の左側弯がありますから左脊柱起立筋はこっています。
脊柱の左側弯は、座位で右腸腰筋に負担をかけないためで、左殿部に体重をかけて座っていたことが原因でしょう。
右大腿二頭筋のこりもありました。これは右膝を曲げたくなかったということです。
下肢を使いたくない、膝を曲げたくも伸ばしたくもない、御辞儀ができない、顔が洗えない、寝起きも寝返りも車の乗り降りも大変なのが、ぎっくり腰です。
伏臥位の指圧が終わって、もう一度腹部の緊張を手掌圧で診ました。
みごとにゆるんでいました。
仕上げのストレッチで右股関節の外旋と屈曲の痛みがまだあったので、小さく動かしておきました。
立ち上がる時に、動作が「楽になった!」そうです。
来た時はコルセットを着けていらっしゃいましたが、帰りはバッグに丸めて入れて、コルセットは着けませんでした。
ぎっくり腰の時は、弱い触圧刺激と小さなストレッチで施術します。
傷が治るのにはどうしても時間がかかりますから、血行促進と鎮痛を目的とした今回のような指圧をすれば必ず回復を早める効果があります。
発症後3日目ですから指圧の適応期でしたが、これが初日、2日目であれば、施術の体位変換でものた打ち回って…というようなことになります。ごくごく軽いタッチで症状を緩和してください。
脊柱の左側弯と右腹直筋の緊張があると、患部は右なのか、左なのか迷うと思いますが、股関節を動かしてみたり、腸腰筋は座位で負担がかかることを考えれば、今回のぎっくり腰のように腸腰筋の問題であると答えを出すことができます。
寒さや運動不足、長時間の座位姿勢、年齢的な筋肉の衰えなどが複合して発症したと思われます。
どんなに楽になったと言われても、傷が塞がるには時間がかかりますから、小さな股関節の運動で血行促進をはかるように、アドバイスさせていただきました。
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