指圧の指の作り方、強い指は自然にできる、それよりも繊細な指を作ってください。
「甘手の指の作り方」についての御質問をいただいたので、そもそも指を作るとはどういうことか、どういう指が臨床では必要なのかということを書きとめてみます。
指がよく反る甘手の指圧での注意点は「指節関節で圧さないようにする」ということです。
「関節で圧せば痛いから関節で圧してはいけない」、これが指圧の考え方です。
指節関節を屈曲させて圧さないのも、指力で圧すことは指圧の目指すタッチではないからです。
「指を作る」ということはピアノの演奏でもギターの演奏でも必要なことですが、簡単な練習曲を弾くことから始めて、毎日練習することで演奏に必要な指ができていきます。
楽器の演奏でも、始めは確実に音を出す練習をします。
それは最低限の基礎だから。
レベルが上がれば必要なのは、音色(硬い音、柔らかい音)や、強い弱い、速い遅い、長い短いという音量、テンポ、持続の使い分けです。
指圧の指作りでは触圧刺激の音色にあたる部分がおろそかにされがちです。
強い指は続けていればやがてできていきますが、繊細な指は、それに気づいた人だけが試行錯誤しながら時間をかけて獲得していくものです。
表現力の豊かな、いろいろなニュアンスの出せる指を作ることこそが、セラピストに求められる指作りです。
具体的な指作りのトレーニング法もあげておきましょう。
指圧では、母指の中手指節関節屈曲で指節関節は伸展させます。
母指と示指の間隔は60°が目安ですが、甘手なら間隔は狭いほうが母指の反り過ぎを抑制します。
逆に苦手ならば、母指と示指の間隔を目一杯拡げないと母指指紋部を皮膚に密着させることが難しくなります。
四指は隙間を開けずに揃えて、四指指紋部でとらえた皮膚を離さずに手前に引くことで、母指指紋部1点に圧を集中させます。
この指圧の構えでテーブルに片手をついて、肘を曲げ、膝を曲げてしゃがみ、テーブルについた手の支えで肘を伸ばし、膝を伸ばして、体を起こします。
これが体重移動の指圧です。
これを実際の臨床では肘伸展で、母指指紋部1点に徐々に体重を乗せていき、また徐々に体重を抜いて戻していきます。これが漸増漸減圧の指圧です。
立位で壁に指圧の構えで片手をついて、肘伸展のまま、わずかに体重移動をする、この感覚が臨床での痛みを抱えた方に対する体重移動だということを理解してください。
わからなければ両手を壁について、肘をわずかに曲げて、壁に対する指立て伏せの練習で感覚をつかんでいってください。
やがて肘伸展でも感覚がわかるようになります。それが何年になるか、本当の本当にわかるには10年かかるか…、一生のことだと思っていてください。
「指圧は芸術である」、日本指圧専門学校の道場には、この言葉が額に収められて掲げられています。
繊細な指を作り続けて、感動的なタッチのできるセラピストに成長してください。
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