胃経の急性期のツボ「梁丘」と慢性期のツボ「足三里」、位置から動脈血の流れで考えてみる。
先日「胃ろう」を特集したNHKのテレビ番組で、ベッドで寝ているお母さんの膝をマッサージする娘さんの映像がありました。
胃ろうでベッドに横たわる70代くらいのお母さんの膝は軽度屈曲しています。
痩せた体、筋肉は衰えています。
50代くらいの娘さんが膝を回すようにマッサージすることについては、良いポイントだと思いました。
おそらく誰かがやっているのを見たのでしょう。
胃ろうの体に胃経の経絡への施術は効果があるはずです。
しかしそのタッチが雑で、膝蓋骨に軽く垂直の圧をかけて回すならよいのですが、横に引っ張るような圧のかけ方なので、寝ているお母さんの頭がガクガク動いていました。
われわれが普段から模範になるようなタッチをしていないと、こんなところでもお笑い芸人の罰ゲームのようなタッチが正しいかのように認識されて、体の弱いやせ細った病人に使われてしまうのです。
足裏を圧す時にじっくりと頭まで圧が届くのは良いのですが、膝蓋骨の柔軟性を確保する手技で頭が動いては乱暴過ぎます。
胃と胃経の下肢前側との関係について考えてみましょう。
胃経の大腿前側膝上2寸にある「梁丘」は急性期のツボ(郄穴)、下腿前側で外膝眼下3寸の「足三里」は慢性期のツボです。
大動脈から下がる血管は内臓に血液を送りながら下行するので、鼡径部から足へ流れる動脈血は上肢に流れる動脈血と合わせても動脈血全体の3割しかありません。
炎症で内臓にとられる血液が多いほど下肢への動脈血の量は減るので、急性期には大腿前側遠位の「梁丘」のあたりから虚血となり、反応点として「梁丘」を圧すと痛みを感じ、慢性期では虚血の始まりが「足三里」からになると考えてみてください。
「急性期より慢性期は内臓に血液をとられる量が減っている」、だから急性期には大腿前側にあった治療穴が下腿前側まで下がってくるのです。
そういう意味では胃ろうのお母さんに膝のマッサージという目の付け所は大変良いと思います。
足りないのは自分が胃ろうでマッサージをされる時に、頭が揺れるようなマッサージでもいいのかと思いやってみることです。
私はきっと、首が揺れることで痛かったり、不快だったり、乱暴な扱いでも拒めないことが情けなかったりするだろうと想像します。
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