右陰嚢水腫手術後の左頚部から背部にかけての痛み。
陰嚢水腫は液体が溜まって陰嚢が大きくなる病気です。
腹腔と精巣の間には鞘状突起があって、普通は交通が遮断されています。
成人男性の陰嚢水腫のほとんどのケースは、鞘状突起の一部の精巣鞘膜腔に液体が溜まって陰嚢が大きくなります。
水を抜く治療法もありますが、根治には余剰の鞘膜を切除してから縫い合わせるなどの手術をすることになります。
先日指圧にいらっしゃった男性は、右陰嚢水腫の手術後3ヶ月で、左頚部から背部の痛みに悩まされ、御得意様の紹介で指圧にいらっしゃいました。
座位の姿勢は膝が大きく開いた過度のO脚で、爪先はほぼ90外側に向いていました。
股間を閉じられなかった、そして今もそれが癖になっているだけではなく、まだそこに痛みがあることが後でわかります。
脊柱は左に側弯していて、右腰から右の下腹部に体幹の重さを伝えたくないということがわかります。
脊柱を側弯させることによって、左頚部から左背部の筋肉をいつも使っています。
左側頚部、左肩上部の筋肉もこっていました。
伏臥位から指圧を始めたのですが、一つ配慮の足りないことがありました。
バストマットを当てていましたし、腰痛マットでの指圧ですから問題はないと思って指圧を始めたのですが、指圧中に右の鼡径部から股間にかけて痛くなってきたということで、右鼡径部に折りたたんだバスタオルを当てて指圧を再開しました。
陰嚢水腫の手術後の方に施術をすることはなかなかないかもしれませんが、これは虫垂炎や子宮の手術後、産後の女性でもあるかもしれないことなので、そのような御客様に施術をする時には、是非バスタオルなどで患部の当たりを柔らかくする気配りができるように準備をしておいてください。
頚部から背部を緩めていくと、脊柱の左側弯が解消されていきました。
仰臥位の指圧に移ると、股関節を大きく外転させる姿勢をとり、爪先はやはり90°外側を向いていました。
大き目のサイズのズボンをはいていらっしゃることからも、股間の違和感は大変なものだったのだろう、そして手術後もその違和感は治まっていないのだろうと推測します。
大腿の内転筋群はほとんど使っていません。大腿外側のこり、下腿外側のこりを緩めていきます。
左下肢伸展挙上牽引で右鼡径部に響くようなことはなく、右下肢の牽引でもゆっくりと徐々に引っ張ってみたところ患部に痛みは走りませんでした。
膝を閉じ、両足趾を袋状につかんで手根部で足底を圧し、足背屈+内転で両方の爪先を合わせ、左右に足を揺らしながら振動圧を股関節に向けて飛ばします。
これがO脚の矯正になります。
上肢、顔面、頭部、前胸部、腹部と指圧し、腹部の指圧で患部が痛むようなことはありませんでした。
全身指圧後、脊柱の左側弯は矯正されましたが、椅子に座ると股関節が開き、両方の爪先が外側を向いていました。
習慣を治すことは容易ではありません。手術痕に痛みがあればなおさらです。
正中線の延長の一直線上に爪先を出していくことを意識して歩くようにアドバイスさせていただき、実際にやっていただきました。
ぎこちない歩きでしたが、この意識をしていかないとO脚のまま老化が進み、やがて左膝から先に変形しそうな状態であることを申し上げました。
手術痕のさらなる回復と姿勢の改善で、痛みのない生活ができることをお祈りしております。
陰嚢水腫の手術は腰椎麻酔で一週間入院だったそうです。虫垂炎と似ていますね。
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