「筋肉を緩める左右差で違和感が出ることもある」、ダメ押しの調整でバランスが取れた症例。
70代女性、主訴は坐骨神経痛で両方の下肢後側から足先まで痛みとしびれがあります。
この日の指圧では右大腿後側の坐骨神経症状が強かったので、最後に仰臥位膝軽度屈曲で股関節を少し外側に開いて屈曲させる「大腿二頭筋のストレッチ」20秒×3回を、右下肢だけに行いました(大腿二頭筋の10秒のストレッチは仰臥位下肢の指圧の後で左右ともに行っています)。
指圧には十分に時間をかけ、筋肉がよく緩んでいたので問題はないだろうと思っていたら「歩きにくい」とのこと。
左大腿後側に違和感があるということなので伏臥位で指圧をしてみると筋肉はよく緩んでいます。
伏臥位左下肢伸展挙上回旋の腸腰筋のストレッチや膝最大屈曲の大腿四頭筋のストレッチでも特に問題はありません。坐骨神経痛の御客様の中ではトップクラスの股関節の柔らかさがあります。
『これ以上刺激をすることは害になるだろう』と思いながらも、「自分で痛みを探している」ということもあるので、ここでは不安を払拭する何かをするべきだと考えました。
(カリスマになる必要があるとしたらこういう場面です。)
「あっ、わかった!」と声のボリュームを上げて言ってから、仰臥位左大腿二頭筋のストレッチを20秒×3回やってみました。
「これで違和感が取れているはずだから歩いてみてください」とはっきりと言い切って実際に歩いてもらったら、違和感も痛みも消えていました。
私がタッチセラピーをしている方に是非考えていただきたいと思うことの一つはタッチそのものの表現力を無限大に豊かにすること、そしてもう一つは「施術の駆け引き」です。
タッチセラピーの効果を上げるには演出が必要です。
「神経が傷ついていれば何をやっても痛いかもしれない」、左大腿二頭筋のストレッチを右と同じ回数・秒数やってみても痛みは取れないこともあるでしょう。
しかし、カリスマになるとしたらここです。
痛みを背負う覚悟を持って、「痛みを探させないように症状は緩和されていることを言い切って伝える」ことが不安の幕引きになります。
筋肉はもう緩んでいる、これ以上の指圧は適量刺激を超えてしまう、しかし手詰まりになってはいけないということです。
強い音圧のある言葉が「痛覚の伝達を遮断する」ことだってあると私は実感しています。
20秒×3回のストレッチが最も効果的というデータがあるということですが、何が効いたのかと考えると「あなたの痛みに対して施術中も施術が終わってからでも私は最善を尽くす」という強い意志が鎮痛薬となったのではないかと思います。
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