急性腰痛で救急車で運ばれて10日間入院した60代女性の御得意様のお宅で指圧をしてきました。
救急車を呼ぶほどの激痛だったそうですが画像検査で異常が見つからず、「全腰痛の85%は原因不明」というほうの、筋肉や神経からの痛みによる腰痛だったようです。
入院中は点滴と鎮痛の内服薬と座薬を投与され、マッサージも受けたそうですが、そのマッサージが痛過ぎたので「病院でのリハビリの勧めを断って」私の出番が生まれました。
退院の日に電話をいただいて翌日に指圧にうかがいました。入院中にマッサージを受けている時にきっと思い出していただいていたのだろうと思います。
指圧にうかがった時は10日間家を開けていたのでハウスクリーニングの方が掃除中でした。
何とか起きて歩けるようにはなっていますが、御自分で掃除ができるまでには気力も体力もまだまだ回復していないようです。
仰臥位で膝の下に毛布を丸めて当てて、股関節軽度屈曲+膝軽度屈曲で下肢の指圧から始めました。
腰痛のためにへっぴり腰でO脚になっていたようで、大腿外側を圧すと痛みがあり、膝をあまり曲げずに「生まれたての仔馬のように」やっとのことで歩いていたようなので大腿前側にも筋緊張があります。
足の冷えはほとんどなく、股関節の屈曲や回旋では可動域を拡げ過ぎないようにゆっくりと動かせば痛みが出ないので、救急車で運ばれた時の腰の激痛は2段階くらい緩和されてきてはいます。
発症時、3日、2週間、1ヶ月、3ヶ月…、という痛みが緩和していく典型的な経過での2段階ですから腰痛の回復は順調だと診ました。
下肢のストレッチ後、股関節を下ろす時には膝を軽く曲げてゆっくりと踵を着地させても腰に痛みが出ました。
この踵の着地で腰に痛みが出たということは「股関節の伸展で痛みが出た」ということですから大腿骨小転子に停止する「腸腰筋の伸展痛」を考えます。
股関節軽度屈曲+膝軽度屈曲で仰臥位の指圧をする意味はここにあります。
急性腰痛の治りかけは「腰をしっかりと伸ばしても痛い」のです(仰臥位で股関節を伸展させることは、腸腰筋にとっては体幹を前屈から伸展させたのと同じことです)。
強く圧すことも、目一杯ストレッチをすることも、血管や筋肉を収縮させて痛みを感じさせ、緊張によって、場合によっては傷口を拡げて、回復を遅らせることになります。
痛みを感じさせてしまったということは傷口を刺激してしまったということなので、以後股関節の軽度屈曲の維持にさらに注意しました。
触ったり、動かしてみないと患部は特定できませんから、押圧や運動の操作はゆっくりと、丁寧に行います。それでも痛みは出るのですからくれぐれも丁寧に。
横臥位の指圧では肩甲間部のこり、中殿筋、梨状筋、大腿二頭筋外側のこりを緩めました。
点滴の針による緊張が右上腕内側遠位に残り、左手の甲の腰腿点の圧痛は腰痛の反応点というだけではなく、右上肢内側と左上肢外側の対角線のこりという診方もできます。
全身指圧後、仰臥位でできる前腕のストレッチや両肘を両手で持って行う肩甲骨のストレッチ、両手をおなかに乗せて腹式呼吸で腰に圧をかける手掌圧、大腿内転筋と大腿四頭筋の強化運動を毎日行うように覚えていただきました。
指圧後立ち上がる時に腰に痛みが出ました。これも腸腰筋の伸展痛のようです。
腰痛の部位は左右両方に痛みがあるようですが、背中側から圧しての痛みはほとんどありませんでした(もちろん母指指紋部を広くふわりと密着させて、弱い漸増漸減圧で丁寧に指圧をしています)。
画像検査で診断のつかなかった腰痛を、私はストレスによる腸腰筋上部の筋性腰痛と診ました。
救急車で運ばれる前は仕事の忙しさもピークだったようです。
帰りに奈美悦子さんプロデュースの雑穀米と、豆腐を粉にした信州の「雪豆腐」をいただきました。
雪豆腐はお鍋でいただくと大豆粉ともおからとも違い、塩味のない味噌というような味わいで、災害時の保存食として使えると思いました。
また3日後に指圧にうかがう予定です。
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