小さな筋肉を動かす、緩める。
指圧の間違ったイメージの代表が「首と肩関節の真ん中あたりをグイグイ押すこと」です。
それが「肩井(けんせい)」の指圧だとすると、位置は「大椎(だいつい)」と「肩髃(けんぐう)」を結んだ中間をとらえます。
「大椎」は第7頚椎と第1胸椎の間の陥凹部に位置し、「肩髃」は腕を水平に上げた時に肩関節にできる二つの窪みのうちの前側に位置します。
「肩井が胆経、大椎が督脈、肩髃が大腸経」、そこから拡げてそれぞれの経脈の流れまでイメージして指圧をするのと、ただ肩を押すのとでは効果まで違ってきます。
(私の文章では「ただ押すこと」と「圧すこと(圧を加えること)」を分けています。)
点で圧すだけではなく、1点から様々な方向への拡がりを持つのが経絡の考え方です。
これに筋肉の端と端(起始と停止)の腱紡錘を刺激して筋肉を緩めるという生理学のアプローチを加えたのが現代のあんま・マッサージ・指圧理論です。
あんま・マッサージ・指圧師が「筋肉の真ん中のこって硬直した部位をグイグイ押して潰す」というような考え方を持っているとしたら、どこかで理論の解釈を間違ってしまったのでしょう、それでは残念です。
大きな筋肉の真ん中をグイグイ押すのが科学的なこりを緩める方法ではないことがわかってくると、小さな筋肉の施術まで考えるようになります。
例えば脊柱起立筋を指圧するのでも、太い最長筋で終わるのではなく、一番脊柱に近い棘筋までイメージするようになります。
ふくらはぎの施術でも腓腹筋の下のヒラメ筋に横から指をもぐりこませるとか、大胸筋の下の小胸筋を見つけるのに腕を前下方向に引っ張って緊張させるとか、工夫して当たりを探すようになります。
小さな筋肉は加齢によって衰えます。
高齢者の嚥下障害や誤嚥も、喉の筋肉の衰えが大きな原因です。
使わなければ20代でも小さな筋肉は加齢的に衰えます。
小さな筋肉まで触れる技術を磨いてください。
解剖学的な知識は毎日補完してください。いつまでたっても発見があるはずです。
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