手足が冷えて顔がのぼせるのはどうしてか?
手足が冷えて顔がのぼせる「冷えのぼせ」についての御質問がありましたので、その原因について考えてみましょう。
動脈血は肝臓から栄養を、肺から酸素を供給されて、心臓から末梢へと運ばれます。
肝臓と肺は工場、心臓はポンプと考えると、心臓から送り出されたばかりの動脈血は出来立てで、横紋筋である心筋が作り出す熱にも温められています。
脳や臓器へ送られるのが全動脈血の7割、残りの3割が四肢に分配されますから、上腕、前腕、大腿、下腿と細胞に栄養と酸素を与えてから末梢の手先、足先に届く動脈血は「量が少ない」ということがまずあります。
末梢まで流れる途中にこりがあったり、炎症があれば、そこで血流の滞りが起こり、手先、足先まで届く動脈血はさらに少なくなります。
運動不足だと唯一の熱発生器官である筋肉が使われないので末梢ではさらに冷えます。
源泉と長いパイプで繋いで浴槽に温泉を溜めると、温泉の温度は源泉よりも冷めています。源泉が心臓の動脈血、長いパイプで冷まされながら届いた温泉が末梢の動脈血です。
頭部顔面は、心臓に近い総頚動脈と椎骨動脈という左右2本ずつ計4本の距離の短い直通ラインがあるので、温かい動脈血が早く豊富に届きます。
体は動かさなくても、脳や目、飲食のための口や喉を全く使わない日常生活はありませんから、頭部顔面は温かい動脈血が届くだけではなく、熱を作っているということもあって、顔がほてったり、頭がのぼせたりします。
心配事や考え事が多かったり、ゲームやテレビなどで目を使い過ぎても頭はのぼせます。
末梢の手足が温かければ末梢まで動脈血を送るためにも頭部顔面で使った動脈血は心臓に還らなければならない、つまり末梢の血行が良ければ血行は良い循環で巡っていきます。
末梢の冷えが続くと毛細血管が退化して手先足先まで動脈血が届かなくなることがあり、心臓から近い頭部顔面では他に与えるべき熱が溜まってくるような状態になります。
脳と内臓に送られる動脈血が全体量の7割ですから、内臓の働きが悪く内臓が冷えている場合は、より頭部顔面に熱が溜まる、顔がほてる、頭がのぼせるということになります。
子宮や卵巣の病気では、下腹部に血流の滞りができるので手足が冷えて頭がのぼせます。
おなかが冷えているとおなかで冷やされた動脈血が末梢へ流れるので、手足はさらに冷え、顔のほてりやのぼせの症状が強くなります。
冷えは交感神経が優位な状態ですから、副交感神経支配の内臓の働きが悪くなるという悪循環が続いていきます。
手足やおなかの冷えるので頭がのぼせるとしても、施術のポイントは肩こりや上腕のこり、鎖骨周囲のこり、背部のこり、つまり交感神経支配で使い過ぎの部分から緩めていくことが効果的です。
使い過ぎや使わな過ぎの詰まりが、風邪の原因となり冷えの原因となっていきます。
大きな血液の循環で体を整えていくことを考えてみてください。
「これから冷えのぼせが多くなる」ということについては、夏バテで運動不足の方や、朝晩の急激な冷え込みに順応できるだけの体の余裕(筋肉や体力)がない方は、外気が冷えてくればそれに抗することができずに体に冷えを溜めてしまうということです。
自分で体を動かす気力も体力もない方の、使っていない筋肉を動かし体を温めていくことは、予防医学として大事なタッチセラピーの役割です。
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