50代女性、左肩の激痛から左手の握力が使えなくなって、数ヶ所の整形外科を転々とした後に指圧にいらっしゃいました。
MRI等の検査で「神経痛性筋委縮症」と診断されています。
座位の触診では背部、肩上部、上腕内側・外側、前腕内側にこりがあり、左上肢へ向かう腕神経叢の通る鎖骨上部内側、鎖骨下部外側(小胸筋)、腋窩を圧すと激痛がありました。
左手の甲の中央は膨らんでいて、左の母指と中指の第1関節が曲げにくくなっています。左母指には腱鞘炎があり、中指は深指屈筋の圧迫がありそうです。
左手には熱も感じられました。
インフルエンザの後に発症しているのでウイルス性の神経痛性筋委縮症ということもあるのかもしれませんが、「筋の委縮というほどのことはない」と感じました。
リウマチやばね指の方と比べると変形や委縮はほとんどないように思えます。
仰臥位下肢から指圧を始め、左上肢の指圧後、手や肩の関節運動で痛みはありません。
伏臥位で後頚部、肩、背部、下半身と指圧を終えると、左手の熱は下がり、手の甲の膨らみもほとんどなくなっていました。
しかし、左の鎖骨上部内側、小胸筋、腋窩を圧すと痛みは残っていました。
インフルエンザで39℃近い発熱があったそうですから、関節痛になってもおかしくありません。
また、猫背手仕事の左手の動かさな過ぎということがベースにあって、もともと右と比べて左上肢の筋肉は発達していなかったはずです。
指圧後にローズマリー・カンファーとセントジョーンズワートの浸出油で左手から前腕のアロマオイルマッサージをしました。
施術後ずいぶん左手の動きが滑らかになりました。
腱鞘炎と左肩の周囲での神経の圧迫の完治には時間がかかりそうですから、手と前腕の屈筋のストレッチと胸を拡げるストレッチを覚えていただきました。
整形外科で左上肢用の3万円もする装具を買わされたそうですが、窮屈で使っていないそうです。
私は程良く痛みを出さないように血行促進したり動かしていくことで効果があると診ました。
筋の委縮は正中神経麻痺の猿手などでも起こりますが、委縮というほど弱ってはいないようです。腕神経叢に沿って筋緊張を緩めた指圧後にはその思いが強くなりました。
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