60代女性、右手薬指の痛みは掌側骨間筋の炎症(お孫さんの抱っこで力が入ったのでしょう)。
「右手薬指を曲げると痛い」という60代女性、娘さんが出産時に出血が多く、産後の肥立ちが悪いため実家に連れて帰ってきた翌日の指圧です。
出産前後の3ヶ月は食事などの世話をしていたということで、背中が丸くなり、猫背で肩の頂上が背中側にずれていて、頚から肩甲間部がこっています。
また頭頚部は右に回旋+側屈しています。
娘さん夫婦の家に泊まってお世話をしていたそうですから、気を使って、ストレスが溜まっていそうです。
背中が丸くなっていて頭の重さが右前方にかかり、右後頚部から肩甲間部こっていて右薬指の痛みですから、原因として考えなければいけないのは第8頚神経+第1胸神経の尺骨神経の神経根症状です。
しかし、このケースでは肩関節の可動域にほとんど問題はなく、伏臥位の指圧後に肩甲間部の筋緊張はすぐにゆるみました。
仰臥位で右腋窩の詰まりもほとんどなく、右橈骨動脈の脈も明確な拍動を触知することができました。
右上腕、肘関節、前腕、手関節、手掌に筋緊張や圧痛はほとんどありません。肘部管症候群やギヨン管症候群ではなく、尺骨神経の問題は除外してもよさそうです。
痛みを再現する右薬指の動きは、中手指節関節の屈曲と内転でした。
四指の隙間をなくして(薬指内転)で薬指の中手指節関節を屈曲させると痛みが出るので、虫様筋か掌側骨間筋に炎症がありそうです。
薬指基節骨掌側の虫様筋、基節骨橈側の掌側骨間筋に触れて痛みは再現されなかったので、中手指節関節部分での痛みのようです。
この指圧ではどちらの筋に炎症があるのかは明確にはわかりませんでした。両方かもしれません。
それでも一番あやしいのは「掌側骨間筋の炎症」で、薬指と小指を内転させて、中指から小指までの3指は隙間をなくしてそろえ、中手指節関節を屈曲させて「お孫さんを抱っこしていた」ことが、薬指の強い負担になったのではないかと思います。
右手の甲を上に向けて右手関節を背屈し、右四指伸展で左手で右手関節から回すストレッチで痛みは出ません。手関節背屈・屈掌のストレッチでも痛みは出ませんでした。
また右薬指だけを伸展させるストレッチでも痛みは出ませんでした。
この女性は私のストレッチ教室に参加された方で、肩、上肢、手関節のストレッチを毎日やっていたようなので症状があまりひどくならなかったようです。
しかし、ストレッチをやっていただくと唯一苦手なのがこの伸展した右四指を左手で包んで右手関節を回すストレッチのようでした(利き手でない左手で右手関節を回すと「ふにゃ」となってしまって、力が上手く伝達できない人が多いと思います)。
赤ちゃんの背中から頭を右手で支えた抱っこで、体重を支える中心がちょうど右手掌側の薬指中手指節関節のあたりになったということなのでしょう。
右手で背中から頭を支えた抱っこの時に左手は赤ちゃんのお尻を支え、赤ちゃんの顔を覗き込むために頭頚部を右斜め下に向けて背中を丸める姿勢になっていたようです。
全身指圧後、痛みは軽減し背中も伸びたので、年末から正月を実家で過ごす娘さんとお孫さんのお世話も大丈夫そうです。
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