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2012年7月22日 (日)

100キロマラソン6日後の指圧。

 昨日からスマップの草彅剛さんが100キロマラソンに挑戦していますが、一週間前にも木曽の御岳山を走る100キロマラソンがありました。

 午前0時スタートで頭にライトをつけて山道を走り、天候は雨だったそうです。

 16時間半かけて完走したという30代男性は100キロマラソンから6日たって指圧にやって来ましたが、玄関から上がってくるにも両足ともに引きずるような状態でした。

 「両ふくらはぎの痛み、左膝後側で外側の大腿二頭筋腱の痛み、左大腿外側で膝近くの腸脛靭帯の痛み、左手小指のしびれ」と訴えは盛りだくさんです。

 付け加えるなら、肩こりもあり、腰痛もあり、ひどい猫背になっています。

 頭にライト、背中にリュックを背負って雨の降る山道を100キロ走りきった体は、全身にぎっくり腰が発症したような状態です。

 せっかく木曽まで来たからと、完走翌日に温泉に入ったことも逆効果だったようです。

 6日目でこの状態ですから、翌日は温泉で温めずに足を高くして氷水で冷やし続けるのが正解です。

 ここに来るまでに整形外科、接骨院と行ってきたようですが、納得できずに指圧にやってきました。

 100キロマラソンの前からふくらはぎを傷めていましたから、私は「出場してもいいけど辛くなったら棄権しなさい」と忠告してありました。

 30キロ過ぎからは十分な走りができなくなっていたようですが、沿道の応援にのせられて、棄権したくてもできなくてとうとう完走してしまったようです。

 肩こりは、頭に慣れないライトをつけて山道のアップダウンを走ったので、ライトの重さで頚の付け根にこりを作ったのかもしれません。

 背負ったリュックには水も入れていたようなので、その重さも肩にかかります。

 右手は汗を拭いたりして使いますが、左手は肘を曲げたランニング姿勢の連続なので腋が詰まり、小指のしびれは腋窩か肘部管で尺骨神経が圧迫されているようです。

 まず伏臥位で足枕で足を高くして、頚から腰を弱い刺激の指圧の繰り返しでゆるめていきます。

 臀部はさほどこっていません。これは救いです。急性期の全身性の筋肉疲労が回復してきていることの証明です。

 大腿後側、下腿後側と丁寧に弱い刺激でゆるめていきます。

 特に両ふくらはぎの内側、脛骨と筋肉の間には炎症があります。

 100キロマラソンの前から走り過ぎで「シンスプリント(骨間膜の炎症)」の状態でした。

 強い刺激はできませんから、ふくらはぎ内側に手指を密着させて「振動圧」をかけていきます。

 伏臥位で足まで指圧して、股関節、膝関節、足関節のストレッチは、関節可動域の90%以上できました。

 仰臥位になると自から上肢をバンザイの形にしました。

 猫背の人の特徴的な姿勢です。まだ猫背の矯正は十分ではないということを頭に入れておきます。

 左鼡径部の指圧からは、おなかが音を立てて動き始めました。

 背部の緊張がゆるんで、副交感神経が優位になったということです。

 左大腿外側腸脛靭帯は確かにこっています。

 両大腿内側の内転筋群もこっていたので、100キロマラソンで下肢全体にダメージを負ったということです。

 下肢長は右足のほうが短くなっていました。

 右足に体重をかけて右足主動で山道を走っていたのでしょう。左足はやや外側に出ていたと考えれます。

 足関節の底屈+背屈の(速く行う)運動が気持ちいいとのこと、これは振動圧がふくらはぎの深部や股関節から腸腰筋に伝わって、実際に触れることのできない筋肉をゆるめることになるからです。

 左上肢は左腋窩と左肘関節周囲を丁寧にゆるめ、尺骨神経の圧迫を解放して左手小指のしびれを緩和するようにします。

 ここでも手首を持って上肢伸展牽引で振動圧をかけていくと、深部の筋肉がゆるみ、猫背の矯正にもなります。

 続いて右上肢、顔面、頭部、腹部と指圧をして腰と下肢のストレッチで指圧を終えました。

 上体を起こして自分でふくらはぎに触わり、「柔らかくなっている!」と感動が笑顔で伝わってきました。

 仕上げの座位指圧の時には、背中が真っ直ぐに伸びていました。

 このケースは関節の際などに炎症が残っています。

 普通のタッチでは届きませんし、グリグリいじるのは愚の骨頂です。

 遠隔操作と振動圧、つまり患部周囲の刺激で患部の血行を誘導的に促進することと全身性の指圧でさらに血行促進をすることが最良のアプローチです。

 こういった施術は指圧・マッサージの特長で、整形外科や柔道整復では主眼としていないアプローチです。

 伏線を引いて伏線を引いて、遠回りをしてゆるめていくという施術に習熟してください。

 ここに指圧・マッサージのセールスポイントがあります。

 ふくらはぎの炎症は完治までには時間がかかります。

 しかし深部の筋肉をゆるめている、そして全身性の施術をしているということは、患部付近に表面的に強い刺激をするだけとは全く違う、しっかりとした効果があります。

 自信を持って弱い刺激で遠回りの施術をしてください。それが近道であることは経験を積めばわかります。

 

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