20年前に腰の手術をした後も痛みが続いている50代女性の4回目の指圧です。
今回は、左膝裏外側から左足外側の3趾に痛みとしびれがあるそうです。
座位姿勢は腰椎の前弯は正常ですが頭は肩よりも前にあって胸椎の後弯が増強しています。
触診では肩から肩甲間部がこっていて、体全体がむくみ、左腰には軽く触れただけで痛みがありました。
伏臥位から指圧を始めます。
首、肩、肩甲間部、上腕などは通常のこりで普通に指圧ができましたが、左腰から仙骨にかけては皮膚表面にピリピリとした過敏な神経の緊張があります。
触れただけで痛い、風が当たっても、衣服の着脱で皮膚が擦れても痛いという状態です。
手術痕の引き攣れが上部にも下部にも影響し、左下肢は坐骨神経症状が膝裏から外の3趾に現れています。
左腰周囲には、皮膚表面に手掌を当てるだけにして10秒程度の密着で位置をずらしながら、神経の過緊張をなだめていきます。
左背部の外側にも、続いて頸椎から仙骨に向かって同じく棘突起に手掌で軽く手当てをしていきます。
始めは息を詰める音が聴こえたり、体が逃げることも2、3回ありましたが、やがて寝息が聴こえてきました。
肝機能障害もあり、肥満もあるので、歩くことなどの運動や体操もほとんどできておらず、腰の手術痕は痛みを溜めています。
痛みを抑えることができたら、むくみがあるので下肢の筋肉には軽快な運動をさせるタッチをしていき、ストレッチも行いました。
これでも最初に指圧をした時よりは見違えるほどやりやすくなっています。
こちらは適量刺激を創りやすくなりましたし、受ける側にも「まかせる感覚」ができています。
仰臥位の指圧後、座位では頭の位置が肩の上になり、左膝裏から下肢の痛みとしびれも消えました。
タッチの一番深い部分にあるのが「気のやり取り」だろうと思います。
施術者が思いやる、気を配ることによって、被術者が受け取るものが変わります。
単なる触圧刺激を超えた気がタッチに乗った時、共同作業としてのセラピーが生まれます。
雨が上がって今日は暖かくなるようです。天の気も味方につけて、密室の施術で終わらないように、今日も体に不調を抱えた方を気持ち良くゆるめてあげてください。
最近のコメント