頚椎手術後左肩痛、上肢のしびれ、頚部、背部痛。
頚椎手術後、久しぶりに指圧にいらっしゃた60代の女性は、「頭にかごを乗せたように」顔を正面に向けたままの姿勢で椅子に座りました。
主訴は左肩の痛み、氷を入れたビニール袋をタオルで巻いて、マフラーのように肩にあててやってきました。
手術後約半年たっていますが、猛暑の夏に頚椎カラーがやっととれたのだということです(暑くて頚椎カラーをつけていられなかったそうです)。
下肢は運動不足で細くなりました。
上半身はぎくしゃくとしか動かせないのでむくんでいます。
仕事も家事もしているそうですが、長時間下を向いている姿勢は辛いそうです。
手足に冷えはありません。
第7頚椎付近を手術しているそうで、左肩の痛みが主訴ですから、左の神経根症状を徐圧する手術を受けたのだと推測できます。
左上肢に尺骨神経に沿った神経症状がありますから、頚椎下部の手術であったことは間違いないでしょう。
左の頚椎下部を中心として左頚椎や左肩甲間部は「触れないもの」と考えて仰臥位下肢の指圧から始めます。
下肢の筋力は衰えていますが足裏まで温かく、血行がひどく悪いということではありません。
左上肢の指圧に移ると、前腕を回外させて手掌を上に向けただけで、肩に強い痛みが走ったようです。
前腕の回外が「尺骨神経の刺激になった」のだと考えられます。
頚椎下部を手術していますから後でよくよく考えればそういうこともあるという考えに行き着きますが、これがライブの難しさ、「そういうケースもあること」を今後に反映させていかなければいけませんね。
前腕の回外が肩関節の外旋の刺激となり、左肩痛のポイントとなっている「肩関節を外旋させる小円筋」停止部の痛みを誘発させたようです。
手術部位の脊髄神経支配範囲と小円筋は一致しているといってよいでしょう。
左頚椎下部の手術部位をかばうために「左肩関節を頚椎のように使っている」と考えてもいいと思います。
左殿部外側~左下肢外側の緊張もありましたがこれも「頚椎下部左側の手術部位をかばうために体重をさらに左外側に逃がしていた」のだと考えられます。
抗生物質や鎮痛薬などたくさんの種類の薬を飲んでいたために薬疹に悩まされ、現在は薬を減らして肝機能のための漢方薬と睡眠導入剤のみを服用しているとのことです。
おなかの指圧で肝臓の硬さはなく、悪いおなかではないと感じました。
伏臥位をとることができ、左肩甲下部の緊張を緩めてからは軽く頚部、肩甲間部に触れることもできました。最悪の状態ではありません。
全身の指圧をしながら、様々な訴えをうかがいました。
指圧は「肯定の時間」です。
主治医の先生のお話では「手術は大成功だった」そうです。
それでも手術の夜は「完全介護だから」と家族の付き添いも認められず、「暑いから室温を下げて布団を一枚はいでくれ」の訴えをしようにも看護師さんは他の患者さんのお世話で手が回らなかったからか、最悪の一夜を過ごしたとのことでした。
手術後すぐに始まったリハビリでは体格のいいおねえさんがやってきていろいろしてくれたようですが「お願いだから話だけにしてください」というくらに痛かったようです。
「神経繊維も、毛細血管も切れている」、それは手術前からのものも、「手術によるもの」もあります。
骨を削ったのなら、深くえぐれた擦り傷が少しずつ治っていっているような状態にあるのだと思います。
セラピストも「クライアントの痛みを想像し、感じること」、そこに「肯定の時間」が生まれます。
スパルタのコーチで回復できる人もいれば、母心が欲しい人もいます。
私は「もう半年したら痛みは今の半分に減っているでしょう」と申し上げました。
「最悪の状態ではありません。だって触らせてもらえましたから」、これが過去の経験から生まれた見通しです。
痛みの出ない範囲で、上肢を下げて肘を伸ばした肩関節外旋運動を含むコッドマン体操(アイロン体操・ペットボトル体操)で肩関節の小さい振り子運動をすることをアドバイスして指圧を終えました。
暑い午後でしたから、アロマミストはレモングラスにペパーミントを混ぜ、音楽は「メンタルデトックス」を流してのアロマ指圧でした。
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