主訴が全身疲労と筋肉痛で、ふくらはぎを触った感触はさほどこっていないというケースについて考察してみました。
指圧の前日に山城を見るために山に登っています。
大腿は外側も内側も前側も後側も指圧をして痛みがある状態です。
伏臥位膝最大屈曲の大腿四頭筋のストレッチでは強い痛みが出たので途中までにしました。
大腿では大腿四頭筋に最も負担がかかっていたようです。
下腿の指圧ではふくらはぎに強い痛みがあったのですが、感触はさほどこっているわけではなく、時々腓腹筋の中心に下から押し上げるような緊張が走りました。
腓腹筋がそれほどこっていないということは、膝がしっかりと伸展した形で踵を上げてはいなかったようです。
とすると大腿四頭筋の筋肉痛と矛盾してしまうようですが、狭い階段や一段が高い階段、細く急な山の坂道では、「スロートレーニングのような筋肉の使い方をしていた」と考えられます。
山道で膝を伸ばしきらなくても、ゆっくりと膝を伸展することで大腿四頭筋には体重移動の負荷がかかります。
木の根が横に張ったような急で狭い山道では足底全体を安定させて地面に着けないことがあります。
滑らないように足趾屈曲で地面をとらえて踵が着地できないような時、ふくらはぎの最深部の長母趾屈筋、後脛骨筋、長趾屈筋、とその上のヒラメ筋を使って爪先立つことになり、膝軽度屈曲であれば腓腹筋はあまり使われません。
ふくらはぎを触った感触では表面はあまりこっていないのに反応としては痛過ぎるので、ふくらはぎ深部の筋肉を使ったということが考えられます。
安定の悪い幅の狭い階段での足底の着地では、バランスがぐらつくので大腿の四方に体重移動を微調整しながら立つこともあって大腿全体が筋肉痛になったのでしょう。
また、左肩上部のこりと左三角筋前部繊維のこりからは、リュックを背負って左肩の前で左手で紐をおさえていたという使い方が考えられ、実際はショルダーバッグの紐をそのように押さえて山道を登ったということでした。
一日前の山道がかなりの痛みを伴う筋肉痛になったわけですから急性の炎症なので、全身性に軽い刺激で血行促進をし、仕事は休みとのことでしたので一日ゆっくり過ごすことをおすすめしました。
こういうケースではよくFAXで送られてくるような「早く治す手技」が効くことはありません。
いくつもの小さな傷を修復するのに必要なことは、いじりまわすことではなく休養と栄養です。
治ったつもりで通常の体の使い方や無理な動きをすると小さな傷ですんだはずのものが大怪我になってしまうことがあります。
脊椎すべり症が治ったつもりで無理をして脊椎分離症に進行してしまうようなことは避けなければいけません。
翌日けっこうな筋肉痛になるほどの山を登って見た山城は、雲に浮かぶ竹田城跡だそうです。
登山のつもりで行ったほうがよさそうです。
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