首が回らなくなってから3日目の指圧。
「ES細胞(胚性幹細胞)から神経網膜を作ることに成功」というニュースがありました。
ips細胞(人工多能性幹細胞)とES細胞の研究が進めば、今まで不可能であった組織の再生や機能の回復が医療によって可能になります。
それは輝かしい医療の進歩ですが、万能細胞から人間再生をはかることへの倫理の問題も大いに気がかりです。
サイボーグのような兵士や心に温かみのないエリートの大量生産などということにはならないように、歯止めは必要です。
指圧では相変わらずアナログなことをやっています。
「夕方から首が動かせなくなった」という50代の男性、手にしびれはないということで、電話での応対でロレツにおかしなところもなかったので、『寝違え』に近い状態と推察し、3日後に指圧をすることにしました。
「首を動かして痛みを確認しないこと」の念を押して、湿布でも貼っていただいて、急性期の指圧はしないことにしました。
手のしびれがなかったということは、腕神経叢までは障害されておらず、会話のロレツもおかしくなかったので、脳血管障害も否定できると電話で思ったので、「急性3日」という期間の安静が保てればかなり状態が楽になると予想できました。
下手に首をいじれば悪化させることもあります。また、首を回せない状態で車を運転して来ていただくことも、よろしくありません。
3日後指圧をした時には、「昨日から痛みがかなり楽になり、首が動かしやすくなった」ということでした。
問診で「ゲームのし過ぎ」が原因ということがわかりました。
猫背で首が肩より前に突き出し、斜角筋群、特に左の前斜角筋鎖骨部のこり、左肩上部僧帽筋のこりが顕著でした。
首の右側屈と右回旋ともに45°くらいで痛みが出ました。
ネーゲリー氏の伸頭法(項窩に両母指を当て側頭部に四指を当て頚椎の牽引)で痛みはありませんでした。
左側頚部に何らかの傷があると考え、患部をはずし患部周囲の誘導作用を利用した全身指圧を行いました。
指圧後、右側屈、右回旋ともに60°くらいまでは痛みがなくなり、可動域を拡げることができました。
ネーゲリー氏の伸頭法で痛みが出なければ、頚椎が重篤な状態ではないと考えていいと思います。
しかしこれがいわゆる「寝違え」の状態(頚部捻挫)になった当日であれば、頚椎の牽引をゆっくりと慎重に行っても痛みが出たかもしれません。
頚椎の牽引は首に痛みがない方にでも、丁寧にゆっくりと慎重に行います。
一般的に人間の体は正中線と沿った縦に伸ばせば痛みが出にくく、気持ちがいいものです。
この牽引を慎重に行わずに左右バキボキンとねじれば、殺法になります。
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